2011/10/06(木) - 10:56
中国で初めて開催されているツアー・オブ・北京。UCIと提携するGCP(グローバル・サイクリング・プロモーション)の完全バックアップによる開催だが、いったいどのようなレースになるのだろう? レースの真の姿を現地からレポートしていこう。
“本当”に開幕したツアー・オブ・北京
アジア初のUCIワールドツアークラスのレースがいよいよ開幕した。レースカレンダーに組み込まれた当初は何も詳細が発表されず、「本当に開催されるのか?」なんて噂された今大会だったが、無事に開幕を迎えることになった。
鳥の巣スタジアム前に設置されたポディウム。たくさんの人がいるが、皆IDを首に下げた関係者たち photo:Sonoko Tanaka
スタート前、鳥の巣スタジアム前で笑顔を見せる選手 photo:Sonoko Tanaka
「すべての人にとって初めての試みになる」と強調したUCIのパット・マックエイド会長。そう、100年以上も続いているツール・ド・フランスにだって、トラブルは付きもの。したがって初開催のツアー・オブ・北京がどのようなレースになるかは、いい意味でも予測不可能というわけだ。もちろん安全が保証された上での開催だが...。レース開催においてはすでに4年間の契約がなされているが、アジアとヨーロッパをつなぐ画期的な大会になることを期待しよう。
ライトアップされた鳥の巣スタジアム。ツアー・オブ・北京をイメージした自転車のオブジェができた photo:Sonoko Tanakaオリンピック公園がレースの拠点
レースの拠点となるのは、北京北部のオリンピック公園。北京五輪のメイン会場、鳥の巣スタジアム(国家スタジアム)の周りで第1ステージの個人タイムトライアルは開催された。第2ステージのスタート、最終ステージのゴールもスタジアム前に設置される。
2008年の北京五輪から3年が経つが、いまでも多くの観光客で賑わい、当時の熱気を感じることができるエリアになっている。ちなみに沿道では、ミッキーマウスなど有名キャラクターを真似た着ぐるみたちが観光客を出迎えてくれる。一時期話題となった、偽物キャラクターのテーマパークを彷彿させる光景だ……。
お尻にゼッケンを付けてもらう選手。ほのぼのとした空気が流れる photo:Sonoko Tanaka
カップ麺で昼食をとるチームスカイのスタッフたち。味は「悪くはないよ」とのこと photo:Sonoko Tanaka
そして選手たちが滞在するのは、オリンピック公園に隣接する5つ星ホテル。なかなか解決しないコンタドールの「クレンブテロール陽性反応事件」を受けて、中国産の牛肉と豚肉は食物汚染の可能性が否定できないため、選手たちは食べてはいけないという。しかし、選手のホテルではパスタや鶏肉料理が多く出されているため、今のところ特別な不満は出ていない。
チームカーとして使用されるのはヒュンダイ。国際免許が使えない中国だが、特別なナンバーが振られ、レース中のハンドルは監督が握る photo:Sonoko Tanaka
このキャラクターの名前は何だろう? 同様の着ぐるみたちが観光客を出迎えてくれる(あまり嬉しくない) photo:Sonoko Tanaka
過剰な厳重体制で開催された第1ステージ
ゴールゲート近く、警備にあたる軍人たちが等間隔で並ぶ photo:Sonoko Tanaka第1ステージのスタート/ゴール地点は鳥の巣スタジアムとウォーターキューブ(水泳施設)に挟まれた広場に設置された。
前日までたくさんの観光客で賑わっていた場所だったが、一夜明けるとそこは厳重体制に一変。
オリンピック公園のゲートは固く閉ざされ、一般客は中に入ることができない。そして観客がいないにも関わらず、数メートルおきに警備スタッフが配置された光景は、少し異様とも思えるものだった。
試走を終えた選手からも「中国って、人口がものすごく多い国なんだろ? なのに、なんでここには人がいないんだ!?」なんて感想が飛び出す始末。防げる事故は未然に防ぐ、ということなのだろうか。
公園外の一般道周辺には観客がいくらか集まっていたが「大勢押し寄せた」という表現とは、少し違う……。きっと多くの北京市民はヘリコプターを動員してのTV生中継をお茶の間で楽しんだ、と信じよう。
試走を終え、笑顔をみせる選手。「路面状況はすごくいい!」と話す photo:Sonoko Tanaka
メカニックたちはホテル裏の仮設テントで仕事を進める。ヨーロッパでは見られない光景だ photo:Sonoko Tanaka
なにはともあれ、下馬評どおり、アルカンシェルを着たトニ・マルティンの圧勝で、無事に第1ステージを終えたツアー・オブ・北京。まずは主催者、関係者一同、ホッと肩をなでおろした。明日から、北京郊外へ向かうラインレースが始まる。
text&photo:Sonoko Tanaka
“本当”に開幕したツアー・オブ・北京
アジア初のUCIワールドツアークラスのレースがいよいよ開幕した。レースカレンダーに組み込まれた当初は何も詳細が発表されず、「本当に開催されるのか?」なんて噂された今大会だったが、無事に開幕を迎えることになった。


