チプレッサ直前の集団落車が勝負の明暗を分けた、2026年のモニュメント初戦。タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)がピドコックを一騎打ちスプリントで退け、念願のミラノ〜サンレモで初優勝。モニュメント全制覇まで残すはパリ〜ルーベのみとなった。

2024年覇者フィリプセンと2023、25年覇者ファンデルプールの間でスタートを待つタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

ミラノ〜サンレモ2026 image: RCSsport 今年で117回を迎えたミラノ〜サンレモ(UCIワールドツアー)は、モニュメントと呼ばれる5大クラシックの初戦。その特徴は何といってもワンデーレースで最長となる298km(パレード走行を含めると300km超)の長距離。そして終盤のチプレッサとポッジオがもたらす、スプリンターからクラシックレーサー、そしてグランツールの総合を争うクライマーにも勝利の可能性があるレイアウトだ。
アクチュアルスタートが切られてすぐ、コース誘導のミスにより飛び出していた選手がメイン集団に吸収されてしまう珍事もありながら、繰り返されたアタックの末に9名の逃げ集団が形成される。その中にポルティ・ヴィジットマルタは2名を送り、マルタ共和国のPRを目的とした黄色と緑のスペシャルジャージをアピールした。一方、メイン集団は連覇を狙うマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)のチームメイトである、シルヴァン・ディリエ(スイス)が先頭でペースを作った。
そのプロトンでは、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)のチームメイトであるヤン・クリステン(スイス)が落車する。そこにモビスターのエーススプリンターであるオールイス・アウラール(ベネズエラ)も巻き込まれ、2名は早々とレースを去った。その後、逃げのリードは3分から2分半の間で推移し、トゥルキーノ峠でリグーリア海岸沿いに出ると、プロトンはレッドブル・ボーラ・ハンスグローエやピナレロQ36.5プロサイクリングなども集団牽引に選手を送った。

スペシャルジャージで臨んだポルティ・ヴィジットマルタが2名入った逃げ集団 photo:CorVos

プロトンは長時間にわたり、シルヴァン・ディリエ(スイス、アルペシン・プレミアテック)が牽引した photo:CorVos 
トゥルキーノ峠を越え、リグーリア海岸沿いに出た選手たち photo:CorVos
残り51.6kmから始まる3つの岬「トレ・カーピ(カーポ・メーレ、カーポ・チェルヴォ、カーポ・ベルタ)」が近づいてきた残り81km地点からは、UAEチームエミレーツXRGもメイン集団のペースメイクに参加。すると逃げと7分弱あった差は一気に縮まりはじめ、残り64.6km地点で落車が発生する。特にミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)のダメージは大きく、その後の検査で骨折などはなかったものの、2017年覇者でフィリッポ・ガンナ(イタリア)の重要なアシストがレースを去った。
7名に絞られた逃げ集団は3つの岬でさらに絞られ、カーポ・ベルタを越えた時点でポルティ・ヴィジットマルタの2名を含む3名となる。そのリードも1分差まで縮まり、吸収目前と思われたプロトンでは再び落車が起こる。その中に上下白地ジャージの世界王者、ポガチャルが巻き込まれ、優勝候補であるワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)の姿もあった。さらにファンデルプールも遅れ、各チームのアシストによって集団に何とか追いついた。
残り27.35kmから始まるチプレッサ(距離5.65km/平均4.1%/最大9%)でプロトンは逃げ集団を引き戻す。昨年はここで1度目のアタックを見せたポガチャルは、集団後方で登り始め、ブランドン・マクナルティ(アメリカ)の高速牽引により、僅か1kmでUAEが先頭に立つ。そして頂上まで残り3km地点で先頭はイサーク・デルトロ(メキシコ)に代わり、出遅れた展開を取り戻すようにハイスピードに持ち込んだ。

