1級山岳モルティローロ峠を越えるジロ・デ・イタリア第17ステージは、総合順位が動く激しい展開となった。イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)が終盤アタックを成功させ、初のステージ優勝と共に総合リードを拡大した。

ステージ優勝を狙うピドコック photo:RCS Sport 
イタリアでも人気のベルナル photo:RCS Sport

ジロ1週目からマリアローザを着続けているイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:RCS Sport

ジロ・デ・イタリア2025第17ステージ コースプロフィール image:RCS Sport 丘陵というステージ分類を疑いたくなるのが、サン・ミケーレ・アッラーディジェからボルミオに向かう第17ステージだ。獲得標高差が4,000mに迫るコースは、スタートから最初に登る2級山岳パッソ・デル・トナーレ(距離15.2km/平均6%)の頂上まで、69.6kmをひたすら登っていく。
続いて駆け上がるのは1級山岳モルティローロ峠(距離12.6km/平均7.6%)で、今回は急斜面の北側ではなく南側からのアプローチ。それでも最大勾配16%が設定された残り4km地点から、平均勾配も10%近くに跳ね上がる。北側のテクニカルなダウンヒル(14.1km)を下り、フィニッシュ地点は緩斜面を登りし、3級山岳を越えて下った先のボルミオだ。
前日にプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が去った総合争いは、登りで遅れたイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)が総合2位サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)に対し26秒で辛くもマリアローザの保持に成功。総合3位のリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が31秒差と迫るなか、総合も動いてくるであろう第17ステージが午後1時にスタートした。

サン・ミケーレ・アッラーディジェを出発した選手たち photo:CorVos

約40名の大きな逃げグループが形成された photo:RCS Sport
逃げ切りの可能性も考えられるレイアウトのため、序盤から激しいアタックが戦が勃発した。前日ステージの山岳で遅れ、総合争いから脱落したフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)はこの日もコンディションは上がらない。そのため分裂した集団からが遅れるシーンもあったが、1つ目の中間スプリントの前に何とか集団合流を果たした。
中間スプリントではリドル・トレックの狙い通りマッズ・ピーダスン(デンマーク)が先頭通過し、この日最大の目標を達成する。その後は逃げを目指す動きが再開され、デルトロが逃げ集団への合流を目指してアタック。この意外性のある動きに総合上位勢は一時慌てたものの、ライバルたちは冷静に引き戻し、その後39名による大きな逃げ集団が形成された。
中でもヴィスマ・リースアバイクはウィルコ・ケルデルマン(オランダ)を含め最大となる4名を送り、総合エースのいないレッドブル・ボーラ・ハンスグローエからはダニエル・マルティネス(コロンビア)ら3名が入る。UAEチームエミレーツXRGも選手を1名送ったため、メイン集団は出場チームで唯一選手を入れることができなかったポルティ・ビジットマルタが牽引。地元イタリアのプロチームがアピールの場を得た。

プロトンを先導するポルティ・ビジットマルタ photo:RCS Sport

プロトンで走るイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:RCS Sport
2級山岳パッソ・デル・トナーレはこの日も逃げに入ったロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ)が先頭通過して、マリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)のリードを拡大する。その時点でプロトンとの差は3分。そして25.1kmの下りを経て、レースは1級山岳モルティローロ峠(距離12.6km/平均7.6%)に入っていった。
逃げの先頭はケルデルマンらヴィスマが牽引し、このペースに人数は徐々に絞られていく。一方で4分遅れで登りに入ったプロトンでは、デルトロの繰り下げでマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)を着るアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が遅れていく。総合8位のティベーリは最終的に10分31秒遅れでフィニッシュし、総合争いからまた一人脱落者が出た。
レース先頭では前日2位のフォルトゥナートがアタックし、そのカウンターでマルティネスが仕掛ける。一度沈静化するとオランダ空軍から自転車選手に転身した異色の経歴を持つバルト・レメン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が牽引する。そしてロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL)のアタックに反応したアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)が飛び出し、単独先頭でトップ通過を果たした。

