2012/08/27(月) - 09:18
パンプローナでの開幕から9日間ぶっ通しで走り続けた選手たちが、カタルーニャ州の州都、ならびにスペイン第二の都市バルセロナを目指す。バルセロナの街を見下ろす標高165mのモンジュイックの丘で、ステージ優勝と総合争い、ボーナスタイムに関わる熾烈な闘いが繰り広げられた。
第9ステージ・コースプロフィール image: Unipublicブエルタ第9ステージは、隣国アンドラからカタルーニャ州に入り、地中海に向けて徐々に標高を下げる。途中3級山岳クラーラ峠を越え、キリスト教の聖地モンセラート山を横目に見て、賑やかな喧噪のバルセロナへ。
アンドラを離れ、カタルーニャ州を南下する photo:Cor Vosゴール手前の3級山岳モンジュイックの丘がこの日一番の勝負どころだ。バルセロナの街を見下ろす標高165mの丘に向かって、登坂距離1.1km・平均勾配8.1%のヒルクライム。ゴール3.4km手前の頂上から一旦下り、ラスト1kmから登り返してバルセロナ五輪スタジアム横にゴールする。
アンドラを発ってすぐ、集団からミカエル・ブファズ(フランス、コフィディス)、ベルトイヤン・リンデマン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、ハビエル・チャコン(スペイン、アンダルシア)、マルティン・マースカント(オランダ、ガーミン・シャープ)が飛び出す。地中海に向かって緩やかに下りながら、この先頭4名は最大5分のタイム差を得た。
メイン集団をコントロールするアルゴス・シマノ photo:Unipublicメイン集団をコントロールしたのは、ここまでスプリント3勝を飾っているジョン・デゲンコルブ(ドイツ)擁するアルゴス・シマノ。この日も土井雪広はアシストとして集団コントロールに加わる。
BMCレーシングチームやカチューシャ、ラボバンクも集団コントロールに合流。ゴールまで50kmを残してタイム差2分45秒。メイン集団は追走の手を弱めず、ゴールまで20kmを残して早くも逃げを吸収。カウンターアタックで飛び出したヘスス・ロセンド(スペイン、アンダルシア)も引き戻され、メイン集団はスピードを落とすことなく3級山岳モンジュイックの丘に向かった。
逃げグループを形成するミカエル・ブファズ(フランス、コフィディス)ら photo:Unipublic
聖なる山モンセラートを眺める photo:Unipublic
カチューシャ、モビスター、チームスカイ、サクソバンク・ティンコフバンク、そしてアルゴス・シマノが集団を率いて登坂距離1.1km・平均勾配8.1%の登りへ。ラスト5kmでアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)がアタック。しかしこの動きはチームスカイによって封じ込まれる。
本格的な登りが始まるとアレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)が飛び出したが、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が勢い良くバッランをパス。これにフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)が合流した。
ゴールスプリントを制したフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vosロドリゲスとジルベールは、後続を10秒ほど引き離して、3級山岳モンジュイックの丘をクリア。協力してハイスピードダウンヒルをこなし、ラスト1kmから始まる緩い登りに差し掛かる。
ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)やパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)の追走は届かず、ラスト100mで仕掛けたジルベールが先行する。総合ライバル勢を引き離すことに成功したロドリゲスは無理に競り合わず、ジルベールが片手を上げてゴールした。
協力して勝利を手にしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)とホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Unipublic「今日は総合狙いの選手たちがボーナスタイムを懸けてアタックすると予想していた。今日のようなコースを走らせると世界最速であるプリート(ロドリゲス)がアタックしたとき、必ず付いていかないといけないと感じた。2人で飛び出してからは、暗黙の了解で協力体制を築けたよ」。久々の勝利を手にしたジルベールは勝ちレースをそう振り返る。
久々の勝利を手にしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vosジルベールは昨シーズン世界最多の18勝を飾ったが、不調に喘いだ今シーズンはまさかの0勝。最後の勝利は2011年9月14日のGPワロニーで、1年近く勝利から離れていた。「ようやく勝てた。最後に勝ったのは今からおよそ1年前だ。キャリアの中で一番辛い時期だったけど、諦めるわけにはいかなかった。自分自身を信じてトレーニングを続け、チームも信頼してくれていた」。
シーズン後半にかけてようやく調子を取り戻したジルベール。この日と同様、ゴール前に登り(カウベルグ)が設定されたロード世界選手権では注目の存在だ。
コンタドールやクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)をはじめ、総合上位陣は12秒遅れの集団でゴール。ステージ2位のロドリゲスは、ボーナスタイム8秒とあわせて20秒ものリードを稼ぐ事に成功した。「昔からこのコースは何度も走っている。コンディションは最高で、タイム差を獲得出来て本当に良かった。明日は休息日。大事なエネルギーを回復させたい」。
ロドリゲスはフルームから53秒、コンタドールからちょうど1分のリードを得ている。第11ステージの個人タイムトライアルで総合成績に変動が起こるだろう。選手たちはレース後すぐにバルセロナ空港に向かい、ガリシア州まで1200kmを空路で移動。ようやく大会最初の休息日を迎える。
選手コメントはレース公式リリースならびにチーム公式サイトより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2012第9ステージ結果
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) 4h45'28"
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
3位 パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ) +07"
4位 トマシュ・マルチンスキー(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM) +09"
5位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
7位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット)
8位 ゴルカ・ベルドゥーゴ(スペイン、エウスカルテル) +12"
9位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、ロット・ベリソル)
10位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)
173位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) +6'59"
敢闘賞
ハビエル・チャコン(スペイン、アンダルシア)
個人総合成績(マイヨロホ)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 34h44'55"
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +53"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) +1'00"
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1'07"
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +2'01"
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +2'08"
7位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +2'34"
8位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル) +3'07"
9位 ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク) +3'18"
10位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) +3'27"
131位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) +57'59"
ポイント賞(プントス)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 85pts
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) 76pts
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 76pts
山岳賞(モンターニャ)
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 21pts
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 17pts
3位 サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ ) 16pts
