ミラノ〜サンレモを控えるフィリプセンが終盤に落車したノケレ〜クールセ。石畳と急坂のレースは集団スプリントに持ち込まれ、ニルス・エーコフ(オランダ、ピクニック・ポストNL)が勝利した。



連覇を狙うミラノ〜サンレモを控えるヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

3月19日に行われたノケレ〜クールセ(UCI1.Pro)は、石畳や急坂を含むセミクラシックレース。パリ〜ニース覇者であるジュール・ロヴィ氏の名前を冠し、1944年に初開催された歴史ある大会は、名物坂であるノーケレベルフ(距離350m/平均5.7%)を4度登坂。しかしスプリンターを退けるほどの難易度ではないため、集団スプリントでの決着が主となっている。

ミラノ〜サンレモを3日後に控え、同日開催のミラノ〜トリノがクライマーやパンチャー系ならば、こちらはスプリンター系の最終調整の場。3連覇中のティム・メルリール(ベルギー)が不出場のスーダル・クイックステップは、代わりに若手のルーク・ランパーティ(アメリカ)がエース。優勝候補の筆頭は、ミラノ〜サンレモの連覇を目指すヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が挙げられた。

4名の逃げグループが形成された photo:CorVos

激しいアタック合戦の末に形成された逃げグループは、ラスムスブーイ・ヴァリン(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)を含む4名。それをアルペシンやUAEチームエミレーツXRGなどが牽引するメイン集団が追いかける。残り52km地点で逃げからは1人脱落する一方で、プロトンではフィリプセンが他チームの2名と飛び出すシーンもあった。

しかしこの動きは決まらず、逃げを捉えた集団は予想通りスプリントへ。フィニッシュまで続く残り1km地点からは、平均勾配4%のヴァーレヘムス・ストラート。そこにアルペシンを先頭に突入し、集団の中盤でフィリプセンを含む集団落車が発生した。

優勝候補を欠く集団が最終ストレートに突入し、登りの集団スプリントでルイス・アスキー(イギリス、グルパマFDJ)が先頭に立つ。それをニルス・エーコフ(オランダ、ピクニック・ポストNL)が追い抜き、ダンシングで踏み続けるスピードにはマッテオ・モスケッティ(イタリア、Q36.5プロサイクリング)やランパーティも届かない。192cmのエーコフが迫力あるスプリントで勝利した。

登りスプリントを制したニルス・エーコフ(オランダ、ピクニック・ポストNL) photo:CorVos

エースを失ったアルペシンのコントロールのない、混沌のスプリントを制したエーコフ。「タイミングを待ち、最後は後ろを振り返ることなく踏み続けた。チームとしてこの勝利の意味するものは大きく、とても嬉しいよ」と、エーコフは喜ぶ。

エーコフは下部チームから2020年にプロデビューした27歳。2023年のZLMツアーでプロ初勝利を飾り、これが2勝目となった。

落車後に救急車で病院に搬送されたフィリプセンは、「(集団内で)行き場をなくし落車した。調子が良く、勝てると思っていただけに残念だ」とコメント。怪我の詳細については明らかになっていないが、問題なくミラノ〜サンレモに出場できると見られている。

ノケレ〜クールセ2025表彰台:2位モスケッティ、1位エーコフ、3位ランパーティ photo:CorVos

ノケレ〜クールセ2025結果
1位 ニルス・エーコフ(オランダ、ピクニック・ポストNL) 4:15:42
2位 マッテオ・モスケッティ(イタリア、Q36.5プロサイクリング)
3位 ルーク・ランパーティ(アメリカ、スーダル・クイックステップ)
4位 ミラン・フレティン(ベルギー、コフィディス)
5位 ミラン・メンテン(ベルギー、ロット)
6位 ピート・アレハールト(ベルギー、コフィディス)
7位 ルイス・アスキー(イギリス、グルパマFDJ)
8位 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チューダー・プロサイクリング)
9位 ルカシュ・クビシュ(スロバキア、ユニベット・ティテマ・ロケッツ)
10位 ユーゴ・オフステテール(フランス、イスラエル・プレミアテック)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos