2010/08/28(土) - 09:00
マイヨ・ロホ争いと並行して繰り広げられる緑のマイヨ・プントス(ポイント賞ジャージ)を懸けた闘い。今年はツールで活躍したカヴェンディッシュやペタッキを中心に、強豪スプリンターたちがスタートラインに着く。ロード世界選手権に向けてブエルタで結果を残したいと願う選手も多い。
今年は集団スプリント向きと見られるステージの数が例年より少なめ。昨年は9ステージで集団スプリントが繰り広げられたが、今年はスプリンターのチャンスが5〜6ステージほどしかない。
当然のことながら、ポイント賞上位に絡むのは、ステージ優勝を量産した選手たち。ポイント賞争いにおいて、中間スプリントポイントでの獲得ポイントも見逃せない。ジロやツールと同様に、厳しい山岳を乗り越え、最終日のマドリードまで辿り着かなければポイント賞獲得はない。
山岳ステージでも同ポイントが与えられるため、近年は総合優勝者がポイント賞2位に入ることが多い。今大会もスプリンターをよせつけない重要な頂上ゴールが6つ設定されており、山岳コースでポイントを量産するオールラウンダーたちが上位を独占する可能性も有る。
昨年はアンドレ・グライペル(ドイツ)が圧倒的な力を見せ、ステージ4勝を飾るとともにポイント賞に輝いた。グライペルは今シーズン最多勝をマークしているが、ブエルタは欠場。代わってチームHTC・コロンビアのエーススプリンターを担うのは、世界最速スプリンターと名高いマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)だ。
今年のツール・ド・フランスでステージ5勝を飾ったカヴェンディッシュは、10月3日にオーストラリアで開催されるロード世界選手権に向けてこのブエルタで調整を続ける。もちろん狙いはステージ優勝。ツールでステージ通算15勝、ジロでステージ通算5勝している韋駄天がブエルタに初出場する。
相棒マーク・レンショー(オーストラリア)は出場しないが、代わりにベルンハルト・アイゼル(オーストリア)やヘイデン・ロールストン(ニュージーランド)、そして直前のGPウエストフランス・プルエーを制したマシュー・ゴス(オーストラリア)がカヴを支える。
昨年ブエルタでグランツール初勝利を飾ったタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)はカヴにとって最大のライバルになるだろう。ツールでは手首骨折の影響で本領を発揮出来なかったが、それ以降順調に調子を上げており、2週間前のヴァッテンフォール・サイクラシックスで大会連覇を達成している。
そんな2人を抑えてツールでポイント賞に輝いたアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)は、3年ぶりのブエルタ出場。ステージ通算19勝を飾っており、2005年にはポイント賞に輝いている。36歳ながらハイスピードで伸びのあるパワフルなスプリントは健在だ。
イタリア勢としては、2007年大会のポイント賞受賞者ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)の活躍にも期待。ここ数年はグランツールの勝利から遠ざかっているが、ヴァッテンフォール・サイクラシックスで6位に入っており、復活を予感させる。ベンナが不調の場合は若手のジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)がエースを担う。
地元スペインからはオスカル・フレイレ(ラボバンク)が出場。過去に3回優勝してるロード世界選手権に照準を合わすフレイレの調子は如何に。ブエルタには過去7回出場してステージ通算7勝。しかし世界選を見据えて毎回リタイアするため、ポイント賞の候補には挙がりにくい。
ツールで2005年と2009年にポイント賞に輝いたトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)は山に強いスプリンター。近年更にその山岳力を向上させたが、その代償としてスプリント力を落としている。スプリントで上位に絡み、山岳ステージでポイントを稼ぐことが出来ればポイント賞が近づいてくる。集団スプリントではジャパンカップのクリテリウムにも出場予定のテオ・ボス(オランダ)がエースを担う可能性もある。
他にもアラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)やフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)、ロベルト・フェルスター(ドイツ、チームミルラム)らがブエルタ初勝利を目指してスプリント戦線に絡んでくるだろう。いずれも世界選での活躍が期待される選手だ。
フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、オメガファーマ・ロット)は2008年のポイント賞受賞者。生粋のスプリンターではないが、チームメイトのフィリップ・ジルベール(ベルギー)とともにステージ優勝を狙って動くだろう。逃げで勝機を掴むアタッカータイプの2人は、ピュアスプリンターたちにとって厄介な存在になるはずだ。
ブエルタ歴代ポイント賞獲得者
2009年 アンドレ・グライペル(ドイツ)
2008年 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー)
2007年 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)
2006年 トル・フースホフト(ノルウェー)
2005年 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)
2004年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2003年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2002年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2001年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
2000年 ロベルト・エラス(スペイン)
1999年 フランク・ファンデンブロック(ベルギー)
1998年 ファブリツィオ・グイディ(イタリア)
1997年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1996年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1995年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1994年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1993年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1992年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ(ウズベキスタン)
1991年 ウーヴェ・ラーブ(ドイツ)
1990年 ウーヴェ・ラーブ(ドイツ)
text:Kei Tsuji
今年は集団スプリント向きと見られるステージの数が例年より少なめ。昨年は9ステージで集団スプリントが繰り広げられたが、今年はスプリンターのチャンスが5〜6ステージほどしかない。
当然のことながら、ポイント賞上位に絡むのは、ステージ優勝を量産した選手たち。ポイント賞争いにおいて、中間スプリントポイントでの獲得ポイントも見逃せない。ジロやツールと同様に、厳しい山岳を乗り越え、最終日のマドリードまで辿り着かなければポイント賞獲得はない。
山岳ステージでも同ポイントが与えられるため、近年は総合優勝者がポイント賞2位に入ることが多い。今大会もスプリンターをよせつけない重要な頂上ゴールが6つ設定されており、山岳コースでポイントを量産するオールラウンダーたちが上位を独占する可能性も有る。
昨年はアンドレ・グライペル(ドイツ)が圧倒的な力を見せ、ステージ4勝を飾るとともにポイント賞に輝いた。グライペルは今シーズン最多勝をマークしているが、ブエルタは欠場。代わってチームHTC・コロンビアのエーススプリンターを担うのは、世界最速スプリンターと名高いマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)だ。
今年のツール・ド・フランスでステージ5勝を飾ったカヴェンディッシュは、10月3日にオーストラリアで開催されるロード世界選手権に向けてこのブエルタで調整を続ける。もちろん狙いはステージ優勝。ツールでステージ通算15勝、ジロでステージ通算5勝している韋駄天がブエルタに初出場する。
相棒マーク・レンショー(オーストラリア)は出場しないが、代わりにベルンハルト・アイゼル(オーストリア)やヘイデン・ロールストン(ニュージーランド)、そして直前のGPウエストフランス・プルエーを制したマシュー・ゴス(オーストラリア)がカヴを支える。
昨年ブエルタでグランツール初勝利を飾ったタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)はカヴにとって最大のライバルになるだろう。ツールでは手首骨折の影響で本領を発揮出来なかったが、それ以降順調に調子を上げており、2週間前のヴァッテンフォール・サイクラシックスで大会連覇を達成している。
そんな2人を抑えてツールでポイント賞に輝いたアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)は、3年ぶりのブエルタ出場。ステージ通算19勝を飾っており、2005年にはポイント賞に輝いている。36歳ながらハイスピードで伸びのあるパワフルなスプリントは健在だ。
イタリア勢としては、2007年大会のポイント賞受賞者ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)の活躍にも期待。ここ数年はグランツールの勝利から遠ざかっているが、ヴァッテンフォール・サイクラシックスで6位に入っており、復活を予感させる。ベンナが不調の場合は若手のジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)がエースを担う。
地元スペインからはオスカル・フレイレ(ラボバンク)が出場。過去に3回優勝してるロード世界選手権に照準を合わすフレイレの調子は如何に。ブエルタには過去7回出場してステージ通算7勝。しかし世界選を見据えて毎回リタイアするため、ポイント賞の候補には挙がりにくい。
ツールで2005年と2009年にポイント賞に輝いたトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)は山に強いスプリンター。近年更にその山岳力を向上させたが、その代償としてスプリント力を落としている。スプリントで上位に絡み、山岳ステージでポイントを稼ぐことが出来ればポイント賞が近づいてくる。集団スプリントではジャパンカップのクリテリウムにも出場予定のテオ・ボス(オランダ)がエースを担う可能性もある。
他にもアラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)やフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)、ロベルト・フェルスター(ドイツ、チームミルラム)らがブエルタ初勝利を目指してスプリント戦線に絡んでくるだろう。いずれも世界選での活躍が期待される選手だ。
フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、オメガファーマ・ロット)は2008年のポイント賞受賞者。生粋のスプリンターではないが、チームメイトのフィリップ・ジルベール(ベルギー)とともにステージ優勝を狙って動くだろう。逃げで勝機を掴むアタッカータイプの2人は、ピュアスプリンターたちにとって厄介な存在になるはずだ。
ブエルタ歴代ポイント賞獲得者
2009年 アンドレ・グライペル(ドイツ)
2008年 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー)
2007年 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)
2006年 トル・フースホフト(ノルウェー)
2005年 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)
2004年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2003年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2002年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2001年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
2000年 ロベルト・エラス(スペイン)
1999年 フランク・ファンデンブロック(ベルギー)
1998年 ファブリツィオ・グイディ(イタリア)
1997年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1996年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1995年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1994年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1993年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1992年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ(ウズベキスタン)
1991年 ウーヴェ・ラーブ(ドイツ)
1990年 ウーヴェ・ラーブ(ドイツ)
text:Kei Tsuji
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