2012/09/18(火) - 21:56
9月16日に開催された「セルフディスカバリーアドベンチャー・イン(SDA)王滝」。春に続き、念願の秋王滝での優勝を果たした池田祐樹(TOPEAK・ERGON)から届いたレポートを中心に、大会の模様をレポートする。
1年に2回開催されるSDA王滝において、ステータスの高い"秋の王滝"。9月16日に開催された今大会は、御嶽山がはっきりと見渡せる絶好の天気に恵まれた。エントリー人数は100kmでは995名(内120km65名)、42kmで440名と過去最高人数をマークした。
「春の王滝」を制し、波に乗る池田祐樹(TOPEAK・ERGON)、松本駿(TREK)、山中真(GT/One on One)、竹谷賢二(SPECIALIZED)、國井敏夫(Mile Post Racing)など多数の優勝候補が集い、レースは池田祐樹が独走勝利を飾り、SDA王滝の春・秋を通して争われる「キング・オブ・MTB」の座を射止めた。以下本人からのレポートでお届けする。
池田祐樹本人によるレースレポート
春の優勝はもちろん嬉しかったが、やはり秋の120kmで勝ってこその王滝の優勝タイトル。そして、春には実現できなった私の尊敬するライダーでもあるキング・オブ・MTB王滝の松本駿選手(TREK)と直接戦い、勝ちたいという強い気持ちがあった。
スタートの登りから高速ペースを作り、積極的に先頭でレースをコントロールした。もちろんライバル選手たちへの意識もあったが、10月のMTBマラソン世界選手権を視野に入れてのレース展開をしたかった。守りではなく、世界の強豪を意識して攻め続ける姿勢をとった。
第一チェックポイント辺りまでは松本選手と竹谷選手(Specialized)がすぐ後ろにいる形でレースは進んだ。徐々に後続を引き離し、一人旅が始まった。しかし、攻撃の手は緩めずに今持てる力を常に出してペダルを踏んだ。
前タイヤを岩にヒットした時にビードが外れて空気が全て漏れてしまい、すごく焦ったが、サポートのCo2カートリッジで空気を充てんするとすぐに復活できた。タイヤが切れていなかったことはすごく幸運。昨年の秋は大きくサイドウォールを切ってしまい、修理に時間がかかった。
今回は運も味方についてくれている気がした。
もう一つ意識していた目標、6時間切り。このコース設定になってからは誰も6時間の壁を破っていない。トップチューブに貼ったチェックポイントごとの目標タイムよりも第2まではかなり早く通過することができていた。
しかし、オーバーペースを承知での攻めの走りの代償で足が攣りはじめてきてしまった。攣っている筋肉の箇所を縮めないように工夫し、完全に硬直させないように無理やりこぎ続けた。攣る個所が次々と増える中、激痛と戦いながらペダルを踏んだ。進んではいるが、この状況では必然的に一気にペースダウン。
42kmカテゴリーの選手を抜かす時は疲れすぎてしっかりとした声掛けができず、「右」、「左」と二文字しか声を発せないほど。
そんな中、「池田選手頑張れ!」と声援を送ってくれる選手達。彼らも100%で戦っている。その中で応援してくれるとは、なんてありがたいことだ。エネルギーをもらった。
後ろの選手の姿は見えないが、まだ残り30km以上残っているので、気を緩めるわけにはいかない。ましてや相手はあの松本駿選手。
最後の難関の20kmループに入るときにサポーターの姿が見えた。ここまで来てくれたのか。ありがとう。知っている仲間と、その声援を聞くと元気がまた出てきた。
しかし、この最後の急勾配の超ロングな坂は容赦なく気力と体力を奪ってくる。攣っている足なので重いギヤも踏めず、軽いギヤをクルクル必死に回すしかできない。立ちこぎをして足のリズムを変えたくても、勾配もきつく、路面は滑りやすく、動く砂利が敷き詰められているのでひたすら単調に座ってこぐしかできない。
攻める走りどころか、守りの走りもできないほどに心身ともに疲弊していた。蚊の止まる様なスピードでようやく頂上に着き、最後の下り基調のセクションへ。ゴール後はもうどうなってもいい。
タオルの最後の一滴まで無理やり絞り込むように、枯渇したエネルギーを気力のみで再び身体から絞り出した。フィニッシュのゲートが見えた瞬間の安堵感、達成感、幸福感は格別だった。
6時間をわずか1分20秒で切れなかったこと、高速ペースをこの距離で最後まで維持できなかったことは反省ですが、これも成長できる課題として次に必ずつなげます。世界選手権前に少しでも修正したいと思います。沢山の応援とサポートありがとうございました。
SDA王滝120km リザルト
1位 池田祐樹(TOPEAK・ERGON) 6h01'20"
2位 松本駿(TREK) 6h03'31"
3位 竹谷賢二(SPECIALIZED) 6h11'13"
