2011/02/22(火) - 11:43
2011年2月21日、ブエルタ・ア・アンダルシア(UCI2.1)の第2ステージが、超級山岳を含む161.8kmで行なわれ、厳しいコースで絞られた43名によるスプリントでジョナタン・イヴェール(フランス、ソール・ソジャサン)が勝利。土井雪広(スキル・シマノ)は中盤の山岳で遅れ、59位でフィニッシュした。
ルタ・デル・ソル(ブエルタ・ア・アンダルシアの通称)2日目にして最難関山岳ステージが登場した。
コースはアルムニェカルからアドラまでの161.8km。中盤にかけて超級山岳ポロポス峠、1級山岳アルブニョル峠、3級山岳ベルハ峠が連続して登場する。獲得標高3300mオーバーのハードなステージだ。
レース序盤の平坦区間で早速5名の逃げグループが形成される。逃げたのは元U23世界チャンピオンのロメン・シカール(フランス、エウスカルテル)やマルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)ら。この日最初の超級山岳ポロポス峠に差し掛かる頃には、タイム差は8分まで広がった。
超級山岳ポロポス峠は登坂距離14.4km・高低差1050mの難関山岳。この登りでは必然的に有力選手たちによるペースアップが行なわれ、頂上通過時点でメイン集団は20名ほどの精鋭グループに絞り込まれる。リーダージャージのジミー・アングルヴァン(フランス、ソール・ソジャサン)は早くも脱落した。
ポロポス峠の下りで逃げグループからハビエル・ラミレス(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)が飛び出すと、そのまま次の1級山岳アルブニョル峠を先頭通過してみせる。メイン集団は下りで人数を増やしたが、アルブニョル峠で再び縮小し、そこから飛び出したファビオアンドレス・ドゥアルテ(コロンビア、ジェオックス・TMC)が単独でラミレスを追走。
2008年のU23世界チャンピオンであるドゥアルテは、ゴール60km手前で先頭ラミレスに合流。そのままメイン集団から2分のリードを得て逃げ続けた。
最後の3級山岳ベルハ峠に差し掛かると先頭はドゥアルテ単独になり、50名ほどのメイン集団が1分50秒遅れで追う展開。アングルヴァン脱落に伴い暫定総合トップに立ったマルケル・イリサール(スペイン)擁するレディオシャックと、オスカル・フレイレ(スペイン)のスプリント勝利を狙うラボバンクがメイン集団を強力に牽引し、ゴールまで5kmを残してドゥアルテを飲み込んだ。
その後も単発的なアタックが見られたが、どれも成功しないままゴールへ。スペインの期待を背負うベントソ(モビスター)とフレイレ(ラボバンク)を下したのは、ソール・ソジャサン所属のフランス人、イヴェールだった。
イヴェールは1985年生まれのオールラウンダーで、2006年にクレディアグリコルでプロデビュー。2009年はスキル・シマノに所属し、ASOが主催するパリ〜ニースで活躍して総合8位に。同チームのツール・ド・フランス出場権獲得に貢献した立役者の一人だ。2010年からソール・ソジャサンに所属している。
フレイレらをスプリントで下したイヴェールは、今シーズン初勝利の喜びを打ち明ける。「アンダルシアの難関山岳ステージで勝った!本当に今日の登りは厳しかった。でも集団に残ればスプリントのチャンスがあると思って、一つ一つ登りをこなしたんだ。集団のスプリント勝負でフレイレに20回勝負を挑んだとすると、19回は勝ち目がないと思う。でも今日のような統制のとれていないスプリントは得意。今回は自分の番だった。」
ソール・ソジャサンはこれでステージ2連勝。リーダージャージは失ったが、プロチームひしめくこのアンダルシアで手にした2勝の意味は大きい。
アングルヴァンに代わって赤いリーダージャージを受け取ったのは、初日の個人タイムトライアルで0秒差の2位に甘んじたイリサール。昨年エウスカルテルからレディオシャックに移籍したバスク出身の31歳は「今日のような獲得標高が3300mに達するようなハードステージで総合首位に立てたことは喜ばしい。山岳での辛い苦しみが最後に報われた。チームは全力でサポートしてくれたし、特にムラフエフ、ロフニー、スベルディアは一日中連れ添ってくれたんだ。彼らのおかげでモチベーションを得て、山岳を乗り切ることができた」と語っている。
総合有力候補のユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)やリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)、トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)、サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)、フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)らは集団内でゴール。総合トップ10がタイム差12秒以内で競り合う混戦状態だ。なお、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)は22分57秒遅れの84位に終わっている。
19分45秒遅れのグルペットでゴールした土井雪広は、自身のブログでレースをこう振り返る。「前半はアタックして逃げを試みたが、うまくいかなかった。今日は2つ目の山岳でラボバンクの引きに耐えられず、頂上まで5kmを残して遅れてしまった。」2月8日のチャレンジ・マヨルカ第3戦での落車で痛めた右手首は快方に向かっている。土井は「体が予想以上に動いているのが唯一の救い。明日からも攻めていこう」と前向きなコメントを残している。
レース展開はレース公式サイト、選手コメントは各チーム公式サイト(ソール・ソジャサン、レディオシャック)より。
