2012/08/19(日) - 07:35
本拠地パンプローナで掴んだステージ優勝。第67回ブエルタ・ア・エスパーニャの開幕を告げるチームタイムトライアルで、モビスターが圧倒的なトップタイムで優勝した。2年連続出場の土井雪広(アルゴス・シマノ)は最後まで隊列に残ってゴールしている(ステージ19位)。
ステージ優勝を飾ったモビスター photo: Unipublicスペイン北部、ナバラ州のパンプローナで3週間の闘いが動き出した。
有名な「牛追い祭り(サンフェルミン祭)」の開催地として、そしてツール・ド・フランス5勝のミゲール・インドゥラインの生誕地として知られる人口20万人の州都を舞台にしたチームタイムトライアル。距離は16.5kmで、終盤にかけて石畳が敷かれた旧市街の路地を登り、闘牛場にゴールする。
ステージ2位・10秒差 ラボバンク photo: Unipublicレースはラボバンク、オメガファーマ・クイックステップ、BMCレーシングチームの3チームが19分01秒の同タイムで並ぶ展開。この拮抗した争いを破ったのは、日も落ちて辺りが暗くなり始めた20時27分にスタート台を駆け下りた最終走者モビスターだった。
モビスターは8.1km地点の中間計測で暫定トップのチームスカイから2秒遅れ。後半までメンバーを残したことが功を奏し、リードした状態でラスト1kmから始まる旧市街の登りに入る。
ステージ4位・10秒差 BMCレーシングチーム photo: Unipublicディフェンディングチャンピオンのファンホセ・コーボ(スペイン)が苦しく千切れる中、ヨナタン・カストロビエホ(スペイン)がリードする隊列が闘牛場へ。カストロビエホ先頭のままゴールに飛び込むと、18分51秒のトップタイムが表示された。
パンプローナが生んだ英雄ミゲール・インドゥラインのかつての所属チームであるバネストの後継として、脈々とそのDNAを引き継ぐモビスターが、地元パンプローナで勝利。先頭でゴールしたカストロビエホがマイヨロホを獲得した。
カストロビエホはバスク出身のTTスペシャリストで、昨年ツール・ド・ロマンディのプロローグで並みいるTTスペシャリストを下して勝利。今年モビスターに移籍し、直前のロンドンオリンピック・タイムトライアルで9位、エネコツアーで総合6位に入っている。「このブエルタは自分の年間プログラムに入っていなかったので、チームをサポートしたいというモチベーションを持ってスタートラインに並んだ」と語る25歳が、初出場のグランツールで、初めてリーダージャージを手にした。
「レース結果に身震いしたよ。地元でのステージ優勝はチームの目標だったんだ。この日のために慎重に準備を重ねてきた。スタートからゴールまで全てが計画通りだった。最後に誰が先頭でゴールラインを通過するか決めていなかった。偶然自分が先頭になったんだ」。
ステージ優勝に輝いたモビスター photo: Unipublic
マイヨロホに袖を通したヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター) photo:Cor Vos
ステージ7位・14秒差 サクソバンク・ティンコフバンク photo:Cor Vos総合優勝候補であるクリス・フルーム(イギリス)擁するチームスカイは12秒遅れ、アルベルト・コンタドール(スペイン)擁するサクソバンク・ティンコフバンクは14秒遅れと、ステージ優勝を逃しながらも、上手くタイムをまとめている。
逆にタイムを失ったのはガーミン・シャープ。レース中盤にトーマス・デッケル(オランダ)を含む4名ほどが落車した影響でペースダウンを余儀なくされ、1分01秒遅れのステージ21位に終わっている。
ステージ19位・59秒差 アルゴス・シマノ(土井は左から4番目) photo:Cor Vos身長169cm・体重58kgという小柄な土井雪広にとって、チームタイムトライアルは苦手分野だ。「超級山岳ステージよりもチームタイムトライアルが厳しい」とは2年連続出場の土井の言葉。しかし、土井はアルゴス・シマノの最終グループに残ってゴールした。他のメンバーが早々に千切れたため、何としても先頭に残る必要があったと語る。
「冷静さを失っていたメンバーが何名かいたと思う。1回目の先頭交代を終えた時点で9人全員いた。でも先頭交代をする度に人数が減って、気付いたら5人になっていた。計算外だったけど、5人になったらもう自分が切れるわけにはいかないので、そこから根性見せるしかなかった。540W前後を維持しなければならないので、先頭に立つ時間も30秒が限界。もう2度とやりたくない(笑)」
本人も驚きの展開だっただけに「調子は悪くないけど、今日の走りはあまりバロメーターにならない」と話す。翌日からはエーススプリンターのジョン・デゲンコルブ(ドイツ)のために集団牽引を担うことになるだろう。
選手コメントはモビスター公式サイトより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2012第1ステージ結果
1位 モビスター 18'51"
2位 オメガファーマ・クイックステップ +10"
3位 ラボバンク
4位 BMCレーシングチーム
5位 チームスカイ +12"
6位 ロット・ベリソル
7位 サクソバンク・ティンコフバンク +14"
8位 カシューシャ +15"
9位 エウスカルテル +28"
10位 オリカ・グリーンエッジ +33"
11位 アスタナ +34"
12位 アージェードゥーゼル
13位 ヴァカンソレイユ・DCM +35"
14位 リクイガス・キャノンデール +41"
15位 コフィディス +47"
16位 ランプレ・ISD +54"
17位 レディオシャック・ニッサン +55"
18位 FDJ・ビッグマット +57"
19位 アルゴス・シマノ +59"
20位 アンダルシア +1'01"
21位 ガーミン・シャープ +1'27"
22位 カハルーラル
個人総合成績(マイヨロホ)
1位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター) 18'51"
2位 ハビエル・モレーノ(スペイン、モビスター)
3位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
4位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
6位 ファンホセ・コーボ(スペイン、モビスター) +04"
7位 ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ) +10"
8位 ダリオ・カタルド(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ケヴィン・デウェールト(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 ユルゲン・ファンデワール(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
