2011/05/16(月) - 12:13
ヨーロッパやアメリカのブランドが幅をきかせているなか、ジャパンオリジナルブランドとして気を吐いているエヴァディオ。そのエヴァディオが誇るフルカーボンのピュアレーシングモデル ヴィーナス SLがモデルチェンジして、ヴィーナス 01へと進化した。その実力をじっくりと検証してみよう。
エヴァディオ ヴィーナス 01 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
実業団レベルの選手やガンガン走る上級者ライダーに人気の高いヴィーナス SLをベースとして、さらなる高剛性化を計ったフルカーボンモデルがここに紹介するヴィーナス 01(ヴィーナス 01)だ。ジャパンオリジナルブランド「エヴァディオ」が自信を持って放ったフラッグシップモデルである。
ヴィーナス SLもその軽量性と相反する剛性感の高いモデルとして有名であるが、ヴィーナス 01ではヘッドまわりとフォークをオーバーサイズからスーパーオーバーサイズとすることによって、圧倒的とも言える高剛性を実現してしまったのだ。もちろん、エヴァディオが得意としているリブ・パワー・システムも採用する。
ワイヤー類は内蔵される
ストレートな形状のトップチューブ
「高剛性化」。近年のカーボンバイクのインプレでは聞き飽きた言葉だろう。実際「最近のバイクは剛性が高すぎるものが多い。もう剛性に走る時代ではなく、より上質な乗り味やエアロ化が最優先項目だ」という人も多い。プロのライダーでさえ同様の意見を言う人がいるほどだ。
しかし、あえてヴィーナス 01は高剛性化という道を選んだ。そこには、次のようなポリシーがある。
日本の路面はヨーロッパのそれとは比較にならないほど平滑でスムース。日本中どこを探しても、ヨーロッパのようなパヴェ(石畳)などない。ならば、過剰なショック吸収性を与えるよりも、ヘッドまわりからフォークの剛性を上げ、よりコントローラブルでパワー伝達効率の良いフレームにした方が日本のライダーに向いている。そういった設計コンセプトが、このヴィーナス 01にはあるのだ。
力強いヘッドまわり
リブ・パワー・システムで圧倒的な剛性感を実現する
ワイヤー類は内蔵される
実に明快でわかりやすい考え方である。確かに、距離が短く平滑な路面で行われる日本のレースでは、ショック吸収性重視のコンフォート系バイクよりヴィーナス 01のようなバイクの方が色々な意味で理にかなっていると言えるだろう。
ヴィーナス 01は、あえて流行のインテグラルシートポストやBB30などを採用していない。ノーマルのシートポストにノーマルのBBだ。言うまでもなく、これはメンテナンス性を向上させ、万が一のトラブル時にも迅速に対応できるための選択である。次から次へとニューバイクが供給されるプロ選手ならともかく、一般のライダーにとってこれはとても重要なことだ。
エヴァディオオリジナルのサドル
リヤディレイラーのワイヤーはBB下から外に出される
以上のように「走る道具」としての要求を完璧に満たしたヴィーナス 01だが、もう一つ特筆すべきことがある。ペイントの美しさである。「システムワン」というカラーオーダーシステムによって、自分の好みのカラーリングを施すことができるのだ。
システムワンには何と15,000通り以上という幅広いバリエーションが用意されており、自分の思い通りのペイントに塗ることが可能。これはロードバイクに「走る道具」以上のものを感じている人にとって、極めて大きな魅力となるだろう。
ワイヤー類は内蔵処理となる。これによるシンプルなルックスも、ペイントの美しさを際だたせると同時に、エアロ効果の向上など性能アップにも一役買っている。
シートステーも比較的ストレートな形状だ
シートステーも比較的ストレートな形状だ
シートステーはモノステータイプを採用する
そんな魅力満載のエヴァディオ ヴィーナス 01、果たしてその性能はどのようなものだったのだろうか? さっそくインプレッションをお届けしよう。
―インプレッション
「海外有名ブランドのトップモデルと肩を並べる高性能」
仲沢 隆(自転車ジャーナリスト)
とても走行感の軽いバイクだ。踏み出しからスーッと加速を始め、スピードに乗ってからもちょっと踏み込むとよどみなく加速してくれる。まさにピュアレーシングバイクという印象だ。
「日本人に最適なジオメトリーを持っているという点も見逃せない」仲沢 隆
上りは実に気持ちが良い。思いっきり踏み込んでもフレームが負けることがなく、踏んだ分だけグングン上ってくれる印象なのだ。キレイに回せる人はもちろんのこと、いわゆる「がちゃ踏み」の人でもその踏力を受け止めてくれる懐の深さを持ったフレームである。
