2024/08/29(木) - 08:26
アタックの応酬となったブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージ。ラスト600mで飛び出したエディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)が逃げ切り勝利を飾り、最終山岳で仕掛けたログリッチは総合首位オコーナーから37秒を取り戻した。
8月28日(水) 第11ステージ
カンプス・テクノロジコ・コルティソ(パドロン)〜カンプス・テクノロジコ・コルティソ(パドロン) 166.4km(山岳)
カンプス・テクノロジコ・コルティソ(パドロン)を発着地点とするブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージは、等間隔に配置された4つのカテゴリー山岳を越える山岳ステージ。3つの輪状のコースを巡りながら3級、2級、2級、そして3級山岳を越えていく。
前日に続き逃げに向いたレイアウトで、勝負所となるのは頂上が残り48.5km地点に設定された2度目の2級山岳プエルト・アグアサンタス(距離5.7km/平均6.1%)。その後は中間スプリントを経て、ラストに駆け上がる3級山岳プエルト・クルシェイラス(距離2.9km/平均8.9%)の勾配は厳しい。
マーティン・トゥスフェルト(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)のファーストアタックから始まったレースは、ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)やヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)などが積極的に逃げを目指す。ヴィスマ・リースアバイクへの移籍は発表されたカンペナールツは単独先頭に立ち、約30秒差で30名弱の選手たちが追いかけた。
リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が単独落車するシーン(怪我なく集団に復帰)のあったメイン集団は、デカトロンAG2Rラモンディアルがコントロールする。レース序盤67kmの平均速度が49km/hに迫るハイスピードで進むなか、2つ目の2級山岳でカンペナールツは後続集団に吸収される。最終的に38名の大所帯となった逃げグループから、今度はクサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が飛び出した。
逃げの中で最も総合タイムが良い(9分50秒遅れ)ジョージ・ベネット(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)のため、イスラエルは逃げ集団を先導。単独先頭のムーリッセを1分差で追いかける。ムーリッセは2つ目と3つ目の登りである2級山岳プエルト・アグアサンタス(距離5.7km/平均6.1%)をトップ通過し、中間スプリント直後の残り32km地点でようやく追走集団に捕まった。
この時点でプロトンとの差は5分。そのため勝利が絞られた逃げ集団からシャビエル・イササ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)のアタックは決まらず、3級山岳プエルト・クルシェイラス(距離2.9km/平均8.9%)を前に再びカンペナールツが仕掛ける。この動きにより先頭はナルバエスなど8名に絞られ、最終3級山岳でウルコ・ベラーデ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)が速度を上げた。
先頭集団から積極的な動きを見せたカンペナールツが遅れ、ベラーデとフィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)、カルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック)の3名が頂上を通過する。一方のプロトンでは登りでレッドブルが一気にペースを上げ、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)がエンリク・マス(スペイン、モビスター)以外を振り落とすことに成功。アシストのいないベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)は単独追走を強いられることとなった。
下りをクリアした先頭集団には平坦路で後続が追いつき、残り1kmバナー手前で14名の集団から仕掛けたベローナのアタックは決まらない。選手たちは今年のツール・ド・フランスで小集団スプリントを制したナルバエスのスピードを警戒するなか、フィニッシュ手前600mでエディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)がアタック。今年6月に自身初のアイルランドTT王者に輝いたダンバーは得意の独走で差を拡げ、後続は牽制に入ったためスピードが上がらない。
「勝つにはギャンブルをしなければならないと思った」とレース後に語ったダンバーはそのままフィニッシュラインに到達。総合上位を狙いながらも山岳ステージでタイムを失い、目標をステージ優勝に切り替えたクライマーが、自身初となるブエルタ区間優勝を手に入れた。
「600mのスプリントは長かったが、勝つにはそれしかないと思った」とレースを振り返ったダンバー。「今年のジロ・デ・イタリアでLCL(膝の外側副靭帯)を損傷した時、自分の選手キャリアは終わったと思った。だがガールフレンドや友人、家族が素晴らしいサポートをしてくれた。ここまで来るのに長い時間がかかったが、ようやくその恩を返すことができた」と語り、涙を拭った。
2位にはクインテン・ヘルマンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が入り、3位はマックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)。ログリッチは3分31秒遅れでマスやミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ)と共にフィニッシュ。それから37秒遅れでレースを終えたオコーナーからタイムを稼ぎ、その差を3分16秒まで縮めた。
8月28日(水) 第11ステージ
カンプス・テクノロジコ・コルティソ(パドロン)〜カンプス・テクノロジコ・コルティソ(パドロン) 166.4km(山岳)
カンプス・テクノロジコ・コルティソ(パドロン)を発着地点とするブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージは、等間隔に配置された4つのカテゴリー山岳を越える山岳ステージ。3つの輪状のコースを巡りながら3級、2級、2級、そして3級山岳を越えていく。
前日に続き逃げに向いたレイアウトで、勝負所となるのは頂上が残り48.5km地点に設定された2度目の2級山岳プエルト・アグアサンタス(距離5.7km/平均6.1%)。その後は中間スプリントを経て、ラストに駆け上がる3級山岳プエルト・クルシェイラス(距離2.9km/平均8.9%)の勾配は厳しい。
マーティン・トゥスフェルト(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)のファーストアタックから始まったレースは、ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)やヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)などが積極的に逃げを目指す。ヴィスマ・リースアバイクへの移籍は発表されたカンペナールツは単独先頭に立ち、約30秒差で30名弱の選手たちが追いかけた。
リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が単独落車するシーン(怪我なく集団に復帰)のあったメイン集団は、デカトロンAG2Rラモンディアルがコントロールする。レース序盤67kmの平均速度が49km/hに迫るハイスピードで進むなか、2つ目の2級山岳でカンペナールツは後続集団に吸収される。最終的に38名の大所帯となった逃げグループから、今度はクサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が飛び出した。
逃げの中で最も総合タイムが良い(9分50秒遅れ)ジョージ・ベネット(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)のため、イスラエルは逃げ集団を先導。単独先頭のムーリッセを1分差で追いかける。ムーリッセは2つ目と3つ目の登りである2級山岳プエルト・アグアサンタス(距離5.7km/平均6.1%)をトップ通過し、中間スプリント直後の残り32km地点でようやく追走集団に捕まった。
