2010/09/30(木) - 19:49
オーストラリア、ジーロングで開催されたロード世界選手権エリート男子個人タイムトライアルは、ファビアン・カンチェラーラ(スイス)が異次元の走りで優勝。世界選TT4勝目の金字塔を打ち立てた。
22.9kmのコースを2周回する世界選手権2010ジーロング大会の個人タイムトライアル。距離こそ短いものの勾配10%を超える登坂があるなど、大柄なTTスペシャリストには不向きだとの声もささやかれた。
レース前半に好タイムを記録したのはポーランドのマチェイ・ボドナールで、タイムは1時間1分9秒。しばらくこのタイムを破る選手が現れなかったために、優勝タイムは1時間を切るか切らないかだろうと衆目は一致した。
ボドナールはタイムトライアルを得意とするポーランドの若手で、世界選手権ロードのプレレースにあたるヘラルドサン・ワールドサイクリング・クラシックでは、優勝したフィリッポ・ポッツァート(イタリア)に続く2位でゴール。調子の良さを見せていた。
ボドナールのタイムを更新したのは地元オーストラリアのTTスペシャリスト、マイケル・ロジャース(オーストラリア)。過去世界選手権TTで3度の優勝を誇るロジャースが、母国開催の大舞台で気を吐いた。タイムは1時間34秒。
各国が誇るTTスペシャリストがスタート。デーヴィット・ミラー(イギリス)が序盤からハイペースで飛ばし、中間計測地点のトップタイムを軒並み更新していく快走を見せる。ドイツのエース、トニ・マルティン(ドイツ)もミラーから数秒遅れで6.6kmの第1チェックポイントを通過。
優勝候補の筆頭ファビアン・カンチェラーラ(スイス)はミラーから6秒遅れの暫定2位通過での立ち上がり。ミラーがレースをリードする。
1周目も後半に差しかかったところで、マルティンがパンクに見舞われストップ。痛恨のタイムロスを余儀なくされるが、ホイールを替えて再スタートを切った。
続く第2チェックポイントは1周回目の終了時に設定された。ここでトップタイムを叩き出したのはカンチェラーラ。後半に向けてペースを上げていくスタイルの彼だが、前半からトップに躍り出る。力走のミラーは11秒遅れの暫定2位。
そしてマルティンとポルトの表彰台争いが表面化。暫定3位でここを通過したポルトと暫定4位通過のマルティンとのタイム差はわずか5秒。25歳の若きスペシャリストのプライドをかけたバトルは最終周回へ。
厳しい登りの先にある29.4km地点の第3チェックポイントでもトップタイムを出したのはカンチェラーラ。2位のミラーとのタイムを少しずつ広げ、24秒を稼ぎ出した。3位のタイムはポルト。しかし4位のマルティンとのタイム差は5秒差と、レースは熾烈さを呈す。
ミラーがゴールへ。ロジャースの暫定トップタイムを1分以上更新する力走で暫定トップの座についた。タイムは59分11秒。そしてポルトとの表彰台争いを繰り広げたマルティンは最後に立て直し、59分21秒とミラーにまで迫る好タイムの暫定2位でゴール。
一方のポルトは母国の声援を受け粘ったものの、最後に逆転され、マルティンに7秒届かない59分28秒の暫定3位でゴールした。
やはり後半にペースを上げたのは最終走者のカンチェラーラ。なんとひとり58分台、それも前半という異次元の走りでゴールに飛び込んだ。4本指を立て、世界選手権4勝目をアピールする余裕のゴール。カンチェラーラが前人未到の世界選手権TT4勝目の記録を打ち立てた。
4枚目のアルカンシャルを獲得したカンチェラーラ。日曜日のロードレースでの活躍が期待される。ロード世界選手権エリート男子でダブルタイトルを獲得した選手はまだいない。
ファビアン・カンチェラーラ(スイス)
「個人タイムトライアルで4勝目を挙げることができてとても嬉しい気持ちだ。おそらく、今までの僕の勝利の中でも最も難しいものだったとだろう。というのは、ここ(ジーロング)に来る時にも自分のコンディションに確信が無かったから。他の選手たちは本当に良かったから、僕はただ僕にできることをしただけさ。完璧な戦略を用いたと思っている。1秒1秒が大切なので、沿道のバリアーに衝突するかしないかのリスクをとることも必要だ。」
コメントはレキップ紙より。
ロード世界選手権2010エリート男子個人タイムトライアル結果
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス) 58'09"
2位 デーヴィット・ミラー(イギリス) +1'02"
3位 トニ・マルティン(ドイツ) +1'12"
4位 リッチー・ポルト(サクソバンク) +1'19"
5位 マイケル・ロジャース(オーストラリア) +2'25"
6位 コース・ムーレンハウト(オランダ) +2'40"
7位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン) +2'44"
8位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ) +2'51"
9位 マチェイ・ボドナール(ポーランド) +3'00"
10位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン) +3'01"
充実のフォトギャラリーで大会の様子をお楽しみください!
