2012/08/19(日) - 01:09
東京・お台場で行われたクリテリウムはJプロツアーとして初の東京都心でのレース。たくさんの人の前でガッツポーズをしたのは辻善光(TeamUKYO)。大本命がゴールスプリントで他を圧倒した。
東京都心で行われる自転車レースは2月の大学生を主体とする神宮外苑クリテリウムが有名だ。今回Jプロツアーとして初めて都心で、しかもフジテレビジョン前のお台場を舞台に行われた。
8月18日(土)、東京・お台場には朝から選手や大勢の観客がつめかけた。2日間にわたって行われるお台場サイクルフェスティバル(主催:株式会社フジテレビジョン、お台場サイクルフェスティバル実行委員会)の注目イベントとして実業団クリテリウムが設定されている。
コースは園内通路1周0.8kmで、P1クラスは40周する32.0kmだ。
参加メンバーは5連勝中の宇都宮ブリッツェンをはじめ、約2ヶ月のヨーロッパ遠征から帰国直後のシマノレーシングなど参加。クリテリウムを得意とする辻善光(チーム右京)に対抗する。
朝から予選が行われ、4組各10人計40人が決勝に進んだ。
予選時には一時雨も降ったが、決勝では雨が上がり晴れ間がのぞくほど。路面もドライとなった。
序盤からチーム右京、シマノレーシング、宇都宮ブリッツェンの3チームが活発に動く。10周回ごとに設けられた周回賞に向けて窪木一茂(マトリックスパワータグ)が抜け出し、池部壮太(マトリックスパワータグ)と嶌田義明(チーム右京)が合流。この後池部が下がり普久原奨(宇都宮ブリッツェン)が、そして増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が合流して4人で先行する。
この間、メイン集団はおもにシマノレーシングの平塚吉光と野中竜馬、さらに栂尾大知(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)らが加わり牽引する。4人の逃げは終盤まで続くがメイン集団が差を詰めた残り9周で高岡亮寛(イナーメ・アイランド信濃山形-JPT)のペースアップを機に吸収、集団はひとつに。ここからはハイペースの展開でアタックがかからない状況に。集団ゴールへとレースは向かう。
最終周回、太田貴明(チーム右京)、飯野智行(宇都宮ブリッツェン)、廣瀬佳正(宇都宮ブリッツェン)、辻の並びで進み最終カーブへ。ホームストレートを廣瀬先頭で立ち上がる。この後方から辻が抜け出し、廣瀬をかわして優勝。ゴール前からガッツポーズをするほどの、最後は余裕のある勝利だった。
チーム右京は逃げに嶌田を送り込み、狩野智也は効果的にスピードを上げてエースの辻を前方にキープさせた。そして最終周回は太田がハイペースで牽引、辻が確実に距離を測って抜け出せた。辻の優勝で宇都宮ブリッツェンの5連覇が途絶えることに。
宇都宮ブリッツェンは強力な増田らが集団を動かし、ゴールは長距離を先行した廣瀬佳正が残って2位に。スプリンター不在と言わせない活躍を見せた。
帰国直後で注目されたシマノレーシングは終盤まで予定通りのレースを進ませたが、ラスト1周の位置取りでそれが崩れた。入部正太朗が畑中勇介を引き連れて位置取り争いをしているときにタイヤが外れてしまい隊列が乱れた。しかし畑中はそこから持ち直し、ゴールは2位廣瀬とほぼ同時ゴールにまで持ってきた。
キャノンデール・スペースゼロポイントは8月上旬にエース鈴木真理の大腿骨骨折のためチームとしての結果が危惧されたが、小室雅成が4位、高田雄太が8位などしっかりと役割をこなした。
マトリックスパワータグは窪木が序盤から積極的に動き、「逃げているときのほうが楽に感じ、調子も良かった」が、最終周回に畑中の後ろにいて隊列の乱れの影響を受けて7位に。「自分がその位置にいたこと、そのものがいけなかった」と反省するが一流のスピードマンは存在感を見せた。
辻善光(チーム右京)のコメント
「この湾岸クリテに集中してきたので勝てて嬉しい。今日はこういうコースの得意な畑中を警戒した。狩野さんがペースを上げ、逃げに嶌田が乗り、最後は太田がいい仕事をして、チームとしてとてもいい動きができた」
いっぽうで鈴木真理が骨折で欠場したが、気持ちが途切れてしまったという。
「真理さんと争いたいと思って今までやってきた。僕にとって憧れの人。ここは真理さんの得意な上りゴールのロングスプリントなので、石川ロード以降この練習ばかりしてきた。真理さんの骨折を聞いて、気持ちが切れてこの1週間練習ができなかった」
近寄りがたいほどの集中力でレースを戦う辻にとって、最大のライバルの欠場はモチベーションの維持に影響した。鈴木真理は辻だけでなく日本のレース界にとって必要な選手。早期の完全復帰を願いたい。
結果
P1 32.0km
1位 辻善光(チーム右京)46分46秒
2位 廣瀬佳正(宇都宮ブリッツェン)
3位 畑中勇介(シマノレーシング)
4位 小室雅成(キャノンデール・スペースゼロポイント)
5位 大久保陣(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)
6位 若杉厚仁(宇都宮ブリッツェン)
7位 窪木一茂(マトリックスパワータグ)
8位 高田雄太(キャノンデール・スペースゼロポイント)+01秒
9位 藤岡克磨(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)
10位 飯野智行(宇都宮ブリッツェン)
周回賞 1位 窪木一茂(マトリックスパワータグ)
Jプロツアーリーダー 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
U23リーダー 安原大貴(マトリックスパワータグ)
F 16.0km
1位 智野真央(MUUR zero Velofutur)27分35秒
2位 高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)
3位 日野友葵(ボンシャンス飯田)
Jフェミニンリーダー 高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)