下りの安定感も抜群だ。ハイスピードで下りコーナーを攻めても、思い通りのラインを描いてクリアすることができる。本当に気持ち良い下り性能だ。これは、初心者にとっても安心なハンドリングだと言うことができるだろう。
剛性感はかなり高い。海外有名ブランドの「硬い」と評されるバイクと比較しても、その剛性感の高さは一歩も引けを取らない。いや、それら以上に剛性感が高いといっても良いだろう。
「海外有名ブランドのトップモデルと肩を並べる高性能」仲沢 隆 海外有名ブランドのバイクの場合、どうしてもヨーロッパのパヴェ(石畳)を走行するというファクターを考慮せざるを得ない。しかし、日本にはパヴェなどない。ならば、日本のきれいな路面を考慮した日本向けのバイクがあっても良いはずだ。ヴィーナス 01はそんな発想からできているバイクなのだ。
反面、海外有名ブランドのハイエンドバイクと比べても、乗り味は硬めだ。しかし、ヴィーナス 01は乗り味を無視したガチガチのバイクというわけではない。やや細めに作られたシートステーは適度にショック吸収してくれるし、フォークもレーシングバイクとして必要な振動吸収性を備えている。高剛性なのに乗り味も犠牲にしていないというのは、まさに設計の妙だ。さすがヴィーナス SLなどで技術を磨いてきたエヴァディオである。
ヴィーナス 01は、見た目にもとても美しい。シンプルだが計算された各部のライン、基本に忠実なジオメトリー、芸術的なペイントと、「ロードバイクは性能が命。走りが良ければ見た目はどうでもイイ」という実走派のライダーだけでなく、「やっぱりロードバイクは美しく官能的でなければイケナイ」というマニアの方まで、誰でも満足させられるだけの資質を備えている。
日本人に最適なジオメトリーを持っているという点も見逃せない。海外有名ブランドのバイクの場合、「トップチューブがあと1cm長かったら……」なんていうこともあるが、ヴィーナス 01は日本人の体型に合わせた最適なジオメトリーを採用しているので、ほとんどの人にピッタリと感じられることだろう。
エイブラハム・リンカーンの有名なゲティスバーグ演説の一節「人民の、人民による、人民のための政治」をもじるなら、まさにヴィーナス 01は「日本人の、日本人による、日本人のためのロードバイク」と言うことができる。
ヴィーナス 01は誰が乗っても文句のでないバイクだと思うが、特にオススメしたいのは、やはりレース指向の人やある程度スキルを持った上級者だ。コンフォート系のバイクではないので、突き上げもそれなりにある。低速でラクチンに走りたいという人に向けたバイクではない。ヴィーナス 01はそんな硬派なバイクである。
性能的に言って、ヴィーナス 01は海外有名ブランドのハイエンドモデルに一歩も引けを取らない。いや、日本人が日本で使う分にはそれらを凌駕していると言っても過言ではないだろう。
カラーリングが自由に選べるのもエヴァディオの魅力だ。トレックのプロジェクト・ワンにも引けを取らないウェブ上のカラーオーダーシステムのシステム・ワンをいち早く立ち上げ、稼動させている。今回紹介したカスタム色の強いパターンからオーソドックスなパターンまで自在に選べる。例えばチーム単位のオリジナルカラーやロゴ入れにも対応できるのは国産ならではの魅力だ。
エヴァディオ ヴィーナス 01 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
エヴァディオ ヴィーナス 01
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン+カーボンコラム
サイズ:47、50、53、56、59cm
付属品:エヴァディオオリジナルトップキャップ、カーボンヘッドコラム用アンカーナット、ヘッドセット、キャリパーブレーキ固定ナットチタン製前後セット、ボトル台座ボルト(4本)、カーボンスペーサー(3mm×2、5mm×2、10mm×2)、シートクランプ 34.9mm用(CNC MADEカーボンピラー用)、フロントメカ直付バンド 34.9mm用、ヴィーナス専用ワイヤーリード
価格:ベーシック 323,400円(税込み)
2011デザイン 323,400円(税込み)
ファイヤーバード 354,900円(税込み)
ザ・サン 333,900円(税込み)
レディーバード 333,900円 (税込み)
インプレライダーのプロフィール
仲沢 隆(自転車ジャーナリスト) 仲沢 隆(自転車ジャーナリスト)
ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアなどのロードレースの取材、選手が使用するロードバイクの取材、自転車工房の取材などを精力的に続けている自転車ジャーナリスト。ロードバイクのインプレッションも得意としており、乗り味だけでなく、そのバイクの文化的背景にまで言及できる数少ないジャーナリストだ。これまで試乗したロードバイクの数は、ゆうに500台を超える。2007年からは早稲田大学大学院博士後期課程(文化人類学専攻)に在学し、自転車文化に関する研究を数多く発表している。
