2010/11/04(木) - 18:27
コルナゴが来季に向けて送り出す目玉バイクは2台ある。ひとつは伝統の『C』を受け継ぎ、コルナゴらしいラグドフレームを採用したフラッグシップバイクのC59だ。
そしてもうひとつの目玉が、このまさに現代のバイクといった装いのカーボンモノコックバイク、M10だ。
昨年のACEに引き続いて、コルナゴがカーボンモノコックバイクを発表したカタチとなった。
レーシーな性格のC59に対して、M10はラグジュアリー感を持たせた仕上がりになっているという。車重も軽いのでヒルクライムからロードレース、ロングライドなど多用途に適したつくりなのが特徴だ。
M10はC59と同じカーボン繊維を使っているのもオモシロい。同じ素材で性格のまったく違うバイクを作り出す技術力は、さすがコルナゴといったところだろう。
また高弾性のカーボンを使うことで可能となった新採用のQ2ステー。薄く軽く、角を持たせて柔軟性と剛性を共存させるこの新ステーも、C59同様、M10にも装備される。今までのBステーに比べて、横から見るとスッキリとした見た目となった。
そしてケーブルもC59と同じく内蔵式となっているので、モノコックの流線的なフレーム形状がいっそう映える外観になっている。
ラグで繋がれたコルナゴらしい外観のC59と、トレンドを取り込んだ容姿のM10。このフラグシップとトップグレードモデルは、コルナゴの2011モデル発表にメリハリをもたらす格好となった。
また、クラシカルなホリゾンタル(水平)トップチューブ仕様が選べるC59に対して、このM10はスローピングフレームのみの販売となる。こういうところも差別化されていて興味深い。
ちなみにM10の誕生には少しオモシロい話もある。モノコックバイク全盛を謳歌している現在、イタリアでもコルナゴのラグで繋いだフレーム形状をデザイン的に“古くさい”と見る向きがでてきたそうだ。
そういうニュージェネレーションのユーザーをターゲットに、フレーム形状、そしてカラーリングを合わせたコルナゴとして「新たなユーザー層の発掘」という任務を背負って生まれたのがこのM10ということらしい。
興味の尽きないバイクであることは間違いない。それではインプレッションに入ろう。
―インプレッション
「ビッグギアをかけたくなるコルナゴらしいテイスト」
鈴木祐一(Rise Ride)
今となっては古いモデルになってしまったが、個人的に何台かのコルナゴにも乗っていたことがある。そのなかで感じた“コルナゴらしさ”がこのM10にもあるのがいい。
コルナゴというと常にバイクの真上、ペダルの真上に身体の重心を置いておけるバランスのよさがある。ペダルに強い入力をしたとしてもフラつかないので、安定感のある走りを提供してくれる。
またその安定感が安心感に繋がるからなのか、どういうワケかビッグギアをかけたくなるのもコルナゴの特徴のひとつ。このシフトアップしたくなる感覚の原因は、正直、「エルネスト(・コルナゴ)氏に聞いてくれ!」と言いたくなるほど、未だにまったく分からない。
とにかく大きいギアにかけると、グワッと気持ちよく進むことができる。そしてそれができるバイクがコルナゴらしいバイクだとも思う。
ともかくこれらのコルナゴバイクらしい特徴がちゃんと残っているM10は、その見た目がコルナゴの伝統的な姿ではなくとも、コルナゴのバイクなのだと感じる。
M10のフレーム実重量は900g台と軽量だが、走っていて特に軽いという印象はない。走りにどっしりとした安心感がある。これはコルナゴ的な安定感がそう感じさせるのだろう。
コルナゴは昔から、この安定感があるがゆえに人によっては「もったりしてる」とか「まったりしている」など評価されるところがある。
しかし車重の軽さを感じさせることよりも、身体の重心をバイクとペダルの真上に置いておけることこそが、バイクをより走らせるために重要なポイントである。このことをコルナゴも分かってこういう造りにしているのだろうし、自ずと評価も高くなる。