この時点でプロトンとの差は5分。そのため勝利が絞られた逃げ集団からシャビエル・イササ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)のアタックは決まらず、3級山岳プエルト・クルシェイラス(距離2.9km/平均8.9%)を前に再びカンペナールツが仕掛ける。この動きにより先頭はナルバエスなど8名に絞られ、最終3級山岳でウルコ・ベラーデ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)が速度を上げた。
先頭集団から積極的な動きを見せたカンペナールツが遅れ、ベラーデとフィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)、カルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック)の3名が頂上を通過する。一方のプロトンでは登りでレッドブルが一気にペースを上げ、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)がエンリク・マス(スペイン、モビスター)以外を振り落とすことに成功。アシストのいないベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)は単独追走を強いられることとなった。
下りをクリアした先頭集団には平坦路で後続が追いつき、残り1kmバナー手前で14名の集団から仕掛けたベローナのアタックは決まらない。選手たちは今年のツール・ド・フランスで小集団スプリントを制したナルバエスのスピードを警戒するなか、フィニッシュ手前600mでエディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)がアタック。今年6月に自身初のアイルランドTT王者に輝いたダンバーは得意の独走で差を拡げ、後続は牽制に入ったためスピードが上がらない。
「勝つにはギャンブルをしなければならないと思った」とレース後に語ったダンバーはそのままフィニッシュラインに到達。総合上位を狙いながらも山岳ステージでタイムを失い、目標をステージ優勝に切り替えたクライマーが、自身初となるブエルタ区間優勝を手に入れた。
「600mのスプリントは長かったが、勝つにはそれしかないと思った」とレースを振り返ったダンバー。「今年のジロ・デ・イタリアでLCL(膝の外側副靭帯)を損傷した時、自分の選手キャリアは終わったと思った。だがガールフレンドや友人、家族が素晴らしいサポートをしてくれた。ここまで来るのに長い時間がかかったが、ようやくその恩を返すことができた」と語り、涙を拭った。
2位にはクインテン・ヘルマンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が入り、3位はマックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)。ログリッチは3分31秒遅れでマスやミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ)と共にフィニッシュ。それから37秒遅れでレースを終えたオコーナーからタイムを稼ぎ、その差を3分16秒まで縮めた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2024第11ステージ
1位 | エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) | 3:44:52 |
2位 | クインテン・ヘルマンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:02 |
3位 | マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | |
4位 | ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | +0:04 |
5位 | ウルコ・ベラーデ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) | |
6位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | |
7位 | ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) | |
8位 | カルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック) | |
9位 | ジャンマルコ・ガロフォリ(イタリア、アスタナ・カザクスタン) | |
10位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | |
35位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:31 |
42位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +4:08 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | 43:54:54 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:16 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +3:58 |
4位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +4:10 |
5位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | +4:40 |
6位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +5:23 |
7位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +5:29 |
8位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | +5:30 |
9位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | |
10位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) | +5:46 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 243pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 162pts |
3位 | パヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 81pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | 22pts |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 22pts |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 18pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | 44:00:17 |
2位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:06 |
3位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +1:18 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 131:51:14 |
2位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | +13:10 |
3位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +13:11 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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