ブエルタ・ア・エスパーニャ2012第7ステージは、平坦基調のスプリントステージ。残り9kmで発生した落車でゴベルト・ウランが、トップ10から脱落してしまう。アラゴンのサーキットのゴールを制したのは、アルゴス・シマノのデゲンコルブ。7ステージ中3勝の快進撃で、好調ぶりを見せつけた。

ステージ優勝・ポイント賞のジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)

グリーンジャージを着るジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)が3勝目グリーンジャージを着るジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)が3勝目 photo:Unipublic(今日のスプリントは難しかったのでは?と質問されて)たしかに。少し難しいゴールだった。でも、ぼくたちのチームは全員が一列のトレインを組んで走れた。そうして結果を出せた。最初はスカイがスウィフティ(ベン・スウィフト)のためにしっかり牽引していたけど、最終コーナーではチームメイトたちが、ぼくをスプリントに理想的なポジションに引き上げてくれた。

豪快にシャンパンを開けるジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)豪快にシャンパンを開けるジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) photo:Unipublic(ポイント賞について)昨年のポイント賞は、ホアキン・ロドリゲスとバウク・モレマの一騎打ちだった。彼らは、ぼくとは少しタイプが違うよね?
でも、今はぼくがポイント賞ジャージを着ている。マドリードに着くまではなにが起こるかわからないから、1ポイント1ポイントをしっかり獲得していくつもりだ。ブエルタではステージ優勝が目標なので、それ以外のことはボーナスなんだ。

(招待チームがワールドツアーの強豪チーム相手に3勝していることについて)すごいと思っている。ぼくたちが招待される価値があることを証明できた。ぼくのチームはツール・ド・フランスに招待されるだけの実力もある。ただ、マルセル・キッテルが病気でスプリントで勝てなかったのは残念だ。どんな招待レースであっても、ぼくたちは勝利を目指す。こうしてステージ優勝をすることが、ぼくたちをワイルドカードでブエルタに招待してくれたオーガナイザーへ感謝を伝えることになる。

(世界のトップスプリンター入りしたと言わることについて)まだまだと思う。ぼくはまだ若いし、もっと強くなりたい。個人的にもチームとしても、改善の余地がある。アルゴス・シマノで、ぼくたちは理想に近づくために努力している。

総合1位・複合賞のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

スタート前に話し込むホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)スタート前に話し込むホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Cor Vos一日中暑かったけど、このようなコンディションでのレースは初めての体験じゃない。2005年のブエルタのコルドバのステージでは、スタートのときから唇で暑さを感じるほどだった。2003年のツアー・ダウン・アンダーもかなり暑かった。

明日のステージは楽しみにしている。アンドラに住んでいるから、ラ・ガリーニャには詳しいんだ。登り始めの位置取りが先頭付近どうかは、あまり関係ない。山のふもとのほうは難しくないんだ。最後の4kmがとても難しい。15~20%の急勾配の道が続いて、眺めも壮観だよ!

この赤いジャージをキープしたいと思っている。ただ、2年前とは気持ちが異なる。あのときはステージ優勝したかったし、故郷のカタルーニャで総合1位であればよかった。今回はこの赤いジャージを獲得してマドリードにゴールしたい

ぼくの3人のライバルたちは、タイプが異なっている。コンタドールはリズムを変えることのスペシャリストだ。アレハンドロ(バルベルデ)は、ぼくによく似ていて、登りの最後の1kmでの爆発力がある。フルームが最も戦いにくい相手だ。なにかにつけ、ぼくらを落とそうとしてくる。彼ら全員のおかげで、明日のハードな登りはラ・ガリーニャの序盤から難しいことになりそうだよ。

山岳賞のサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

スカイの3人の選手に付いて前から4番目にいたときに、中切れが起きたのはわかった。でも、なにが起こっているかはわからなかった。今日のぼくとジュリアン・ディーンのプランは、アラン・デーヴィスを待つことだった。集団に捉まってから、スプリントが始まった。あんな崩壊したような状況から、(アラン・デーヴィスが)3位の好成績を獲得できた。でも、集団スプリントで勝利を収めたかった。

ステージ4位のナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット)

とてもガッカリしている。ゴール間際で、ぼくらのチームのトレインの一部が千切れてしまった。ウィリアム・ボネの仕事が素晴らしかった。ゴールラインの800m手前まで集団を引いて、残り300mでぼくと入れ替わった。向かい風が強くて、全力を出したけど、残り70mで力尽きてしまった。あと一息だったのに。とてももどかしい。

スプリントで競り合うナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット:中央右)らスプリントで競り合うナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット:中央右)ら (c)CorVos総合2位に付けるクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)総合2位に付けるクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) (c)CorVos


総合2位のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

チームとして、スウィフティ(ベン・スウィフト)をリードアウトしたのだけど、向かい風が強くて、位置取りし続けるのも困難だった。彼を遠い位置からスプリントさせてしまい、申し訳なく思っている。このステージでは、ぼくたちの背後からの長いスプリントとなってしまった。ステージ優勝に向けて、できるだけ貢献しようとしたけどね。どんな状況であれ、ぼくたちは集団の前方で走り、そこから優勝を狙うんだ。

総合3位のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)

サインをするアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)サインをするアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) (c)CorVosブエルタの第1週では、自分の力の10割のうち7割をしっかり出せたと思う。初日のチーム・タイムトライアルの結果や、アラーテとバルデスカライの山岳でも登れたことにも満足している。でも、昨日は残念だった。脱水症状のせいで痙攣してしまい、数秒を失ってしまった。昨日のゴールはクラシックレースのようで、プリート(ホアキン・ロドリゲス)のような選手にとっては理想的だった。でも、ぼくもブエルタでの優勝を狙っている。これから先の難関ステージには自信がある。

今日はとても速いペースだった。ずっと時速42~45kmくらいだった。そして、この暑さには少し苦しんだ。明日は今大会で最初の険しい登坂コースがある。興味深い動向が見えてくると思う。ただ、フルームはこのブエルタで強敵になってきた。彼はツール・ド・フランスでも最強の選手といってもいい。

チームでの勝利に感動する土井雪広(アルゴス・シマノ)

スタート前にポーズを決める土井雪広(日本、アルゴス・シマノ)スタート前にポーズを決める土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) photo:Cor Vos今日のヘッドラインはもちろんスプリント。すべてコントロールし完全に勝利すること。コントロールはラスト35キロ付近まで続き、僕は一端下がり、最後のリードアウトトレインの1番手をつとめるため、回復に徹した。今日も暑かったし、最後まで重役をつとめるために水分補給もかなり重要だった。

ラスト15キロを切ると皆まとまって走り、他のチームとは違ってラスト10キロまでは集団内で力を温存した。そしてラスト7キロを切るとアルゴスのトレインも位置をあげるべくスピードを上げ位置をあげた。それが僕の役目で、風が横から吹いているから厳しい状況になるとは思うがラスト5キロまで踏ん張るように指示され、仕事を遂行した。

チームスカイや、他のスプリンターチームのはじき飛ばし合いは壮絶で怖かった。ラスト10キロから5キロの区間は僕自身どこを走ったのか覚えていない。ラスト6キロから5キロの区間は全開で踏み続け、皆の位置を確保し、リードアウトした。集団をコントロールするのにも力を使っていたから本当に脚がとれるかと思った。楽ではなかったね。笑

グランツール3勝目。そんなすばらしいメンバーの一人として走っている僕は幸せ者だ。すごい感動がある。どうやったらこの本物の感動を伝えられるだろうか。


コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより抜粋。


text: Seiya YAMASAKI
photo:Unipublic,CorVos