追い風を味方につけた逃げ集団が、プロトンを振り切ったツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ第4ステージ。小集団スプリントをアメリカ王者クイン・シモンズ(リドル・トレック)が制し、チームに初日に続く今大会2勝目をもたらした。



総合10位につけるポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) photo:A.S.O.

ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ第4ステージ image:A.S.O.
前日のチームタイムトライアルを経て、ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ4日目は再びロードレースに戻ってきた。その舞台は序盤に4級山岳を越え、中盤に5つのカテゴリー山岳を越える丘陵ステージ。ラスト35kmは完全フラットだが、集団スプリントはもちろん、逃げ向きともいえるレイアウトだ。

この日は逃げが決まるまで60kmを要し、クイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)の動きをきっかけにまず3名が飛び出す。そこに後続から追走が合流し、最終的にジョージ・ベネット(ニュージーランド、NSNサイクリングチーム)やフィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)ら強豪選手を含む12名まで拡大。その時点で既に167.4kmのうち90kmを消化していたが、メイン集団は最大1分半程度のリードしか、逃げに許さなかった。

積極的に逃げを狙うクイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック) photo:A.S.O.

マイヨジョーヌを着てプロトンで走るアレックス・ボーダン(フランス、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

そのプロトンを牽引したのは、ベテランスプリンターであるブライアン・コカール(フランス)で勝負したいコフィディス。また同様の理由でワウト・ファンアールト(ベルギー)を擁するヴィスマ・リースアバイクも集団先頭に選手を送り、タイトなペースコントロールを見せる。一方、EFは逃げにシモンズを送り込んだため牽引の責任を免れ、マイヨジョーヌを着るアレックス・ボーダン(フランス、EFエデュケーション・イージーポスト)は集団前方でチームメイトに守られながら走った。

ハン・カステジョン(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)が積極的にトップ通過していった中盤の5つの山岳を越え、残すは長い下りと平坦路のみ。しかし残り39km地点の下りで、逃げ集団内のイギリス王者サムエル・ワトソン(ネットカンパニー・イネオス)が落車し、ベネットも遅れていったため先頭は10名となる。残り20km地点でその差は37秒まで縮まったため、集団スプリントによる決着の可能性が一気に高まった。

しかし山岳でスプリンターチームがアシストを使い切り、追い風も逃げ集団を味方したためか、ここからタイム差は縮まらない。途中レース中継のトラブルにより映像が届かない時間もありながら、残り10km地点で30秒をキープし、残り5kmでも19秒。そしてフラムルージュ(残り1km)地点をパブロ・カストリーリョ(スペイン、モビスター)を先頭に通過した時点で、その差は10秒まで縮まった。

12名による逃げグループ photo:A.S.O.

コフィディスからヴィスマ・リースアバイクにプロトンの牽引が変わり、猛追するものの、吸収には届かず勝負は10名によるスプリントに。カストリーリョのアシストを受けたラウル・ガルシア(スペイン、モビスター)が踏み込むのと同時に、シモンズとアンドレアス・クロン(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)がスプリントを開始。フィッシャーブラックも懸命に踏み込んだスプリントは、シモンズが制して右腕を上げた。

10名によるスプリントを制した クイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック) photo:CorVos

今季初勝利を飾ったクイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック) photo:A.S.O.

星条旗柄のアメリカ王者ジャージを纏ったシモンズによる、昨年5月の国内選手権以来の勝利。「逃げをかけた争いは激しく、プロトンは僕らに最大2分ほどしか与えてくれなかった。だから今日は辛いトレーニングになるだけだと思っていた。でもそこから追い風区間に入り、逃げ集団の走りは強力だった。全員が協調する、お互いを称え合うべき走りだった。逃げ屋にとっては夢のような展開だったし、これが人生初のスプリント勝利。なかなかクールなレースだった」と、シモンズは喜んだ。

プロトンは4秒遅れでフィニッシュし、先着したのはファンアールトだった。
ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ2026第4ステージ結果
1位 クイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック) 3:34:08
2位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
3位 マッテオ・ヴェルシェ(フランス、トタルエネルジー)
4位 マルコ・フリーゴ(イタリア、NSNサイクリングチーム)
5位 ラウル・ガルシア(スペイン、モビスター)
6位 ジョルダン・ジェガット(フランス、トタルエネルジー)
7位 アンドレアス・クロン(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)
8位 ラルス・クラップス(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)
9位 ハン・カステジョン(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
10位 パブロ・カストリーリョ(スペイン、モビスター) +0:04
個人総合成績
1位 アレックス・ボーダン(フランス、EFエデュケーション・イージーポスト) 13:35:13
2位 ケヴィン・ヴォークラン(フランス、ネットカンパニー・イネオス) +0:12
3位 オスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス)
4位 マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:15
5位 フアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック) +0:47
6位 ヨルゲン・ノードハーゲン(ノルウェー、ヴィスマ・リースアバイク)
7位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +0:50
8位 カルロス・ロドリゲス(スペイン、ネットカンパニー・イネオス) +0:57
9位 レオ・ビジオー(フランス、デカトロンCMA CGM) +0:59
10位 ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) +1:00
その他の特別賞
ポイント賞 ナダフ・ライスベルク(イスラエル、NSNサイクリングチーム)
山岳賞 クレマン・ブラズアフォンソ(フランス、グルパマFDJユナイテッド)
ヤングライダー賞 アレックス・ボーダン(フランス、EFエデュケーション・イージーポスト)
チーム総合成績 グルパマFDJユナイテッド
text:So.Isobe
photo:CorVos, A.S.O.

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