1級山岳モルティローロ峠で仕掛けたリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos
プロトンではEFエデュケーション・イージーポストがペースアップし、12名程度に人数を絞る。そして頂上手前でカラパスが仕掛け、単独で頂上を通過。遅れを取ったイェーツやデルトロ、総合4位のデレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)などは12秒差で追いかけた。
先頭のエウラリオには下りでバルデとマティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ)が追いつき、遅れてフォルトゥナートら2名もジョイン。後続では逃げから下がってきたゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト)がカラパスを牽引したものの、スピードは上がらず、残り27.8km地点でUAEが牽引するデルトロ・グループの合流を許す。この時点で逃げとプロトンの差は1分45秒まで縮まっていたため、逃げ切りの可能性は低くなっていった。

3級山岳ル・モットで単独先頭に立ったロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL) photo:CorVos

イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)のアタックにカラパスが食らいつく photo:CorVos
レッドブルKMを越え、8名となった逃げグループは最終3級山岳ル・モット(距離3km/平均8.2%)に28秒のリードで突入する。アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG)が作るハイペースで迫るプロトンに対し、吸収は確実と思われた逃げからはバルデがアタック。現役最後のグランツールでの勝利を目指し踏み続ける。しかしその17秒後方のメイン集団で、マリアローザが動いた。
前日の山岳では遅れを取ったデルトロによる予想外の仕掛けには、唯一カラパスが追従する。デルトロとカラパスは頂上を越えたところでバルデに追いつき、ローテーションを回しながら総合争いのライバルたちからタイムを奪いに行く。そしてフィニッシュ地点であるボルミオへのテクニカルな下りで、デルトロが再びアタックした。
残り1.6kmからの仕掛けは決まり、そのままマリアローザがフィニッシュラインを通過。メキシコ出身の21歳が、お辞儀と共に自身初となるステージ優勝を手に入れた。

自身初のステージ優勝を飾ったイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

マリアローザのリードを拡大させたイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
「今日、僕は絶対に諦めないと心に誓った。常に一歩先を行き、いつだって挑戦し続けると決めた。僕に失うものなんて何もない。今日は昨日よりも楽だったなんてことはなかったが、間違いなく良い精神状態ではあった」と、デルトロは笑顔でそう語った。
2位には4秒遅れでバルデが入り、カラパスは同タイムの3位。粘ったイェーツは15秒遅れ、ジーは16秒遅れでフィニッシュしている。
この結果、総合首位デルトロはボーナスタイムを加えて総合リードを26秒から41秒に拡大。総合2位にはカラパスが上がり、総合3位のイェーツは51秒遅れとなっている。




続いて駆け上がるのは1級山岳モルティローロ峠(距離12.6km/平均7.6%)で、今回は急斜面の北側ではなく南側からのアプローチ。それでも最大勾配16%が設定された残り4km地点から、平均勾配も10%近くに跳ね上がる。北側のテクニカルなダウンヒル(14.1km)を下り、フィニッシュ地点は緩斜面を登りし、3級山岳を越えて下った先のボルミオだ。
前日にプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が去った総合争いは、登りで遅れたイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)が総合2位サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)に対し26秒で辛くもマリアローザの保持に成功。総合3位のリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が31秒差と迫るなか、総合も動いてくるであろう第17ステージが午後1時にスタートした。


逃げ切りの可能性も考えられるレイアウトのため、序盤から激しいアタックが戦が勃発した。前日ステージの山岳で遅れ、総合争いから脱落したフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)はこの日もコンディションは上がらない。そのため分裂した集団からが遅れるシーンもあったが、1つ目の中間スプリントの前に何とか集団合流を果たした。
中間スプリントではリドル・トレックの狙い通りマッズ・ピーダスン(デンマーク)が先頭通過し、この日最大の目標を達成する。その後は逃げを目指す動きが再開され、デルトロが逃げ集団への合流を目指してアタック。この意外性のある動きに総合上位勢は一時慌てたものの、ライバルたちは冷静に引き戻し、その後39名による大きな逃げ集団が形成された。
中でもヴィスマ・リースアバイクはウィルコ・ケルデルマン(オランダ)を含め最大となる4名を送り、総合エースのいないレッドブル・ボーラ・ハンスグローエからはダニエル・マルティネス(コロンビア)ら3名が入る。UAEチームエミレーツXRGも選手を1名送ったため、メイン集団は出場チームで唯一選手を入れることができなかったポルティ・ビジットマルタが牽引。地元イタリアのプロチームがアピールの場を得た。


