3月24日と25日の2日間、地中海に浮かぶフランスはコルシカ島で第81回クリテリウム・アンテルナシオナル(UCI2.HC)が行なわれ、初日午後に行われた個人タイムトライアルで優勝したカデル・エヴァンスがリードを保ち総合優勝に輝いた。

毎年3月下旬にASO(アモリー・スポール・オルガニザシオン)の主催で開催されるクリテリウム・アンテルナシオナルは、2日間で3ステージを行う短いステージレース。開催地は3年連続でコルシカ島が選ばれた。レースにはチームスカイやBMCレーシングチーム、エウスカルテル・エウスカディといった強豪チームが集結し、レディオシャック・ニッサンからは昨年覇者のフランク・シュレク(ルクセンブルク)が出場した。

第1ステージ ポルトヴェッキオ~ポルトヴェッキオ 89.5km

第1ステージ 逃げるダヴィド・ルレイ(ソール・ソジャサン)ら第1ステージ 逃げるダヴィド・ルレイ(ソール・ソジャサン)ら photo:A.S.O全3レースはすべてコルシカ島南部のポルトヴェッキオを起点とする。初日の午前中に行われた第1ステージはポルトヴェッキオを発着する89.5kmの短距離ロードレースだ。

第1ステージ 落車を避けたフロリアン・ヴァション(フランス、ブルターニュ・シュレー)がステージ優勝第1ステージ 落車を避けたフロリアン・ヴァション(フランス、ブルターニュ・シュレー)がステージ優勝 photo:A.S.Oレースは7km地点で逃げが決まる。逃げグループを形成したのはジュリアン・ベラール(アージェードゥーゼル・ラモンディアル)、ダヴィド・ルレイ(ソール・ソジャサン)、グレゴワール・タリド(ラポム・マルセイユ)の3名。メイン集団に大して最大2分のアドバンテージを生み出すが、メイン集団はチームスカイのコントロールのよって徐々に差を詰めていく展開に。

残り30km地点で逃げグループが集団に吸収されると、下りで集団が分裂。有力勢を含む46名が後続グループを引き離しにかかる。残り10km地点で後続集団に対しては35秒のリード。先を急ぐ先頭グループの逃げ切りが確実となった。

最後は先行集団によるゴールスプリント勝負に持ち込まれ、先頭付近での落車を回避したフロリアン・ヴァション(フランス、ブルターニュ・シュレー)が優勝。ヴァションは昨年大会の第2ステージで4位に食い込んだフレンチスプリンター。第1ステージでの勝利によって、マイヨ・ジョーヌに袖を通した。

第1ステージ結果
1位 フロリアン・ヴァション(フランス、ブルターニュ・シュレー) 2h03'48"
2位 ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシングチーム)
3位 クレメン・コレトスキー(フランス、ラポム・マルセイユ)
4位 サイモン・ゲスク(ドイツ、プロジェクト1t4i)
5位 ニコラ・バズィン(フランス、オベール93)


第2ステージ ポルトヴェッキオ~ポルトヴェッキオ 6.5km(個人タイムトライアル)

第1ステージ終了後の午後に行われるのは、総合を争う上で重要となる距離6.5kmの個人タイムトライアル。フラットなコースを7分21秒で駆け抜けたカデル・エヴァンスが総合優勝を飾った。わずか0秒28遅れのステージ2位に入ったのはマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームスカイ)。そして午前中の第1ステージで4位に入ったサイモン・ゲスク(ドイツ、プロジェクト1t4i)が1秒差のステージ3位となった。

第2ステージ 風光明媚なコルシカ島を走る第2ステージ 風光明媚なコルシカ島を走る photo:A.S.O第2ステージ 昨年度覇者フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)第2ステージ 昨年度覇者フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) photo:A.S.O第2ステージ 個人TT優勝のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)第2ステージ 個人TT優勝のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:A.S.O


