最終第3ステージの太地半島周回コース。日本勢などの攻撃で、イグリンスキーのアシストはラスト1周でフォフォノフ一人に。しかしゴールは圧倒的なスプリントでイグリンスキーが優勝をもぎ取った。

漁港をバックに山岳ポイントを上る漁港をバックに山岳ポイントを上る photo:Hideaki.TAKAGIツール・ド・熊野最終の第3ステージが5月31日(日)、和歌山県太地町で行われ、ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)がステージ優勝して第1ステージから3連勝して個人総合優勝した。総合2位には鈴木真理(シマノレーシング)が入り、4日間のステージレースを終えた。

最終日は太地半島周回コースで、1周9.6kmを11周する105.6km。平地が1/3、残りはアップダウンとカーブの多いジェットコースターのようなスリリングなコース。前日までの3日間は激しい雨風だったが当日は一転、初夏の日差しと気温の中、行われた。3周目、ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)マークの鈴木真理(シマノレーシング)3周目、ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)マークの鈴木真理(シマノレーシング) photo:Hideaki.TAKAGI

注目はリーダーのイグリンスキーと総合13秒差で2位につける鈴木の勝負だ。ここ太地半島コースは逃げが決まりやすく、過去はこの最終日で逆転することが多い。

スタート後3kmの山岳ポイントはリー・ロジャース(Esperance Stage/WAVE ONE)が1位通過、その後抜け出した松村光浩(愛三工業)に向川尚樹(マトリックスパワータグ)廣瀬敏(NIPPO・コルナゴ)二戸康寛(なるしまフレンドレーシングチーム八王子)が合流して30秒差をつけるが3周目で吸収される。
4周目、真鍋和幸、西谷泰治、伊勢直人ら4人が逃げる4周目、真鍋和幸、西谷泰治、伊勢直人ら4人が逃げる photo:Hideaki.TAKAGI
4周目、ホセイン・ヤハンバニアン(タブリーズ・ペトロケミカルチーム)、真鍋和幸(NIPPO・コルナゴ)、西谷泰治(愛三工業)、伊勢直人(マッサ・フォーカス・アウトドアプロダクツ)の4人が抜け出す。この4人は最大で30秒差をつけ、丸3周逃げる。特に伊勢は途中でボーナスタイムを2回獲得して総合11位から、結果8位に狙い通りジャンプアップさせた。

7周目に4人が吸収されると次は廣瀬敏(NIPPO・コルナゴ)、清水良行(宇都宮ブリッツェン)、阿部嵩之(シマノレーシング)の3人が抜け出す。アンドレイ・ミズロフ(タブリーズ・ペトロケミカルチーム)も追いつき4人で逃げる。この4人は最大で40秒差をつけるが、メイン集団はカザフスタンナショナルチームのアシスト陣がコントロールする。そのうしろには総合2位の鈴木を擁するシマノレーシングが位置する。
4周目、メイン集団はカザフ勢がコントロール4周目、メイン集団はカザフ勢がコントロール photo:Hideaki.TAKAGI
ラスト2周になると先頭の4人は崩れ、阿部が単独で逃げる。タイムトライアルを得意とする阿部が好走し、いよいよ最終周回へ。メイン集団から野中竜馬(NIFS in KANOYA)がアタック、そして佐野淳哉(NIPPO・コルナゴ)、飯野嘉則(シマノレーシング)らも攻撃する。イラン、ニッポ、シマノ、愛三、ブリッツェンらのここまでの攻撃で、カザフ勢はアシスト3人を失い、一人も付くのがやっと、イグリンスキーのアシストはついにフォフォノフだけになる。

