2024/11/27(水) - 18:15
袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催された「第16回セオフェス」をレポート。美しいサーキット、熱いバトル、ビギナーフレンドリーなカテゴリー分け、それに50社を超える色とりどりの出展ブース。秋晴れの一日を振り返ります。
いつだってホビーレーサー目線。国内最大級のサイクルショップチェーン、セオサイクルが開催する年に一度のレースイベント「セオフェス」は、2006年の第1回大会からずっと、ホビーレーサーの、ビギナーの目線に寄り添った内容とプログラムで人気を得てきた大会だ。
人気イベントとなったセオフェスは、2014年には下総フレンドリーパークから本格的なレースサーキットである袖ヶ浦フォレストレースウェイに場所を移し、コロナ禍中断を挟んで今年が合計16年目。絶好の秋晴れのもと(午前中はちょっと曇って寒かったけれど)、昨年大会よりも多い650名以上の参加者が、1周2436mの美しいサーキットコースを存分に楽しんだ。
ざっくりと種目説明をすると、メインは同時出走となる2時間と4時間のエンデューロで、4時間終了後に昼休みを挟んで未就学児やキッズレース、もう一度お昼休みを挟んで各カテゴリーに分かれたロードレースというスケジュール。参加者もキッズからビギナー、上級者まで幅広いけれど、コース幅が広いので追い抜き/追い抜かれもあんまり怖くないのがサーキットエンデューロのいいところ。
雨に濡れた昨年大会で落車が多かった第4コーナー(下りから登り返すヘアピンコーナー)はパイロンを置いてラインが交錯しないように配慮されていたりと昨今叫ばれているロードレースの安全対策もバッチリ。
午前中のエンデューロにはホストチームのセマスレーシング新松戸や湾岸サイクリング・ユナイテッド、内房レーシングクラブといった地元クラブチームを中心に関東の強豪レーサーが集結。中止に終わったツール・ド・おきなわの鬱憤を晴らすように、先頭グループでは相当にハイレベルな戦いが繰り広げられた。
2時間と4時間混成の先頭グループからしきりにアタックしてレースを作ったのは、若手メンバーで構成された4時間チーム男子クラスの「イツメソ」だった。中盤まで横矢峻が単騎長時間逃げを敢行し、ペアを組んだ佐藤寛朗と大森虹亮が逃げを続行して目論見通りラップ達成。さらなるイツメソチームの抜け出しに4時間ソロ男子の市村直生と石橋利晃(湾岸カレー・ユナイテッド)が加わって勝ち逃げが決まった。
イツメソが68周(165.6km/1周2436m)の大部分を逃げ切って4時間チーム優勝を達成し、
4時間ソロ男子は67周で市村直生が優勝。ローテーションが回らず32秒届かなかった2位グループ内では、JCBFエリートツアー総合優勝を収めた武井裕(TRYCLE.ing)が先着。1週間前のもてぎエンデューロ6時間カテゴリーでぶっちぎり優勝した高橋誠(Roppongi Express)は「調子が落ち気味だけど表彰台に乗れて良かった」と3位だった。
4時間ソロ女子の部では終盤まで先頭グループを維持した古谷桜子(内房レーシングクラブ)が4ラップ差で優勝し、午後のレディースと合わせてダブル優勝をかっさらった。4時間チーム男女混合はTeam一匹狼が1ラップ差で優勝。上級者レースでは4時間チームで優勝したのち、AutoBahnGotembaジャージに着替えた佐藤寛朗が得意のスプリントで後続をぶっちぎった。
チームブリヂストンサイクリングの面々がゲストライダーを務めるのもセオフェスの恒例行事。今年もパリオリンピックに参戦した今村駿介、そして兒島直樹、さらには現役引退後にブリヂストンサイクルに入社した徳田優さん、さらには1992年のバルセロナオリンピックに出場した藤田晃三さんたちがレースを引っ張ったり、ペースメイクをしたり、キッズライダーの伴走をしてくれたり、はたまたロードバイクスキルアップセミナーで集団走行のハウツーを教えてくれたり。