チプレッサの加速で3名に絞り込んだタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

左側に落車のダメージが残るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
そして集団を縦長に伸ばすと、頂上まで2.6km、フィニッシュまで残り24.2kmからポガチャルがアタック。その背後につけたのは昨年同様ファンデルプールと、昨年40位と振るわなかったトーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング)の2名だけ。昨年2位だったガンナやファンアールト、3日前に急遽出場が決まったマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)らは遅れ、追走を強いられた。
落車によって左半身のビブショーツは破れ、左脚に大きな擦過傷を負ったポガチャルは、続くポッジオ(距離3.7km/平均3.7%/最大8%)でも加速する。それにピドコックは反応できた一方、レース後「落車の影響でハンドルが握れない状態だった」と語ったファンデルプールは遅れていく。ポガチャルを先頭にポッジオ頂上を越え、下りは得意とするピドコックが先導した。

続くポッジオで先頭はポガチャルとピドコックの2名となった photo:CorVos
先頭2名はローテーションを回しながら下りきり、ファンデルプールを吸収した追走集団からはファンアールトが飛び出したものの、優勝争いに加わることはできない。そしてどちらが勝っても初優勝となる2名は、ポガチャルを先頭に大観衆の待つ最終ストレートに突入。ポガチャルは何度も後ろを振り返り、ピドコックの様子をうかがう。
そして腰を上げたピドコックと、ほぼ同じタイミングでポガチャルもスプリントを開始。右側のフェンスとの間を進もうとしたピドコックを、ポガチャルは許すことなく一直線に進む。そのためピドコックは左側に回るしかなく、最後はハンドル投げを制したポガチャルが雄叫びを上げた。

集団を振り切り、スプリントを開始するポガチャルとピドコック photo:CorVos

ハンドルを投げるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)とトーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング) photo:CorVos

僅差の戦いを制したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
2年連続の3位から、念願のミラノ〜サンレモ初制覇を果たしたポガチャル。「落車した瞬間、全てが終わったのだと思った。なぜなら最も重要な場所(チプレッサ)の手前だったからね。でも幸運にも身体とバイクへのダメージは少なく、チームメイトが全力で僕を集団に戻してくれた。彼らがいなければ、僕はチプレッサを登ることはなく、そのままサンレモのフィニッシュラインへ直行していただろうね」とポガチャルはジョークを交え、レースを振り返った。
これでモニュメントと呼ばれる5大クラシックのうち、4つを制したポガチャル。ティム・ウェレンス(ベルギー)やジョナタン・ナルバエス(エクアドル)といった重要なアシストを怪我で欠き、さらに落車という不運もあったなかで、世界王者の圧倒的な力が改めて示された。
3位にはファンアールトが入り、4位はピーダスン。ファンデルプールは8位でレースを終えている。

フィニッシュ直後、互いの健闘を称え合うポガチャルとピドコック photo:CorVos 
ミラノ〜サンレモ初制覇を達成したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

2年連続の3位を払拭する結果を得たタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
ピドコックとのマッチスプリントについて語るポガチャルや、勝者を称えるファンデルプールなど、6時間半を超えるレース後のコメントは別記事でお伝えします。


アクチュアルスタートが切られてすぐ、コース誘導のミスにより飛び出していた選手がメイン集団に吸収されてしまう珍事もありながら、繰り返されたアタックの末に9名の逃げ集団が形成される。その中にポルティ・ヴィジットマルタは2名を送り、マルタ共和国のPRを目的とした黄色と緑のスペシャルジャージをアピールした。一方、メイン集団は連覇を狙うマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)のチームメイトである、シルヴァン・ディリエ(スイス)が先頭でペースを作った。
そのプロトンでは、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)のチームメイトであるヤン・クリステン(スイス)が落車する。そこにモビスターのエーススプリンターであるオールイス・アウラール(ベネズエラ)も巻き込まれ、2名は早々とレースを去った。その後、逃げのリードは3分から2分半の間で推移し、トゥルキーノ峠でリグーリア海岸沿いに出ると、プロトンはレッドブル・ボーラ・ハンスグローエやピナレロQ36.5プロサイクリングなども集団牽引に選手を送った。