106位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) +59"
敢闘賞
イマノル・エルビーティ(スペイン、モビスター)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Unipublic
![ステージ優勝を飾ったモビスター](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/19/vuelta0107.jpg)
有名な「牛追い祭り(サンフェルミン祭)」の開催地として、そしてツール・ド・フランス5勝のミゲール・インドゥラインの生誕地として知られる人口20万人の州都を舞台にしたチームタイムトライアル。距離は16.5kmで、終盤にかけて石畳が敷かれた旧市街の路地を登り、闘牛場にゴールする。
![ステージ2位・10秒差 ラボバンク](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/19/vuelta0104.jpg)
モビスターは8.1km地点の中間計測で暫定トップのチームスカイから2秒遅れ。後半までメンバーを残したことが功を奏し、リードした状態でラスト1kmから始まる旧市街の登りに入る。
![ステージ4位・10秒差 BMCレーシングチーム](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/19/vuelta0105.jpg)
パンプローナが生んだ英雄ミゲール・インドゥラインのかつての所属チームであるバネストの後継として、脈々とそのDNAを引き継ぐモビスターが、地元パンプローナで勝利。先頭でゴールしたカストロビエホがマイヨロホを獲得した。
カストロビエホはバスク出身のTTスペシャリストで、昨年ツール・ド・ロマンディのプロローグで並みいるTTスペシャリストを下して勝利。今年モビスターに移籍し、直前のロンドンオリンピック・タイムトライアルで9位、エネコツアーで総合6位に入っている。「このブエルタは自分の年間プログラムに入っていなかったので、チームをサポートしたいというモチベーションを持ってスタートラインに並んだ」と語る25歳が、初出場のグランツールで、初めてリーダージャージを手にした。
「レース結果に身震いしたよ。地元でのステージ優勝はチームの目標だったんだ。この日のために慎重に準備を重ねてきた。スタートからゴールまで全てが計画通りだった。最後に誰が先頭でゴールラインを通過するか決めていなかった。偶然自分が先頭になったんだ」。
![ステージ優勝に輝いたモビスター](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/19/vuelta0101.jpg)
![マイヨロホに袖を通したヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/19/CORVOS_00019747-015.jpg)
![ステージ7位・14秒差 サクソバンク・ティンコフバンク](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/19/CORVOS_00019747-012.jpg)
逆にタイムを失ったのはガーミン・シャープ。レース中盤にトーマス・デッケル(オランダ)を含む4名ほどが落車した影響でペースダウンを余儀なくされ、1分01秒遅れのステージ21位に終わっている。
![ステージ19位・59秒差 アルゴス・シマノ(土井は左から4番目)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/08/19/CORVOS_00019747-011.jpg)
「冷静さを失っていたメンバーが何名かいたと思う。1回目の先頭交代を終えた時点で9人全員いた。でも先頭交代をする度に人数が減って、気付いたら5人になっていた。計算外だったけど、5人になったらもう自分が切れるわけにはいかないので、そこから根性見せるしかなかった。540W前後を維持しなければならないので、先頭に立つ時間も30秒が限界。もう2度とやりたくない(笑)」
本人も驚きの展開だっただけに「調子は悪くないけど、今日の走りはあまりバロメーターにならない」と話す。翌日からはエーススプリンターのジョン・デゲンコルブ(ドイツ)のために集団牽引を担うことになるだろう。
選手コメントはモビスター公式サイトより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2012第1ステージ結果
1位 モビスター 18'51"
2位 オメガファーマ・クイックステップ +10"
3位 ラボバンク
4位 BMCレーシングチーム
5位 チームスカイ +12"
6位 ロット・ベリソル
7位 サクソバンク・ティンコフバンク +14"
8位 カシューシャ +15"
9位 エウスカルテル +28"
10位 オリカ・グリーンエッジ +33"
11位 アスタナ +34"
12位 アージェードゥーゼル
13位 ヴァカンソレイユ・DCM +35"
14位 リクイガス・キャノンデール +41"
15位 コフィディス +47"
16位 ランプレ・ISD +54"
17位 レディオシャック・ニッサン +55"
18位 FDJ・ビッグマット +57"
19位 アルゴス・シマノ +59"
20位 アンダルシア +1'01"
21位 ガーミン・シャープ +1'27"
22位 カハルーラル
個人総合成績(マイヨロホ)
1位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター) 18'51"
2位 ハビエル・モレーノ(スペイン、モビスター)
3位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
4位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
6位 ファンホセ・コーボ(スペイン、モビスター) +04"
7位 ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ) +10"
8位 ダリオ・カタルド(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ケヴィン・デウェールト(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 ユルゲン・ファンデワール(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
106位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) +59"
敢闘賞
イマノル・エルビーティ(スペイン、モビスター)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Unipublic