text:Takashi.NAKAZAWA
photo:Makoto.AYANO
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実業団レベルの選手やガンガン走る上級者ライダーに人気の高いヴィーナス SLをベースとして、さらなる高剛性化を計ったフルカーボンモデルがここに紹介するヴィーナス 01(ヴィーナス 01)だ。ジャパンオリジナルブランド「エヴァディオ」が自信を持って放ったフラッグシップモデルである。
ヴィーナス SLもその軽量性と相反する剛性感の高いモデルとして有名であるが、ヴィーナス 01ではヘッドまわりとフォークをオーバーサイズからスーパーオーバーサイズとすることによって、圧倒的とも言える高剛性を実現してしまったのだ。もちろん、エヴァディオが得意としているリブ・パワー・システムも採用する。
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「高剛性化」。近年のカーボンバイクのインプレでは聞き飽きた言葉だろう。実際「最近のバイクは剛性が高すぎるものが多い。もう剛性に走る時代ではなく、より上質な乗り味やエアロ化が最優先項目だ」という人も多い。プロのライダーでさえ同様の意見を言う人がいるほどだ。
しかし、あえてヴィーナス 01は高剛性化という道を選んだ。そこには、次のようなポリシーがある。
日本の路面はヨーロッパのそれとは比較にならないほど平滑でスムース。日本中どこを探しても、ヨーロッパのようなパヴェ(石畳)などない。ならば、過剰なショック吸収性を与えるよりも、ヘッドまわりからフォークの剛性を上げ、よりコントローラブルでパワー伝達効率の良いフレームにした方が日本のライダーに向いている。そういった設計コンセプトが、このヴィーナス 01にはあるのだ。
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実に明快でわかりやすい考え方である。確かに、距離が短く平滑な路面で行われる日本のレースでは、ショック吸収性重視のコンフォート系バイクよりヴィーナス 01のようなバイクの方が色々な意味で理にかなっていると言えるだろう。
ヴィーナス 01は、あえて流行のインテグラルシートポストやBB30などを採用していない。ノーマルのシートポストにノーマルのBBだ。言うまでもなく、これはメンテナンス性を向上させ、万が一のトラブル時にも迅速に対応できるための選択である。次から次へとニューバイクが供給されるプロ選手ならともかく、一般のライダーにとってこれはとても重要なことだ。
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以上のように「走る道具」としての要求を完璧に満たしたヴィーナス 01だが、もう一つ特筆すべきことがある。ペイントの美しさである。「システムワン」というカラーオーダーシステムによって、自分の好みのカラーリングを施すことができるのだ。
システムワンには何と15,000通り以上という幅広いバリエーションが用意されており、自分の思い通りのペイントに塗ることが可能。これはロードバイクに「走る道具」以上のものを感じている人にとって、極めて大きな魅力となるだろう。
ワイヤー類は内蔵処理となる。これによるシンプルなルックスも、ペイントの美しさを際だたせると同時に、エアロ効果の向上など性能アップにも一役買っている。
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そんな魅力満載のエヴァディオ ヴィーナス 01、果たしてその性能はどのようなものだったのだろうか? さっそくインプレッションをお届けしよう。
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「海外有名ブランドのトップモデルと肩を並べる高性能」
仲沢 隆(自転車ジャーナリスト)
とても走行感の軽いバイクだ。踏み出しからスーッと加速を始め、スピードに乗ってからもちょっと踏み込むとよどみなく加速してくれる。まさにピュアレーシングバイクという印象だ。
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下りの安定感も抜群だ。ハイスピードで下りコーナーを攻めても、思い通りのラインを描いてクリアすることができる。本当に気持ち良い下り性能だ。これは、初心者にとっても安心なハンドリングだと言うことができるだろう。
