桜の花咲く京都でファクターのポップアップイベント「TEMPLE OF SPEED」がスタート。4月13日まで、趣深い町屋を舞台に最新モデルはもちろん、ブランドヒストリーやカットサンプルを展示してファクターの「速さ」を伝えるプレミアムショーをレポートします。



舞台は京都市下京区の「京扇子 大西常商店」。ファクターののぼりと暖簾が目印だ photo:So Isobe

新進気鋭のプレミアムブランド、ファクターの展示会「TEMPLE OF SPEED」が桜の花咲く京都でスタートした。

京都市下京区本燈籠町に位置する歴史ある京扇子「大西常商店」を貸し切り、趣深い町屋を舞台にファクターの最新主力モデルを一堂に展示。一躍注目されることとなったブランドの歴史やテーマ、その世界観をユーザーに届ける充実の内容だ。

洗練された展示スタイルもさることながら、この展示会のスゴいところはファクター本国主導によるブランドショー「TEMPLE OF SPEED」の世界初開催だということ。ファクターがパートナーシップを組むラファの世界的クラブイベント「RCCサミット」に併せ、ファクターの日本代理店であるトライスポーツとのタッグによって形に。ファクターの創業者であるロブ・ギティス氏やCEOのカルヴィン・チャン氏も来日中で、初日にはメディアとショップを集めたプレイベントも開催されたのだった。

築150年の京町家が舞台 photo:So Isobe

フラッグシップモデルであるOSTRO VAM。こちらはパートナーシップを組むラファのRCCカラーモデルだ
階段を上がった先も展示スペース。この日はトラックバイクが用意されていた


  photo:So Isobe

モータースポーツに携わるエンジニアリング企業「BF1システムズ」から2016年に独立してからたったの9年。当初2つのロードモデル(ONE/O2)だけだったバイクラインナップは今やMTBやグラベル、トラックも含めて合計13種類にボリュームアップしているが、エントリ〜ミドルグレードには目もくれず、ハイエンドバイクだけを作るプレミアム路線は一切変わっていない。そこには自らOEM生産工場を構え、20年に渡って大手ブランドのバイク生産を請け負ってきたギティス氏の、「自分自身が満足できるバイクしか作りたくない」というメッセージが宿っている。

イタリアの超高速F1サーキット、モンツァの別称にあやかって「Temple of Speed=スピードの殿堂」と銘打たれたショーのテーマは、「なぜファクターが世界最速なのか」を直接ユーザーに伝えること。お馴染みのロードモデルOSTRO VAMや、パリ五輪で世界最速タイムを樹立したHANZŌ Trackなどといったバイクの展示に留まらず、ブランドヒストリーやカットサンプルの展示、さらには本国スタッフ自ら在店することでブランドの魅力を伝えるという。

今回のために大西常商店が特注製作したという扇子。運が良ければ手に入れられるかも、とのこと
カットサンプルやモールドの展示も


ファクター創業者、ロブ・ギティス氏も来日。インタビューは別記事にて紹介します photo:So Isobe

ファクターロゴのお菓子やコーヒーは来場者特典に
ポップアップ前日にはショップスタッフを招いたトークショーも催された



「今こそ我々自らブランドストーリーをシェアするべきタイミングでした。京都開催を皮切りに、世界中で同じような催しを行い、ファクターの中身を知っていただきたいと考えています」とはカルヴィン氏のコメントだ。会場は今回のためにデザインされたロゴが散りばめられるなど、ブランドの熱意を存分に味わえるもの。

ちなみに会場である大西常商店は、伝統的な手しごとと現代の革新性を融合させ、新しいコンセプトを生み出す気鋭の扇子屋専門店。ファクターと共通する精神を体現する空間であることも、この場所が会場として選ばれた理由だという。

品質本位っぷりを最も象徴する展示がOSTRO VAMのカットサンプルだ。余分な重量や強度低下を招かないようにフレーム内部が美しく成型されていることはもちろん、注目は内側にデンマークのオゼオン社が製造するテキストリームカーボンが使われていること。フレーム外側に使われている様子を見たことのある読者諸兄もいるはずだが、カルヴィン氏は「それでは全く意味がない。本当に良い素材は性能に影響するフレーム内部にこそ使われていないといけない」と自信たっぷりにコメントする。

伝統と革新、最新の融合 photo:So Isobe

手作業で生み出される大西常商店の扇子。同店の伝統と革新性にリスペクトしてこの場所が選ばれたという
床の間にもFACTOR



ファクターの世界観を堪能できる「TEMPLE OF SPEED」は毎日11時から18時まで開場。RCCサミットに併せて今週日曜日、4月13日までの開催となる。予約などは一切不要で、大西常商店店頭のバイクラックに駐輪することも可能(ただし鍵の用意は必須)。来場者にはファクターロゴのチョコレートやコーヒーをプレゼントするサービスも用意されており、運が良ければ特別な扇子を手に入れられる可能性もあるとのこと。ぜひ足を運んでもらいたい。

TEMPLE OF SPEED KYOTO JAPAN APRIL 2025
会場:京扇子 大西常商店
住所:京都府京都市下京区本燈籠町23 松原 通 高倉西入
開場時間:11:00〜18:00
開催期間:4月13日(日)まで