ヴァションに替わって総合リーダーに立ったエヴァンスは、「良いオフシーズンを過ごせずに調子が上がらずにいたけれど、今日勝つことができて良かったよ。翌日の山岳ステージは面白いものにすることができると思う。総合優勝を狙っていくよ。」と語る。エヴァンスは今シーズン初優勝。翌日の第3ステージにおいてマイヨ・ジョーヌを着用して走ることとなった。

第2ステージ結果
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)  7'21"
2位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームスカイ)
3位 サイモン・ゲスク(ドイツ、プロジェクト1t4i)   +01"
4位 アントニー・ルー(フランス、FDJ・ビッグマット)          +02"
5位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)


第3ステージ ポルトヴェッキオ〜オスペダル峠 179km

第3ステージ 頂上ゴールを制したピエリック・フェドリゴ(フランス、FDJ・ビッグマット)第3ステージ 頂上ゴールを制したピエリック・フェドリゴ(フランス、FDJ・ビッグマット) photo:A.S.O大会2日目となる3月25日に行われた第3ステージは、ポルトヴェッキオからオスペダル峠までの179km。ルートには合計5つのカテゴリー山岳が含まれる最難関の本格山岳ステージで、大会唯一となる山頂ゴールが待ち構える。

第3ステージ 優勝を飾ったピエリック・フェドリゴ(フランス、FDJ・ビッグマット)第3ステージ 優勝を飾ったピエリック・フェドリゴ(フランス、FDJ・ビッグマット) photo:A.S.Oこの日はジョージ・ベネット(ニュージーランド、レディオシャック・ニッサン)、ニコラ・ボゴンディ(フランス、コフィディス)、マッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)の3名がエスケープ。逃げを見送った集団はペースを落とし、マイヨ・ジョーヌ擁するBMCレーシングチームがコントロールを行った。

オスペダル峠の入り口で逃げ続けていた3名が吸収されると、イゴール・アントン(スペイン)で勝利を狙うエウスカルテル・エウスカディがペースアップを図り集団の人数は急激に減少。

第3ステージ 総合優勝を遂げたカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)第3ステージ 総合優勝を遂げたカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:A.S.Oここからアレクサンドル・ジェニエ(フランス、1t4i)が飛び出した。後続集団はさらにメンバーを減らしながら、ジェニエを追走。残り3km地点でグループは再び1つに。

残り2km地点からはリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)がアタックすると、これについていったのはマイヨ・ジョーヌを着るエヴァンス。

後方からピエリック・フェドリゴ(フランス、FDJ・ビッグマット)とラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー、チームスカイ)が合流すると、エヴァンスが先導する先頭4人はそのままの体勢でゴールへ。最後はノチェンティーニの後ろからスプリントを開始したフェドリゴが先頭でゴールラインへと飛び込んだ。エヴァンスはステージ4位に入り、クリテリウム・アンテルナシオナル初の総合優勝を飾った。

「今日チームは素晴らしい仕事をしてくれたんだ。昨日と今日は全ての機運がボクに向いて、とても良いレースをすることができた。優勝できたのはもちろん嬉しいよ。これからのビッグレースに向けての良い兆しだね。」と語るエヴァンス。昨年のツール・ド・フランスに続くマイヨ・ジョーヌを手に入れた。

第3ステージ結果
1位 ピエリック・フェドリゴ(フランス、FDJ・ビッグマット)          4h52'34"
2位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディアル)
3位 ラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー、チームスカイ)
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
5位 ギヨーム・ラヴァール(フランス、ソール・ソジャサン) +08"

クリテリウム・アンテルナシオナル2012個人総合結果
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 7h03'43"
2位 ピエリック・フェドリゴ(フランス、FDJ・ビッグマット) +08"
3位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームスカイ) 
4位 ラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー、チームスカイ) +09"
5位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディアル)
6位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レディオシャック・ニッサン) +23"
7位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) +38"
8位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ) +42"
9位 ユベール・デュポン(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディアル) +47"
10位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディアル) +01'11"


レース展開はレース公式リリース、コメントはBMCレーシングチームオフィシャルサイトより。

text:So.Isobe
photo:A.S.O