2009/06/21(日) - 14:53
クラン・モンタナの頂上ゴールに先頭で飛び込んだのは、山岳賞ジャージを着るトニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)。24歳のこのTTスペシャリストの活躍によりチームコロンビアは勝率を8戦6勝に伸ばした。総合首位はタディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)が4秒差で守っている。
第73回ツール・ド・スイス最後の頂上ゴールが設定された第8ステージ。連続する3級山岳と1級山岳を越え、標高1505mのリゾート地クラン・モンタナにゴールする。翌日に最終個人タイムトライアル(以下個人TT)が控えた注目のこの山岳ステージで、序盤からラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)ら4名が逃げた。
総合成績に関係の無いこの逃げは、長い平坦区間で最大6分のリード。しかしペース上がったメイン集団に、ラスト19km地点の3級山岳の上りで吸収されてしまう。
ここからユッシ・ヴェッカネン(フィンランド、フランセーズデジュー)やスティーブ・モラビート(スイス、アスタナ)がカウンターアタックで飛び出したが、1級山岳の上りでリクイガスとサクソバンクがペースアップするメイン集団に捉えられてフリダシに。
縮小した集団からラスト12km地点で昨年総合優勝者のロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)がアタックを仕掛けたが決まらない。その後もアンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)やウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)が攻撃的な走りを見せたが決定力を欠いた。
総合上位陣がひしめく13名ほどの先頭グループは、総合2位ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)のためにフランク・シュレク(ルクセンブルク)が献身的に牽引。カンチェラーラは危機に陥ること無く1級山岳をクリアした。
やがてゴールが近づくと先頭13名によるステージ優勝争いが活発化。メンバー4名(マルティン、キルシェン、アルバジーニ、モンフォール)を揃えたチームコロンビアからは、マキシム・モンフォール(ベルギー)がラスト2kmでアタック。しかしこれは決まらず、ラスト500mでピンクの山岳賞ジャージを着たマルティンが飛び立った。
緩斜面をグイグイ加速するマルティンは、後続を振り切って最終ストレートへ。後方からダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)がスプリントで追い上げたが僅かに届かず、先頭を守りきったマルティンが先頭でゴールに飛び込んだ。
4日連続でチームコロンビアの選手が先頭でゴールラインを駆け抜けた。「後ろからクネゴが追い上げてきたのは分かっていた。すぐ後ろまで迫ってきたけど、何とかゴールまで先頭を守りきったんだ。昨日も同じようなアタックを繰り返したけど成功しなかった。でも今日は違った。昨日より長く待ち続けて、ラスト500mで加速したんだ。後続との距離が広がり始めたとき、ようやくステージ優勝が見えてきた」。
若きTTスペシャリストとして知られるマルティンは、これまで個人TTを中心に活躍し、今シーズンはクリテリウム・アンテルナシオナル(UCI2.HC)とバイエルン・ルントファート(UCI2.HC)の個人TTで優勝。しかしこの山岳ステージでの勝利を「キャリア最初のビッグな勝利」と喜ぶ。チームコロンビアは8ステージ中、驚きの6勝目。僅か2ステージしか落としていない。
マルティンは山岳賞ランキングのトップを独走中で、もう下位の選手の逆転は不可能。パリ〜ニースに続く山岳賞獲得を確定させた。
「明日の個人タイムトライアルでもいい走れば出来れば」。トップから39秒遅れの総合4位に浮上したマルティンは、最終個人TTに向けて抱負を語る。本来の力を発揮すれば総合表彰台獲得の可能性は高い。さらには総合優勝争いにも絡んでくる可能性も。
注目が集まっていた総合争いは、ヴァリャベッチがリーダージャージを守った。しかしカンチェラーラが、1級山岳で脱落するどころか、ステージ3位に入ってボーナスタイムを獲得。総合首位ヴァリャベッチとの総合タイム差を4秒まで詰めている。
翌日の最終個人TTは距離39km。数十秒のタイム差はつくと思われており、カンチェラーラ有利な状況に変わりない。しかもレースの開催地はカンチェラーラの故郷ベルン。地元の声援を受けるカンチェラーラが、総合逆転、ツール・ド・スイス初総合優勝を狙う。
他にも28秒差でクロイツィゲル、39秒差でマルティン、45秒差でクレーデン、1分01秒差でウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)といったTTを得意とする有力選手たちが控えている。ハイレベルな総合争いが繰り広げられることになりそうだ。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ツール・ド・スイス2009第8ステージ結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)4h12'31"
2位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)
3位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)+02"
4位 タディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)
5位 キム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア)
6位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
7位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)
8位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)
9位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)
10位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)
個人総合成績
1位 タディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)32h19'48"
2位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)+04"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+28"
4位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)+39"
5位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+45"
6位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)+54"
7位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)+1'01"
8位 キム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア)+1'07"
9位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)+1'08"
10位 マキシム・モンフォール(ベルギー、チームコロンビア)+1'12"
ポイント賞
ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)
山岳賞
トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)
中間スプリント賞
エンリーコ・ガスパロット(イタリア、ランプレ)
チーム総合成績
サクソバンク
第73回ツール・ド・スイス最後の頂上ゴールが設定された第8ステージ。連続する3級山岳と1級山岳を越え、標高1505mのリゾート地クラン・モンタナにゴールする。翌日に最終個人タイムトライアル(以下個人TT)が控えた注目のこの山岳ステージで、序盤からラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)ら4名が逃げた。
総合成績に関係の無いこの逃げは、長い平坦区間で最大6分のリード。しかしペース上がったメイン集団に、ラスト19km地点の3級山岳の上りで吸収されてしまう。
ここからユッシ・ヴェッカネン(フィンランド、フランセーズデジュー)やスティーブ・モラビート(スイス、アスタナ)がカウンターアタックで飛び出したが、1級山岳の上りでリクイガスとサクソバンクがペースアップするメイン集団に捉えられてフリダシに。
縮小した集団からラスト12km地点で昨年総合優勝者のロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)がアタックを仕掛けたが決まらない。その後もアンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)やウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)が攻撃的な走りを見せたが決定力を欠いた。
総合上位陣がひしめく13名ほどの先頭グループは、総合2位ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)のためにフランク・シュレク(ルクセンブルク)が献身的に牽引。カンチェラーラは危機に陥ること無く1級山岳をクリアした。
やがてゴールが近づくと先頭13名によるステージ優勝争いが活発化。メンバー4名(マルティン、キルシェン、アルバジーニ、モンフォール)を揃えたチームコロンビアからは、マキシム・モンフォール(ベルギー)がラスト2kmでアタック。しかしこれは決まらず、ラスト500mでピンクの山岳賞ジャージを着たマルティンが飛び立った。
緩斜面をグイグイ加速するマルティンは、後続を振り切って最終ストレートへ。後方からダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)がスプリントで追い上げたが僅かに届かず、先頭を守りきったマルティンが先頭でゴールに飛び込んだ。
4日連続でチームコロンビアの選手が先頭でゴールラインを駆け抜けた。「後ろからクネゴが追い上げてきたのは分かっていた。すぐ後ろまで迫ってきたけど、何とかゴールまで先頭を守りきったんだ。昨日も同じようなアタックを繰り返したけど成功しなかった。でも今日は違った。昨日より長く待ち続けて、ラスト500mで加速したんだ。後続との距離が広がり始めたとき、ようやくステージ優勝が見えてきた」。
若きTTスペシャリストとして知られるマルティンは、これまで個人TTを中心に活躍し、今シーズンはクリテリウム・アンテルナシオナル(UCI2.HC)とバイエルン・ルントファート(UCI2.HC)の個人TTで優勝。しかしこの山岳ステージでの勝利を「キャリア最初のビッグな勝利」と喜ぶ。チームコロンビアは8ステージ中、驚きの6勝目。僅か2ステージしか落としていない。
マルティンは山岳賞ランキングのトップを独走中で、もう下位の選手の逆転は不可能。パリ〜ニースに続く山岳賞獲得を確定させた。
「明日の個人タイムトライアルでもいい走れば出来れば」。トップから39秒遅れの総合4位に浮上したマルティンは、最終個人TTに向けて抱負を語る。本来の力を発揮すれば総合表彰台獲得の可能性は高い。さらには総合優勝争いにも絡んでくる可能性も。
注目が集まっていた総合争いは、ヴァリャベッチがリーダージャージを守った。しかしカンチェラーラが、1級山岳で脱落するどころか、ステージ3位に入ってボーナスタイムを獲得。総合首位ヴァリャベッチとの総合タイム差を4秒まで詰めている。
翌日の最終個人TTは距離39km。数十秒のタイム差はつくと思われており、カンチェラーラ有利な状況に変わりない。しかもレースの開催地はカンチェラーラの故郷ベルン。地元の声援を受けるカンチェラーラが、総合逆転、ツール・ド・スイス初総合優勝を狙う。
他にも28秒差でクロイツィゲル、39秒差でマルティン、45秒差でクレーデン、1分01秒差でウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)といったTTを得意とする有力選手たちが控えている。ハイレベルな総合争いが繰り広げられることになりそうだ。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ツール・ド・スイス2009第8ステージ結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)4h12'31"
2位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)
3位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)+02"
4位 タディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)
5位 キム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア)
6位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
7位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)
8位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)
9位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)
10位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)
個人総合成績
1位 タディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)32h19'48"
2位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)+04"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+28"
4位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)+39"
5位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+45"
6位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)+54"
7位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)+1'01"
8位 キム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア)+1'07"
9位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)+1'08"
10位 マキシム・モンフォール(ベルギー、チームコロンビア)+1'12"
ポイント賞
ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)
山岳賞
トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)
中間スプリント賞
エンリーコ・ガスパロット(イタリア、ランプレ)
チーム総合成績
サクソバンク
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