ブエルタ・ア・アンダルシア2011第2ステージ結果
1位 ジョナタン・イヴェール(フランス、ソール・ソジャサン) 4h20'25"
2位 フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)
3位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
4位 ステイン・デヴォルデル(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
5位 セルゲイ・イワノフ(ロシア、カチューシャ)
6位 ルイス・パサモンテス(スペイン、モビスター)
7位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)
8位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
9位 ホセアルベルト・ベニテス(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)
10位 クリスティアン・クネース(ドイツ、チームスカイ)
59位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +19'45"
個人総合成績
1位 マルケル・イリサール(スペイン、レディオシャック) 4h29'53"
2位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +01"
3位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック) +02"
4位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン) +03"
5位 ルイス・パサモンテス(スペイン、モビスター) +08"
6位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ) +09"
8位 イワン・ロフニー(ロシア、レディオシャック) +10"
9位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
10位 アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック) +12"
71位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +20'26"
ポイント賞
ジョナタン・イヴェール(フランス、ソール・ソジャサン)
スプリント賞
ファビオアンドレス・ドゥアルテ(コロンビア、ジェオックス・TMC)
山岳賞
ハビエル・ラミレス(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)
チーム総合成績
レディオシャック
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
ルタ・デル・ソル(ブエルタ・ア・アンダルシアの通称)2日目にして最難関山岳ステージが登場した。
コースはアルムニェカルからアドラまでの161.8km。中盤にかけて超級山岳ポロポス峠、1級山岳アルブニョル峠、3級山岳ベルハ峠が連続して登場する。獲得標高3300mオーバーのハードなステージだ。
レース序盤の平坦区間で早速5名の逃げグループが形成される。逃げたのは元U23世界チャンピオンのロメン・シカール(フランス、エウスカルテル)やマルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)ら。この日最初の超級山岳ポロポス峠に差し掛かる頃には、タイム差は8分まで広がった。
超級山岳ポロポス峠は登坂距離14.4km・高低差1050mの難関山岳。この登りでは必然的に有力選手たちによるペースアップが行なわれ、頂上通過時点でメイン集団は20名ほどの精鋭グループに絞り込まれる。リーダージャージのジミー・アングルヴァン(フランス、ソール・ソジャサン)は早くも脱落した。
ポロポス峠の下りで逃げグループからハビエル・ラミレス(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)が飛び出すと、そのまま次の1級山岳アルブニョル峠を先頭通過してみせる。メイン集団は下りで人数を増やしたが、アルブニョル峠で再び縮小し、そこから飛び出したファビオアンドレス・ドゥアルテ(コロンビア、ジェオックス・TMC)が単独でラミレスを追走。
2008年のU23世界チャンピオンであるドゥアルテは、ゴール60km手前で先頭ラミレスに合流。そのままメイン集団から2分のリードを得て逃げ続けた。
最後の3級山岳ベルハ峠に差し掛かると先頭はドゥアルテ単独になり、50名ほどのメイン集団が1分50秒遅れで追う展開。アングルヴァン脱落に伴い暫定総合トップに立ったマルケル・イリサール(スペイン)擁するレディオシャックと、オスカル・フレイレ(スペイン)のスプリント勝利を狙うラボバンクがメイン集団を強力に牽引し、ゴールまで5kmを残してドゥアルテを飲み込んだ。
その後も単発的なアタックが見られたが、どれも成功しないままゴールへ。スペインの期待を背負うベントソ(モビスター)とフレイレ(ラボバンク)を下したのは、ソール・ソジャサン所属のフランス人、イヴェールだった。
イヴェールは1985年生まれのオールラウンダーで、2006年にクレディアグリコルでプロデビュー。2009年はスキル・シマノに所属し、ASOが主催するパリ〜ニースで活躍して総合8位に。同チームのツール・ド・フランス出場権獲得に貢献した立役者の一人だ。2010年からソール・ソジャサンに所属している。
