11月25日、UCI登録レースである関西シクロクロス第3戦がビワコマイアミランドで開催され、全日本チャンピオンの竹之内悠(チームユーラシア)が他を圧倒する走りで優勝。1週間前の野辺山シクロクロスに続き、UCIレース連勝を飾った。

マイアミ名物の長い砂セクションマイアミ名物の長い砂セクション photo:Kei Tsuji関西シクロクロス第3戦の舞台はマイアミビーチ。マイアミはマイアミでも、琵琶湖東岸にあるマイアミランドの話。琵琶湖に面した砂セクションが、大いに選手たちを苦しめる。シクロクロッサーにとっては苦しみを意味する言葉だ。

ビーチと松林を組み合わせたコースは全長2500m。バックストレートに位置する全長200mほどのビーチが最大の難所であり、この長い「砂地獄」を乗車でクリア出来るかどうかがラップタイムに大きく影響する。

C1スタートC1スタート photo:Kei Tsujiコース内には砂が深く掘られている箇所もあり、砂地でもバイクを前に押し進めるパワーとテクニックが必要。ほとんどの選手にとって「バイクを押す」「バイクを担ぐ」時間が長いのが特徴だ。このマイアミのC1レースで今シーズンのシクロクロス初戦を迎えた土井雪広(アルゴス・シマノ)曰く「マイアミはブエルタよりも厳しい」。

野辺山シクロクロスに引き続いてUCI(国際自転車競技連合)の登録レースであるのと同時に、シクロクロス世界選手権の日本代表メンバーの選考に関わるセレクションレース3戦目にあたる(UCI登録上のレース名は関西シクロクロス野洲ラウンド)。

C1 竹之内悠(チームユーラシア)に沢田時(ブリヂストンアンカー)と丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX)が続くC1 竹之内悠(チームユーラシア)に沢田時(ブリヂストンアンカー)と丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX)が続く photo:Kei TsujiUCIレースの特徴として「80%ルール」が挙げられる。80%ルールとは、トップ選手のラップタイムの80%のタイムを経過して周回を終えた選手は、降車が指示されるというもの。例えばトップのラップタイムが8分の場合、トップから6分24秒より遅れて周回を終えた時点で降車となる。

これまでの獲得UCIポイントやAJOCC(全日本シクロクロス主催者協力者会)ポイントの集計をもとに、スタート位置が決まる。

C1 先頭パックをリードする丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX)C1 先頭パックをリードする丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX) photo:Kei TsujiC1レースの最前列に並んだのは、全日本チャンピオンの竹之内悠や丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX)、沢田時(ブリヂストンアンカー)、小坂正則(スワコレーシング)と言った日本のトップレーサーたち。

アメリカから参戦のモリー・キャメロン(MetaFilter-Portland Bicycle Studio)も最前列。ブレナン・ウォットリ(ALL ACCESS RACING)は4列目。

スタートから舗装路と砂利のコーナーを経て、先頭で最初の砂セクションに突っ込んだのは竹之内、沢田、丸山の3人。その後方に前田公平(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)やモリー・キャメロン(MetaFilter-Portland Bicycle Studio)、中井路雅(岩井商会レーシング)、小坂光(宇都宮ブリッツェン)が続き、小坂正則が少し遅れを取る。

C1 砂セクションを乗車でクリアする土井雪広(アルゴス・シマノ)C1 砂セクションを乗車でクリアする土井雪広(アルゴス・シマノ) photo:Kei TsujiC1 先頭で舗装路を駆ける竹之内悠(チームユーラシア)C1 先頭で舗装路を駆ける竹之内悠(チームユーラシア) photo:Kei Tsuji

C1 先頭のまま最終周回を走る竹之内悠(チームユーラシア)C1 先頭のまま最終周回を走る竹之内悠(チームユーラシア) photo:Kei Tsuji

C1 松林の間を駆ける前田公平(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)C1 松林の間を駆ける前田公平(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM) photo:Kei Tsujiしばらく竹之内、沢田、丸山の3人が先頭パックを形成したが、3周目の砂セクションで竹之内が前に出る。タイヤの空気圧を1.1barまで落として挑んだ竹之内が、2人を引き離して独走を開始。砂がまとわりついたバイクをピットで頻繁に交換しながら、沢田と丸山との距離を広げて行く。