「すべての人にとって初めての試みになる」と強調したUCIのパット・マックエイド会長。そう、100年以上も続いているツール・ド・フランスにだって、トラブルは付きもの。したがって初開催のツアー・オブ・北京がどのようなレースになるかは、いい意味でも予測不可能というわけだ。もちろん安全が保証された上での開催だが...。レース開催においてはすでに4年間の契約がなされているが、アジアとヨーロッパをつなぐ画期的な大会になることを期待しよう。

レースの拠点となるのは、北京北部のオリンピック公園。北京五輪のメイン会場、鳥の巣スタジアム(国家スタジアム)の周りで第1ステージの個人タイムトライアルは開催された。第2ステージのスタート、最終ステージのゴールもスタジアム前に設置される。
2008年の北京五輪から3年が経つが、いまでも多くの観光客で賑わい、当時の熱気を感じることができるエリアになっている。ちなみに沿道では、ミッキーマウスなど有名キャラクターを真似た着ぐるみたちが観光客を出迎えてくれる。一時期話題となった、偽物キャラクターのテーマパークを彷彿させる光景だ……。


そして選手たちが滞在するのは、オリンピック公園に隣接する5つ星ホテル。なかなか解決しないコンタドールの「クレンブテロール陽性反応事件」を受けて、中国産の牛肉と豚肉は食物汚染の可能性が否定できないため、選手たちは食べてはいけないという。しかし、選手のホテルではパスタや鶏肉料理が多く出されているため、今のところ特別な不満は出ていない。


過剰な厳重体制で開催された第1ステージ

前日までたくさんの観光客で賑わっていた場所だったが、一夜明けるとそこは厳重体制に一変。
オリンピック公園のゲートは固く閉ざされ、一般客は中に入ることができない。そして観客がいないにも関わらず、数メートルおきに警備スタッフが配置された光景は、少し異様とも思えるものだった。
試走を終えた選手からも「中国って、人口がものすごく多い国なんだろ? なのに、なんでここには人がいないんだ!?」なんて感想が飛び出す始末。防げる事故は未然に防ぐ、ということなのだろうか。
公園外の一般道周辺には観客がいくらか集まっていたが「大勢押し寄せた」という表現とは、少し違う……。きっと多くの北京市民はヘリコプターを動員してのTV生中継をお茶の間で楽しんだ、と信じよう。


なにはともあれ、下馬評どおり、アルカンシェルを着たトニ・マルティンの圧勝で、無事に第1ステージを終えたツアー・オブ・北京。まずは主催者、関係者一同、ホッと肩をなでおろした。明日から、北京郊外へ向かうラインレースが始まる。
text&photo:Sonoko Tanaka
フォトギャラリー