下りもこの安定感が安心感に繋がっている。ロードインフォメーションを適度に伝えてくれるので走りやすい。キツ過ぎる衝撃は角を丸くして、緩い衝撃は殺さずに伝えてくれるので、路面状況をストレスなく知ることができる。
また新しく採用されたQ2ステーやフォークが連携して、全体的にまとめていいフィーリングを作り出しているのを感じる。その結果、バイク全体的に非常によくまとまっている印象を受ける。
そして優秀なバイクに多い「乗れば乗るほど味が出てくるタイプのバイク」だと言える。それほどロードレーサーが楽しいと思えるバイクに仕上がっている。
ロードレース、ヒルクライム、ロングライドなど、何にでも使えるので、用途を絞らずに積極的に乗ってほしい。コルナゴのリピーターにももちろんオススメできる1台だ。
「良い意味で裏切られた、コルナゴらしい良質バイク」
西谷雅史(オーベスト)
モノコック形状。なんといってもこの形がコルナゴらしくない。特に伝統的なコルナゴのフォルムを持ったC59が同時に発表されているので、そう思ってしまう。
これは古くからコルナゴを知っているために抱く感情だが、それほどにコルナゴというメーカー、ブランドのフレーム形状はインパクトがあった。
しかし、いざM10に乗ってみると、印象はガラリと変わる。“らしくない”どころか、これぞ「ザ・コルナゴ」という印象を受ける。
特に走りの軽さと安定感の絶妙なバランスは、まさにコルナゴのバイクそのもの。そして乗れば乗るほどに“味”がでてくる。
乗り始めはハンドリングが重いと感じるかもしれない。だが乗り慣れると、このハンドリングがたまらなく良くなってくる。
そうなると従来の安定性が活かされて踏み心地も軽く感じる。だから輪をかけてバイクの素性の良さが伝わってくる。これがこのバイクの味であり、それは乗るほどに良くなっていく感覚がある。
適度なしなやかさと軽さを持って、コルナゴらしい安定感がある。それがほかに類を見ないバランスでまとまりを見せている。コルナゴの特徴に加えて、イマドキのバイクの長所をフルに活かしているバイクだ。
外見は細かく見るとコルナゴの特徴も出てはいるが、全体的に見るとモノコックになったことで形状はどこにでもありそうなバイクの姿をしている。しかしこの乗り味はコルナゴにしか出せない。
乗り味でアピールできるバイクは良質なバイクを長年作り続けたメーカーだからこそできるワザ。コルナゴの失われない魅力のひとつを、M10は再認識させてくれた。
そして思想が同じならば、どんな形状であろうとも長所は失われないということを教えてくれる。
走りも軽くてコーナリングも安定している。ガチガチに硬いことを望まなければ、何にでも使えるオールマイティなバイクと言えるだろう。
フィーリングの良い上りでの走りも特徴的。フレーム重量も軽いのだが、特化した軽さというよりも、いかに上りの走りを安定させるか、ということに焦点が定められている。レースにたずさわるメーカーらしい発想だ。
フレームで約50万円という価格で出してきただけあって、良く考えられている優秀なバイクだ。
コルナゴ M10
フレーム HHM-HMカーボン
サイズ 420S、450S、480S、500S、520S、540S
カラー ホワイト、シルバー、レッド、ブルー、オレンジ、マットブラック
希望小売価格(税込み) 504,000円(フレームのみ)
インプレライダーのプロフィール
鈴木 祐一(Rise Ride)
サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド
西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)
東京都調布市にある「サイクルポイント オーベスト」店長。チームオーベストを率い、自らも積極的にレースに参戦。主なリザルトはツール・ド・おきなわ市民200km優勝、ジャパンカップアマチュアレース優勝など。2007年の実業団小川大会では、シマノの野寺秀徳、狩野智也を抑えて優勝している。まさに「日本最速の店長」だ!