特にセミナーは、ちょっと聞きかじっただけでも「チームの怖い先輩に走り方を教えてもらう」という古の文化が消滅しかかっている現在では、とってもありがたい内容だと思った。安全はもちろんのこと、集団走行の極意はどれだけワットを出すかではなくて、どれだけワット数を抑えるかだから、脚を休めるためには集団内の位置取りや立ち回り方がとても重要になってくる。2列ローテーションの回し方や、ペースを乱さない先頭交代など、トップ選手のノウハウが詰まった講習内容だったので、ビギナーだけではなくレースで上を目指す人もぜひ参加してほしいと思う。
セオフェスが好評を博しているもう一つの理由が出展ブースの多さだろう。今年は50社を超えるメーカーがサイクルモード顔負けレベルでカラフルなブースを並べてレース後の参加者を惹きつけていた。駐車場には広い試乗コースが用意されているし、2回用意されるお昼休みには試乗車でサーキットコースを走れることもまた人気のポイントだ。
シクロワイアードお馴染みのスポーツバイクだけではなく、丸石サイクルのシャフトドライブ駆動の小径車やタンデムバイク、ヤマハのE-コミューターバイク、パナソニックのオーダーバイクなど、幅広い車種を扱うセオサイクルならではのブースも。入賞者には協賛各社から提供されたミニベロやクロスバイク、ローラー台などが手渡されたりと非常に豪華な内容だったのでした。
「地域のお客様を大切にするというセオサイクルのモットーがセオフェスの原動力。もっと裾野を広げて、みんなで楽しめるレースイベントしていきたいですね」と言うのは実行委員長の佐藤さん。
「大人気のヒルクライムイベントでも一番を争っている人ってほんの一握りで、みんな過去の自分を超えるために頑張っているじゃないですか。セオフェスでも今後、例えばタイムトライアルとか、そういう自分越えができる種目を創出して、毎年来ていただく方にも楽しんでもらえる内容にしていきたい」とのこと。来年以降もセオフェスは進化を続けていくとのことで、楽しみでなりません。
各カテゴリーの優勝者、上位入賞者をピックアップした愛車記事は別記事で特集します。こちらも乞うご期待。
text&photo:So Isobe
いつだってホビーレーサー目線。国内最大級のサイクルショップチェーン、セオサイクルが開催する年に一度のレースイベント「セオフェス」は、2006年の第1回大会からずっと、ホビーレーサーの、ビギナーの目線に寄り添った内容とプログラムで人気を得てきた大会だ。
人気イベントとなったセオフェスは、2014年には下総フレンドリーパークから本格的なレースサーキットである袖ヶ浦フォレストレースウェイに場所を移し、コロナ禍中断を挟んで今年が合計16年目。絶好の秋晴れのもと(午前中はちょっと曇って寒かったけれど)、昨年大会よりも多い650名以上の参加者が、1周2436mの美しいサーキットコースを存分に楽しんだ。
ざっくりと種目説明をすると、メインは同時出走となる2時間と4時間のエンデューロで、4時間終了後に昼休みを挟んで未就学児やキッズレース、もう一度お昼休みを挟んで各カテゴリーに分かれたロードレースというスケジュール。参加者もキッズからビギナー、上級者まで幅広いけれど、コース幅が広いので追い抜き/追い抜かれもあんまり怖くないのがサーキットエンデューロのいいところ。
雨に濡れた昨年大会で落車が多かった第4コーナー(下りから登り返すヘアピンコーナー)はパイロンを置いてラインが交錯しないように配慮されていたりと昨今叫ばれているロードレースの安全対策もバッチリ。
午前中のエンデューロにはホストチームのセマスレーシング新松戸や湾岸サイクリング・ユナイテッド、内房レーシングクラブといった地元クラブチームを中心に関東の強豪レーサーが集結。中止に終わったツール・ド・おきなわの鬱憤を晴らすように、先頭グループでは相当にハイレベルな戦いが繰り広げられた。
