10月10日、栃木県のモビリティリゾートもてぎにて開催された秋の恒例耐久レース「もてぎエンデューロ」。抜けるような青い空の下で、自転車アソビを満喫したサイクリストたちの1日に密着しました。



抜けるような青空の下開催されたもてぎエンデューロ

今年はなんだか明るいな。そう思ったのは、最近良いことがあったから……、というわけでは特になく、シンプルに日の出が早いから。そう、今年の「もてぎエンデューロ」は、例年よりも約1ヶ月早く開催されたのだ。

開催時期を変更するのは、イベントにとっては結構な博打。とくに多くの人が集まる著名な大会は、〇月の第×週はこの大会……というイメージも定着している。とはいえ、昨今の気候変動もあって、開催時期をずらすイベントもチラホラ増えているのは間違いない。

多くのサイクリストがモビリティリゾートもてぎを駆け抜けた

昨年大会のフィニッシュはかなり暗め。雨というのもありましたが……。 photo:So Isobe
こちらが今年の6時間フィニッシュ。かなり明るくて、安心して走っていられる



このもてぎエンデューロに関して言うと、この1ヶ月前倒しの開催は大成功。やはりなんといっても日照時間が10月と11月では全然違う。例年は薄暗い中集まり、薄暗い中でフィニッシュ、表彰式は真っ暗、というタイムスケジュールだったけれど、今年は駐車場オープンから割と明るくて、準備もしやすい。6時間エンデューロのフィニッシュもしっかりと光量が残っていて、安全にも繋がっている。さすがに表彰式は陽が落ちてしまったけれど。

冒頭から結論めいた書き出しになってしまったが、それだけこの開催日の前倒しの効果は大きかった、ということ。そして、開催時期の変更というなかなか難しい決断を下したのは、イベントとして参加者のハッピーを一番に考えているからだろう、ということをお伝えしたかったのだ。

日本を代表する国際サーキットとして知られる「モビリティリゾートもてぎ」を走る1日。幅広く整備されたコースを堪能できる

さて、改めてもてぎエンデューロについて、さっくりと説明しておこう。舞台となるのは、鈴鹿サーキットや富士スピードウェイと並ぶ、日本を代表する国際サーキットとして知られる「モビリティリゾートもてぎ」。以前は、ツインリンクの名で親しまれていたサーキットであるが、近年はカートコース、グランピング、ジップラインや自然を体感できる様々なプログラムなど、1日では遊び尽くせないほどのボリュームを持った、まさに「モビリティリゾート」として人気を集めるロケーションだ。

3連休ということもあり一般の来場者も多数訪れる中で、モビリティリゾートもてぎの中心となる国際サーキットをサイクリストが埋め尽くすのが「もてぎエンデューロ」だ。かつては7時間耐久イベントだったが、今ではより手軽に楽しめるように最長種目も6時間に。さらに、老若男女、ベテランから初心者まで分け隔てなく楽しめるように様々な企画を取り入れ、「楽しんだもの勝ち」をモットーとしたフレンドリーな空気感のイベントなのだ。

トレックの出展ブースなのかと間違えそうなテントを張るチームも

別のテントからは朝から美味しそうな匂いが漂ってきます。その源がこちら!
料理自慢のお姉さんが腕によりをかけて作っていました!



そんな雰囲気は、朝イチから感じ取れる。続々と入場する参加者の皆さんの中でも、いくつかのチームはピットエリアの外にあるテントゾーンにしっかりしたテントを張り、1日過ごす基地を設営中。今日1日を遊び尽くすぞ!という気持ちが伝わってくる。テントエリアでは火の使用もOKとあって、朝から味噌汁の美味しそうな香りが漂ってくるチームも。(なお、大量に煙が出るなど、他の参加者に迷惑が掛かるような行為は禁止となっているとのこと)。

もちろん、入念にアップするようなガチ勢の姿もある。思い思いに準備を進めていく中で、7時からは試走タイムとなり、多くの参加者がコースイン。何度も走ることになるコースだが、やはり危ないのは参加者の密度が高い最初の方の周回。リピーターの方も、路面状況は毎年変わるものなので、試走は入念に。