サイクルポイント オーベスト
ウェア協力:ルコック・スポルティフ
photo:Makoto.Ayano
text:Kiichi.Gotoda
そしてもうひとつの目玉が、このまさに現代のバイクといった装いのカーボンモノコックバイク、M10だ。
昨年のACEに引き続いて、コルナゴがカーボンモノコックバイクを発表したカタチとなった。
レーシーな性格のC59に対して、M10はラグジュアリー感を持たせた仕上がりになっているという。車重も軽いのでヒルクライムからロードレース、ロングライドなど多用途に適したつくりなのが特徴だ。
M10はC59と同じカーボン繊維を使っているのもオモシロい。同じ素材で性格のまったく違うバイクを作り出す技術力は、さすがコルナゴといったところだろう。
また高弾性のカーボンを使うことで可能となった新採用のQ2ステー。薄く軽く、角を持たせて柔軟性と剛性を共存させるこの新ステーも、C59同様、M10にも装備される。今までのBステーに比べて、横から見るとスッキリとした見た目となった。
そしてケーブルもC59と同じく内蔵式となっているので、モノコックの流線的なフレーム形状がいっそう映える外観になっている。
ラグで繋がれたコルナゴらしい外観のC59と、トレンドを取り込んだ容姿のM10。このフラグシップとトップグレードモデルは、コルナゴの2011モデル発表にメリハリをもたらす格好となった。
また、クラシカルなホリゾンタル(水平)トップチューブ仕様が選べるC59に対して、このM10はスローピングフレームのみの販売となる。こういうところも差別化されていて興味深い。
ちなみにM10の誕生には少しオモシロい話もある。モノコックバイク全盛を謳歌している現在、イタリアでもコルナゴのラグで繋いだフレーム形状をデザイン的に“古くさい”と見る向きがでてきたそうだ。
そういうニュージェネレーションのユーザーをターゲットに、フレーム形状、そしてカラーリングを合わせたコルナゴとして「新たなユーザー層の発掘」という任務を背負って生まれたのがこのM10ということらしい。
興味の尽きないバイクであることは間違いない。それではインプレッションに入ろう。
―インプレッション
「ビッグギアをかけたくなるコルナゴらしいテイスト」
鈴木祐一(Rise Ride)
今となっては古いモデルになってしまったが、個人的に何台かのコルナゴにも乗っていたことがある。そのなかで感じた“コルナゴらしさ”がこのM10にもあるのがいい。
コルナゴというと常にバイクの真上、ペダルの真上に身体の重心を置いておけるバランスのよさがある。ペダルに強い入力をしたとしてもフラつかないので、安定感のある走りを提供してくれる。
またその安定感が安心感に繋がるからなのか、どういうワケかビッグギアをかけたくなるのもコルナゴの特徴のひとつ。このシフトアップしたくなる感覚の原因は、正直、「エルネスト(・コルナゴ)氏に聞いてくれ!」と言いたくなるほど、未だにまったく分からない。
とにかく大きいギアにかけると、グワッと気持ちよく進むことができる。そしてそれができるバイクがコルナゴらしいバイクだとも思う。
ともかくこれらのコルナゴバイクらしい特徴がちゃんと残っているM10は、その見た目がコルナゴの伝統的な姿ではなくとも、コルナゴのバイクなのだと感じる。
M10のフレーム実重量は900g台と軽量だが、走っていて特に軽いという印象はない。走りにどっしりとした安心感がある。これはコルナゴ的な安定感がそう感じさせるのだろう。
コルナゴは昔から、この安定感があるがゆえに人によっては「もったりしてる」とか「まったりしている」など評価されるところがある。
しかし車重の軽さを感じさせることよりも、身体の重心をバイクとペダルの真上に置いておけることこそが、バイクをより走らせるために重要なポイントである。このことをコルナゴも分かってこういう造りにしているのだろうし、自ずと評価も高くなる。
下りもこの安定感が安心感に繋がっている。ロードインフォメーションを適度に伝えてくれるので走りやすい。キツ過ぎる衝撃は角を丸くして、緩い衝撃は殺さずに伝えてくれるので、路面状況をストレスなく知ることができる。