竹之内は「自分の特徴として、スタート後すぐは掛かりが悪くてペースを上げることが出来ず、中盤からようやくエンジンがかかりました。前半から上げることが出来ればあと1分ほどタイムを縮めれたと思う」と話す。

C1 竹之内を追う沢田時(ブリヂストンアンカー)と丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX)C1 竹之内を追う沢田時(ブリヂストンアンカー)と丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX) photo:Kei Tsuji1ヶ月のヨーロッパ遠征から帰国し、疲労から調子を上げられずにいた竹之内。1週間前の野辺山では小坂正則に苦しめられながらも勝利。2週間後の全日本選手権に向けて調子を戻しつつある。

後続選手たちが7分30秒前後を刻む中、竹之内は一人7分15秒前後のラップタイムで砂コースを走破。後半にかけてラップタイムを上げる走りで、最終的には1分41秒差で勝利した。ゴール後「3分差ぐらいつきました?」と振り返るあたり、まだまだ気持ちに調子が追いついていないことを伺わせる。

C1 独走態勢に入った竹之内悠(チームユーラシア)C1 独走態勢に入った竹之内悠(チームユーラシア) photo:Kei Tsuji「マイアミで勝つのは初めて。師匠(辻浦圭一)にずっと勝てなかった。野辺山のあと、ロードで距離を乗るなどして気持ちを切り替えました。でもまだ本調子にはほど遠い」。

2位には丸山、そして3位には今シーズンからエリートレースを走る沢田。1分41秒差で敗れた丸山は「先頭で砂セクションに入った選手は、もちろん自分のラインで走りやすい。後ろの選手は、前の選手がラインを崩してしまうのでどうしても走りにくく、差が広がってしまう。竹之内選手は砂セクションに入る前に先頭に出てバーーンと行く。それによる焦りで自分のラインを見れずにバイクを降りてしまう。ペースが上がったというよりは、そこで徐々に離れてしまった」と敗因を語る。4位には小坂光、5位には「昨年の世界選手権で砂を克服した」という中井路雅が入った。

C1 マイアミ初勝利を飾った竹之内悠(チームユーラシア)C1 マイアミ初勝利を飾った竹之内悠(チームユーラシア) photo:Kei Tsuji

CL1 砂セクションを無理せず押して行く豊岡英子(パナソニックレディース)CL1 砂セクションを無理せず押して行く豊岡英子(パナソニックレディース) photo:Kei Tsujiエリート女子のCL1も、全日本チャンピオンの独壇場。豊岡英子(パナソニックレディース)が1周目からリードを奪って独走したが、左膝には痛々しいテーピングが。前日の試走で左脚を痛めた豊岡は、急遽大阪に戻って治療を受け、何とかスタートラインに付いていた。

「ビーチは無理せずに最初から降車して走った。左脚をかばっていると右脚にも影響が出て、上手くペダリング出来なかった。シケインも辛うじて乗り越えられるレベル」だったという豊岡。

CL1 3番手に上がるローラ・ウィンベリー(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)CL1 3番手に上がるローラ・ウィンベリー(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM) photo:Kei Tsuji後続の宮内佐季子(CLUBviento)とのタイム差を守りきり、昨年2位だったマイアミで再び優勝を飾った。力を見せつけたが、2週間後の全日本選手権に向けて不安が残る。

豊岡の1分後方では激しい3位争いが勃発。坂口聖香(Ready Go Japan)、福本千佳(同志社大学)、ローラ・ウィンベリー(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)が絡む混沌とした3番手パックの中からウィンベリーが抜け出し、野辺山に続いて表彰台に登った。

CM1は、三船雅彦のレッスンを受けて砂コースを攻略した大河内二郎(シルクロード)が勝利。スノーボード界で世界的に知られるフォトグラファーのジェフ・カーティス(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)がC2レースで優勝している。