photo&text:高木秀彰
東京都心で行われる自転車レースは2月の大学生を主体とする神宮外苑クリテリウムが有名だ。今回Jプロツアーとして初めて都心で、しかもフジテレビジョン前のお台場を舞台に行われた。
8月18日(土)、東京・お台場には朝から選手や大勢の観客がつめかけた。2日間にわたって行われるお台場サイクルフェスティバル(主催:株式会社フジテレビジョン、お台場サイクルフェスティバル実行委員会)の注目イベントとして実業団クリテリウムが設定されている。
コースは園内通路1周0.8kmで、P1クラスは40周する32.0kmだ。
参加メンバーは5連勝中の宇都宮ブリッツェンをはじめ、約2ヶ月のヨーロッパ遠征から帰国直後のシマノレーシングなど参加。クリテリウムを得意とする辻善光(チーム右京)に対抗する。
朝から予選が行われ、4組各10人計40人が決勝に進んだ。
予選時には一時雨も降ったが、決勝では雨が上がり晴れ間がのぞくほど。路面もドライとなった。
序盤からチーム右京、シマノレーシング、宇都宮ブリッツェンの3チームが活発に動く。10周回ごとに設けられた周回賞に向けて窪木一茂(マトリックスパワータグ)が抜け出し、池部壮太(マトリックスパワータグ)と嶌田義明(チーム右京)が合流。この後池部が下がり普久原奨(宇都宮ブリッツェン)が、そして増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が合流して4人で先行する。
この間、メイン集団はおもにシマノレーシングの平塚吉光と野中竜馬、さらに栂尾大知(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)らが加わり牽引する。4人の逃げは終盤まで続くがメイン集団が差を詰めた残り9周で高岡亮寛(イナーメ・アイランド信濃山形-JPT)のペースアップを機に吸収、集団はひとつに。ここからはハイペースの展開でアタックがかからない状況に。集団ゴールへとレースは向かう。
最終周回、太田貴明(チーム右京)、飯野智行(宇都宮ブリッツェン)、廣瀬佳正(宇都宮ブリッツェン)、辻の並びで進み最終カーブへ。ホームストレートを廣瀬先頭で立ち上がる。この後方から辻が抜け出し、廣瀬をかわして優勝。ゴール前からガッツポーズをするほどの、最後は余裕のある勝利だった。
チーム右京は逃げに嶌田を送り込み、狩野智也は効果的にスピードを上げてエースの辻を前方にキープさせた。そして最終周回は太田がハイペースで牽引、辻が確実に距離を測って抜け出せた。辻の優勝で宇都宮ブリッツェンの5連覇が途絶えることに。
宇都宮ブリッツェンは強力な増田らが集団を動かし、ゴールは長距離を先行した廣瀬佳正が残って2位に。スプリンター不在と言わせない活躍を見せた。
帰国直後で注目されたシマノレーシングは終盤まで予定通りのレースを進ませたが、ラスト1周の位置取りでそれが崩れた。入部正太朗が畑中勇介を引き連れて位置取り争いをしているときにタイヤが外れてしまい隊列が乱れた。しかし畑中はそこから持ち直し、ゴールは2位廣瀬とほぼ同時ゴールにまで持ってきた。
キャノンデール・スペースゼロポイントは8月上旬にエース鈴木真理の大腿骨骨折のためチームとしての結果が危惧されたが、小室雅成が4位、高田雄太が8位などしっかりと役割をこなした。
マトリックスパワータグは窪木が序盤から積極的に動き、「逃げているときのほうが楽に感じ、調子も良かった」が、最終周回に畑中の後ろにいて隊列の乱れの影響を受けて7位に。「自分がその位置にいたこと、そのものがいけなかった」と反省するが一流のスピードマンは存在感を見せた。
辻善光(チーム右京)のコメント
「この湾岸クリテに集中してきたので勝てて嬉しい。今日はこういうコースの得意な畑中を警戒した。狩野さんがペースを上げ、逃げに嶌田が乗り、最後は太田がいい仕事をして、チームとしてとてもいい動きができた」
いっぽうで鈴木真理が骨折で欠場したが、気持ちが途切れてしまったという。
「真理さんと争いたいと思って今までやってきた。僕にとって憧れの人。ここは真理さんの得意な上りゴールのロングスプリントなので、石川ロード以降この練習ばかりしてきた。真理さんの骨折を聞いて、気持ちが切れてこの1週間練習ができなかった」
近寄りがたいほどの集中力でレースを戦う辻にとって、最大のライバルの欠場はモチベーションの維持に影響した。鈴木真理は辻だけでなく日本のレース界にとって必要な選手。早期の完全復帰を願いたい。
結果
P1 32.0km
1位 辻善光(チーム右京)46分46秒
2位 廣瀬佳正(宇都宮ブリッツェン)
3位 畑中勇介(シマノレーシング)
4位 小室雅成(キャノンデール・スペースゼロポイント)
5位 大久保陣(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)
6位 若杉厚仁(宇都宮ブリッツェン)
7位 窪木一茂(マトリックスパワータグ)
8位 高田雄太(キャノンデール・スペースゼロポイント)+01秒
9位 藤岡克磨(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)
10位 飯野智行(宇都宮ブリッツェン)
周回賞 1位 窪木一茂(マトリックスパワータグ)
Jプロツアーリーダー 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
U23リーダー 安原大貴(マトリックスパワータグ)
F 16.0km
1位 智野真央(MUUR zero Velofutur)27分35秒
2位 高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)
3位 日野友葵(ボンシャンス飯田)
Jフェミニンリーダー 高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)
photo&text:高木秀彰
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