4位 山中真(GT/One on One) 6h13'39"
5位 大渕宏紀(Team NR) 6h35'51"
※その他の全リザルトは記事下部の添付ファイル(PDF)で確認できます。
池田祐樹(TOPEAK・ERGON)の優勝バイク
CANYON グランドキャニオン AL29チームエディション
独走優勝を飾った池田祐樹(TOPEAK・ERGON)が駆るのは、キャニオンのアルミ29erレーサーであるグランドキャニオン AL29。春王滝で使用した26インチのハードテイルカーボンバイクからのスイッチで、所属するプロMTBチームのTOPEAK・ERGONがチームで採用するモデルだ。
コンポーネントはSRAMで、ホイールはDTスイス。 タイヤはコンチネンタルのRaceKing 2.2Protectionで、スタンズのチューブレスキットを導入してガレ場のパンクに備えた。サスペンションはロックショックスのSID XX WORLD CUP。トピークのAirBooster Race Podでタイヤレバーやボンベを携行するなどパンク対策は万全だ。
バイク&エクイップメントの仕様
バイク: CANYON GRANDCANYON AL29
フォーク: ROCKSHOX SID XX WORLD CUP
ブレーキ: MAGURA MT8
ステム/シートポスト/ハンドルバー: RITCHYSuperlogic/WCSCarbon
ホイール: DT Swiss with Stan's tubelesskit
タイヤ: Continental RaceKing 2.2(F)Race king 2.2(R) Protection
グリップ: Ergon GX1
グローブ: Ergon HX2
シューズ: North Wave StrikerS.B.S.MTB
ペダル: Crank Brothers Eggbeater
サングラス: Adidas EyewearEvil Eye Half Rim Pro L
ヘルメット: Cratoni
ボトルケージ: Topeak ShuttleCage CB
チェーンオイル:Finishline/WET & Ceramic Lube
補給食:ハニースティンガー
report:Yuki.Ikeda
edit: cyclowired
1年に2回開催されるSDA王滝において、ステータスの高い"秋の王滝"。9月16日に開催された今大会は、御嶽山がはっきりと見渡せる絶好の天気に恵まれた。エントリー人数は100kmでは995名(内120km65名)、42kmで440名と過去最高人数をマークした。
「春の王滝」を制し、波に乗る池田祐樹(TOPEAK・ERGON)、松本駿(TREK)、山中真(GT/One on One)、竹谷賢二(SPECIALIZED)、國井敏夫(Mile Post Racing)など多数の優勝候補が集い、レースは池田祐樹が独走勝利を飾り、SDA王滝の春・秋を通して争われる「キング・オブ・MTB」の座を射止めた。以下本人からのレポートでお届けする。
池田祐樹本人によるレースレポート
春の優勝はもちろん嬉しかったが、やはり秋の120kmで勝ってこその王滝の優勝タイトル。そして、春には実現できなった私の尊敬するライダーでもあるキング・オブ・MTB王滝の松本駿選手(TREK)と直接戦い、勝ちたいという強い気持ちがあった。
スタートの登りから高速ペースを作り、積極的に先頭でレースをコントロールした。もちろんライバル選手たちへの意識もあったが、10月のMTBマラソン世界選手権を視野に入れてのレース展開をしたかった。守りではなく、世界の強豪を意識して攻め続ける姿勢をとった。
第一チェックポイント辺りまでは松本選手と竹谷選手(Specialized)がすぐ後ろにいる形でレースは進んだ。徐々に後続を引き離し、一人旅が始まった。しかし、攻撃の手は緩めずに今持てる力を常に出してペダルを踏んだ。
前タイヤを岩にヒットした時にビードが外れて空気が全て漏れてしまい、すごく焦ったが、サポートのCo2カートリッジで空気を充てんするとすぐに復活できた。タイヤが切れていなかったことはすごく幸運。昨年の秋は大きくサイドウォールを切ってしまい、修理に時間がかかった。
今回は運も味方についてくれている気がした。
もう一つ意識していた目標、6時間切り。このコース設定になってからは誰も6時間の壁を破っていない。トップチューブに貼ったチェックポイントごとの目標タイムよりも第2まではかなり早く通過することができていた。
しかし、オーバーペースを承知での攻めの走りの代償で足が攣りはじめてきてしまった。攣っている筋肉の箇所を縮めないように工夫し、完全に硬直させないように無理やりこぎ続けた。攣る個所が次々と増える中、激痛と戦いながらペダルを踏んだ。進んではいるが、この状況では必然的に一気にペースダウン。
