9月9日から13日間の日程でツアー・オブ・チャイナ2011が開幕した。第2回目の開催ながら5大陸、18ヶ国のチームが参加するアジア最高峰のレースだ。日本からは愛三工業レーシングが国内初の招待を受けて参戦。彼らの目標であるアジアツアーランキング上位をめざし、ハイレベルなレースが展開されるだろう。

オープニングセレモニーのアシスタントを務めた中国美女オープニングセレモニーのアシスタントを務めた中国美女 (c)Sonoko.Tanaka中国で開催される約2週間のステージレース

ツアー・オブ・チャイナ。今年で2回目の開催を迎える中国のフレッシュなステージレースだ(UCI2.1)。昨年の大会成功を受けて、今年はさらに規模を拡大し、9月9日~21日の日程で、エキシビションレースである個人タイムトライアルと移動日を2日含んだ、13日間、9ステージで開催される。

コースは中国西部の都市・西安(Xi'an)を皮切りに宝鶏(Baoji)、重慶(Chongqing)、成都(Chengdu)などの都市を8ステージかけて周り、そこから飛行機に乗って首都・北京に近い天津(Tianjin)に移動し、最終ステージを迎えるというスケジュール。レース距離は約1,200km、しかし選手たちの移動距離は4,000kmを超えるという広大な国土を有すツアー・オブ・チャイナ2011 コースマップツアー・オブ・チャイナ2011 コースマップ (c)Sonoko.Tanakaる中国を象徴するレースだ。

ちなみにレースのスタート地・西安(長安)は、シルクロードの始点となり古くから栄えた街。かつて隋や唐の時代には日本から遣隋使、遣唐使が訪れた街だ。世界遺産にも登録されている兵馬俑(へいばよう)が郊外にあることでも有名な街だ。
朝晩は冷え込み、上着が必要になるが、日中は汗ばむ陽気が続いている。しかし中国特有の大気汚染から、いつも空は澄みきらない。

さて、今回のレースコースを見ていこう。第1ステージのクリテリウムに始まり、高速道路を走るもの、周回コースに山岳コースとバリエーションに富んでいるのが特徴になる。まず山場となるのが、最初の移動日の前日に当たる第3ス各チームの代表が壇上に上がり紹介される。国際色豊かなチームが揃う各チームの代表が壇上に上がり紹介される。国際色豊かなチームが揃う (c)Sonoko.Tanakaテージ。獲得標高差700mの1級山岳が控える。ここまでに序盤の主導権チームが決まってくるだろう。そして後半の山場は第8ステージでは、同じく標高差700mの1級山岳がコースに組み込まれている。しかしどちらの山岳も頂上ゴールではないため、ピュアクライマーが有利というわけではない。

参加選手は22チーム、129名。海外から5大陸、18ヶ国のチームが参加しているという国際色豊かな顔ぶれだ。その背景には中国の豊富な資金源が想像できるが、アジアを拠点に戦うチームにとって、ヨーロッパやアメリカのプロコンチネンタルチームなどと一緒に走れる環境は、プラスに働くことだろう。


アジアランキング上位をめざす愛三工業レーシングチーム

「10月がランキングの切り替え月になります。チームにとって9月後半に開催されるこのレースが2010~2011年のUCIアジアツアーランキングを決める最後のレース。現在チームは6位につけている。上位2チームには届かないが、3位までならランクアップは可能。チームの目標であるアジアツアーランキング1位に向けて、少しでもランキングを上げたい。そのために今回はしっかりとポイントを稼ぎたいと思っています」と話す、別府匠監督。
チームは今回、どんな展開にも対応できるようにと、オールラウンドなメンバーを揃えて西安に到着した。ランキングを上げること、その明確な目標のもと、チームの志気は高い。