ソロ用のピットへ荷物を運びに行く方も
ゼッケン装着は共同作業。チームの絆はこういうところから生まれます



試走へとスタートしていく皆さん

高速かつ密度の高い集団で走る本番に臨む前に、試走時に余裕をもってコースを把握しておけば、アクシデントのリスクも低くなる。「楽しんだもの勝ち」の前提には、怪我無く無事に走り切る、という条件があるのは言うまでもない。

試走が終われば、早速レースが始まっていく。もてぎエンデューロの人気の原動力の一つが、ユニークな種目の数々。SNSでのいいね!数を競う「事前盛り上げ部門」とサーキット1周の「レース部門」の総ポイントで競う「インフルエンサー選手権」では事前盛り上げ部門から1位に入った現役競輪選手の「ケイリンマン」が圧倒的なスプリントで並みいるインフルエンサーをなぎ倒し完全制圧。YouTubeクリエイターアワード(通称:金の盾)を彷彿とさせるトロフィーを見事獲得した。

インフルエンサー選手権に並ぶ皆さん。合計でどれだけいいね!を獲得したのだろうか。
ママチャリスプリント王には3名が参加。もてぎをママチャリで走るの、かなり気合入ってます



インフルエンサー選手権を制したのは現役競輪選手のケイリンマン!事前盛り上げ部門もレースもトップの完全制覇だ

ひよこレースの参加者たちがスタートラインにつく

小学生以上のキッズレースは本格的。機材もだけど、チーム単位の子ども達も。
大人顔負けのスプリント!



がんばって走り切りました!

起伏激しいもてぎの難コースをママチャリで走る「ママチャリスプリント王」を挟み、ある意味、もてぎエンデューロで最も盛り上がるキッズ&ひよこレースがスタート。保護者も伴走出来る未就学児対象のひよこレースに向けられる声援は一際大きい。

私も毎回取材時には思わず「もうちょっとでゴールだよ!!」と言いながらシャッターを切ってます(笑)。一方、最年長の小学校高学年の部は大人顔負けのレースが繰り広げられる。スタートラインで整列している時から気合の入った表情で、同じチームジャージに身を包む子供たちも。レース内容も白熱しており、ここからプロになる子もいるのだろうな、と思わせる迫力がある。

注目の新種目、100mライド。世界記録を目指す猛者が集まった

狙うタイムは9秒58。走り出しのギア選択から勝負は始まっている
みごと100mライドで優勝した佐藤俊雄(MiNERVA-asahi)。9秒729という圧巻の走りを見せた



続くは今大会注目の新種目「100mライド」。これは陸上の100m走の世界記録(9秒58)に自転車で挑もう!というわかりやすく面白い企画。なんと世界記録を越えた優勝者には1万円の商品券が贈られるということもあり、めちゃくちゃ気合が入っている方も。気になる結果は、圧巻のスプリントを披露した佐藤俊雄(MiNERVA-asahi)がただ一人10秒を切る、9秒729で優勝。残念ながら世界記録には及ばなかったものの、ウサイン・ボルトの影が見える力走に会場が湧いた。

盛り沢山のショート種目が終わるころには、ピットレーンに長蛇の列が。宇都宮ブリッツェンやチームユーラシアiRCタイヤのゲストライダー達が勢揃いしたスタートセレモニーを終えた後、まず4時間エンデューロ、42.195kmを走る人気種目のフルマラソンライド、そして少し時間を置いて最長種目の6時間エンデューロがスタートしていく。

今年の先導車は出来立てほやほやの宇都宮ブリッツェンのCIVIC、そして日本で唯一栃木県警が配備するR35GT-Rのパトカーだ。(去年はNSXパトカーでした)

笑顔でスタート!サイクリングには最高の天気となった1日、存分に楽しみましょう!
キッズレースから連戦の子も!



エンデューロでは通常と逆回りとなる。最終コーナーに向けてスタート!

一周4.8kmのコースの勝負所となるのはなんといってもトンネルを抜けた先、90°コーナーを越えた後の登り区間。反対周りとなるモータースポーツであればブレーキング勝負となるこの区間は、一気に標高を稼ぐ急こう配。勝利を狙う選手らにとっては、毎周ごとにセレクションがかかるポイントである一方、多くの参加者にとっては出来るだけ体力の消耗を抑えてクリアしたい箇所。

登り切ったらすぐに長い下りが登場。いくつものコーナーが現れるものの、道幅も広くそこまで難しいことは無いハズ。しっかり足を休めて、もう一つのアンダーブリッジを越えると、3連のストレート区間へ。特に最初のストレートは緩く登っていることもあり、意外に脚を使う区間でもある。風向きを読みつつ、上手く集団に入ることが出来れば効率的に走れるだろう。

もてぎ名物の直登区間

ソロ参加者用のピットも整備されている
親子でもてぎを攻略中!



