2012年3月3日、ツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)第9ステージは、またも22歳のイタリアンスプリンターの勝利で幕を閉じた。今大会5勝目をマークしたアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)は歴代最多の通算10勝目。ポイント賞トップに返り咲いた。

雨の中を走る選手たち雨の中を走る選手たち photo:Sonoko Tanaka最終日前日の第9ステージは、ケマシクからマレー半島東海岸をクアラトレンガヌまで北上する165.7km。カテゴリー山岳は設定されず、集団スプリント向きの平坦路がゴールに向かって続く。

この日もスタート直後からハイスピードな展開で、アタックを封じ込めた状態で集団は38.9km地点のスプリントポイントへ。ここでポイント賞ジャージを着るヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)とグアルディーニが競り合い、それぞれ1ポイントと2ポイントを獲得する。

スプリント5勝目を飾ったアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)スプリント5勝目を飾ったアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ) photo:Sonoko Tanaka雨の中、88km地点でようやく逃げが決まる。ジャパンカップ覇者のネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)、2007年ツール・ド・ランカウイ覇者アントニー・シャルトー(フランス、ユーロップカー)、デーヴィッド・マッキャン(アイルランド、RTSレーシングチーム)、そしてジャック・ヴァンレンズバーグ(南アフリカ、MTNキュベカ)が逃げた。

ツール・ド・ランカウイ第9ステージ表彰台ツール・ド・ランカウイ第9ステージ表彰台 photo:Sonoko Tanakaレース最初の2時間の平均スピードは51km/h。ハースを含む4名の逃げは最大で2分のリードを得る。

レース中盤に差し掛かるとドラパック・ポルシェが集団コントロールを開始し、ゴールまで30kmを残してタイム差は早くも1分を割り込む。しかし脚の揃った4名はペースを弱めず逃げ続け、ラスト20km地点で45秒、ラスト10kmで30秒。

アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)がポイント賞ジャージを奪回したアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)がポイント賞ジャージを奪回した photo:Sonoko Tanakaファルネーゼヴィーニが合流し、更にスピードを上げたメイン集団は逃げを吸収。ラスト3kmを切ってから落車が発生するも、ポジションを落とさなかったグアルディーニが余裕の5勝目を飾った。

ゴール前でマッテオ・ペルッキ(イタリア、ユーロップカー)がジャニ・テウェルデ(エリトリア、MTNキュベカ)を押しのけるシーンも見られたが、降格処分は与えられず。

今大会5勝目を飾ったグアルディーニは「ミッションは達成した。通算10勝という記録を目指してひたすら走っていたんだ。スプリントポイントでもポイントを重ねることが出来たし、逃げを先行させてからはチームがうまくレースをコントロールしていた」とレース後のインタビューでコメント。

ポイント賞ジャージを着るイグリンスキーは6位。スプリントポイントとゴールスプリントのポイントを集計した結果、グアルディーニとイグリンスキーが79ポイントで並び、規定によりグアルディーニにポイント賞ジャージは移った。

ゴール前の落車で愛三工業レーシングチームのメンバーは遅れ、勝負に絡むことは出来ず。総合成績にも影響はなく、ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)がリードを守ったまま最終日を迎える。

第10ステージはクアラトレンガヌの周回コースにゴールする平坦コース。グアルディーニのステージ6勝目なるか、それとも愛三工業レーシングチームを始めとするライバル勢が一矢報いるか。最終ゴールスプリント勝負に注目だ。

ツール・ド・ランカウイ2012第9ステージ結果
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)  3h27'06"
2位 マッテオ・ペルッキ(イタリア、ユーロップカー)
3位 レイモンド・クレダー(オランダ、ガーミン・バラクーダ) 
4位 ジェイコブ・キーオ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
5位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
6位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
7位 ジャニ・テウェルデ(エリトリア、MTNキュベカ)
8位 モハメドザムリ・サレー(マレーシア、トレンガヌプロアジア)
9位 トーマス・ベルトリーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)
10位 ハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌプロアジア)
61位 鈴木謙一(日本、愛三工業レーシングチーム)
86位 盛一大(日本、愛三工業レーシングチーム)
108位 品川真寛(日本、愛三工業レーシングチーム)
109位 伊藤雅和(日本、愛三工業レーシングチーム)
110位 中島康晴(日本、愛三工業レーシングチーム)
111位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシングチーム)
116位 福島晋一(日本、トレンガヌプロアジア)            +4'43"

個人総合成績
1位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)     30h18'43"
2位 ホセ・ルハノ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ)        +30"
3位 ビクトル・ニノ(コロンビア、アザド大学クロスチーム)        +56"
4位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)     +2'20"
5位 ジャクソン・ロドリゲス(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ)  +3'43"
6位 ステファノ・ロカテッリ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)   +4'15"
7位 ガデル・ミズバニ(イラン、タブリズペトロケミカル)        +4'23"
8位 アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)           +4'28"
9位 デニス・ヴァンニーケルク(南アフリカ、MTNキュベカ)       +4'33"
10位 ジョセフ・クーパー(ニュージーランド、ニュージーランドチーム)  +4'44"
31位 鈴木謙一(日本、愛三工業レーシングチーム)           +12'03"
40位 伊藤雅和(日本、愛三工業レーシングチーム)           +15'30"
47位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシングチーム)           +16'43"
86位 品川真寛(日本、愛三工業レーシングチーム)           +32'26"
90位 福島晋一(日本、トレンガヌプロアジア)             +33'33"
95位 中島康晴(日本、愛三工業レーシングチーム)           +37'00"
107位 盛一大(日本、愛三工業レーシングチーム)            +41'19"

ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)

山岳賞
ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)

アジアンライダー賞
アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)    

チーム総合成績
アンドローニ・ジョカトリ

アジアンチーム総合成績
アスタナ

text:Kei Tsuji
photo:Sonoko Tanaka

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