2011年9月20日、デンマーク・コペンハーゲンで開催されているロード世界選手権2日目、ジュニア男子タイムトライアルが行なわれ、地元デンマークのマス・ビュルツシュミットがオセアニア勢を寄せ付けずに優勝を飾った。日本から参戦した内野直也は3分52秒遅れの52位。
1周目からトップに立つマス・ビュルツシュミット(デンマーク) photo:Riccardo Scanferlaジュニア男子タイムトライアルは13.9kmの周回コースを2周する。1993年・1994年生まれの54名が、5グループに分けられ、1分毎にスタートを切った。
第1グループのジェームズ・オラム(ニュージーランド)は、前半から抜群のスピードを見せ、35分11秒という暫定トップタイムをマーク。ゴール時点で下位を1分半近く引き離したオラムは、長くホットシートに座り続けた。
ジュニア男子タイムトライアル表彰台、左から2位ジェームズ・オラム(ニュージーランド)、優勝マス・ビュルツシュミット(デンマーク)、3位デーヴィッド・エドワーズ(オーストラリア) photo:Kei Tsujiこのオラムのタイムを塗り替えたのが、第4グループのマス・ビュルツシュミット(デンマーク)。1周目を終えた時点でオラムのタイムを4秒更新して観客を沸かすと、その後もハイペースを維持する。ビュルツシュミットは何度も試走を繰り返したことが明白なコーナリングスピードで、ゴールまで突き進んだ。
結果は、オラムのタイムを4秒更新する35分08秒。第5グループのデーヴィッド・エドワーズ(オーストラリア)が肉薄するタイムを1周目を終えるも、後半に失速してビュルツシュミットのタイムは破れず。ホットシートに座り、後続のゴールを見届けたビュルツシュミットは、静かにガッツポーズを繰り出した。
ビュルツシュミットは1994年3月31日生まれの17歳。アルカンシェルを着て臨んだ記者会見で、あどけない表情が緩む。
「全力で走り、最高のタイムトライアルにしたかった。本当に信じられない。間違いなく自分の人生の中で最高の瞬間であり、まだ状況が飲み込めていない。良い走りが出来たと思っていたけど、実際にホットシートに座っているのが信じられなかった。そこに座って、ライバルのゴールを待つのは精神的にキツかったよ」。
35分07秒のトップタイムで優勝したマス・ビュルツシュミット(デンマーク) photo:Kei Tsuji
4秒差で敗れたジェームズ・オラム(ニュージーランド) photo:Kei Tsuji
後続のゴールを待つマス・ビュルツシュミット(デンマーク) photo:Kei Tsuji
デンマーク人の優勝に沸く観衆 photo:Kei Tsuji1994年から行なわれているジュニア男子タイムトライアルにおいて、北欧勢が金メダルを獲得するのはこれが初めて。
なお、現世界チャンピオンのファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)は1998年と1999年、今年ブレイクしたマルセル・キッテル(ドイツ、スキル・シマノ)は2005年と2006年に同種目を制している。
内野直也(湘南ベルマーレ)がコペンハーゲン市庁舎前広場を通過 photo:Kei Tsuji日本から唯一タイムトライアルにエントリーした内野直也は、第2グループでのスタート。UCI(国際自転車競技連合)の厳正なバイクチェック(車検)によって、直前にサドル角度やハンドル=サドルの距離を変更を強いられたが、落ち着いた表情でスタート台に登る。
内野は今年の全日本選手権タイムトライアルでジュニアカテゴリー初優勝。2009年と2010年はU17で連覇を果たしている。TTスペシャリストとして、同世代の中では頭一つ抜けている感もある。
しかし内野は前半からタイムを伸ばせず、2周目に後続のポーランドの選手に抜かれてゴール。トップから3分52秒遅れ、54名中52位という厳しい結果に終わった。
「コースはテクニカルでしたが、全力を尽くしたので悔いは無いです。世界との差を感じました」。内野は今年がジュニア1年目。世界トップのエリート選手と一緒にコースを試走し、そして初めて世界の舞台で闘った。この経験が将来に向けての良い刺激になることを期待したい。
スタートを待つ内野直也(湘南ベルマーレ) photo:Kei Tsuji
27.8kmの平坦コースを駆ける内野直也(湘南ベルマーレ) photo:Kei Tsuji
27.8kmの平坦コースを駆ける内野直也(湘南ベルマーレ) photo:Riccardo Scanferla
ロード世界選手権2011ジュニア男子タイムトライアル結果
1位 マス・ビュルツシュミット(デンマーク) 35'08"
2位 ジェームズ・オラム(ニュージーランド) +04"
3位 デーヴィッド・エドワーズ(オーストラリア) +21"
4位 マルクス・ファエルムカールソン(スウェーデン) +33"
5位 ユリー・ヴァシリフ(ドイツ) +39"
6位 キャスパー・フォンフォルサク(デンマーク) +40"
7位 クリストファー・ジョーゲンソン(アメリカ) +47"
8位 ジョン・ディッベン(イギリス) +48"
9位 ピエールアンリ・ルキュイジニエ(フランス) +49"
10位 ソンドレ・エンゲル(ノルウェー) +50"
52位 内野直也(日本、湘南ベルマーレ) +3'52"
text&photo:Kei Tsuji in Copenhagen, Denmark