複合賞(コンビナーダ)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 4pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 8pts
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 15pts
チーム総合成績
1位 ラボバンク 103h45'24"
2位 アージェードゥーゼル +2'27"
3位 チームスカイ +3'26"
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Unipublic
![第9ステージ・コースプロフィール](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/17/9_perfil.jpg)
![アンドラを離れ、カタルーニャ州を南下する](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/27/CORVOS_00019799-043.jpg)
アンドラを発ってすぐ、集団からミカエル・ブファズ(フランス、コフィディス)、ベルトイヤン・リンデマン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、ハビエル・チャコン(スペイン、アンダルシア)、マルティン・マースカント(オランダ、ガーミン・シャープ)が飛び出す。地中海に向かって緩やかに下りながら、この先頭4名は最大5分のタイム差を得た。
![メイン集団をコントロールするアルゴス・シマノ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/27/vuelta0901.jpg)
BMCレーシングチームやカチューシャ、ラボバンクも集団コントロールに合流。ゴールまで50kmを残してタイム差2分45秒。メイン集団は追走の手を弱めず、ゴールまで20kmを残して早くも逃げを吸収。カウンターアタックで飛び出したヘスス・ロセンド(スペイン、アンダルシア)も引き戻され、メイン集団はスピードを落とすことなく3級山岳モンジュイックの丘に向かった。
![逃げグループを形成するミカエル・ブファズ(フランス、コフィディス)ら](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/27/vuelta0902.jpg)
![聖なる山モンセラートを眺める](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/27/vuelta0907.jpg)
カチューシャ、モビスター、チームスカイ、サクソバンク・ティンコフバンク、そしてアルゴス・シマノが集団を率いて登坂距離1.1km・平均勾配8.1%の登りへ。ラスト5kmでアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)がアタック。しかしこの動きはチームスカイによって封じ込まれる。
本格的な登りが始まるとアレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)が飛び出したが、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が勢い良くバッランをパス。これにフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)が合流した。
![ゴールスプリントを制したフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/27/CORVOS_00019799-004.jpg)
ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)やパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)の追走は届かず、ラスト100mで仕掛けたジルベールが先行する。総合ライバル勢を引き離すことに成功したロドリゲスは無理に競り合わず、ジルベールが片手を上げてゴールした。
![協力して勝利を手にしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)とホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/27/vuelta0906.jpg)
![久々の勝利を手にしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/27/CORVOS_00019799-014.jpg)
シーズン後半にかけてようやく調子を取り戻したジルベール。この日と同様、ゴール前に登り(カウベルグ)が設定されたロード世界選手権では注目の存在だ。
コンタドールやクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)をはじめ、総合上位陣は12秒遅れの集団でゴール。ステージ2位のロドリゲスは、ボーナスタイム8秒とあわせて20秒ものリードを稼ぐ事に成功した。「昔からこのコースは何度も走っている。コンディションは最高で、タイム差を獲得出来て本当に良かった。明日は休息日。大事なエネルギーを回復させたい」。
ロドリゲスはフルームから53秒、コンタドールからちょうど1分のリードを得ている。第11ステージの個人タイムトライアルで総合成績に変動が起こるだろう。選手たちはレース後すぐにバルセロナ空港に向かい、ガリシア州まで1200kmを空路で移動。ようやく大会最初の休息日を迎える。
選手コメントはレース公式リリースならびにチーム公式サイトより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2012第9ステージ結果
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) 4h45'28"
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
3位 パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ) +07"
4位 トマシュ・マルチンスキー(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM) +09"
5位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
7位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット)
8位 ゴルカ・ベルドゥーゴ(スペイン、エウスカルテル) +12"
9位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、ロット・ベリソル)
10位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)
173位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) +6'59"
敢闘賞
ハビエル・チャコン(スペイン、アンダルシア)
個人総合成績(マイヨロホ)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 34h44'55"
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +53"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) +1'00"
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1'07"
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +2'01"
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +2'08"
7位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +2'34"
8位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル) +3'07"
9位 ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク) +3'18"
10位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) +3'27"
131位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) +57'59"
ポイント賞(プントス)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 85pts
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) 76pts
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 76pts
山岳賞(モンターニャ)
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 21pts
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 17pts
3位 サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ ) 16pts
複合賞(コンビナーダ)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 4pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 8pts
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 15pts
チーム総合成績
1位 ラボバンク 103h45'24"
2位 アージェードゥーゼル +2'27"
3位 チームスカイ +3'26"
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Unipublic
Amazon.co.jp