2012/05/04(金) - 22:38
大会イメージカラーであるピンク色のマリアローザの他に、ジロ・デ・イタリアにはマリアロッサ(赤)、マリアアッズーラ(青)、マリアビアンカ(白)の3賞ジャージが存在する。各賞ジャージの有力候補を見ておこう。
マリアロッサ ポイント賞
ステージレースに花を添えるのが、華々しい集団スプリント。その迫力あるスプリントバトルを体現するかのような、真っ赤なジャージデザインが特徴だ。
4月28日にイタリアで開業したばかりの高速鉄道「イタロ」がジャージのスポンサーにつく。同社は主要都市を最高時速300km/h(実験では574km/hをマーク)で結ぶ鉄道会社で、これまで元国営のトレニタリア社が独占していたイタリア国内の鉄道に、民間として初めて参入する。
他のジャージに倣ってシンプルに「マリアロッサ(赤色ジャージ)」とも呼ばれるが、正式名称は「マリアロッサ・パッシオーネ」。直訳すると「情熱の赤色ジャージ」だ。
昨年はほとんどのスプリンターがレース途中でリタイアしたため、クライマー系オールラウンダーがランキング上位を占めた。今年も同様に、最終的なランキングの上位にはオールラウンダーが名前を連ねるだろう。ここではジャージの行方ではなく、ゴールスプリントを熱くするスプリンターをピックアップする。
今大会にはスプリンター向きの平坦ステージが6〜7ステージ用意されている。初日の8.7km個人タイムトライアルで好タイムを出せば、ボーナスタイムによるスプリンターのマリアローザ獲得も有り得る。
世界チャンピオンのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)が、序盤のデンマークステージから猛威を振るう可能性は高い。練習中の落車で左手首を骨折したベン・スウィフト(イギリス)は直前になってメンバーから外れたが、ツール・ド・ロマンディで活躍したゲラント・トーマス(イギリス)や相棒ベルンハルト・アイゼル(オーストリア)が揃う。
昨年までカヴェンディッシュの発射台を務めたマシュー・ゴス(オーストラリア)とマーク・レンショー(オーストラリア)は、それぞれオリカ・グリーンエッジとラボバンクのエーススプリンターとしてジロに挑む。
直前のツアー・オブ・トルコで4度ステージ2位を経験したゴス。まだシーズン0勝であり、このジロでその真価が問われる。オリカ・グリーンエッジには別府史之を含めてスピードある選手が揃っており、第4ステージのチームタイムトライアルでゴスがマリアローザを獲得するという筋書きを描いている。
ツアー・オブ・トルコでステージ優勝したレンショーは、同大会ステージ2勝のテオ・ボス(オランダ)と揃って出場。コースや戦況によってエースを切り替えるだろう。
2010年大会でステージ2勝を飾っているタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)は、ツアー・オブ・カタールで総合2位に入っているものの、今シーズンまだ勝利はない。ロバート・ハンター(南アフリカ)やアレックス・ラスムッセン(デンマーク)らがアメリカンスプリンターを支える。
スプリント力よりも登坂力に磨きをかけている感のあるトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)こそ、ポイント賞の最有力候補かも知れない。フースホフトは2005年の2009年のツール・ド・フランスでポイント賞を獲得。スプリントでのステージ優勝が本望だが、山岳ステージでも中間スプリントを狙う走りはポイント賞獲得に繋がる。
イタリアの主砲アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)は欠場。イタリアンスプリンターの中で最も経験豊かなダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)は、チームメイトのジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)とタッグを組む。
他にもフランチェスコ・キッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)やフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)、フアンホセ・アエド(アルゼンチン、チームサクソバンク)がスプリントに絡んでくるだろう。
UCIコンチネンタルチームからも、アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)やサーシャ・モードロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)、ロベルト・フェラーリ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)と言った強豪が揃って出場する。
歴代ポイント賞受賞者
2011年 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
2010年 カデル・エヴァンス(オーストラリア)
2009年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2008年 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)
2007年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2006年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2005年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2004年 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)
2003年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2002年 マリオ・チポッリーニ(イタリア)
2001年 マッシモ・ストラッツェール(イタリア)
2000年 ディミトリ・コニシェフ(ロシア)
マリアアッズーラ 山岳賞
グランツールの中で最も山岳の難易度が高いジロ・デ・イタリア。特に今年の山岳の厳しさは超一級。それだけに、山岳賞ジャージには大きな価値がある。
これまで緑色のマリアヴェルデが採用されていたが、今年はメディオラヌム銀行がジャージの冠スポンサーとなり、同社のイメージカラーである青色に変更された。名称はマリアアッズーラとなる。
獲得ポイントが最も大きいのはチーマ・コッピ(ステルヴィオ峠)で、先頭で通過した選手には20ポイントが付与。以下、頂上ゴール先頭通過が15ポイント、1級山岳10ポイント、2級山岳5ポイント、3級山岳3ポイントが与えられる。
山岳ステージで活躍する総合上位陣が、必然的に山岳賞上位に名を連ねることになる。