2級山岳パッソ・デル・トナーレはこの日も逃げに入ったロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ)が先頭通過して、マリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)のリードを拡大する。その時点でプロトンとの差は3分。そして25.1kmの下りを経て、レースは1級山岳モルティローロ峠(距離12.6km/平均7.6%)に入っていった。
逃げの先頭はケルデルマンらヴィスマが牽引し、このペースに人数は徐々に絞られていく。一方で4分遅れで登りに入ったプロトンでは、デルトロの繰り下げでマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)を着るアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が遅れていく。総合8位のティベーリは最終的に10分31秒遅れでフィニッシュし、総合争いからまた一人脱落者が出た。
レース先頭では前日2位のフォルトゥナートがアタックし、そのカウンターでマルティネスが仕掛ける。一度沈静化するとオランダ空軍から自転車選手に転身した異色の経歴を持つバルト・レメン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が牽引する。そしてロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL)のアタックに反応したアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)が飛び出し、単独先頭でトップ通過を果たした。

プロトンではEFエデュケーション・イージーポストがペースアップし、12名程度に人数を絞る。そして頂上手前でカラパスが仕掛け、単独で頂上を通過。遅れを取ったイェーツやデルトロ、総合4位のデレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)などは12秒差で追いかけた。
先頭のエウラリオには下りでバルデとマティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ)が追いつき、遅れてフォルトゥナートら2名もジョイン。後続では逃げから下がってきたゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト)がカラパスを牽引したものの、スピードは上がらず、残り27.8km地点でUAEが牽引するデルトロ・グループの合流を許す。この時点で逃げとプロトンの差は1分45秒まで縮まっていたため、逃げ切りの可能性は低くなっていった。


レッドブルKMを越え、8名となった逃げグループは最終3級山岳ル・モット(距離3km/平均8.2%)に28秒のリードで突入する。アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG)が作るハイペースで迫るプロトンに対し、吸収は確実と思われた逃げからはバルデがアタック。現役最後のグランツールでの勝利を目指し踏み続ける。しかしその17秒後方のメイン集団で、マリアローザが動いた。
前日の山岳では遅れを取ったデルトロによる予想外の仕掛けには、唯一カラパスが追従する。デルトロとカラパスは頂上を越えたところでバルデに追いつき、ローテーションを回しながら総合争いのライバルたちからタイムを奪いに行く。そしてフィニッシュ地点であるボルミオへのテクニカルな下りで、デルトロが再びアタックした。
残り1.6kmからの仕掛けは決まり、そのままマリアローザがフィニッシュラインを通過。メキシコ出身の21歳が、お辞儀と共に自身初となるステージ優勝を手に入れた。


「今日、僕は絶対に諦めないと心に誓った。常に一歩先を行き、いつだって挑戦し続けると決めた。僕に失うものなんて何もない。今日は昨日よりも楽だったなんてことはなかったが、間違いなく良い精神状態ではあった」と、デルトロは笑顔でそう語った。
2位には4秒遅れでバルデが入り、カラパスは同タイムの3位。粘ったイェーツは15秒遅れ、ジーは16秒遅れでフィニッシュしている。
この結果、総合首位デルトロはボーナスタイムを加えて総合リードを26秒から41秒に拡大。総合2位にはカラパスが上がり、総合3位のイェーツは51秒遅れとなっている。
ジロ・デ・イタリア2025第17ステージ結果
1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 3:58:48 |
2位 | ロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL) | +0:04 |
3位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
4位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:15 |
5位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:16 |
6位 | デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | |
7位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
8位 | エイネル・ルビオ(コロンビア、モビスター) | |
9位 | マックス・プール(イギリス、ピクニック・ポストNL) | |
10位 | アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:56 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 65:30:34 |
2位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +0:41 |
3位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:51 |
4位 | デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | +1:57 |
5位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +3:06 |
6位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | +4:43 |
7位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +5:02 |
8位 | エイネル・ルビオ(コロンビア、モビスター) | +6:09 |
9位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG) | +7:45 |
10位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) | +7:46 |
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 252pts |
2位 | オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | 135pts |
3位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 98pts |
マリアアッズーラ(山岳賞)
1位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) | 355pts |
2位 | クリスティアン・スカローニ(イタリア、XDSアスタナ) | 125pts |
3位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | 54pts |
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 65:30:34 |
2位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +5:02 |
3位 | マックス・プール(イギリス、ピクニック・ポストNL) | +8:00 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 196:37:42 |
2位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +38:33 |
3位 | XDSアスタナ | +56:33 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport
photo:CorVos, RCS Sport
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