男子の熱戦から24時間後の8月4日(日)、パリ五輪ロードレース女子の金メダリストを決める戦いが行われる。3度登場するモンマルトルを含む158kmコースの詳細や、コペッキーやウィーベス、フォレリングら有力選手を紹介する。



3度登坂するモンマルトルの頂上にあるサクレ・クール寺院 photo:CorVos

パリ2024オリンピックロードレース女子 コースマップ image:IOC/Paris2024
パリ2024オリンピックロードレース女子 コースプロフィール image:IOC/Paris2024


グレース・ブラウン(オーストラリア)による個人タイムトライアル優勝から1週間後の8月4日(日)、パリオリンピックのロード種目を締めくくる女子ロードレースが行われる。舞台となるのはパリ市街地を発着地点とする158kmコースで、名のついた9つの丘は獲得標高差を1,700mまで引き上げる、クラシックレースのようなレイアウトだ。

今大会の特筆するべきは五輪史上初めて男女の出場人数がほぼ同数(男子90名、女子92名)であること。またワールドツアーやロード世界選手権とは違い、各チームの最大人数が4名かつ無線の使用もないため、集団コントロールは難しく戦況把握が勝負の鍵を握る。

トロカデロ広場をスタートした選手たちは西を目指し、いずれも登坂距離2kmに満たない6つの丘を越えながらパリ市街地に帰還。その後は男子レースと同じく石畳のモンマルトル(距離1km/平均6.5%)が含まれた18.4kmコースを2周回し、再びトロカデロ広場に戻ってくる。クライマーには登坂距離が足りないためパンチャー有利なレイアウトだが、集団のペース次第ではスプリンターも十分狙えるコースだ。



コペッキーvsオランダ最強軍団が濃厚

世界王者として五輪の金メダルを目指すロッテ・コペッキー(ベルギー) photo:CorVos

今春はストラーデビアンケとパリ〜ルーベ・ファムを制したロッテ・コペッキー(ベルギー)が本レースの鍵を握る。個人TTでは落車で6位と悔しい結果に終わったものの、7月のジロ・デ・イタリア・ウィメンでは区間1勝と好調であることに変わりはない。ライバルのオランダに比べチーム戦力では劣るものの、パンチ力に長けた現世界王者にこのレイアウトは適している。

東京五輪では銀メダルと悔しさ残るオランダは、今大会もドリームチームと呼ぶに相応しい強力なメンバーで臨む。エースは年々登坂力を向上させ、自己犠牲も厭わないスプリンターのロレーナ・ウィーベス。展開が厳しくなればロンドン(2012年)の金メダリスト、マリアンヌ・フォスが絞られた集団からスプリントを狙い、集団のコントロールは過去3度TT世界王者に輝くエレン・ファンダイクが担当するだろう。

世界最速と呼ばれるロレーナ・ウィーベス(オランダ) photo:CorVos

今季好調のマリアンヌ・フォス(オランダ) photo:CorVos
独走も得意とするデミ・フォレリング(オランダ) photo:CorVos


また昨年のツール・ド・フランス・ファムの総合優勝者で、今季はステージレースで負けなしのデミ・フォレリングもオランダ代表として出場。丘の登坂距離と勾配が足りないものの、昨年の春にクラシックレースで勝利を量産した走りは選手たちの記憶に新しいはず。また前回大会で懸念された連携も、今大会では心配ないだろう。

ベルギーとオランダの2強の他に、イタリアは前回の銅メダリストであるエリーザ・ロンゴボルギーニと元世界王者のスプリンター、エリーザ・バルサモの2人がエースを務める。また個人TT金メダリストのブラウンとTT&ロードの国内王者ルビー・ローズマンギャノンが揃うオーストラリアや、現TT世界王者クロエ・ダイガートのアメリカもレースを動かしてくるだろう。

エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア) photo:RCS Sport

地元フランスは年々力をつける国内王者ジュリエット・ラブースがエース。イギリスはTTの銀メダリストであるアンナ・ヘンダーソンと元世界王者エリザベス・ダイグナンが23歳のファイファー・ジョルジをアシストすると思われ、東京五輪で驚きの0kmアタックを決めたアンナ・キーセンホーファー(オーストリア)はワンデーレースを得意とするクリスティーナ・シュヴァインバーガーと共に連覇を目指す。

日本からは與那嶺恵理が自身3度目の五輪に臨む。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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