2012/02/18(土) - 10:07
2012年2月17日に開催されたツアー・オブ・オマーン(UCI2.HC)第4ステージで、リーダージャージを着るアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が2勝目をマーク。多くの選手が遅れる中、BSアンカーの吉田隼人、清水都貴、トマ・ルバは先頭集団でゴールした。
ツアー・オブ・カタールとは異なり、ツアー・オブ・オマーンには山岳が登場する。
第4ステージは内陸のビドビドをスタートし、勾配のあるいくつかの山岳を越え、首都マスカット近郊アルワディ・アルカビールの周回コースにゴールする。最終周回コースも起伏に富んだレイアウトだ。
ハイスピードな展開で幕開けたレースは、10km地点でステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)とクラース・ロデウィック(スイス、BMCレーシングチーム)の2人が飛び出してようやく落ち着きを取り戻す。
前日に2度目の逃げを成功させ、赤と緑の総合敢闘賞ジャージを着るアレクサンドル・ルメア(フランス、ブリヂストンアンカー)に対し、この日は同賞2位のロデウィックがエスケープ。ロデウィックは2つのスプリントポイントを先頭通過し、6ポイント獲得で総合敢闘賞トップに躍り出る。ルメアとロデウィックの熾烈な争いは最終日まで縺れそうな勢い。
逃げとメイン集団のタイム差は最大7分40秒まで拡大。メイン集団は登りで幾つかのグループに分断されながらも、下りで再び一つに。102km地点のスプリントポイントではホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が3番手通過(集団先頭通過)し、ボーナスタイムを獲得。総合争いに向けての布石とした。
やがて先頭からロデウィックが遅れ、ファンデンベルフの独走に。起伏のある周回コースでリクイガス・キャノンデールやレディオシャック・ニッサンがペースを上げたメイン集団からは、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)やマシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)が相次いで脱落する。
先頭のファンデンベルフを追うメイン集団から西薗良太(ブリヂストンアンカー)がカウンターアタックをしたが、ファンデンベルフとともに吸収。ゴールまで5kmを切ると、メイン集団から総合2位のペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)、ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レディオシャック・ニッサン)、サンディ・カザール(フランス、FDJ・ビッグマット)、ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク)がアタック。
ステージ優勝争いならびに総合争いを見据えて飛び出した5名だったが、ゴールスプリントに持ち込みたいメイン集団を振り切るには至らず。結局サガンら5名は吸収され、50名弱に絞られた集団によるスプリント勝負に。
好位置でサガンがスプリントに持ち込んだが、ゴールライン手前で抜け出したのはグライペル。真っ赤なリーダージャージを着るグライペルがサガンを抜き去り、ハンドルを投げ込んだ。
他のスプリンターが登りで脱落する中、タフな展開にも集団に残り、そしてスプリントを制したグライペル。シーズン序盤からの突出したコンディションの良さを今一度見せつけた。今シーズン5勝目で、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)と最多タイで並んでいる。
ブリヂストンアンカー勢は、吉田隼人、清水都貴、トマ・ルバ(フランス)の3名が先頭集団でゴール。ルメアの総合敢闘賞ジャージは失ったが、3名の好走により、チーム総合成績では8位にジャンプアップ。清水が個人総合での順位を一つ上げ、現在16位につけている。
ツアー・オブ・オマーンの総合争いは、翌第5ステージの頂上ゴールで決する。ゴール地点は「オマーンのラルプ・デュエズ」と呼ばれるグリーンマウンテン(現地名ジャバル・アルアハダル)。標高1235mの頂上に向かって、平均勾配10%ほどの登りが5kmにわたって続く。しかもゴール前2kmの平均勾配は13%オーバーだ。このグリーンマウンテン頂上ゴールで、ロドリゲスやフグルサング、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)らが飛び出すだろう。
レース内容はレース公式サイトより。
ツアー・オブ・オマーン2012第4ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 3h37'02"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
3位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)
4位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット)
5位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)
6位 マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)
7位 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)
8位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ)
10位 バーデン・クック(オーストラリア、グリーンエッジ)
16位 吉田隼人(日本、ブリヂストンアンカー)
25位 清水都貴(日本、ブリヂストンアンカー)
59位 井上和郎(日本、ブリヂストンアンカー) +1'33"
83位 西薗良太(日本、ブリヂストンアンカー) +2'20"
個人総合成績
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 13h36'33"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) +06"
3位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット) +18"
4位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)
5位 バーデン・クック(オーストラリア、グリーンエッジ) +19"
6位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク) +21"
7位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ) +22"
8位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レディオシャック・ニッサン) +25"
9位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ)
10位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) +29"
16位 清水都貴(日本、ブリヂストンアンカー) +38"
33位 吉田隼人(日本、ブリヂストンアンカー) +1'11"
73位 西薗良太(日本、ブリヂストンアンカー) +4'07"
76位 井上和郎(日本、ブリヂストンアンカー) +4'16"
ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
総合敢闘賞
クラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム)
チーム総合成績
