ちょっと前は寒かったと言うが、レースが始まってからは穏やかな晴天が続いている。気温は20-25℃程度と非常に過ごしやすい気候だ。スッキリ秋晴れ!と言いたいところだが、しかしここは中国。深刻な大気汚染から、北京の空は澄みきらない。

北京五輪を前に改善策が打たれ、一時は改善されたかのように思われたが、今年に入り「過去最悪レベル」を記録したとの報道もある。乾燥していてホコリっぽい、それが実際に感じる印象だ。選手たちも「ちょっと心配だよね」と言うが、大会側はこれといった対策をこうじていない。

やはり観客が誰もいない、スタート地点の鳥の巣スタジアムやはり観客が誰もいない、スタート地点の鳥の巣スタジアム photo:Sonoko Tanaka北京市内のニュートラルゾーンを走行する北京市内のニュートラルゾーンを走行する photo:Sonoko Tanaka


欧州のモトドライバーが大会をバックアップ

欧州からやってきたオートバイのスペシャリスト欧州からやってきたオートバイのスペシャリスト photo:Sonoko Tanakaツアー・オブ・北京は、ツール・ド・フランスの主催者ASOが、レースディレクションとテクニカルサービスの分野でバックアップするなど、多くの欧州人スタッフが働いている。

中でも「クール!」と、注目を集めているのは、モトドライバーたちだ。地元警察のモトもレースに帯同しているものの、レースの運営に関わるドライバーたちは皆外国人。中国人カメラマンたちは、慌てて英語を勉強することになったが、外国人ドライバーが北京の街を走り抜ける姿は圧巻!

平坦区間でローテーションを回す逃げ4名平坦区間でローテーションを回す逃げ4名 photo:Sonoko Tanaka今日、私を乗せてくれたドライバーは、イギリス人のデービッド。「どんな道だって、安全に選手を抜かせるよ!」と自慢げに話してくれる。

話を聞けば、ツール・ド・フランスやツアー・オブ・ブリテンなどで20年もの経験をもつドライバーなんだとか。そんなベテランドライバーがイギリスから8人、オランダからも8人、そしてフランスから4人という20人の構成で遥々中国へとやってきた。

標高188mの3級山岳に向かうプロトン標高188mの3級山岳に向かうプロトン photo:Sonoko Tanaka彼らの跨るモトは、すべてBMW製の大型バイク。もちろんヨーロッパから持ってきたわけではなく、北京のオートバイクラブからレンタルしている。レース前に希望車種をリクエストし、それに近いモデルを借りることができたのだそうだ。

そしてこっそりとお給料を聞くと1日200ユーロとのこと。通常はカメラマンがドライバーに報酬を払うが、このようなレースの場合、大会側が支払っている。その金額はまずまずといったところだろう。

アジアのレースを回っていると、坂道では自転車よりも遅い原付バイクに出会うこともある。そのような環境下では、とても大きなレースは開催できない。しだいにレースのランクを上げるのではなく、最初からワールドツアーを開催する背景には、彼らのようなスペシャリストが多く関わっているのだ。

大きな交差点には、たくさんの観客が集まった大きな交差点には、たくさんの観客が集まった photo:Sonoko Tanaka

観客が戻ったラインステージ

沿道で見慣れないレースを観戦する沿道で見慣れないレースを観戦する photo:Sonoko Tanaka昨日の第1ステージは、閉鎖されたオリンピック公園内にメイン会場があったが、第2ステージからは公道を使ったラインレースになる。鳥の巣スタジアム前のスタート会場は引き続き閉鎖されたものの、ゴールを含むそれ以外のエリアは、他のレースと同じように沿道に観客が集まって、選手たちに声援を送る光景が見られた。

昨日の閉鎖されたタイムトライアルは、北京市民も少し不思議に思ったようで、会場に来ることができなかった何人かの中国人記者から「誰も入れなかったって本当?」というメールが届いた。やはりロードレースの魅力は、誰でも気軽に観戦できること。観客のいる「ツアー・オブ・北京」にどことなく嬉しさを感じたりもして。

チームメイトに守られて走るトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)チームメイトに守られて走るトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード) photo:Sonoko Tanaka赤と黄色のジャージが目立つ中国ナショナルチーム赤と黄色のジャージが目立つ中国ナショナルチーム photo:Sonoko Tanaka


text&photo:Sonoko Tanaka in Beijing, China

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