日本チームとして初めてツアー・オブ・チャイナに参戦する愛三工業レーシングチーム日本チームとして初めてツアー・オブ・チャイナに参戦する愛三工業レーシングチーム (c)Sonoko.TanakaUCIアジアツアー、チーム別ランキング(2011年8月25日)
1位 タブリーズペトロケミカル(イラン) 860 Pt
2位 アザド大学(イラン) 677 Pt
3位 ファルネーゼ・ヴィーニ(イギリス) 332 Pt
4位 ジャイアント・ケンダ(台湾) 318.67 Pt
5位 トレンガヌ・プロアジア(マレーシア) 301 Pt
6位 愛三工業レーシングチーム(日本) 287 Pt
7位 ルトゥーア(マレーシア) 286 Pt
8位 CCCポルサット(ポーランド) 272 Pt


レースに先駆けて開催された興行タイムトライアル

総合順位には影響しないエキシビションレースとして開催された大会初日の個人タイムトライアル。直線路を進みUターンして戻ってくる単調なコースレイアウトで、すべての選手が1分おきに5.6kmのコースを疾走した。

個人タイムトライアルを走る盛一大(愛三工業レーシングチーム)個人タイムトライアルを走る盛一大(愛三工業レーシングチーム) (c)Sonoko.Tanaka個人タイムトライアルを走る西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) 個人タイムトライアルを走る西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)  (c)Sonoko.Tanaka


トップには賞金2240USドルが贈られ、また各選手がそれぞれのコンディションを確認する意味でも総合順位に加算されないとはいえ、白熱したレースとなった。
トップタイムを出したのはロシアナショナルチームのアレクセイ・マルコフ。北京五輪トラック・マディソンの銅メダリストが圧倒的な強さをみせた。2位にロバート・ロスコフ(アメリカ、チームタイプ1)、3位にディルク・ミューラー(ドイツ、ニュトリキシオン)と続いた。日本人最高位はトップと21秒差、30位の盛一大(愛三工業レーシングチーム)だった。

個人タイムトライアルを走る綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)個人タイムトライアルを走る綾部勇成(愛三工業レーシングチーム) (c)Sonoko.Tanaka個人タイムトライアルを走る鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)個人タイムトライアルを走る鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム) (c)Sonoko.Tanaka個人タイムトライアルを走る伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)個人タイムトライアルを走る伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム) (c)Sonoko.Tanaka

盛選手は言う「今日のタイムトライアルを終えて、強い選手、調子のいい選手が多くいることがわかった。明日からのレースで、パワー勝負の展開にしてしまうと勝つことは難しいかも知れない。でも勝負は力の差だけではない。うまく走って、UCIポイントをできるだけ多く獲りたいと思います。チームは台風などの影響もあり、みんな走り込めていない状況。レースが進むごとに調子は良くなっていくと思います」

別府匠監督(愛三工業レーシングチーム)別府匠監督(愛三工業レーシングチーム) (c)Sonoko.Tanaka別府監督は、「レースの主導権を掴むことは難しいかもしれないが、アクティブなチームだと言うことをアピールしたい。もちろんUCIポイントを獲ることがチームの目標になりますが、逃げには乗れるし、スプリントに備えた列車を組むこともできるチームなので、存在感を示して見せ場を作って、アピールすることも視野に入れたいですね」と話す。


第1ステージは西安でのクリテリウム

タイムトライアルに続いて、盛大なオープニングセレモニーを終え、いよいよ明日からツアー・オブ・チャイナ2011が開個人タイムトライアルを制したアレクセイ・マルコフ(ロシア、ロシアナショナル)個人タイムトライアルを制したアレクセイ・マルコフ(ロシア、ロシアナショナル) (c)Sonoko.Tanaka幕する。第1ステージは12.1kmのコースを10周回する西安市内でのクリテリウム。レースの行方だけでなく、中国本土でのビッグスケールなレース運営も楽しみにしたい。もちろん愛三工業チームの健闘にも期待しよう。







photo&text:Sonoko.Tanaka

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