アデレードの周回コースで争われたサントス・ツアー・ダウンアンダー第6ステージ。集団スプリントでサム・ウェルスフォード(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が今大会3勝目をマークし、前日勝者のジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG)が危なげなく総合優勝を決めた。



この日もチームワークに徹したオーストラリア王者のルーク・ダーブリッジ(ジェイコ・アルウラー) photo:Santos Tour Down Under

25周年の記念大会となった2025年サントス・ツアー・ダウンアンダー。ウィランガヒルの激闘から一夜明け、大会最終日はアデレード・シティセンターを巡る周回コースが舞台となった。まるでクリテリウムのような4.5kmコースを20周する90kmレースは、直前に行われた女子のシュワルベ・ウィメンズ・ワンデークラシックと同一のコース設定だ。

前日勝者で総合リーダーであるナルバエスを先頭に、昨年引退して観戦に来たマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のピストルでレースはスタート。直後に飛び出したカスパー・ピーダスン(デンマーク、スーダル・クイックステップ)に、遅れてケランド・オブライアン(ジェイコ・アルウラー)とダミアン・ホーゾン(オーストラリアナショナルチーム)のオーストラリア勢が合流。UAEがメイン集団のペースを作り、落ち着いた展開のままレースは進行した。

プロトン内で安全に走行するジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

2つある中間スプリントはピーダスンとオブライアンがそれぞれトップ通過し、山岳ポイントはどちらもホーゾンが最大ポイントをゲット。しかしポイント賞トップのウェルスフォードと山岳賞ジャージを着るファーガス・ブラウニング(オーストラリアナショナルチーム)を脅かすことはなく、残り距離は10kmを切り最終局面へ。

最終周回を前に、逃げていたオブライアンとホーゾンがプロトンに吸収され、最後まで粘ったピーダスンも残り2.5kmで集団にキャッチ。緊張感高まる集団前方ではコーナーでルイス・アスキー(イギリス、グルパマFDJ)らが落車するシーンもありながら、勝負は大会4度目となる集団スプリントに持ち込まれた。

先頭に立ったサム・ウェルスフォード(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)にブライアン・コカール(フランス、コフィディス)が迫る photo:CorVos

最終ストレートに先頭で進入したのは、今大会ウェルスフォードを2勝をもたらしているリードアウトのダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)。その強烈な牽引はライバルたちを引き離し、残り200mでウェルスフォードが満を持してスプリントを開始。背後にはブライアン・コカール(フランス、コフィディス)が食らいつくも、ウェルスフォードのスピードはそれを上回る。圧倒的な加速力で先頭を維持したまま、ウェルスフォードがフィニッシュラインを駆け抜けた。

区間3勝目を手に入れたサム・ウェルスフォード(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

完璧なリードアウトから、昨年に続き最終ステージを含む区間3勝を手にしたウェルスフォード。「簡単なレースとはならず、多少危険なシーンもあった。だが勝つことができ、まさか3勝できるとは思わなかった。チームは僕を信頼し、自分自身最終日も勝てると信じていた。素晴らしい走りを見せてくれたチームメイトに感謝したい」とポイント賞ジャージを確定させ、喜びを語った。

総合優勝はナルバエスが盤石の走りで守り抜き、山岳賞はブラウニングが獲得。ヤングライダー賞には、第3ステージで4位に入り、総合17位で大会を終えた18歳のネオプロ(プロ1年目)のアルバート・ウィゼンフィリプセン(デンマーク、リドル・トレック)が輝いた。また、初出場の留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)は見事完走を果たしている。

ポイント賞ジャージと勝利を表彰台で喜ぶサム・ウェルスフォード(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

総合優勝者ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

サントス・ツアー・ダウンアンダー2025第6ステージ
1位 サム・ウェルスフォード(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) 1:53:14
2位 ブライアン・コカール(フランス、コフィディス)
3位 フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)
4位 ルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)
5位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ヘンリ・ウーリヒ(ドイツ、アルペシン・ドゥクーニンク)
7位 トビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、ピクニック・ポストNL)
8位 ティムトーン・トイテンベルク(ドイツ、リドル・トレック)
9位 マシュー・ウォールス(イギリス、グルパマFDJ)
10位 アンドレア・ラッカーニ(イタリア、スーダル・クイックステップ)
個人総合成績
1位 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) 19:19:16
2位 ハビエル・ロモ(スペイン、モビスター) +0:09
3位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:12
4位 オスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL) +0:15
5位 バスティアン・トロンション(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) +0:24
6位 ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
7位 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) +0:27
8位 トーマス・グローグ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)
9位 パトリック・コンラッド(オーストリア、リドル・トレック) +0:31
10位 マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック) +0:47
その他の特別賞
ポイント賞 サム・ウェルスフォード(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
山岳賞 ファーガス・ブラウニング(オーストラリアナショナルチーム)
ヤングライダー賞 アルバート・ウィゼンフィリプセン(デンマーク、リドル・トレック)
チーム総合成績 リドル・トレック
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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