2時間と4時間混成の先頭グループからしきりにアタックしてレースを作ったのは、若手メンバーで構成された4時間チーム男子クラスの「イツメソ」だった。中盤まで横矢峻が単騎長時間逃げを敢行し、ペアを組んだ佐藤寛朗と大森虹亮が逃げを続行して目論見通りラップ達成。さらなるイツメソチームの抜け出しに4時間ソロ男子の市村直生と石橋利晃(湾岸カレー・ユナイテッド)が加わって勝ち逃げが決まった。
イツメソが68周(165.6km/1周2436m)の大部分を逃げ切って4時間チーム優勝を達成し、
4時間ソロ男子は67周で市村直生が優勝。ローテーションが回らず32秒届かなかった2位グループ内では、JCBFエリートツアー総合優勝を収めた武井裕(TRYCLE.ing)が先着。1週間前のもてぎエンデューロ6時間カテゴリーでぶっちぎり優勝した高橋誠(Roppongi Express)は「調子が落ち気味だけど表彰台に乗れて良かった」と3位だった。
4時間ソロ女子の部では終盤まで先頭グループを維持した古谷桜子(内房レーシングクラブ)が4ラップ差で優勝し、午後のレディースと合わせてダブル優勝をかっさらった。4時間チーム男女混合はTeam一匹狼が1ラップ差で優勝。上級者レースでは4時間チームで優勝したのち、AutoBahnGotembaジャージに着替えた佐藤寛朗が得意のスプリントで後続をぶっちぎった。
チームブリヂストンサイクリングの面々がゲストライダーを務めるのもセオフェスの恒例行事。今年もパリオリンピックに参戦した今村駿介、そして兒島直樹、さらには現役引退後にブリヂストンサイクルに入社した徳田優さん、さらには1992年のバルセロナオリンピックに出場した藤田晃三さんたちがレースを引っ張ったり、ペースメイクをしたり、キッズライダーの伴走をしてくれたり、はたまたロードバイクスキルアップセミナーで集団走行のハウツーを教えてくれたり。
特にセミナーは、ちょっと聞きかじっただけでも「チームの怖い先輩に走り方を教えてもらう」という古の文化が消滅しかかっている現在では、とってもありがたい内容だと思った。安全はもちろんのこと、集団走行の極意はどれだけワットを出すかではなくて、どれだけワット数を抑えるかだから、脚を休めるためには集団内の位置取りや立ち回り方がとても重要になってくる。2列ローテーションの回し方や、ペースを乱さない先頭交代など、トップ選手のノウハウが詰まった講習内容だったので、ビギナーだけではなくレースで上を目指す人もぜひ参加してほしいと思う。
セオフェスが好評を博しているもう一つの理由が出展ブースの多さだろう。今年は50社を超えるメーカーがサイクルモード顔負けレベルでカラフルなブースを並べてレース後の参加者を惹きつけていた。駐車場には広い試乗コースが用意されているし、2回用意されるお昼休みには試乗車でサーキットコースを走れることもまた人気のポイントだ。
シクロワイアードお馴染みのスポーツバイクだけではなく、丸石サイクルのシャフトドライブ駆動の小径車やタンデムバイク、ヤマハのE-コミューターバイク、パナソニックのオーダーバイクなど、幅広い車種を扱うセオサイクルならではのブースも。入賞者には協賛各社から提供されたミニベロやクロスバイク、ローラー台などが手渡されたりと非常に豪華な内容だったのでした。
「地域のお客様を大切にするというセオサイクルのモットーがセオフェスの原動力。もっと裾野を広げて、みんなで楽しめるレースイベントしていきたいですね」と言うのは実行委員長の佐藤さん。
「大人気のヒルクライムイベントでも一番を争っている人ってほんの一握りで、みんな過去の自分を超えるために頑張っているじゃないですか。セオフェスでも今後、例えばタイムトライアルとか、そういう自分越えができる種目を創出して、毎年来ていただく方にも楽しんでもらえる内容にしていきたい」とのこと。来年以降もセオフェスは進化を続けていくとのことで、楽しみでなりません。
各カテゴリーの優勝者、上位入賞者をピックアップした愛車記事は別記事で特集します。こちらも乞うご期待。
text&photo:So Isobe
Amazon.co.jp