今季限りでの現役引退を表明している36歳アルントがTT連覇を達成

グリーンエッジ・AIS所属のユーディト・アルント（ドイツ）が女子最速の称号をキープ。今シーズン限りでの現役を退く大ベテランが、引退の花道をアルカンシェルで飾った。

9位・1分59秒差　マルティナ・サブリコワ（チェコ） photo:Kei Tsujiエリート女子タイムトライアルは、ベルギー国境に接するアイスデンの街をスタート。リンブルフの丘陵地帯を駆け抜け、ファルケンブルフにゴールする。コース全長は24.1km。どんよりとした雲に覆われたコースに、エリート女子42名が挑んだ。

長時間にわたって暫定トップタイムを維持したのは、6番手スタートのマルティナ・サブリコワ（チェコ）。

3位・40秒差　リンダ・ヴィルムセン（ニュージーランド） photo:Kei Tsujiスピードスケート出身のサブリコワは、2010年のバンクーバー五輪スピードスケート3000mと5000mの金メダリスト。世界選手権では9個の金メダルを獲得している。自転車競技では、2010年のチェコ選手権ロードレース＆タイムトライアルでダブルタイトルを獲得した。

しかしサブリコワのタイムは、優勝候補のスペシャリストたちに次々と塗り替えられていく（サブリコワは最終的に9位）。

2位・33秒差　イヴリン・スティーヴンス（アメリカ） photo:Kei Tsuji「1」を背負うディフェンディングチャンピオンのユーディト・アルント（ドイツ）は、10.7km地点と16.1km地点の中間計測ポイントでいずれもトップタイムで叩き出す。「カウベルグ」手前の計測ポイントでは、イヴリン・スティーヴンス（アメリカ）の暫定トップタイムを10秒更新してみせる。

アルントは「カウベルグ」に入ってなおハイペースを維持し、頂上通過後の平坦路でギアを踏んでいく。先にゴールしたスティーヴンスの暫定トップタイムを33秒も更新する32分26秒でゴール。他の追随を許さない走りで連覇を達成した。

左から、2位イヴリン・スティーヴンス（アメリカ）、優勝ユーディト・アルント（ドイツ）、3位リンダ・ヴィルムセン（ニュージーランド） photo:Riccardo Scanferla「最後にカウベルグが待ち受ける、本当にタフなコースだった。カウベルグの登り口からゴールまで、3分間全開走行。登り手前の短い下りで一息つけるのが幸いだったけど」。昨年初めて手にしたタイトルを防衛することに成功したアルントは振り返る。

グリーンエッジ・AISに所属する36歳のアルントは、今シーズン限りでの引退を発表済み。「タイトルを防衛したけど（引退の）気持ちは変わらない。もう充分に走った。キャリアが終わりを告げることに開放感を覚える。素晴らしいスポーツだけど、私は舞台を降りる」。

ロンドン五輪のタイムトライアル金メダリストのクリスティン・アームストロング（アメリカ）は欠場。代わってアメリカのスティーヴンスが銀メダルを獲得した。リンダ・ヴィルムセン（ニュージーランド）は銀と銅あわせて4つめのメダル獲得だが、またも金メダルには届かなかった。

2位スティーヴンス、5位ファンダイク、6位テウテンベルグ、7位ネーベン、8位ヴォラックは全員チームスペシャライズド・ルルレモン所属で、9月16日のチームタイムトライアル優勝メンバー。2010年メルボルン大会で優勝したエマ・プーリー（イギリス）は4位に終わっている。

32分26秒のトップタイムで優勝したユーディト・アルント（ドイツ） photo:Kei Tsuji


ロード世界選手権2012エリート女子タイムトライアル結果
1位　ユーディト・アルント（ドイツ）　　　　　　　　　32'26"
2位　イヴリン・スティーヴンス（アメリカ）　　　　　　　+33"
3位　リンダ・ヴィルムセン（ニュージーランド）　　　　　+40"
4位　エマ・プーリー（イギリス）　　　　　　　　　　　　+49"
5位　エレオノラ・ファンダイク（オランダ）　　　　　　　+54"
6位　イナヨーコ・テウテンベルグ（ドイツ）　　　　　　+1'33"
7位　アンバー・ネーベン（アメリカ）　　　　　　　　　+1'43"
8位　トリキシ・ヴォラック（ドイツ）　　　　　　　　　+1'44"
9位　マルティナ・サブリコワ（チェコ）　　　　　　　　+1'59"
10位　シャラ・ギロー（オーストラリア） 　　　　　　　 +1'59"

text&photo:Kei Tsuji in Limburg, Netherlands