フレイレらをスプリントで下したイヴェールは、今シーズン初勝利の喜びを打ち明ける。「アンダルシアの難関山岳ステージで勝った!本当に今日の登りは厳しかった。でも集団に残ればスプリントのチャンスがあると思って、一つ一つ登りをこなしたんだ。集団のスプリント勝負でフレイレに20回勝負を挑んだとすると、19回は勝ち目がないと思う。でも今日のような統制のとれていないスプリントは得意。今回は自分の番だった。」
ソール・ソジャサンはこれでステージ2連勝。リーダージャージは失ったが、プロチームひしめくこのアンダルシアで手にした2勝の意味は大きい。
アングルヴァンに代わって赤いリーダージャージを受け取ったのは、初日の個人タイムトライアルで0秒差の2位に甘んじたイリサール。昨年エウスカルテルからレディオシャックに移籍したバスク出身の31歳は「今日のような獲得標高が3300mに達するようなハードステージで総合首位に立てたことは喜ばしい。山岳での辛い苦しみが最後に報われた。チームは全力でサポートしてくれたし、特にムラフエフ、ロフニー、スベルディアは一日中連れ添ってくれたんだ。彼らのおかげでモチベーションを得て、山岳を乗り切ることができた」と語っている。
総合有力候補のユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)やリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)、トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)、サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)、フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)らは集団内でゴール。総合トップ10がタイム差12秒以内で競り合う混戦状態だ。なお、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)は22分57秒遅れの84位に終わっている。
19分45秒遅れのグルペットでゴールした土井雪広は、自身のブログでレースをこう振り返る。「前半はアタックして逃げを試みたが、うまくいかなかった。今日は2つ目の山岳でラボバンクの引きに耐えられず、頂上まで5kmを残して遅れてしまった。」2月8日のチャレンジ・マヨルカ第3戦での落車で痛めた右手首は快方に向かっている。土井は「体が予想以上に動いているのが唯一の救い。明日からも攻めていこう」と前向きなコメントを残している。
レース展開はレース公式サイト、選手コメントは各チーム公式サイト(ソール・ソジャサン、レディオシャック)より。
ブエルタ・ア・アンダルシア2011第2ステージ結果
1位 ジョナタン・イヴェール(フランス、ソール・ソジャサン) 4h20'25"
2位 フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)
3位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
4位 ステイン・デヴォルデル(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
5位 セルゲイ・イワノフ(ロシア、カチューシャ)
6位 ルイス・パサモンテス(スペイン、モビスター)
7位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)
8位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
9位 ホセアルベルト・ベニテス(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)
10位 クリスティアン・クネース(ドイツ、チームスカイ)
59位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +19'45"
個人総合成績
1位 マルケル・イリサール(スペイン、レディオシャック) 4h29'53"
2位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +01"
3位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック) +02"
4位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン) +03"
5位 ルイス・パサモンテス(スペイン、モビスター) +08"
6位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ) +09"
8位 イワン・ロフニー(ロシア、レディオシャック) +10"
9位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
10位 アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック) +12"
71位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +20'26"
ポイント賞
ジョナタン・イヴェール(フランス、ソール・ソジャサン)
スプリント賞
ファビオアンドレス・ドゥアルテ(コロンビア、ジェオックス・TMC)
山岳賞
ハビエル・ラミレス(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)
チーム総合成績
レディオシャック
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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