2024/07/15(月) - 13:50
総合タイム差僅か1秒という女子ジロ史上最高レベルに緊迫した最終日。3名が逃げ切ったことでボーナスタイムが消え、エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)がマリアローザを守り抜き総合優勝に輝いた。
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/corvos_00036909-012.jpeg)
逆転総合優勝を狙うロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451180725_391679610690665_7875967287342402495_n.jpeg)
序盤に生まれた4名の逃げグループ photo:RCS Sport
総合首位エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)と総合2位ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)が超僅差のマリアローザ争いを続けたジロ・デ・イタリア・ウィメン(UCIウィメンズワールドツアー)もいよいよ最終日。中盤に1級山岳を越えたのち短いアップダウンが続く117kmコースで第35回大会の決着がついた。
平均31度、獲得標高2,300mオーバーのこの日、逃げ切りにも向くレイアウトだけにラストチャンスを狙うアタッカーが激しく動いた。ステージ前半に形成された逃げには山岳賞首位のジュスティネ・ヘキエーレ(ベルギー、AGインシュランス・スーダル)が入り、SDワークス勢を抑え込みたいリドル・トレックはシクロクロス元世界女王ルシンダ・ブラント(オランダ)を送り込んで状況をコントロール。ヘキエーレは1級山岳「カステル・デル・モンテ」を先頭通過してマリアアッズーラ確定に成功している。
フィニッシュラインでのボーナスタイムでコペッキーを逆転総合優勝に導きたいSDワークス勢がペースを上げて逃げグループを捉え、カウンター合戦の中ではコペッキーがフィニッシュを待たずにアタックする場面も。しかしリドルの徹底マークを引き剥がすことはできず、30名以下に減った集団からはキンバリー・ルコート(モーリシャス、AGインシュアランス・スーダル)とルース・エドワーズ(アメリカ、ヒューマンパワードヘルス)、そしてフランシスカ・コッホ(ドイツ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が飛び出した。
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451256325_391679447357348_4017543568131184769_n.jpeg)
コペッキーを徹底マークするエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) photo:RCS Sport
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451178571_391680517357241_5281933908711054893_n.jpeg)
逃げを吸収したいSDワークスだが、アシストは一人きりになってしまう photo:RCS Sport
一昨日逃げ切りながらも区間2位に甘んじたエドワーズら、ステージ優勝に意欲を燃やす3名は1分リードを稼ぎ出した。このまま3人が逃げ切ればステージ上位3名に与えられるボーナスタイムが消えてしまうため、SDワークスにとっては是が非でも引き戻したいところ。しかしハイペースによって最終山岳アシストのニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド)を残すのみとなってしまい、痺れをきらしたコペッキーが自ら追走に出るものの捉えるには至らない。ロンゴボルギーニ有利に進むメイン集団を30秒引き離して3名が逃げ切り、フィニッシュスプリントをルコートが制した。
ボーナスタイムを確保できず、負けが決まったコペッキーを尻目に、総合優勝をアピールするようにスプリントしたロンゴボルギーニが区間4位でフィニッシュ。初日のタイムトライアルを制してからマリアローザを着続けたイタリア女王が、僅か1秒差を守り抜いて(最後はコペッキーが遅れたため総合タイム差は21秒)自身初の女子ジロ総合優勝を挙げてみせた。
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451446676_391486324043327_2858762077712194373_n.jpeg)
逃げ切ってステージ優勝を挙げたキンバリー・ルコート(モーリシャス、AGインシュアランス・スーダル) photo:RCS Sport
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/corvos_00036909-043.jpeg)
スプリントしてフィニッシュするエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451267059_391679834023976_3302296369021463363_n.jpeg)
健闘を讃えあうロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)とエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) photo:RCS Sport ![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451130349_391679710690655_5088886244181339342_n.jpeg)
ボーナスタイムを取れず敗れたロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) photo:RCS Sport
1秒差の決着は合計35回の女子ジロ史上最もタイト。「やっとこのジャージが私のものになった。多くの人たちがコペッキーがスプリントで勝つだろうと噂していたけれど、たった1%でもチャンスがあるなら私は本気で勝負に臨む。チーム全員がマリアローザ確保に燃えていたし、実際その通り動いてくれた。マリアローザは私が最強で、チームが最強だった証」とロンゴボルギーニは話している。