text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji
22.9kmのコースを2周回する世界選手権2010ジーロング大会の個人タイムトライアル。距離こそ短いものの勾配10%を超える登坂があるなど、大柄なTTスペシャリストには不向きだとの声もささやかれた。
レース前半に好タイムを記録したのはポーランドのマチェイ・ボドナールで、タイムは1時間1分9秒。しばらくこのタイムを破る選手が現れなかったために、優勝タイムは1時間を切るか切らないかだろうと衆目は一致した。
ボドナールはタイムトライアルを得意とするポーランドの若手で、世界選手権ロードのプレレースにあたるヘラルドサン・ワールドサイクリング・クラシックでは、優勝したフィリッポ・ポッツァート(イタリア)に続く2位でゴール。調子の良さを見せていた。
ボドナールのタイムを更新したのは地元オーストラリアのTTスペシャリスト、マイケル・ロジャース(オーストラリア)。過去世界選手権TTで3度の優勝を誇るロジャースが、母国開催の大舞台で気を吐いた。タイムは1時間34秒。
各国が誇るTTスペシャリストがスタート。デーヴィット・ミラー(イギリス)が序盤からハイペースで飛ばし、中間計測地点のトップタイムを軒並み更新していく快走を見せる。ドイツのエース、トニ・マルティン(ドイツ)もミラーから数秒遅れで6.6kmの第1チェックポイントを通過。
優勝候補の筆頭ファビアン・カンチェラーラ(スイス)はミラーから6秒遅れの暫定2位通過での立ち上がり。ミラーがレースをリードする。
1周目も後半に差しかかったところで、マルティンがパンクに見舞われストップ。痛恨のタイムロスを余儀なくされるが、ホイールを替えて再スタートを切った。
続く第2チェックポイントは1周回目の終了時に設定された。ここでトップタイムを叩き出したのはカンチェラーラ。後半に向けてペースを上げていくスタイルの彼だが、前半からトップに躍り出る。力走のミラーは11秒遅れの暫定2位。
そしてマルティンとポルトの表彰台争いが表面化。暫定3位でここを通過したポルトと暫定4位通過のマルティンとのタイム差はわずか5秒。25歳の若きスペシャリストのプライドをかけたバトルは最終周回へ。
厳しい登りの先にある29.4km地点の第3チェックポイントでもトップタイムを出したのはカンチェラーラ。2位のミラーとのタイムを少しずつ広げ、24秒を稼ぎ出した。3位のタイムはポルト。しかし4位のマルティンとのタイム差は5秒差と、レースは熾烈さを呈す。
ミラーがゴールへ。ロジャースの暫定トップタイムを1分以上更新する力走で暫定トップの座についた。タイムは59分11秒。そしてポルトとの表彰台争いを繰り広げたマルティンは最後に立て直し、59分21秒とミラーにまで迫る好タイムの暫定2位でゴール。
一方のポルトは母国の声援を受け粘ったものの、最後に逆転され、マルティンに7秒届かない59分28秒の暫定3位でゴールした。
やはり後半にペースを上げたのは最終走者のカンチェラーラ。なんとひとり58分台、それも前半という異次元の走りでゴールに飛び込んだ。4本指を立て、世界選手権4勝目をアピールする余裕のゴール。カンチェラーラが前人未到の世界選手権TT4勝目の記録を打ち立てた。
4枚目のアルカンシャルを獲得したカンチェラーラ。日曜日のロードレースでの活躍が期待される。ロード世界選手権エリート男子でダブルタイトルを獲得した選手はまだいない。
ファビアン・カンチェラーラ(スイス)
「個人タイムトライアルで4勝目を挙げることができてとても嬉しい気持ちだ。おそらく、今までの僕の勝利の中でも最も難しいものだったとだろう。というのは、ここ(ジーロング)に来る時にも自分のコンディションに確信が無かったから。他の選手たちは本当に良かったから、僕はただ僕にできることをしただけさ。完璧な戦略を用いたと思っている。1秒1秒が大切なので、沿道のバリアーに衝突するかしないかのリスクをとることも必要だ。」
コメントはレキップ紙より。
ロード世界選手権2010エリート男子個人タイムトライアル結果
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス) 58'09"
2位 デーヴィット・ミラー(イギリス) +1'02"
3位 トニ・マルティン(ドイツ) +1'12"
4位 リッチー・ポルト(サクソバンク) +1'19"
5位 マイケル・ロジャース(オーストラリア) +2'25"
6位 コース・ムーレンハウト(オランダ) +2'40"
7位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン) +2'44"
8位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ) +2'51"
9位 マチェイ・ボドナール(ポーランド) +3'00"
10位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン) +3'01"
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text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji
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