レディオシャック・ニッサン
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
ツアー・オブ・カタールとは異なり、ツアー・オブ・オマーンには山岳が登場する。
第4ステージは内陸のビドビドをスタートし、勾配のあるいくつかの山岳を越え、首都マスカット近郊アルワディ・アルカビールの周回コースにゴールする。最終周回コースも起伏に富んだレイアウトだ。
ハイスピードな展開で幕開けたレースは、10km地点でステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)とクラース・ロデウィック(スイス、BMCレーシングチーム)の2人が飛び出してようやく落ち着きを取り戻す。
前日に2度目の逃げを成功させ、赤と緑の総合敢闘賞ジャージを着るアレクサンドル・ルメア(フランス、ブリヂストンアンカー)に対し、この日は同賞2位のロデウィックがエスケープ。ロデウィックは2つのスプリントポイントを先頭通過し、6ポイント獲得で総合敢闘賞トップに躍り出る。ルメアとロデウィックの熾烈な争いは最終日まで縺れそうな勢い。
逃げとメイン集団のタイム差は最大7分40秒まで拡大。メイン集団は登りで幾つかのグループに分断されながらも、下りで再び一つに。102km地点のスプリントポイントではホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が3番手通過(集団先頭通過)し、ボーナスタイムを獲得。総合争いに向けての布石とした。
やがて先頭からロデウィックが遅れ、ファンデンベルフの独走に。起伏のある周回コースでリクイガス・キャノンデールやレディオシャック・ニッサンがペースを上げたメイン集団からは、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)やマシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)が相次いで脱落する。
先頭のファンデンベルフを追うメイン集団から西薗良太(ブリヂストンアンカー)がカウンターアタックをしたが、ファンデンベルフとともに吸収。ゴールまで5kmを切ると、メイン集団から総合2位のペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)、ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レディオシャック・ニッサン)、サンディ・カザール(フランス、FDJ・ビッグマット)、ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク)がアタック。
ステージ優勝争いならびに総合争いを見据えて飛び出した5名だったが、ゴールスプリントに持ち込みたいメイン集団を振り切るには至らず。結局サガンら5名は吸収され、50名弱に絞られた集団によるスプリント勝負に。
好位置でサガンがスプリントに持ち込んだが、ゴールライン手前で抜け出したのはグライペル。真っ赤なリーダージャージを着るグライペルがサガンを抜き去り、ハンドルを投げ込んだ。
他のスプリンターが登りで脱落する中、タフな展開にも集団に残り、そしてスプリントを制したグライペル。シーズン序盤からの突出したコンディションの良さを今一度見せつけた。今シーズン5勝目で、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)と最多タイで並んでいる。
ブリヂストンアンカー勢は、吉田隼人、清水都貴、トマ・ルバ(フランス)の3名が先頭集団でゴール。ルメアの総合敢闘賞ジャージは失ったが、3名の好走により、チーム総合成績では8位にジャンプアップ。清水が個人総合での順位を一つ上げ、現在16位につけている。
ツアー・オブ・オマーンの総合争いは、翌第5ステージの頂上ゴールで決する。ゴール地点は「オマーンのラルプ・デュエズ」と呼ばれるグリーンマウンテン(現地名ジャバル・アルアハダル)。標高1235mの頂上に向かって、平均勾配10%ほどの登りが5kmにわたって続く。しかもゴール前2kmの平均勾配は13%オーバーだ。このグリーンマウンテン頂上ゴールで、ロドリゲスやフグルサング、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)らが飛び出すだろう。
レース内容はレース公式サイトより。
ツアー・オブ・オマーン2012第4ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 3h37'02"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
3位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)
4位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット)
5位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)
6位 マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)
7位 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)
8位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ)
10位 バーデン・クック(オーストラリア、グリーンエッジ)
16位 吉田隼人(日本、ブリヂストンアンカー)
25位 清水都貴(日本、ブリヂストンアンカー)
59位 井上和郎(日本、ブリヂストンアンカー) +1'33"
83位 西薗良太(日本、ブリヂストンアンカー) +2'20"
個人総合成績
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 13h36'33"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) +06"
3位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット) +18"
4位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)
5位 バーデン・クック(オーストラリア、グリーンエッジ) +19"
6位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク) +21"
7位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ) +22"
8位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レディオシャック・ニッサン) +25"
9位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ)
10位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) +29"
16位 清水都貴(日本、ブリヂストンアンカー) +38"
33位 吉田隼人(日本、ブリヂストンアンカー) +1'11"
73位 西薗良太(日本、ブリヂストンアンカー) +4'07"
76位 井上和郎(日本、ブリヂストンアンカー) +4'16"
ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
総合敢闘賞
クラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム)
チーム総合成績
レディオシャック・ニッサン
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
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