東日本大震災が起きた2011年3月11日から一年たったこの日に、皆で集まってレースを走り、被災地に向けて支援の心を送るイベントとして「3.11メモリアルシクロクロス」が開催された。

3.11メモリアルクロス 2時間耐久スタート3.11メモリアルクロス 2時間耐久スタート photo:Akihiro.NAKAO有志で立ち上がった「3.11メモリアルシクロクロス」。「3.11を忘れない関西クロスの仲間たち」と「関西シクロクロス実行委員会」の協力で急遽開催された。

TOHOKU CX Project代表の菅田純也さんとMCがらぱさんTOHOKU CX Project代表の菅田純也さんとMCがらぱさん photo:Akihiro.NAKAO今回のメモリアルシクロクロスは当初シリーズ戦のスケジュールに組み込まれていなかった番外編で、関西シクロクロスでCM1を走る佐野光宏(愛称:巨匠佐野大先生)選手の呼びかけで実現した。関西シクロクロス実行委員会の協力により、昨年ワールドサイクルクリテリウムが開催された滋賀県東近江市の「東近江ふれあい運動公園」で行われ、関西シクロクロスとしては新コースとなった。

関西クロス選手で消防士の小川さんが撮った被災地での写真が展示された関西クロス選手で消防士の小川さんが撮った被災地での写真が展示された photo:Akihiro.NAKAO震災発生から一年の当日の3月11日にソロ75名、キッズ14名、チーム42チームが参加となった。また、レースのエントリー費は経費を差し引いた金額をTOHOKU CX Projectへの義援金に充てるという趣旨。それに応えるかたちで仙台から代表の菅田純也さんが選手の応援の為に駆けつけてくれた。

レース形式はソロクラス60分耐久・キッズレース・2時間チーム耐久戦となり、AJOCCルールとは全く関係のないファンレースを、各クラスとも性別や年齢等のクラス分けもなく一斉スタートとなっている。
コースは河川敷の雑草地帯をメインに泥区間・階段・急斜面と強風の影響を受けるパワーのいるクロスコースとしては充実した約2kmのレイアウト。比良山系にうっすらと雪がかぶり、日差しは暖かい快晴の天気となった。

60分耐久優勝國吉正紀60分耐久優勝國吉正紀 photo:Akihiro.NAKAOオープニングレースはC1からC3・CL・CMクラスの混走で、60分の制限時間にちなんで「C1体験レース」と言える。レース展開はC1クラスの國吉正紀・久保伸次(岩井商会レーシング)・水谷裕太(team Goodspeed)・古崎潤(スクアドラ/DECOJA)の4人のパックで周回を重ね、途中に古崎がメカトラで脱落し國吉がペースを守って優勝し、久保・水谷と続いた。

國吉は「僕は石川県に住んでいて震災の影響は無かったのですが、自分にできることが何かを考えてレースに参加しました。優勝できてうれしいです」と話した。
次の小学生までのキッズレースでは、ストライダーに乗る柿本圭次郎君も参加してお父さんと一緒にコースを走った。

豊岡英子(パナソニックレディース)と細田悠太の「姫とユータのがんばろうニッポン」チーム豊岡英子(パナソニックレディース)と細田悠太の「姫とユータのがんばろうニッポン」チーム photo:Akihiro.NAKAO2時間耐久では全日本シクロクロス女子チャンプの豊岡英子(パナソニックレディース)と小学生の細田悠太君の「姫とユータのがんばろうニッポン」チーム、普段は裏方に徹する京都車連スタッフの「チーム3.11A・B」チームもあり、関西シクロクロスオルガナイザーの矢野淳さんはTOHOKU CX Projectチャンピオンジャージを着て力走するなど、会場にいる皆さんが走る事で応援する勢いが感じられた。

関西シクロクロスオルガナイザー矢野淳さんはTOHOKU CX Projectチャンピオンジャージを着て走る関西シクロクロスオルガナイザー矢野淳さんはTOHOKU CX Projectチャンピオンジャージを着て走る photo:Akihiro.NAKAO優勝チームは東畠信行・衣本始司・森崎芳宏(トレック・カスタマーサービス)。トレック・ジャパンは兵庫に会社があり「阪神淡路大震災の時に全国の皆様から、いろいろと暖かい支援を受けて、今回は受けた恩を返すわけではないですけど、是非参加して東北を応援したい。東日本大震災当時は自粛で縮こまってましたが、遊べる人は遊んでハッピーな気持ちを届けたいです」とコメント。3位までとおよび1のつく順位のとび賞にはスポンサーからの協賛品とともに、優勝には菅田さんから仙台名物「萩の月」や「厚焼笹(かまぼこ)」も渡された。

ゴールする選手を迎えるTOHOKU CX Project代表菅田純也さんゴールする選手を迎えるTOHOKU CX Project代表菅田純也さん photo:Akihiro.NAKAO最後に全レース終了後は、大震災の発生した2時46分に一分間の黙祷が捧げられた。
菅田さんは「クロスの選手達は熱いですね。TOHOKU CX Projectはレースすることで全国に伝えるのが目的でした。今日このレースの様子を東北に持って帰って伝えたいです」とコメントしてくれた。

まだまだ被災地では普段の生活ができず、楽しく自転車に乗る事さえできない人もいるはず。忘れないために、来年以降も3月11日前後に開催される予定だ。

レポートの最後に「3.11を忘れない関西クロスの仲間たち」からのお礼の挨拶をここに記載します。

M1選抜チームはにょろにょろが目印M1選抜チームはにょろにょろが目印 photo:Akihiro.NAKAO3.11メモリアルシクロクロス、無事終了しました。沢山の方に来て頂いてありがとうございました。選手だけで182人ものエントリーがありました。
3月11日という日を迎えるにあたり、ペダルを漕ぐという方法で、東北を支援することができないかと考え、関西シクロクロス実行委員会と、一般参加者の中から、有志が集まり本大会を企画しました。
発表が遅く、準備期間も少なかったため、様々な不手際があったかもしれませんが、色んな方々の力に支えられ、無事開催できたことを喜ばしく思います。会場においても、みなさんがそれぞれの想いを持って足を運んで下さった事が伝わってきました。
本大会の主旨に賛同し、参加して下さった選手および応援の皆様。運営に協力して下さったボランティアスタッフ。
賞品提供やサービス提供頂いた協賛企業やショップの皆様。最後に、はるばる東北から来て下さったTOHOKU CX Projectの菅田様。ありがとうございました。

本大会名についている「メモリアル」という言葉と、我々「3.11を忘れない関西クロスの仲間たち」という名前は、今後、3月11日を風化させないため、5年10年と、この大会を継続する気持ちで付けています。また来年も、みなさんと東日本大震災の事を考えながらペダルを踏みたいと思います。
(3.11を忘れない関西クロスの仲間たち)

最後に参加者で記念写真 また来年もみんなでレースがてきますように!最後に参加者で記念写真 また来年もみんなでレースがてきますように! photo:Akihiro.NAKAO

東北CXの菅田さんから仙台名物が優勝者に渡された東北CXの菅田さんから仙台名物が優勝者に渡された photo:Akihiro.NAKAO3.11を忘れないゼッケンプレート3.11を忘れないゼッケンプレート photo:Akihiro.NAKAO



text&photo:Akihiro.NAKAO

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