アルウラー・ツアーでステージ2勝を挙げ、キャリア初のステージレース総合優勝を達成したトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)のスコットの新型ADDIT RCを取り上げる。ジャスト6.8kgという軽量オールラウンダーだ。



トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)が駆るスコットの新型ADDIT RC photo:macphtos/SCOTT

今年チーム移籍を行なったビッグネームの中で、最も注目を集めているのがトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)だろう。MTBの2連続五輪覇者であり、MTBとシクロクロスでアルカンシエル経験を持つ稀代のマルチタレントは、2021年にプロデビューしたイネオス・グレナディアーズを昨年末に退団。新興チームであるQ36.5プロサイクリングに電撃加入するや否や、中東サウジアラビアを舞台にしたアルウラー・ツアーでステージ2勝を挙げるとともにキャリア初のステージレース総合優勝に輝いた。

ピドコックが駆るバイクに目を向けてみよう。アルウラーツアー総合優勝をお膳立てしたのは、スコットが昨年末にフルモデルチェンジを発表したばかりの新型ADDICT RC。2008年にカーボンレースバイク界に衝撃をもたらした初代ADDICTから16年の時を経て発表された新モデルは、初代と同じフレーム重量640gという軽さを達成し、さらにエアロ性能をも両立した軽量オールラウンドモデルに仕立てられている。

フレーム重量640gを達成した新型ADDICT RC photo:macphtos/SCOTT

「2025年シーズンのチームのレース参戦のアクティビティと、ライダーをサポートするQ36.5のテクノロジーの絶え間ない精度を象徴」したデザイン photo:macphtos/SCOTT

チームの新デザインをフレーム各所にあしらっている photo:macphtos/SCOTT
フォークにもオリジナルデザインが入る。一般発売された場合は人気が出そうだ photo:macphtos/SCOTT



身長170cmのピドコックが乗るHMXグレードのフレームはXSサイズで、グレーからホワイトxネイビーに一新したチームキットとマッチさせたカラーリングが特徴。プレスリリースの中でピドコックは「軽くて機敏で、ダウンヒルで自信を持つことのできるバイクだ。僕が求めるのは自信を与えてくれるバイクなんだ」と新型ADDICT RCを評価している。

ADDICT RCと同時開発されたシンクロスの一体型ハンドル「IC-R100-SL」はステム長100mm/ハンドル幅380mmの市販品サイズ。非売品の超ロングステムを使うプロ選手も少なくないが、ピドコックは従来から短めのステムを使い続けている。

ホイールはジップの454 NSW、タイヤはヴィットリアのCORSA PRO(28c)だ photo:macphtos/SCOTT

チームとQ36.5がウェアを共同開発する意味を込めた「Q36.5オフィシャル・リサーチ・サイエンティスト」 photo:macphtos/SCOTT

コンポーネントはクォークのパワーメーターを搭載したスラムRED AXSで、クランク長はトレンドとなっている165mmのショート版。ギア構成はフロントが54/41、リアカセットが10-33Tでトップギア比5.4、ローギア比1.24とあらゆるスピード域をカバーするセッティングだ。

ホイールは波状リムに先鞭をつけたジップの454 NSWで、プロトン内で最もシェア率の高いヴィットリアのCORSA PRO(28c)タイヤを組み付ける。この状態でUCIルール下限の6.8kgジャストに抑えられているという。

また、チームはこのアルウラー・ツアーの第5ステージでマッテオ・モスケッティ(イタリア)のステージ3勝目も獲得。ピドコックだけに留まらない活躍ぶりを披露している。

text:So Isobe
photo:macphtos/SCOTT