ヴィンゲゴーとログリッチの直接対決が注目されるヴォルタ・アン・アルガルヴェが開幕。フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が先着したものの、誘導ミスにより選手たちがコース逆側に進んだため、レースキャンセルとなった。



新型のエアロヘルメットを初披露したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

スペイン南部のアンダルシア地方で開幕したブエルタ・ア・アンダルシアと時を同じく、ポルトガル南部のアルガルヴェ地方でヴォルタ・アン・アルガルヴェ(UCI2.Pro)が開幕した。全5日間のステージレースは平坦から丘陵、山岳ステージとバランス良いステージが魅力の大会。最終日には登りフィニッシュの個人タイムトライアルが設定されたため、グランツールを狙う多くの総合系選手がシーズン初戦に選んだ。

中でも注目されたのは、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)とプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)の直接対決。特にヴィスマはワウト・ファンアールト(ベルギー)やセップ・クス(アメリカ)など強力なメンバーを揃え、また引退を発表したばかりのゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)も出場した。

今季初戦に臨んだヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

大会初日はラゴスにフィニッシュする192.2kmの平坦路。コース中央に3級が1つあるだけのスプリントステージで、ほとんどが地元ポルトガル人で占められた8名が逃げる。一時は4分のリードを得たものの、残り24km地点で吸収され、勝負は集団スプリントに持ち込まれた。

ファンアールトはもちろん、ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)やアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット)が集団先頭に位置を取りながら、プロトンはラスト1km地点を通過。直後のラウンドアバウトで選手たちは、コースを外れた先導のオフィシャルカーを追いかけ、正規ルートとは逆の右に曲がってしまう。そのため集団の大半は、観客のいるフェンス反対側に突入した。

異変に気づいた集団がスピードを落とす中、正規ルートを選んだ集団ではフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が飛び出す。そしてガッツポーズと共にフィニッシュラインを通過した。

幻となったフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)の勝利 photo:CorVos

正規のルートに戻る選手たち photo:CorVos

誤ったコースに突入して困惑する選手たちは、観客をかき分けフェンスを越え、正規コースのフィニッシュラインを通過する。そしてガンナは思わぬ勝利に喜ぶなか、大会主催者はレース中止を発表した。

「プロトンがコースとは反対の右に曲がってしまい、それは我々が十分な(誘導)対応をしなかったためであるのは明らかだ。この結果になってしまい、とても残念に思っている」と説明。そのため順位はもちろんタイム計測もなく、ラゴアを出発する翌日の第2ステージが大会の初日となる。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos