2011/09/25(日) - 07:27
大集団での登りスプリント勝負に持ち込まれたロード世界選手権エリート女子ロードレース。トレインを組むオランダに対抗し、好位置でスプリント体勢に入ったジョルジャ・ブロンジーニ(イタリア)が大会連覇を達成した。日本から単騎参戦の萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)は11秒遅れの50位。
エリート女子の頂点を決めるロードレースは、14kmの周回コースを10周する140km。
レースは“世界選手権らしからぬ”単調な展開となる。アタックがかからない状態が長時間にわたって続き、集団は一つにまとまったまま周回をこなす。時折イギリスやドイツなどの強豪国が集団先頭に立つシーンも見られたが、本格的なペースアップにはならない。
レースが活性化したのは、残り3周を切ってから。レースは最後の1時間で決着する。スウェーデンやアメリカ勢がアタックを仕掛け、残り2周を前にクラーラ・ヒューズ(カナダ)が独走に持ち込む。タイムトライアル5位のヒューズは、単独で45秒のリードを稼ぎ出した。
メイン集団ではリンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド)らが攻撃を仕掛けるも、イギリスやドイツがこれを封じる。ヒューズは40秒のリードを維持したまま最終周回に突入。ヒューズに逃げ切りの可能性が浮上したが、イギリスやオランダがメイン集団のペースを上げて追う。
結局ヒューズはゴールまで3.5kmを残してヒューズは吸収。タイムトライアルチャンピオンのユーディト・アルント(ドイツ)らのカウンターアタックは功を奏さず、スプリント狙いのチームが集団先頭にひしめきながら、最終コーナーに差し掛かった。
オランダが主導権を握って最終コーナーを抜け、そして始まるスプリントバトル。ラスト300mを切って登り勾配が増すと、ブロンジーニを引き連れたモニア・バッカイッレ(イタリア)が一気に先頭に立つ。そしてブロンジーニがラスト150mからスプリントを開始した。
力と力がぶつかり合う登りスプリントでブロンジーニが先行。後方からマリアンヌ・フォス(オランダ)が勢い良く上がる。しかし登りの頂点までブロンジーニのスプリントは伸び続け、フォスを振り切って勝利。悔しさに思わず叫び声を上げるフォスを横目に、ブロンジーニがお決まりのハートマークを両手で作った。
昨年のメルボルン大会に続く、登りスプリント制覇。ブロンジーニが、イタリアが、大会連覇を達成した。
「スプリントに持ち込まれないと思っていたので、この勝利には少し驚いている」。チームメイトに見守られながら2度目のアルカンシェルを手にし、2年連続イタリア国歌を表彰台の真ん中で聴いたブロンジーニは語る。
当初イタリアはアタックによる逃げの展開を狙っていたという。「スタートの時点では特にプレッシャーは感じず、前半は他の選手ために走っていた。でも残り3周を切ってから、チームメイトに言ってタフな展開に持ち込んだ。最後はチームの働きに応える必要があったので、かなりのプレッシャーだった」。
一方、チーム一丸となってスプリントに持ち込んだオランダのフォスが2位。2006年に世界チャンピオンに輝いているフォス。「オランダにとって完璧なレース運びだった。スプリントでの位置取りも完璧。でもスプリントの開始を待ち過ぎた。それが敗因だと思う。でも間違いないのは、ジョルジャ(ブロンジーニ)が私より強かったということ」。今回の敗退により、フォスは2007年から5年連続2位という悔しい記録を更新してしまった。
最終周回まで集団に残り、最後の登りスプリントで遅れた萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)は11秒遅れの50位。全日本選手権で連覇を果たした萩原は、見せ場を作れないまま集団に埋もれた。
「ペースが遅いなら逃げたいと思ったけど、実際はそんな余裕もなかった。今年も何も出来なかった。集団の前に上がれるか上がれないかの間には大きな差がある。最後まで自分の心をコントロールできず、常に密集度の高い集団内の後方で走っていた。コーナーへの突っ込みや位置取りなどで怖いとか、危ないとか、躊躇ってしまった点が多く、気持ちの面で負けていた。力を100%出し切ったとは言えないけど、これは実力通りの結果だと思う」。
萩原は来年2月に行なわれるアジア選手権、そしてロンドン五輪を見据える。「アジア選手権は何としても勝ちたいので、それまでの5ヶ月間で一皮剥けられるように頑張りたい。その後もオリンピックの出場枠を穫るために、もっとしっかり海外レースで闘っていきたい」。
ロード世界選手権2011エリート女子ロードレース
1位 ジョルジャ・ブロンジーニ(イタリア) 3h21'28"
2位 マリアンヌ・フォス(オランダ)
3位 イナ・テウテンバーグ(ドイツ)
4位 ニコール・クック(イギリス)
5位 ユリア・マルティソワ(ロシア)
6位 クロエ・ホスキング(オーストラリア)
7位 エリザベス・アーミステッド(イギリス)
8位 ルディヴィネ・ヘンリオン(ベルギー)
9位 ラサ・レレイヴィテ(リトアニア)
10位 ウーデ・ビアンニ(フランス)
50位 萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング) +11"