逃げ続けた阿部もラスト5kmで吸収される。下り区間で鈴木真理(シマノレーシング)が逆転を狙ってアタックを掛けるがこれも吸収されて、いよいよ集団でゴールへ。8周目、アンドレイ・ミズロフ(タブリーズ・ペトロケミカルチーム)、廣瀬敏(NIPPO・コルナゴ)、清水良行(宇都宮ブリッツェン)、阿部嵩之(シマノレーシング)が逃げ続ける8周目、アンドレイ・ミズロフ(タブリーズ・ペトロケミカルチーム)、廣瀬敏(NIPPO・コルナゴ)、清水良行(宇都宮ブリッツェン)、阿部嵩之(シマノレーシング)が逃げ続ける photo:Hideaki.TAKAGI
メディ・ソウラビ(タブリーズ・ペトロケミカルチーム)が先行するが、アウト側からイグリンスキーが仕掛けて歓喜のゴール。3Day熊野から数えても初の3ステージ制覇の完全優勝を飾った。


結果
第3ステージ
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)2時間39分45秒
2位 メディ・ソウラビ(タブリーズ・ペトロケミカルチーム)
3位 品川真寛(愛三工業)
4位 ドミトリー・フォフォノフ(カザフスタンナショナルチーム)ラスト2周へ、カザフ勢がコントロールを続けるラスト2周へ、カザフ勢がコントロールを続ける photo:Hideaki.TAKAGI
5位 鈴木真理(シマノレーシング)
6位 マリウス・ウィズィアック(NIPPO・コルナゴ)
7位 辻善光(マトリックスパワータグ)
8位 山本雅道(チームブリヂストン・アンカー)
9位 畑中勇介(シマノレーシング)
10位 ヨハネス・ラビー(ネオテル)
最後は自力で圧勝のヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)最後は自力で圧勝のヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム) photo:Hideaki.TAKAGI
個人総合時間賞
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)8時間32分37秒
2位 鈴木真理(シマノレーシング)+23秒
3位 ドミトリー・フォフォノフ(カザフスタンナショナルチーム)+49秒
4位 品川真寛(愛三工業)+1分19秒
5位 野寺秀徳(シマノレーシング)+1分25秒
6位 ヨハネス・ラビー(ネオテル)+1分26秒
7位 廣瀬佳正(宇都宮ブリッツェン)+1分31秒
8位 伊勢直人(マッサ・フォーカス・アウトドアプロダクツ)+1分31秒
9位 鈴木譲(シマノレーシング)+1分32秒
10位 アンドレイ・ミズロフ(タブリーズ・ペトロケミカルチーム)+1分33秒ステージ3勝で完全優勝のヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)ステージ3勝で完全優勝のヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム) photo:Hideaki.TAKAGI
個人総合時間賞上位3人、左から2位鈴木真理(シマノレーシング)、1位ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)、3位ドミトリー・フォフォノフ(カザフスタンナショナルチーム)個人総合時間賞上位3人、左から2位鈴木真理(シマノレーシング)、1位ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)、3位ドミトリー・フォフォノフ(カザフスタンナショナルチーム) photo:Hideaki.TAKAGI
個人総合ポイント賞
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)83点
2位 鈴木真理(シマノレーシング)51点
3位 ドミトリー・フォフォノフ(カザフスタンナショナルチーム)36点

個人総合山岳賞
1位 ドミトリー・フォフォノフ(カザフスタンナショナルチーム)25点
2位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)17点
3位 アレクサンドル・シュセモイン(カザフスタンナショナルチーム)8点
団体総合表彰団体総合表彰 photo:Hideaki.TAKAGI
団体総合時間賞
1位 カザフスタンナショナルチーム25時間40分29秒
2位 シマノレーシング+58秒
3位 NIPPO・コルナゴ+5分18秒

Jサイクルツアーリーダー
鈴木真理(シマノレーシング)

実業団FRは森田正美(チームブリヂストン・アンカーFR)が優勝。左はERで第1・2ステージを制して総合優勝の皿屋豊(masahikomifune.com CyclingTeam)実業団FRは森田正美(チームブリヂストン・アンカーFR)が優勝。左はERで第1・2ステージを制して総合優勝の皿屋豊(masahikomifune.com CyclingTeam) photo:Hideaki.TAKAGI

photo&text:高木秀彰

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