剛性感はかなり高い。海外有名ブランドの「硬い」と評されるバイクと比較しても、その剛性感の高さは一歩も引けを取らない。いや、それら以上に剛性感が高いといっても良いだろう。
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反面、海外有名ブランドのハイエンドバイクと比べても、乗り味は硬めだ。しかし、ヴィーナス 01は乗り味を無視したガチガチのバイクというわけではない。やや細めに作られたシートステーは適度にショック吸収してくれるし、フォークもレーシングバイクとして必要な振動吸収性を備えている。高剛性なのに乗り味も犠牲にしていないというのは、まさに設計の妙だ。さすがヴィーナス SLなどで技術を磨いてきたエヴァディオである。
ヴィーナス 01は、見た目にもとても美しい。シンプルだが計算された各部のライン、基本に忠実なジオメトリー、芸術的なペイントと、「ロードバイクは性能が命。走りが良ければ見た目はどうでもイイ」という実走派のライダーだけでなく、「やっぱりロードバイクは美しく官能的でなければイケナイ」というマニアの方まで、誰でも満足させられるだけの資質を備えている。
日本人に最適なジオメトリーを持っているという点も見逃せない。海外有名ブランドのバイクの場合、「トップチューブがあと1cm長かったら……」なんていうこともあるが、ヴィーナス 01は日本人の体型に合わせた最適なジオメトリーを採用しているので、ほとんどの人にピッタリと感じられることだろう。
エイブラハム・リンカーンの有名なゲティスバーグ演説の一節「人民の、人民による、人民のための政治」をもじるなら、まさにヴィーナス 01は「日本人の、日本人による、日本人のためのロードバイク」と言うことができる。
ヴィーナス 01は誰が乗っても文句のでないバイクだと思うが、特にオススメしたいのは、やはりレース指向の人やある程度スキルを持った上級者だ。コンフォート系のバイクではないので、突き上げもそれなりにある。低速でラクチンに走りたいという人に向けたバイクではない。ヴィーナス 01はそんな硬派なバイクである。
性能的に言って、ヴィーナス 01は海外有名ブランドのハイエンドモデルに一歩も引けを取らない。いや、日本人が日本で使う分にはそれらを凌駕していると言っても過言ではないだろう。
カラーリングが自由に選べるのもエヴァディオの魅力だ。トレックのプロジェクト・ワンにも引けを取らないウェブ上のカラーオーダーシステムのシステム・ワンをいち早く立ち上げ、稼動させている。今回紹介したカスタム色の強いパターンからオーソドックスなパターンまで自在に選べる。例えばチーム単位のオリジナルカラーやロゴ入れにも対応できるのは国産ならではの魅力だ。
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エヴァディオ ヴィーナス 01
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン+カーボンコラム
サイズ:47、50、53、56、59cm
付属品:エヴァディオオリジナルトップキャップ、カーボンヘッドコラム用アンカーナット、ヘッドセット、キャリパーブレーキ固定ナットチタン製前後セット、ボトル台座ボルト(4本)、カーボンスペーサー(3mm×2、5mm×2、10mm×2)、シートクランプ 34.9mm用(CNC MADEカーボンピラー用)、フロントメカ直付バンド 34.9mm用、ヴィーナス専用ワイヤーリード
価格:ベーシック 323,400円(税込み)
2011デザイン 323,400円(税込み)
ファイヤーバード 354,900円(税込み)
ザ・サン 333,900円(税込み)
レディーバード 333,900円 (税込み)
インプレライダーのプロフィール
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ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアなどのロードレースの取材、選手が使用するロードバイクの取材、自転車工房の取材などを精力的に続けている自転車ジャーナリスト。ロードバイクのインプレッションも得意としており、乗り味だけでなく、そのバイクの文化的背景にまで言及できる数少ないジャーナリストだ。これまで試乗したロードバイクの数は、ゆうに500台を超える。2007年からは早稲田大学大学院博士後期課程(文化人類学専攻)に在学し、自転車文化に関する研究を数多く発表している。
text:Takashi.NAKAZAWA
photo:Makoto.AYANO
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