CL1 声援に応えてゴールする豊岡英子(パナソニックレディース)CL1 声援に応えてゴールする豊岡英子(パナソニックレディース) photo:Kei TsujiCL1表彰台CL1表彰台 photo:Kei Tsuji
C2 先頭で砂セクションをクリアするジェフ・カーティス(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)C2 先頭で砂セクションをクリアするジェフ・カーティス(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM) photo:Kei TsujiCM1 藤井修(きゅうべえsports)を振り切った大河内二郎(シルクロード)が優勝CM1 藤井修(きゅうべえsports)を振り切った大河内二郎(シルクロード)が優勝 photo:Kei Tsuji

レースの模様はフォトギャラリーにて!

関西シクロクロス2012-2013第3戦ビワコマイアミランド結果
C1(8周回)
1位 竹之内悠(チームユーラシア)                   56'14"
2位 丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX)                  +1'41"
3位 沢田時(ブリヂストンアンカー)                  +2'34"
4位 小坂光(宇都宮ブリッツェン)                   +2'39"
5位 中井路雅(岩井商会レーシング)                  +3'03"
6位 小坂正則(スワコレーシング)                   +3'16"
7位 モリー・キャメロン(MetaFilter-Portland Bicycle Studio)       +4'29"
8位 前田公平(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)           +4'52"
9位 ブレナン・ウォットリ(ALL ACCESS RACING)           +5'17"
10位 濱由嵩(BRIDLER)                        +5'39"

CJ(5周回)
1位 山田誉史輝(HAPPYRIDE)                    39'24"
2位 中井唯晶(瀬田工業高校)                      +07"
3位 岡野樹(TeamRINGOROAD/のぼこん)               +5'11"

CL1(5周回)
1位 豊岡英子(パナソニックレディース)                42'18"
2位 宮内佐季子(CLUBviento)                      +41"
3位 ローラ・ウィンベリー(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)     +50"
4位 坂口聖香(Ready Go Japan)                    +1'03"
5位 福本千佳(同志社大学)                        +1'33" 
6位 ハイディ・ベック(TWIN SIX)                    +3'06"

CM1(5周回)
1位 大河内二郎(シルクロード)                     40'00"
2位 藤井修(きゅうべえsports)                     +01"
3位 丸畑明彦(PCサイクルクラブ松本)                  +15"
4位 船岡洋(tacurino.net)                       +1'02"
5位 吉中和彦(ユーロワークス)                     +1'43"
6位 ビンセント・フラナガン(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB)        +1'55"

C2(5周回)
1位 ジェフ・カーティス(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)      38'21"
2位 ダン・シャープ(Embrocation Journal)                +2'36"
3位 細渓拓男(Salata bianca kobe)                    +2'38"
4位 窪田博英(Rapha Cycle Club Osaka)                 +2'44"
5位 曽我暁男(エキップユーレーシング)                 +2'50"
6位 小俣雄風太(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB)              +2'51"

CL2(3周回)
1位 三浦涼香(桜花学園)                         30'13"
2位 坂口楓華(Ready Go Japan)                    +1'10"
3位 水谷有紀子(TEAMベルハンター)                  +2'09"

CM2A(3周回)
1位 船木和智晋(CHARGE)                       28'20"
2位 南條太郎(エキップリオン)                      +18"
3位 入江洋司(武田医院・ゲゲゲ)                     +27"

CM2B(3周回)
1位 小澤隆(team speed)                        27'45"
2位 水谷拓也(TEAMベルハンター)                    +12"
3位 唐鎌孝行(Teamスクアドラ)                      +30"

C3A(3周回)
1位 島本誠(TEAM NEXT STAGE)                   26'56"
2位 松岡晋作(ボナペティ)                        +20"
3位 金野文彰(パヤーノ会)                        +35"

C3B(3周回)
1位 宮本康博                              26'48"
2位 平田匡史                              +51"
3位 兼松大和(TGR)                         +1'05"

text&photo:Kei Tsuji
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