TOJ美濃ステージのコースで行われた都道府県対抗ロード。女子はゴールスプリントで福本千佳(大阪府、同志社大)が、男子は中根英登(愛知県、中京大学)がラスト6kmを独走して優勝。トラックレースもあわせて紹介しよう。

清流・板取川沿いのコース。男子1周目清流・板取川沿いのコース。男子1周目 photo:Hideaki.TAKAGI9月8日から10日まで3日間の日程で、第46回全国都道府県対抗自転車競技大会が岐阜県岐阜市と美濃市で行われた。これは国民体育大会のプレ大会でもあり、来年は同じ場所・コースで国体が行われる。
国体と同じく選手は普段所属のチームでなく、各都道府県代表選手として参加する。チームプレーも各県単位で行われ、普段の仲間が敵になる大会だ。

男子スタート男子スタート photo:Hideaki.TAKAGI女子スタート女子スタート photo:Hideaki.TAKAGI会場はツアー・オブ・ジャパン美濃ステージの周回コースそのものだ。1周21.3kmの平坦で1箇所上りがあるスピードコース。平坦系といってもこの上りがアクセントになっており、TOJでは独走や小集団ゴールにもなっている。

女子 福本千佳(大阪府、同志社大)が優勝女子 福本千佳(大阪府、同志社大)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI女子優勝の福本千佳(大阪府、同志社大)女子優勝の福本千佳(大阪府、同志社大) photo:Hideaki.TAKAGI復活優勝の福本千佳(大阪府、同志社大)
女子は2周42.6kmで行われた。1周目の上りで32人の集団が分かれ、8人の先頭集団ができる。2周目でさらに3人になりゴールへ。福本、明珍裕子(岐阜県、朝日大)、石井寛子(茨城県、スーパーKアスリートラボ)だ。ラスト500mで横並びになり、福本が下がって後方からロングスパート。これが決まって福本が優勝。

福本は「久しぶりに表彰台の真ん中に立ててとても嬉しいです。自分が勝てると思っていなかったので、自分で驚いています。今日は最後の上りで明珍さんがアタックして3人で抜け出しました。ゴール前は横並びになって、石井さんも明珍さんも自分よりスピードがあるので、いったん下がって後ろから仕掛けました」
福本は今春から同志社大学に入学し自転車競技部に入ったが、その時点で故障していて走れる状況ではなかった。「昨年の10月から故障で練習ができませんでした。入学してからも走れず、この先どうしようかとも思ったときもありました。ようやく練習らしい練習を始めたのが2ヶ月前です」苦難を乗り越えてきただけに、喜びも大きい。


中根英登(愛知県、中京大学)が逃げ切り優勝
男子は4周85.2kmのレースで92人がスタート。序盤からアタックがかかり安定しない。1周目、野中竜馬(広島県、鹿屋体育大)、中根英登(愛知県、中京大学)、広瀬樹(神奈川県、横浜高)の3人が抜け出すも吸収。2周目に広瀬、西村大輝(東京都、昭和第一学園高)、徳田優(京都府、北桑田高)の高校生3人が抜け出し集団に30秒差をつける。

男子 中根英登(愛知県、中京大学)が優勝男子 中根英登(愛知県、中京大学)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGIさらにこの3人に5人が合流して先頭は8人になり40秒差をつける。広瀬、西村、徳田、中根、山下貴宏(兵庫県、マトリックスパワータグ)、真鍋和幸(香川県、マトリックスパワータグ)、野中、橋本英也(岐阜県、岐南工高)だ。このなかで西村はジュニア全日本ロードチャンピオン、徳田は9月4日に終えた全日本ステージ・レースinいわてを総合優勝、そして橋本は一ヶ月前のインターハイ3km個人追抜きで3分30秒937の高校記録を樹立した、いずれもトップレベルの高校生達だ。
この逃げを追って白石真悟(山口県、シマノ)や黒枝士揮(大分県、鹿屋体育大)らが追走するがやがてメイン集団に戻る。

最終周回、上り区間で中根がアタック、山下、真鍋が追うも下りを経て差を広げ、そのまま独走ゴール。2位以下も逃げた合計7人までが、メイン集団よりも前でゴールした。
中根は学生ロードでの優勝はあるが、エリートを含むクラスでの全国優勝は初めて。レースではチームメイトの榊原とともに常にアタックする存在。榊原もインカレポイントレースに続いて都道府県トラックの同種目でも優勝。2人ともようやく結果を出した夏となった。

ロード優勝の中根英登(右)と本大会ポイントレース優勝の榊原健一(左)。同じ中京大学所属だロード優勝の中根英登(右)と本大会ポイントレース優勝の榊原健一(左)。同じ中京大学所属だ photo:Hideaki.TAKAGI「一番やりたかった勝ち方」 優勝の中根英登(愛知県、中京大学)
「最高です。最初に高校生が逃げたので、大学生が追わねばと追いました。マトリックスの2人にも助けてもらい、ローテーションしてうまく逃げられました。最後は相手のことを気にせず後ろも見ず、アタックしました。つかまったとしても榊原がいるので大丈夫と思いました。(一年後輩の)榊原がインカレとこの都道府県のポイントレースを勝っているので刺激になりました。先にポイントレースで勝たれてしまったのでボクがこのロードで絶対に勝たなきゃと思いました。自分としては逃げ切り優勝が一番やりたかった勝ち方。嬉しいです」

また、ポイントレースで優勝した榊原は「今日のロードは自分の力が足りませんでした。本当は中根さんと一緒に逃げたかったのですが、悔しいです」「インカレのポイントレースは格上の選手たちの中で勝てて嬉しいです。都道府県に関しては、今後出る大会のためにもいい走りをしようと思った結果です」「これからはロードとトラックの両方をやりたいです。トラックは大学生のうちに中長距離系で強くなりたいです。周りからいいプレッシャーをもらっているので走れています」と語る。

女子ポイントレース優勝の石井寛子(茨城県、スーパーKアスリートラボ)女子ポイントレース優勝の石井寛子(茨城県、スーパーKアスリートラボ) photo:Hideaki.TAKAGIチームスプリント 優勝の三重県(廣田、高士、谷口)チームスプリント 優勝の三重県(廣田、高士、谷口) photo:Hideaki.TAKAGI団体追抜き 優勝の岐阜県(高橋、矢野、加藤、橋本)4分29秒578(大会新)団体追抜き 優勝の岐阜県(高橋、矢野、加藤、橋本)4分29秒578(大会新) photo:Hideaki.TAKAGIケイリン決勝 赤澤健(長野県、信州大学)が優勝ケイリン決勝 赤澤健(長野県、信州大学)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI
結果
男子
1位 中根英登(愛知県、中京大学)2時間00分36秒
2位 山下貴宏(兵庫県、マトリックスパワータグ)+13秒
3位 真鍋和幸(香川県、マトリックスパワータグ)+18秒
4位 野中竜馬(広島県、鹿屋体育大)+27秒
5位 西村大輝(東京都、昭和第一学園高)+33秒
6位 徳田優(京都府、北桑田高)+35秒
7位 橋本英也(岐阜県、岐南工高)+53秒
8位 一丸尚伍(大分県EQADS)+55秒
9位 片桐善也(新潟県、吉田高)+56秒
10位 辻本翔太(千葉県、松戸市)

女子
1位 福本千佳(大阪府、同志社大)1時間04分36秒
2位 明珍裕子(岐阜県、朝日大)+02秒
3位 石井寛子(茨城県、スーパーKアスリートラボ)+10秒

photo&text:高木秀彰