第1グループのジェームズ・オラム(ニュージーランド)は、前半から抜群のスピードを見せ、35分11秒という暫定トップタイムをマーク。ゴール時点で下位を1分半近く引き離したオラムは、長くホットシートに座り続けた。

結果は、オラムのタイムを4秒更新する35分08秒。第5グループのデーヴィッド・エドワーズ(オーストラリア)が肉薄するタイムを1周目を終えるも、後半に失速してビュルツシュミットのタイムは破れず。ホットシートに座り、後続のゴールを見届けたビュルツシュミットは、静かにガッツポーズを繰り出した。
ビュルツシュミットは1994年3月31日生まれの17歳。アルカンシェルを着て臨んだ記者会見で、あどけない表情が緩む。
「全力で走り、最高のタイムトライアルにしたかった。本当に信じられない。間違いなく自分の人生の中で最高の瞬間であり、まだ状況が飲み込めていない。良い走りが出来たと思っていたけど、実際にホットシートに座っているのが信じられなかった。そこに座って、ライバルのゴールを待つのは精神的にキツかったよ」。




なお、現世界チャンピオンのファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)は1998年と1999年、今年ブレイクしたマルセル・キッテル(ドイツ、スキル・シマノ)は2005年と2006年に同種目を制している。

内野は今年の全日本選手権タイムトライアルでジュニアカテゴリー初優勝。2009年と2010年はU17で連覇を果たしている。TTスペシャリストとして、同世代の中では頭一つ抜けている感もある。
しかし内野は前半からタイムを伸ばせず、2周目に後続のポーランドの選手に抜かれてゴール。トップから3分52秒遅れ、54名中52位という厳しい結果に終わった。
「コースはテクニカルでしたが、全力を尽くしたので悔いは無いです。世界との差を感じました」。内野は今年がジュニア1年目。世界トップのエリート選手と一緒にコースを試走し、そして初めて世界の舞台で闘った。この経験が将来に向けての良い刺激になることを期待したい。



ロード世界選手権2011ジュニア男子タイムトライアル結果
1位 マス・ビュルツシュミット(デンマーク) 35'08"
2位 ジェームズ・オラム(ニュージーランド) +04"
3位 デーヴィッド・エドワーズ(オーストラリア) +21"
4位 マルクス・ファエルムカールソン(スウェーデン) +33"
5位 ユリー・ヴァシリフ(ドイツ) +39"
6位 キャスパー・フォンフォルサク(デンマーク) +40"
7位 クリストファー・ジョーゲンソン(アメリカ) +47"
8位 ジョン・ディッベン(イギリス) +48"
9位 ピエールアンリ・ルキュイジニエ(フランス) +49"
10位 ソンドレ・エンゲル(ノルウェー) +50"
52位 内野直也(日本、湘南ベルマーレ) +3'52"
text&photo:Kei Tsuji in Copenhagen, Denmark
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