42kmカテゴリーの選手を抜かす時は疲れすぎてしっかりとした声掛けができず、「右」、「左」と二文字しか声を発せないほど。
そんな中、「池田選手頑張れ!」と声援を送ってくれる選手達。彼らも100%で戦っている。その中で応援してくれるとは、なんてありがたいことだ。エネルギーをもらった。
後ろの選手の姿は見えないが、まだ残り30km以上残っているので、気を緩めるわけにはいかない。ましてや相手はあの松本駿選手。
最後の難関の20kmループに入るときにサポーターの姿が見えた。ここまで来てくれたのか。ありがとう。知っている仲間と、その声援を聞くと元気がまた出てきた。
しかし、この最後の急勾配の超ロングな坂は容赦なく気力と体力を奪ってくる。攣っている足なので重いギヤも踏めず、軽いギヤをクルクル必死に回すしかできない。立ちこぎをして足のリズムを変えたくても、勾配もきつく、路面は滑りやすく、動く砂利が敷き詰められているのでひたすら単調に座ってこぐしかできない。
攻める走りどころか、守りの走りもできないほどに心身ともに疲弊していた。蚊の止まる様なスピードでようやく頂上に着き、最後の下り基調のセクションへ。ゴール後はもうどうなってもいい。
タオルの最後の一滴まで無理やり絞り込むように、枯渇したエネルギーを気力のみで再び身体から絞り出した。フィニッシュのゲートが見えた瞬間の安堵感、達成感、幸福感は格別だった。
6時間をわずか1分20秒で切れなかったこと、高速ペースをこの距離で最後まで維持できなかったことは反省ですが、これも成長できる課題として次に必ずつなげます。世界選手権前に少しでも修正したいと思います。沢山の応援とサポートありがとうございました。
SDA王滝120km リザルト
1位 池田祐樹(TOPEAK・ERGON) 6h01'20"
2位 松本駿(TREK) 6h03'31"
3位 竹谷賢二(SPECIALIZED) 6h11'13"
4位 山中真(GT/One on One) 6h13'39"
5位 大渕宏紀(Team NR) 6h35'51"
※その他の全リザルトは記事下部の添付ファイル(PDF)で確認できます。
池田祐樹(TOPEAK・ERGON)の優勝バイク
CANYON グランドキャニオン AL29チームエディション
独走優勝を飾った池田祐樹(TOPEAK・ERGON)が駆るのは、キャニオンのアルミ29erレーサーであるグランドキャニオン AL29。春王滝で使用した26インチのハードテイルカーボンバイクからのスイッチで、所属するプロMTBチームのTOPEAK・ERGONがチームで採用するモデルだ。
コンポーネントはSRAMで、ホイールはDTスイス。 タイヤはコンチネンタルのRaceKing 2.2Protectionで、スタンズのチューブレスキットを導入してガレ場のパンクに備えた。サスペンションはロックショックスのSID XX WORLD CUP。トピークのAirBooster Race Podでタイヤレバーやボンベを携行するなどパンク対策は万全だ。
バイク&エクイップメントの仕様
バイク: CANYON GRANDCANYON AL29
フォーク: ROCKSHOX SID XX WORLD CUP
ブレーキ: MAGURA MT8
ステム/シートポスト/ハンドルバー: RITCHYSuperlogic/WCSCarbon
ホイール: DT Swiss with Stan's tubelesskit
タイヤ: Continental RaceKing 2.2(F)Race king 2.2(R) Protection
グリップ: Ergon GX1
グローブ: Ergon HX2
シューズ: North Wave StrikerS.B.S.MTB
ペダル: Crank Brothers Eggbeater
サングラス: Adidas EyewearEvil Eye Half Rim Pro L
ヘルメット: Cratoni
ボトルケージ: Topeak ShuttleCage CB
チェーンオイル:Finishline/WET & Ceramic Lube
補給食:ハニースティンガー
report:Yuki.Ikeda
edit: cyclowired
関連ファイル
SDA2012_9 result sokuhou42km.pdf
(148.19 KB)
SDA2012_9 result sokuhou100km.pdf
(228.73 KB)
SDA2012_9 result sokuhou120km.pdf
(60.59 KB)
リンク
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