尾道と今治を結ぶしまなみ海道を舞台に初めて行われたレース。初日のクリテリウムは愛三工業が圧倒的な力の差でねじふせ福田真平が優勝。

ロードコースは多々羅大橋の下を通るロードコースは多々羅大橋の下を通る photo:Hideaki.TAKAGI生口島はレモンアイランド生口島はレモンアイランド photo:Hideaki.TAKAGI新城幸也(ユーロップカー)と為末大さんがかけつける新城幸也(ユーロップカー)と為末大さんがかけつける photo:Hideaki.TAKAGIクラス3優勝は小橋勇利(ボンシャンス飯田)クラス3優勝は小橋勇利(ボンシャンス飯田) photo:Hideaki.TAKAGI声援にこたえる5人声援にこたえる5人 photo:Hideaki.TAKAGIエリート スタートエリート スタート photo:Hideaki.TAKAGIシリーズリーダーの西沢倭義(明治大学)シリーズリーダーの西沢倭義(明治大学) photo:Hideaki.TAKAGIエリート 序盤から得点する福田真平(愛三工業レーシングチーム)エリート 序盤から得点する福田真平(愛三工業レーシングチーム) photo:Hideaki.TAKAGIラスト1周、愛三列車が走るラスト1周、愛三列車が走る photo:Hideaki.TAKAGI目指せ!ツール・ド・せとうち目指せ!ツール・ド・せとうち photo:Hideaki.TAKAGI
11月10日(日)に行われたツール・ド・いくちじま。日本学生自転車競技連盟を中心にツール・ド・いくちじま実行委員会が主催する大会。今年から始まったもので、しまなみ海道の中間点に当たる広島県尾道市瀬戸田町生口島を舞台にした2日間のレースだ。初日は瀬戸田町内のクリテリウム、2日目11月11日は生口島南半分を使ったロードレース。

「レモンアイランドレース」と名づけられるほどのレモンの産地の生口島。ほかみかんなどのかんきつ類が豊富で、島内のあちこちの手の届くところにかんきつ類がたわわに実っている。
瀬戸大橋の全線開通に伴い、しまなみ海道の自転車道を使って同島を訪れるサイクリストも多い。この日はクリテリウム会場を偶然通りかかるサイクリストもレース観戦に。

新城がゲストで参加し、試走やデモ走行でファンサービスも。そして実行委員の一人には、広島市出身の元陸上競技者、為末大さんも。
参加チームは学連登録大学が中心だが、混成チームや実業団チームなどの参加で幅広い選手たちが。愛三工業レーシングチーム、そして広島出身の小森亮平(チームNIPPO)と野中竜馬(シマノレーシング)は広島県選抜チームで出場など、フレキシブルな運営も魅力。
福島晋一(ボンシャンス飯田)は鎖骨のプレートを除く手術からまだ10日で出場はドクターストップ。この日は引率で訪れた。

小橋勇利(ボンシャンス飯田)圧勝のクラス3

初日のクリテリウムは1周1.4kmのコースを周回するポイントレース形式。
学連のクラス3選手と、ボンシャンス飯田・広島県選抜のジュニア世代の選手たちが参加。
なかでも高校3年生の小橋の力は圧倒的で、強力なチームメイトたちとの連携で序盤から加点、2位との差を広げていく。最終周回に小橋は落車するが、それまでの得点が効いて優勝。

愛三工業が格の違いを見せたエリート

学連のクラス1・2と実業団チームなどが参加したエリートは、愛三工業レーシングチームが圧倒的な個人とチームの力を見せた。
愛三工業は序盤からスプリントに秀でる福田真平に得点を集中させる。ポイント周回ではハイペースの列車を組んで福田が1位通過、アシストの木守望や伊藤雅和も上位で通過してともに加点していく。
中盤以降はアタックする選手を逃がす場面もあるが愛三勢はしっかりとマーク。それでも野中竜馬(広島県、シマノ)は積極的にアタックして会場を沸かせる。終盤まで愛三勢がしっかりコントロールして他選手にポイントを取らせない。ゴールも愛三列車が炸裂、福田がトップで入り優勝。福田は13回中9回のポイントを取り、そのすべてが1位通過と圧倒。木守も合計で2位に入る。シリーズ戦リーダージャージを着る西沢倭義(明治大学)が意地を見せて3位に。

実行委員の為末大さん「自転車には可能性がある」

凄い迫力でおもしろかったですね。来年は一般のクラスを作ってそこで自分が走りたいなと。ロードはここ3年ほどトレーニングに取り入れていて、もともと興味があります。世の中にはおもしろい競技がたくさんある。それが発掘され地域の活性化に繋がる。自転車には大きな可能性がある。ここしまなみでも定着すればと思うし、ほかの場所でもそれはいいことと考えています。

優勝の福田真平「チームで戦った結果」

チームメイトが完璧に機能したのでチームメイトの勝利です。大学生個々は強い選手もいましたが、愛三はチームで今回戦いました。学生と走ることは少ないので、学生にはチームで走るとはどういうことかを伝えられたらと思っています。もちろん勝ちに来ました。

シリーズリーダーの西沢倭義「ものすごく刺激になった」

愛三工業の列車が完璧で、5人に並ばれたら前に出られなかったです。プロの強さを見せ付けられました。学生時代から強かった愛三の伊藤さん木守さんを見て、自分も負けていられないと思いました。プロと走れる機会はめったにないので今日は嬉しく、そしてものすごく刺激になりました。

西沢が言うように、愛三の木守、伊藤は2年前までは大学生。野中も昨年まで大学生。彼ら身近な元学連選手の走りを間近に見た現役生達は大いに刺激を受けた。「勝って当たり前」とも言える愛三工業だが、それでも全力で戦い、走り方と力の差を見せることで、大学生はまた目標にもする。いい相乗効果だ。

翌日11日は150kmのロードレース。一ヶ所上りがある。標高差こそ300mほどだが、アップダウンと狭い道、急カーブなどの破壊力のある区間。愛三勢と大学生達の攻防が見ものだ。

結果
第1日 クリテリウム
エリート(クラス1+2)
1位 福田真平(愛三工業レーシングチーム)60点
2位 木守望(愛三工業レーシングチーム)24点
3位 西沢倭義(明治大学)17点
4位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)13点
5位 野中竜馬(広島県選抜・シマノレーシング)11点
6位 小森亮平(広島県選抜・チームNIPPO)10点
7位 吉岡直哉(京都産業大学)10点
8位 河賀雄大(立命館大学)6点
9位 大中巧基(早稲田大学)3点
10位 鍵本大地(京都産業大学)3点

クラス3
1位 小橋勇利(ボンシャンス飯田)27点
2位 宮内渉(環太平洋大学)21点
3位 金野冬星(朝日大学)15点

photo&text:高木秀彰