昨年、獲得標高差が6000mを超える最難関山岳ステージを制したミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル)や、昨年総合3位ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)らが、山岳賞狙いに目的をスイッチすることも考えられる。
ジロ・デル・トレンティーノで難関山岳ステージを制したドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)や、2005年大会で山岳賞を獲得しているホセ・ルハノ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ)らもランキング上位に絡んでくるだろう。
歴代山岳賞受賞者
2011年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
2010年 マシュー・ロイド(オーストラリア)
2009年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
2008年 エマヌエーレ・セッラ(イタリア)
2007年 レオナルド・ピエポリ(イタリア)
2006年 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン)
2005年 ホセ・ルハノ(ベネズエラ)
2004年 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ)
2003年 フレディ・ゴンザレス(コロンビア)
2002年 フリオ・ペレスクアピオ(メキシコ)
2001年 フレディ・ゴンザレス(コロンビア)
2000年 フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア)
マリアビアンカ 新人賞
若手選手を対象とした新人賞。トップの選手には純白のホワイトジャージが与えられる。長らくブルーの複合賞ジャージに座を奪われていたが、5年前に復活した。対象となるのは誕生日が1987年1月1日以降の選手だ。
昨年マリアビアンカを獲得したロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)は1986年5月6日生まれであり、対象から外れている。
順当に行けば、昨年大会総合22位で、新人賞3位に入ったピーター・ステティーナ(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)がマリアビアンカの最有力候補。アムステル・ゴールドレースで2位に入ったイェーレの弟、デニス・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル)を候補に推す声も強い。
新人賞対象選手の中には、テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)やセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)、マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、チームサクソバンク)らの名前も。
歴代新人賞受賞者
2011年 ロマン・クロイツィゲル(チェコ)
2010年 リッチー・ポルト(オーストラリア)
2009年 ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー)
2008年 リカルド・リッコ(イタリア)
2007年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)
1995年〜2006年 ジャージ設定されず
text:Kei Tsuji in Herning, Denmark
マリアロッサ ポイント賞
ステージレースに花を添えるのが、華々しい集団スプリント。その迫力あるスプリントバトルを体現するかのような、真っ赤なジャージデザインが特徴だ。
4月28日にイタリアで開業したばかりの高速鉄道「イタロ」がジャージのスポンサーにつく。同社は主要都市を最高時速300km/h(実験では574km/hをマーク)で結ぶ鉄道会社で、これまで元国営のトレニタリア社が独占していたイタリア国内の鉄道に、民間として初めて参入する。
他のジャージに倣ってシンプルに「マリアロッサ(赤色ジャージ)」とも呼ばれるが、正式名称は「マリアロッサ・パッシオーネ」。直訳すると「情熱の赤色ジャージ」だ。
昨年はほとんどのスプリンターがレース途中でリタイアしたため、クライマー系オールラウンダーがランキング上位を占めた。今年も同様に、最終的なランキングの上位にはオールラウンダーが名前を連ねるだろう。ここではジャージの行方ではなく、ゴールスプリントを熱くするスプリンターをピックアップする。
今大会にはスプリンター向きの平坦ステージが6〜7ステージ用意されている。初日の8.7km個人タイムトライアルで好タイムを出せば、ボーナスタイムによるスプリンターのマリアローザ獲得も有り得る。
世界チャンピオンのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)が、序盤のデンマークステージから猛威を振るう可能性は高い。練習中の落車で左手首を骨折したベン・スウィフト(イギリス)は直前になってメンバーから外れたが、ツール・ド・ロマンディで活躍したゲラント・トーマス(イギリス)や相棒ベルンハルト・アイゼル(オーストリア)が揃う。
昨年までカヴェンディッシュの発射台を務めたマシュー・ゴス(オーストラリア)とマーク・レンショー(オーストラリア)は、それぞれオリカ・グリーンエッジとラボバンクのエーススプリンターとしてジロに挑む。
直前のツアー・オブ・トルコで4度ステージ2位を経験したゴス。まだシーズン0勝であり、このジロでその真価が問われる。オリカ・グリーンエッジには別府史之を含めてスピードある選手が揃っており、第4ステージのチームタイムトライアルでゴスがマリアローザを獲得するという筋書きを描いている。
ツアー・オブ・トルコでステージ優勝したレンショーは、同大会ステージ2勝のテオ・ボス(オランダ)と揃って出場。コースや戦況によってエースを切り替えるだろう。
2010年大会でステージ2勝を飾っているタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)は、ツアー・オブ・カタールで総合2位に入っているものの、今シーズンまだ勝利はない。ロバート・ハンター(南アフリカ)やアレックス・ラスムッセン(デンマーク)らがアメリカンスプリンターを支える。
スプリント力よりも登坂力に磨きをかけている感のあるトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)こそ、ポイント賞の最有力候補かも知れない。フースホフトは2005年の2009年のツール・ド・フランスでポイント賞を獲得。スプリントでのステージ優勝が本望だが、山岳ステージでも中間スプリントを狙う走りはポイント賞獲得に繋がる。
