石井雅史が個人追い抜きと1kmTTで銀メダル2個獲得

5月21日、英国・マンチェスターで行われているBTパラリンピックワールドカップ（BT PWC）で、北京パラリンピック金メダリストの石井雅史が、男子個人追抜［障害クラスLC3/LC4/CP3/CP4の混合］で銀メダルを獲得。また、男子1kmタイムトライアル［LC1/LC2/CP4］では、自らが北京パラリンピックでマークしたCP4クラスの世界記録1分8秒771を上回る1分8秒575のタイムで、銀メダルを獲得した。

若草色のパラサイクリング・チャンピオンジャージで1kmTT［LC1/LC2/CP4］を走る石井（21日、マンチェスター・ベロドローム） photo:Yuko.SATO今回の石井の1kmTTのタイムが公認の世界記録となるかは未確認だ。なお、08年の同大会（VISAパラリンピックワールドカップ）の1kmTTでも石井は1分8秒553をマークしていたが、同レースでドーピングテストが行われていなかったため、世界記録としては未公認となっている。
金メダルはLC2クラス世界記録保持者のジョディ・クンディで、タイムは1分6秒030。

21日の男子個人追抜［LC3/LC4/CP3/CP4］予選でタイム2位の石井は、22日の英国のダレン・ケニー［CP3］との1・2位決定戦へ進出した。決勝は3kmの計時で行われ、石井は3分45秒332。
より障害の軽いCP3クラスのチャンピオンであるケニーは3分41秒576で、石井は銀メダル獲得となった。

男子個人追抜［LC3/LC4/CP3/CP4］表彰。右から石井雅史［CP4］、ダレン・ケニー［CP3］、イェリ・ボウシュカ［CP4］（21日、マンチェスター・ベロドローム） photo:Yuko.SATO２つのレースの終了後、石井は「メダルの色は２個とも銀でしたが、自分の力は出し切った、という感じです。北京大会後に忙しくて練習が十分にできていない、と言われるのがいやだったので、ちょっとほっとしました」と笑顔を見せた。　
　
同大会は、2012年ロンドン大会へのムードを盛り上げようと、「パラリンピックワールドカップ」の名で英国の大会組織が2005年よりマンチェスターで開催している、障害者スポーツの国際大会。自転車トラック、車椅子バスケットボール、陸上、水泳の４種目が毎年この時期に行われている。

今年は昨年までのVISAに替わり、ロンドン五輪・パラリンピック大会の公式パートナーである通信会社BTが、大会の冠スポンサーとなった。英国の大会組織が、各国から実績ある選手を招待して開いているオールスターゲーム的な大会で、2009年は約40カ国から約400人の選手が参加している。


車椅子バスケットボールの練習に参加したクリス・ホイ（19日、マンチェスター・リージョナル・アリーナ） photo:Yuko.SATO

トラック自転車では22日、シドニー五輪1kmTT金メダリストのジェイソン・クアリーが、男子視覚障害クラス［B&VI］1kmTTの世界記録保持者アンソニー・カップスのタンデムパイロットとして走る「タンデム1kmTTの英国記録に挑戦」レースも行われ、1分01秒626をマーク。おおいに会場の喝采を浴びていた。

また、19日の大会開幕前日記者発表イベントには、北京五輪ケイリンなどメダルを多数獲得しているクリス・ホイが登場。車椅子バスケットボールの練習に参加してゴールを狙う姿を報道陣に披露し、内外プレスの注目を集めていた。

Photo&text:佐藤有子（Yuko.SATO)