2012/06/08(金) - 10:14
大会名物の激坂「ケロック44」が組み込まれた大会のクイーンステージを制したのはジョン・エブソン(デンマーク、CCN)。総合リーダーの伊藤雅和(愛三工業レーシング)は遅れてしまい、ジェイ・クロフォード(オーストラリア、ジェネシス)が新しいレースリーダーとなった。
海沿いのパリヤマンの街を駆け抜ける選手たち (c) Sonoko Tanaka
スタート前に並んだ各賞ジャージ着用選手 (c) Sonoko Tanakaパダン・パリアマンからブキティンギまで、大会最長距離となる157.7kmで開催された第4ステージは、レースの終盤に3級、1級、2級の山岳ポイントが設置された大会のクイーンステージだった。なかでも、1級山岳の「ケロック44」という44のスイッチバックが連続する登坂区間がこの日のハイライト。その厳しい登坂区間は、毎年、総合順位に大きく影響を与えている。
伊藤雅和「リーダージャージを守りたい!」
朝、スタートラインの最前列に並んだリーダージャージを着る伊藤雅和(愛三工業レーシング)。昨日、第3
平坦区間でレースをコントロールする愛三工業レーシングチーム (c) Sonoko Tanakaステージまでのチームの目標は、第3ステージまで総合首位を守ることだったが、「いざ、リーダージャージを着てみると、手放したくないという気持ちが強く沸いてきた」と話すとおり、厳しい山岳ステージになるが、可能ならこの日もジャージを守ること、また調子のいい鈴木謙一を含めて、彼らがステージ上位でフィニッシュすることを目標にして挑んだレースだった。
スタートから100km程度走ると登坂区間が始まる。それまでの平坦区間で4選手の逃げが決まっていたが、「ケロック44」の上り口までに吸収され、上り口で昨日のステージ勝者、ポイントリーダーのオスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)がアタックをかける。彼に続い
ツール・ド・シンカラ名物「ケロック44」が選手たちを苦しめる (c) Sonoko Tanakaたのはジョン・エブソン(デンマーク、CCN)。2選手は後続を引き離しながら、山頂をめざしてタイム差を稼ぐ。彼らを追うのはレースリーダーの伊藤を含む約30名ほどのメイン集団だ。
エブソンが逃げ切り優勝、総合首位はクロフォードに
メイン集団をコントロールするのは伊藤と6秒差の総合2位につけるジェイ・クロフォード(オーストラリア)擁するジェネシス。総合順位を逆転させる最大のチャンスとあって、伊藤を振り落とすべくグングンと加速しながら走り、登坂区間の中盤にして、伊藤は遅れてしまった。
その後、プジョルとエブソンの2選手は快調にペースを保ちながらゴールをめざし、ゴールスプリントでエプソンがプジョルを下した。そして彼らのすぐ後ろ、4秒差で総合上位の選手を含んだ6選手がゴール、伊藤はトップから1分56秒差でフィニッシュラインを越え、リーダージャージはクロフォードの手に渡った。
ジョン・エブソン(デンマーク、CCN)がオスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)とのスプリントを制する (c) Sonoko Tanaka
ジャージを失った悔しさを滲ませる伊藤雅和
伊藤雅和(愛三工業レーシング)がメイン集団から遅れる (c) Sonoko Tanaka伊藤はレース後にこうコメントする。
「ケロックの前ではいい位置をキープしていたが、上り始めでリズムを掴めず、集団から遅れてしまいました。後半、謙一さんのアシストもあり、最後の2級山岳は調子がよく、前の集団からこぼれた選手を抜きながらゴールをめざしました」
「ジェネシスのコントロールは去年のイラン勢のものと比べたら、さほど厳しくありませんでした。もっと調子が良ければ付いていけたと思う。そう思うだけに、またチームが自分のために動いてくれていたので、いまは悔しい気持ちです」
新しくレースリーダーになったジェイ・クラウフォード(オーストラリア、ジェネシス) (c) Sonoko Tanaka「チームは第3ステージまでジャージを守るという目標を立てていましたが、それを最終ステージまで守る、と言えるように、またもっと余裕をもって守れるようになりたいと実感しました」
「明日からのステージは気持ちを切り替えて、1つ1つのステージでステージ優勝をめざして走りたいと思います」