text&photo:Kei Tsuji in Copenhagen, Denmark
エリート女子の頂点を決めるロードレースは、14kmの周回コースを10周する140km。
レースは“世界選手権らしからぬ”単調な展開となる。アタックがかからない状態が長時間にわたって続き、集団は一つにまとまったまま周回をこなす。時折イギリスやドイツなどの強豪国が集団先頭に立つシーンも見られたが、本格的なペースアップにはならない。
レースが活性化したのは、残り3周を切ってから。レースは最後の1時間で決着する。スウェーデンやアメリカ勢がアタックを仕掛け、残り2周を前にクラーラ・ヒューズ(カナダ)が独走に持ち込む。タイムトライアル5位のヒューズは、単独で45秒のリードを稼ぎ出した。
メイン集団ではリンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド)らが攻撃を仕掛けるも、イギリスやドイツがこれを封じる。ヒューズは40秒のリードを維持したまま最終周回に突入。ヒューズに逃げ切りの可能性が浮上したが、イギリスやオランダがメイン集団のペースを上げて追う。
結局ヒューズはゴールまで3.5kmを残してヒューズは吸収。タイムトライアルチャンピオンのユーディト・アルント(ドイツ)らのカウンターアタックは功を奏さず、スプリント狙いのチームが集団先頭にひしめきながら、最終コーナーに差し掛かった。
オランダが主導権を握って最終コーナーを抜け、そして始まるスプリントバトル。ラスト300mを切って登り勾配が増すと、ブロンジーニを引き連れたモニア・バッカイッレ(イタリア)が一気に先頭に立つ。そしてブロンジーニがラスト150mからスプリントを開始した。
力と力がぶつかり合う登りスプリントでブロンジーニが先行。後方からマリアンヌ・フォス(オランダ)が勢い良く上がる。しかし登りの頂点までブロンジーニのスプリントは伸び続け、フォスを振り切って勝利。悔しさに思わず叫び声を上げるフォスを横目に、ブロンジーニがお決まりのハートマークを両手で作った。
昨年のメルボルン大会に続く、登りスプリント制覇。ブロンジーニが、イタリアが、大会連覇を達成した。
「スプリントに持ち込まれないと思っていたので、この勝利には少し驚いている」。チームメイトに見守られながら2度目のアルカンシェルを手にし、2年連続イタリア国歌を表彰台の真ん中で聴いたブロンジーニは語る。
当初イタリアはアタックによる逃げの展開を狙っていたという。「スタートの時点では特にプレッシャーは感じず、前半は他の選手ために走っていた。でも残り3周を切ってから、チームメイトに言ってタフな展開に持ち込んだ。最後はチームの働きに応える必要があったので、かなりのプレッシャーだった」。
一方、チーム一丸となってスプリントに持ち込んだオランダのフォスが2位。2006年に世界チャンピオンに輝いているフォス。「オランダにとって完璧なレース運びだった。スプリントでの位置取りも完璧。でもスプリントの開始を待ち過ぎた。それが敗因だと思う。でも間違いないのは、ジョルジャ(ブロンジーニ)が私より強かったということ」。今回の敗退により、フォスは2007年から5年連続2位という悔しい記録を更新してしまった。
最終周回まで集団に残り、最後の登りスプリントで遅れた萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)は11秒遅れの50位。全日本選手権で連覇を果たした萩原は、見せ場を作れないまま集団に埋もれた。
「ペースが遅いなら逃げたいと思ったけど、実際はそんな余裕もなかった。今年も何も出来なかった。集団の前に上がれるか上がれないかの間には大きな差がある。最後まで自分の心をコントロールできず、常に密集度の高い集団内の後方で走っていた。コーナーへの突っ込みや位置取りなどで怖いとか、危ないとか、躊躇ってしまった点が多く、気持ちの面で負けていた。力を100%出し切ったとは言えないけど、これは実力通りの結果だと思う」。
萩原は来年2月に行なわれるアジア選手権、そしてロンドン五輪を見据える。「アジア選手権は何としても勝ちたいので、それまでの5ヶ月間で一皮剥けられるように頑張りたい。その後もオリンピックの出場枠を穫るために、もっとしっかり海外レースで闘っていきたい」。
ロード世界選手権2011エリート女子ロードレース
1位 ジョルジャ・ブロンジーニ(イタリア) 3h21'28"
2位 マリアンヌ・フォス(オランダ)
3位 イナ・テウテンバーグ(ドイツ)
4位 ニコール・クック(イギリス)
5位 ユリア・マルティソワ(ロシア)
6位 クロエ・ホスキング(オーストラリア)
7位 エリザベス・アーミステッド(イギリス)
8位 ルディヴィネ・ヘンリオン(ベルギー)
9位 ラサ・レレイヴィテ(リトアニア)
10位 ウーデ・ビアンニ(フランス)
50位 萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング) +11"
text&photo:Kei Tsuji in Copenhagen, Denmark
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