残り51.6kmから始まる3つの岬「トレ・カーピ(カーポ・メーレ、カーポ・チェルヴォ、カーポ・ベルタ)」が近づいてきた残り81km地点からは、UAEチームエミレーツXRGもメイン集団のペースメイクに参加。すると逃げと7分弱あった差は一気に縮まりはじめ、残り64.6km地点で落車が発生する。特にミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)のダメージは大きく、その後の検査で骨折などはなかったものの、2017年覇者でフィリッポ・ガンナ(イタリア)の重要なアシストがレースを去った。
7名に絞られた逃げ集団は3つの岬でさらに絞られ、カーポ・ベルタを越えた時点でポルティ・ヴィジットマルタの2名を含む3名となる。そのリードも1分差まで縮まり、吸収目前と思われたプロトンでは再び落車が起こる。その中に上下白地ジャージの世界王者、ポガチャルが巻き込まれ、優勝候補であるワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)の姿もあった。さらにファンデルプールも遅れ、各チームのアシストによって集団に何とか追いついた。
残り27.35kmから始まるチプレッサ(距離5.65km/平均4.1%/最大9%)でプロトンは逃げ集団を引き戻す。昨年はここで1度目のアタックを見せたポガチャルは、集団後方で登り始め、ブランドン・マクナルティ(アメリカ)の高速牽引により、僅か1kmでUAEが先頭に立つ。そして頂上まで残り3km地点で先頭はイサーク・デルトロ(メキシコ)に代わり、出遅れた展開を取り戻すようにハイスピードに持ち込んだ。


そして集団を縦長に伸ばすと、頂上まで2.6km、フィニッシュまで残り24.2kmからポガチャルがアタック。その背後につけたのは昨年同様ファンデルプールと、昨年40位と振るわなかったトーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング)の2名だけ。昨年2位だったガンナやファンアールト、3日前に急遽出場が決まったマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)らは遅れ、追走を強いられた。
落車によって左半身のビブショーツは破れ、左脚に大きな擦過傷を負ったポガチャルは、続くポッジオ(距離3.7km/平均3.7%/最大8%)でも加速する。それにピドコックは反応できた一方、レース後「落車の影響でハンドルが握れない状態だった」と語ったファンデルプールは遅れていく。ポガチャルを先頭にポッジオ頂上を越え、下りは得意とするピドコックが先導した。

先頭2名はローテーションを回しながら下りきり、ファンデルプールを吸収した追走集団からはファンアールトが飛び出したものの、優勝争いに加わることはできない。そしてどちらが勝っても初優勝となる2名は、ポガチャルを先頭に大観衆の待つ最終ストレートに突入。ポガチャルは何度も後ろを振り返り、ピドコックの様子をうかがう。
そして腰を上げたピドコックと、ほぼ同じタイミングでポガチャルもスプリントを開始。右側のフェンスとの間を進もうとしたピドコックを、ポガチャルは許すことなく一直線に進む。そのためピドコックは左側に回るしかなく、最後はハンドル投げを制したポガチャルが雄叫びを上げた。



2年連続の3位から、念願のミラノ〜サンレモ初制覇を果たしたポガチャル。「落車した瞬間、全てが終わったのだと思った。なぜなら最も重要な場所(チプレッサ)の手前だったからね。でも幸運にも身体とバイクへのダメージは少なく、チームメイトが全力で僕を集団に戻してくれた。彼らがいなければ、僕はチプレッサを登ることはなく、そのままサンレモのフィニッシュラインへ直行していただろうね」とポガチャルはジョークを交え、レースを振り返った。
これでモニュメントと呼ばれる5大クラシックのうち、4つを制したポガチャル。ティム・ウェレンス(ベルギー)やジョナタン・ナルバエス(エクアドル)といった重要なアシストを怪我で欠き、さらに落車という不運もあったなかで、世界王者の圧倒的な力が改めて示された。
3位にはファンアールトが入り、4位はピーダスン。ファンデルプールは8位でレースを終えている。



ピドコックとのマッチスプリントについて語るポガチャルや、勝者を称えるファンデルプールなど、6時間半を超えるレース後のコメントは別記事でお伝えします。
ミラノ〜サンレモ2026結果
| 1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | 6:35:49 |
| 2位 | トーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング) | |
| 3位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:04 |
| 4位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | |
| 5位 | コービン・ストロング(ニュージーランド、NSNサイクリングチーム) | |
| 6位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | |
| 7位 | ヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | |
| 8位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック) | |
| 9位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、チューダープロサイクリング) | |
| 10位 | エドアルド・ザンバニーニ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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