第5ステージは途中に1級山岳を越える149kmで開催される。第4ステージで、タイム差をつけて逃げ切り、リーダージャージを獲得したかったオスカル・プジョルは「登坂は厳しいものだけど、フィニッシュまで50km以上もの下り区間があるため、総合順位を逆転させるチャンスは少ない」と残念そうに話すが、第6、第7ステージとフラットなコースとなるため、総合順位逆転を狙うなら、第5ステージが最後のチャンスとなるだろう。
ツール・ド・シンカラ2012第4ステージ結果
1位 ジョン・エブソン(デンマーク、CCN) 4h14'30"
2位 オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)
3位 サウヒ・マットセナン(マレーシア、トレンガヌ)+04"
4位 フェン・チュンカイ(台湾、アクション)
5位 ジェイ・クロフォード(オーストラリア、ジェネシス)
6位 トントン・スサント(インドネシア、プトラペルジャンガン)
14位 寺崎武郎(日本ナショナル)+1'56"
15位 山本元喜(日本ナショナル)
18位 伊藤雅和(愛三工業)
26位 鈴木謙一(愛三工業)+3'58"
27位 秋丸湧哉(日本ナショナル)+4'54"
69位 清水太己(日本ナショナル)+15'48"
70位 平井栄一(日本ナショナル)
71位 六峰亘(日本ナショナル)
82位 中島康晴(愛三工業)+16'55"
97位 木守望(愛三工業)+20'42"
103位 綾部勇成(愛三工業)+27'17"
個人総合順位
1位 ジェイ・クラウフォード(オーストラリア、ジェネシス) 11h52'18"
2位 フェン・チュンカイ(台湾、アクション)+08"
3位 ダディ・スラディ(インドネシア、プトラペルジャンガン)+18"
4位 アレクサンドル・クレメンツ(オーストラリア、オーストラリアナショナル)+20"
5位 オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)+46"
6位 サウヒ・マットセナン(マレーシア、トレンガヌ)+1'17"
9位 伊藤雅和(愛三工業) +1'46"
10位 山本元喜(日本ナショナル) +2'08"
11位 寺崎武郎(日本ナショナル)+3'21"
21位 秋丸湧哉(日本ナショナル)+6'15"
32位 鈴木謙一(愛三工業)+8'30"
68位 中島康晴(愛三工業)+28'01"
70位 平井栄一(日本ナショナル)+29'04"
74位 六峰亘(日本ナショナル)+32'29"
82位 木守望(愛三工業)+36'35"
95位 清水太己(日本ナショナル)+47'17"
99位 綾部勇成(愛三工業)+58'03"
ポイント賞
オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)
山岳賞
オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)
チーム総合首位
プトラペルジャンガン
photo & text : Sonoko Tanaka
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伊藤雅和「リーダージャージを守りたい!」
朝、スタートラインの最前列に並んだリーダージャージを着る伊藤雅和(愛三工業レーシング)。昨日、第3
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スタートから100km程度走ると登坂区間が始まる。それまでの平坦区間で4選手の逃げが決まっていたが、「ケロック44」の上り口までに吸収され、上り口で昨日のステージ勝者、ポイントリーダーのオスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)がアタックをかける。彼に続い
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エブソンが逃げ切り優勝、総合首位はクロフォードに
メイン集団をコントロールするのは伊藤と6秒差の総合2位につけるジェイ・クロフォード(オーストラリア)擁するジェネシス。総合順位を逆転させる最大のチャンスとあって、伊藤を振り落とすべくグングンと加速しながら走り、登坂区間の中盤にして、伊藤は遅れてしまった。
