UCIワールドツアー開幕戦のツアー・ダウンアンダーを走ったバイクをスタートリスト順、3チームごとに紹介していく。第3弾はアンテルマルシェ・ワンティ、イネオス・グレナディアーズ、ステージ優勝を量産したレッドブル・ボーラ・ハンスグローエを取り上げる。



アンテルマルシェ・ワンティ

タコ・ファンデルホールン(オランダ)のバイク。ハンドルセッティングはかなり特徴的 photo:Kei Tsuji

ステムは超ロング。ハンドル自体も下に向けている photo:Kei Tsuji
ハンドル幅はかなり狭く、ブラケットも内側に倒している photo:Kei Tsuji



NIPPOと協業し、下部育成チームに今村駿介、島崎将男、そして藤村一磨が所属することでも話題を呼んだアンテルマルシェ・ワンティ。メインモデルとして使われるキューブのLITENING AERO C:68Xは昨年までダークブルーにレモンイエローの差し色が入ったカラーリングだったが、今年はジャージカラーに合わせてレッド〜ブラックにイメージチェンジを図った。

巨大なシマノ製58-44Tチェーンリング。供給用としても58Tの確認は初と思われる photo:Kei Tsuji

タイヤはコンチネンタルからハッチンソンにスイッチ。プロトタイプの可能性があるBLACKBIRDを使用していた。バルブはニューメンオリジナルのエアロタイプ photo:Kei Tsuji
シマノのグローバルサポートチームだけあってコンポーネントはDURA-ACE。2選手が58Tという巨大なアウターチェーンリングを使用していた。市販品は最大54Tで、選手供給専用ではこれまで56Tが最大だったものの、58Tが確認されるのは初めてのことと思われる。空力に影響するバルブをリム内側に隠す「STREEM AERO VALVE」を採用するニューメン製ホイールに組み合わせるタイヤはハッチンソンのBLACKBIRD。昨年まで使用していたコンチネンタルからのスイッチであり、見慣れないBLACKBIRD「RACE」のロゴからしてプロトタイプの可能性も高い。

逃げのスペシャリストであり、空力特化型のバイクセッティングでも知られるタコ・ファンデルホールン(オランダ)は超ロングステムと幅狭ハンドルを使い、ブラケットを送り気味&倒し気味にした特徴的なポジションだ。



イネオス・グレナディアーズ

マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)のピナレロ DOGMA F photo:Kei Tsuji

首脳陣刷新で復権を目指すイネオス・グレナディアーズは、2010年のチーム創設時から変わらずピナレロのDOGMAを駆る。ペイントパターンが小変更された2025モデルのDOGMA Fを全レースで一貫して使い、ホイールを使い分けることで山岳〜平坦などコースの違いに対応させている。

例えば、ダウンアンダーではシマノDURA-ACEのC50ホイールをメインに使いつつ、山岳ステージではエース選手のみプリンストンカーボンの軽量モデル(Alta 3532)を使用。2ブランドの使い分けは昨今のプロトンで珍しい存在と言えるだろう。組み合わせるタイヤはコンチネンタルのGRANDPRIX 5000で、軽量モデルのTT TRを全メンバーが使う。

通常はDURA-ACEのC50、山岳エースはプリンストンという使い分け photo:Kei Tsuji

ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)は165mmクランクを運用 photo:Kei Tsuji
フロントフォークエンドに取り付けられたトランスポンダ photo:Kei Tsuji



ピナレロが開発するモストの一体型ハンドル「TALON ULTRA LIGHT」や、プロロゴ製のサドル(3Dプリント製品の使用率が高い)などは昨年同様。細かい部分ではミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)が165mmクランクを採用していたこと、トランスポンダの付け方が独特(フロントフォークエンドに取り付け)だったことが挙げられる。



レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ

レッドブル・ボーラ・ハンスグローエのスペシャライズド S-WORKS TARMAC SL8 photo:Kei Tsuji

昨年のツール・ド・フランスからエナジードリンク大手レッドブルがチームスポンサーに合流し、装いを改めたレッドブル・ボーラ・ハンスグローエ。細かいデザインワークが施されたスペシャライズドのS-WORKS TARMAC SL8とスラムのRED AXS、ロヴァールのホイールとハンドルセットと基本構成は昨年と共通だ。

昨年からの変化はフロントシングルの選手が散見されたこと。同じスラムサポートチームであるヴィスマ・リースアバイクやリドル・トレックでは既に1xコンポが定着している(モビスターでは未確認)が、レッドブルもこの流れに乗ってきそうな予感。

レッドブルにもフロントシングルを使う選手が現れはじめた photo:Kei Tsuji

ホイールはロヴァールのRapide CLX II TEAM、タイヤはクリンチャーのTURBO COTTON photo:Kei Tsuji
パーツ構成は昨年同様 photo:Kei Tsuji



コンポーネントのSRAMロゴはチームカラーの白、赤・黄・紺の差し色として加えられている。昨年は一部選手がチューブレス/ナイロンケーシングのS-Works MondoやS-Works Turboタイヤを使用していたが、このダウンアンダーでは全選手がクリンチャー/コットンケーシングのTurbo cottonタイヤに乗っていた。

text:So Isobe
photo:Kei Tsuji