毎周回足を削ってくる長い登りだ

路面が綺麗なので下りも安心して攻めていける
ウマ娘も激走!?



ブリヂストンのアンダーパスを越えると、3連ストレートへ。

そうして周回を重ねるうちに4時間エンデューロの面々がフィニッシュし、入れ替わるように2時間エンデューロの参加者がコースイン。こちらの2時間エンデューロは、レース初心者向けに用意された種目でもあり、事前に走り方講座が行われたのちにスタートすることとなっている。

今年はチームユーラシア iRCタイヤの持留叶汰郎選手と藤田涼平選手が講師を担当。機材の調整法から集団での走り方まで、懇切丁寧にエンデューロの安全で効率的な走法をレクチャーしてくれた。いきなり集団走にぶっつけ本番で挑戦するのではなく、しっかりと順序を踏んで慣れていくことが出来るのは非常に嬉しい取り組みだ。

チームユーラシア iRCタイヤの持留選手と藤田選手が講師を担当する初心者向け講座

サーキットの管理道路を使用して実際に走りながらのレクチャーが行われた
オノデライダーこと小野寺玲さんによるエンデューロ講座も開催



イモティー×しうさんのトークショーには大勢の観客が。体調不良で無念のキャンセルとなったまさくんについての土下座からスタートするドライブ感一杯のトークショーでした。

イモティーのサインを賭けたじゃんけん大会
場内ではBMXのエアパフォーマンスも開催



新型リアクトを中心に展示したメリダ
ブリッツェンが展開するホイールブランドのVRECORDも出展



2時間エンデューロの参加者の一部は今大会のメインゲストであるイモティーさんがプロデュースした「フィットネスライド」に出走。こちらもライド前にはイモティーによるフィットネス講座が行われた後、イモティーと一緒にエンデューロに出走するというもの。

最初の1周はイージーペースでイモティーと走ったのち、それぞれのぺースで2時間エンデューロに挑むことに(なお、1周回終了直後にイモティーはカッ飛んでいきました。流石サーキットスプリントクイーン。)その目標は2時間で1,000kcalを消費すること!なんと参加者15人中11人がその目標を達成し、なかには2,000kcalを燃やした猛者もいたのだとか。

こちらがゴールドランクゼッケン。整列でも前方に並べるという特典も!
2時間エンデューロもスタート!



イモティーが先導するフィットネスライド。消費カロリー1000kcalを目指す!

6時間ソロを制したのは鵜澤慶徳
仲間の健闘をたたえ合う



6時間エンデューロ総合優勝を果たしたTS TECH 自転車部

それぞれの楽しみ方でサーキットを満喫する時間は、あっという間に過ぎていく。今回、もっとも多くの周回を重ねたのは唯一53周回を果たしたTS TECH 自転車部。もてぎエンデューロを知り尽くしたチームが今年も6時間総合優勝を果たした。

豪華な賞品が贈られる表彰式もある一方で、多くの参加者に贈られるのが完走メダルとランクバッジ。各種目に設定されている規定回数を走った参加者にはその証となるメダルが授与されるのだ。規定周回とはいっても、全参加者の9割以上が達成できる距離となっている。更にソロ参加の方は周回数に応じて色の変わるランクバッジも用意されている。ゴールドを頂点に、シルバー、ブロンズ、チャレンジャー、フィニッシャーと区分されており、リザルトや次の大会のゼッケンにも反映されるため、上のランクを目指すモチベーションにもなる。

仲間と一緒に完走メダルをゲット!嬉しさが伝わってくる様子は、まさに楽しんだもの勝ち選手権優勝!

勝利を目指す人も、去年の自分を越えたい人も、仲間や家族とワイワイ遊びたい人も、初めて集団で走ってみたい人も、好きなインフルエンサーに会ってみたい人も。「楽しんだもの勝ち」というコンセプトを掲げるもてぎエンデューロは、十人十色の自転車の遊び方にリーチするため毎年進化を続けている。また来年、どんなワクワクを見れるのか。既に今から気になっている。

text&photo:Naoki Yasuoka
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