イタリアの主砲アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)は欠場。イタリアンスプリンターの中で最も経験豊かなダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)は、チームメイトのジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)とタッグを組む。
他にもフランチェスコ・キッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)やフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)、フアンホセ・アエド(アルゼンチン、チームサクソバンク)がスプリントに絡んでくるだろう。
UCIコンチネンタルチームからも、アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)やサーシャ・モードロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)、ロベルト・フェラーリ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)と言った強豪が揃って出場する。
歴代ポイント賞受賞者
2011年 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
2010年 カデル・エヴァンス(オーストラリア)
2009年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2008年 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)
2007年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2006年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2005年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2004年 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)
2003年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2002年 マリオ・チポッリーニ(イタリア)
2001年 マッシモ・ストラッツェール(イタリア)
2000年 ディミトリ・コニシェフ(ロシア)
マリアアッズーラ 山岳賞
グランツールの中で最も山岳の難易度が高いジロ・デ・イタリア。特に今年の山岳の厳しさは超一級。それだけに、山岳賞ジャージには大きな価値がある。
これまで緑色のマリアヴェルデが採用されていたが、今年はメディオラヌム銀行がジャージの冠スポンサーとなり、同社のイメージカラーである青色に変更された。名称はマリアアッズーラとなる。
獲得ポイントが最も大きいのはチーマ・コッピ(ステルヴィオ峠)で、先頭で通過した選手には20ポイントが付与。以下、頂上ゴール先頭通過が15ポイント、1級山岳10ポイント、2級山岳5ポイント、3級山岳3ポイントが与えられる。
山岳ステージで活躍する総合上位陣が、必然的に山岳賞上位に名を連ねることになる。
昨年、獲得標高差が6000mを超える最難関山岳ステージを制したミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル)や、昨年総合3位ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)らが、山岳賞狙いに目的をスイッチすることも考えられる。
ジロ・デル・トレンティーノで難関山岳ステージを制したドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)や、2005年大会で山岳賞を獲得しているホセ・ルハノ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ)らもランキング上位に絡んでくるだろう。
歴代山岳賞受賞者
2011年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
2010年 マシュー・ロイド(オーストラリア)
2009年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
2008年 エマヌエーレ・セッラ(イタリア)
2007年 レオナルド・ピエポリ(イタリア)
2006年 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン)
2005年 ホセ・ルハノ(ベネズエラ)
2004年 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ)
2003年 フレディ・ゴンザレス(コロンビア)
2002年 フリオ・ペレスクアピオ(メキシコ)
2001年 フレディ・ゴンザレス(コロンビア)
2000年 フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア)
マリアビアンカ 新人賞
若手選手を対象とした新人賞。トップの選手には純白のホワイトジャージが与えられる。長らくブルーの複合賞ジャージに座を奪われていたが、5年前に復活した。対象となるのは誕生日が1987年1月1日以降の選手だ。
昨年マリアビアンカを獲得したロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)は1986年5月6日生まれであり、対象から外れている。
順当に行けば、昨年大会総合22位で、新人賞3位に入ったピーター・ステティーナ(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)がマリアビアンカの最有力候補。アムステル・ゴールドレースで2位に入ったイェーレの弟、デニス・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル)を候補に推す声も強い。
新人賞対象選手の中には、テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)やセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)、マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、チームサクソバンク)らの名前も。
歴代新人賞受賞者
2011年 ロマン・クロイツィゲル(チェコ)
2010年 リッチー・ポルト(オーストラリア)
2009年 ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー)
2008年 リカルド・リッコ(イタリア)
2007年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)
1995年〜2006年 ジャージ設定されず
text:Kei Tsuji in Herning, Denmark