また新しく採用されたQ2ステーやフォークが連携して、全体的にまとめていいフィーリングを作り出しているのを感じる。その結果、バイク全体的に非常によくまとまっている印象を受ける。
そして優秀なバイクに多い「乗れば乗るほど味が出てくるタイプのバイク」だと言える。それほどロードレーサーが楽しいと思えるバイクに仕上がっている。
ロードレース、ヒルクライム、ロングライドなど、何にでも使えるので、用途を絞らずに積極的に乗ってほしい。コルナゴのリピーターにももちろんオススメできる1台だ。
「良い意味で裏切られた、コルナゴらしい良質バイク」
西谷雅史(オーベスト)
モノコック形状。なんといってもこの形がコルナゴらしくない。特に伝統的なコルナゴのフォルムを持ったC59が同時に発表されているので、そう思ってしまう。
これは古くからコルナゴを知っているために抱く感情だが、それほどにコルナゴというメーカー、ブランドのフレーム形状はインパクトがあった。
しかし、いざM10に乗ってみると、印象はガラリと変わる。“らしくない”どころか、これぞ「ザ・コルナゴ」という印象を受ける。
特に走りの軽さと安定感の絶妙なバランスは、まさにコルナゴのバイクそのもの。そして乗れば乗るほどに“味”がでてくる。
乗り始めはハンドリングが重いと感じるかもしれない。だが乗り慣れると、このハンドリングがたまらなく良くなってくる。
そうなると従来の安定性が活かされて踏み心地も軽く感じる。だから輪をかけてバイクの素性の良さが伝わってくる。これがこのバイクの味であり、それは乗るほどに良くなっていく感覚がある。
適度なしなやかさと軽さを持って、コルナゴらしい安定感がある。それがほかに類を見ないバランスでまとまりを見せている。コルナゴの特徴に加えて、イマドキのバイクの長所をフルに活かしているバイクだ。
外見は細かく見るとコルナゴの特徴も出てはいるが、全体的に見るとモノコックになったことで形状はどこにでもありそうなバイクの姿をしている。しかしこの乗り味はコルナゴにしか出せない。
乗り味でアピールできるバイクは良質なバイクを長年作り続けたメーカーだからこそできるワザ。コルナゴの失われない魅力のひとつを、M10は再認識させてくれた。
そして思想が同じならば、どんな形状であろうとも長所は失われないということを教えてくれる。
走りも軽くてコーナリングも安定している。ガチガチに硬いことを望まなければ、何にでも使えるオールマイティなバイクと言えるだろう。
フィーリングの良い上りでの走りも特徴的。フレーム重量も軽いのだが、特化した軽さというよりも、いかに上りの走りを安定させるか、ということに焦点が定められている。レースにたずさわるメーカーらしい発想だ。
フレームで約50万円という価格で出してきただけあって、良く考えられている優秀なバイクだ。
コルナゴ M10
フレーム HHM-HMカーボン
サイズ 420S、450S、480S、500S、520S、540S
カラー ホワイト、シルバー、レッド、ブルー、オレンジ、マットブラック
希望小売価格(税込み) 504,000円(フレームのみ)
インプレライダーのプロフィール
鈴木 祐一(Rise Ride)
サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド
西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)
東京都調布市にある「サイクルポイント オーベスト」店長。チームオーベストを率い、自らも積極的にレースに参戦。主なリザルトはツール・ド・おきなわ市民200km優勝、ジャパンカップアマチュアレース優勝など。2007年の実業団小川大会では、シマノの野寺秀徳、狩野智也を抑えて優勝している。まさに「日本最速の店長」だ!
サイクルポイント オーベスト
ウェア協力:ルコック・スポルティフ
photo:Makoto.Ayano
text:Kiichi.Gotoda
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