その後、プジョルとエブソンの2選手は快調にペースを保ちながらゴールをめざし、ゴールスプリントでエプソンがプジョルを下した。そして彼らのすぐ後ろ、4秒差で総合上位の選手を含んだ6選手がゴール、伊藤はトップから1分56秒差でフィニッシュラインを越え、リーダージャージはクロフォードの手に渡った。
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ジャージを失った悔しさを滲ませる伊藤雅和
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「ケロックの前ではいい位置をキープしていたが、上り始めでリズムを掴めず、集団から遅れてしまいました。後半、謙一さんのアシストもあり、最後の2級山岳は調子がよく、前の集団からこぼれた選手を抜きながらゴールをめざしました」
「ジェネシスのコントロールは去年のイラン勢のものと比べたら、さほど厳しくありませんでした。もっと調子が良ければ付いていけたと思う。そう思うだけに、またチームが自分のために動いてくれていたので、いまは悔しい気持ちです」
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「明日からのステージは気持ちを切り替えて、1つ1つのステージでステージ優勝をめざして走りたいと思います」
第5ステージは途中に1級山岳を越える149kmで開催される。第4ステージで、タイム差をつけて逃げ切り、リーダージャージを獲得したかったオスカル・プジョルは「登坂は厳しいものだけど、フィニッシュまで50km以上もの下り区間があるため、総合順位を逆転させるチャンスは少ない」と残念そうに話すが、第6、第7ステージとフラットなコースとなるため、総合順位逆転を狙うなら、第5ステージが最後のチャンスとなるだろう。
ツール・ド・シンカラ2012第4ステージ結果
1位 ジョン・エブソン(デンマーク、CCN) 4h14'30"
2位 オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)
3位 サウヒ・マットセナン(マレーシア、トレンガヌ)+04"
4位 フェン・チュンカイ(台湾、アクション)
5位 ジェイ・クロフォード(オーストラリア、ジェネシス)
6位 トントン・スサント(インドネシア、プトラペルジャンガン)
14位 寺崎武郎(日本ナショナル)+1'56"
15位 山本元喜(日本ナショナル)
18位 伊藤雅和(愛三工業)
26位 鈴木謙一(愛三工業)+3'58"
27位 秋丸湧哉(日本ナショナル)+4'54"
69位 清水太己(日本ナショナル)+15'48"
70位 平井栄一(日本ナショナル)
71位 六峰亘(日本ナショナル)
82位 中島康晴(愛三工業)+16'55"
97位 木守望(愛三工業)+20'42"
103位 綾部勇成(愛三工業)+27'17"
個人総合順位
1位 ジェイ・クラウフォード(オーストラリア、ジェネシス) 11h52'18"
2位 フェン・チュンカイ(台湾、アクション)+08"
3位 ダディ・スラディ(インドネシア、プトラペルジャンガン)+18"
4位 アレクサンドル・クレメンツ(オーストラリア、オーストラリアナショナル)+20"
5位 オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)+46"
6位 サウヒ・マットセナン(マレーシア、トレンガヌ)+1'17"
9位 伊藤雅和(愛三工業) +1'46"
10位 山本元喜(日本ナショナル) +2'08"
11位 寺崎武郎(日本ナショナル)+3'21"
21位 秋丸湧哉(日本ナショナル)+6'15"
32位 鈴木謙一(愛三工業)+8'30"
68位 中島康晴(愛三工業)+28'01"
70位 平井栄一(日本ナショナル)+29'04"
74位 六峰亘(日本ナショナル)+32'29"
82位 木守望(愛三工業)+36'35"
95位 清水太己(日本ナショナル)+47'17"
99位 綾部勇成(愛三工業)+58'03"
ポイント賞
オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)
山岳賞
オスカル・プジョル(スペイン、アザド大学)
チーム総合首位
プトラペルジャンガン
photo & text : Sonoko Tanaka
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