一方「たった1秒差で負けたのは痛い」と2位に甘んじたコペッキーは言う。「今日はあまり良いとは言えなかった。後半のレイアウトはコントロールが難しく逃げ向き。ニアムが200%の力で私のために働いてくれたのは本当に助けになった。エリーザを相手に負けたのは恥ずかしくないし、総合2位という結果は落ち着いて考えたら全く悪くない。ベルギー人選手として初めて総合トップスリーになれたけれど、毎日追い上げたのに最後1秒差で勝てなかったのは痛かった。ただオリンピックに向けた調整のためという本来の目的に立ち返れば、調子は最高レベル。チームメイトのおかげで大きな自信を持つことができた」と、複雑な心境を話している。
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451055434_391574254034534_592651770039710129_n.jpeg)
2024年ジロ・デ・イタリア・ウィメン総合表彰台:1位ロンゴボルギーニ、2位コペッキー、3位ブラッドバリー photo:RCS Sport
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451434574_391528634039096_5436981496629411152_n.jpeg)
自身初の ジロ総合優勝を遂げたエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) photo:RCS Sport
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451062877_391715727353720_5117661733911309487_n.jpeg)
ピンク色のシャワーを浴びるエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) photo:RCS Sport
女子ジロ史上最も緊迫した総合争いは、8日間トータル24時間2分16秒走った末に1秒差で決着。総合3位には前日逃げ切り勝利でタイムを稼いだブラッドバリーが入った。ポイント賞はコペッキー、山岳賞はヘキエーレ、ヤングライダー賞はブラッドバリー、チーム総合成績はリブ・アルウラー・ジェイコに与えられている。
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/corvos_00036909-012.jpeg)
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451180725_391679610690665_7875967287342402495_n.jpeg)
総合首位エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)と総合2位ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)が超僅差のマリアローザ争いを続けたジロ・デ・イタリア・ウィメン(UCIウィメンズワールドツアー)もいよいよ最終日。中盤に1級山岳を越えたのち短いアップダウンが続く117kmコースで第35回大会の決着がついた。
平均31度、獲得標高2,300mオーバーのこの日、逃げ切りにも向くレイアウトだけにラストチャンスを狙うアタッカーが激しく動いた。ステージ前半に形成された逃げには山岳賞首位のジュスティネ・ヘキエーレ(ベルギー、AGインシュランス・スーダル)が入り、SDワークス勢を抑え込みたいリドル・トレックはシクロクロス元世界女王ルシンダ・ブラント(オランダ)を送り込んで状況をコントロール。ヘキエーレは1級山岳「カステル・デル・モンテ」を先頭通過してマリアアッズーラ確定に成功している。
フィニッシュラインでのボーナスタイムでコペッキーを逆転総合優勝に導きたいSDワークス勢がペースを上げて逃げグループを捉え、カウンター合戦の中ではコペッキーがフィニッシュを待たずにアタックする場面も。しかしリドルの徹底マークを引き剥がすことはできず、30名以下に減った集団からはキンバリー・ルコート(モーリシャス、AGインシュアランス・スーダル)とルース・エドワーズ(アメリカ、ヒューマンパワードヘルス)、そしてフランシスカ・コッホ(ドイツ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が飛び出した。
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451256325_391679447357348_4017543568131184769_n.jpeg)
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451178571_391680517357241_5281933908711054893_n.jpeg)
一昨日逃げ切りながらも区間2位に甘んじたエドワーズら、ステージ優勝に意欲を燃やす3名は1分リードを稼ぎ出した。このまま3人が逃げ切ればステージ上位3名に与えられるボーナスタイムが消えてしまうため、SDワークスにとっては是が非でも引き戻したいところ。しかしハイペースによって最終山岳アシストのニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド)を残すのみとなってしまい、痺れをきらしたコペッキーが自ら追走に出るものの捉えるには至らない。ロンゴボルギーニ有利に進むメイン集団を30秒引き離して3名が逃げ切り、フィニッシュスプリントをルコートが制した。
ボーナスタイムを確保できず、負けが決まったコペッキーを尻目に、総合優勝をアピールするようにスプリントしたロンゴボルギーニが区間4位でフィニッシュ。初日のタイムトライアルを制してからマリアローザを着続けたイタリア女王が、僅か1秒差を守り抜いて(最後はコペッキーが遅れたため総合タイム差は21秒)自身初の女子ジロ総合優勝を挙げてみせた。
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451446676_391486324043327_2858762077712194373_n.jpeg)
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/corvos_00036909-043.jpeg)
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451267059_391679834023976_3302296369021463363_n.jpeg)
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451130349_391679710690655_5088886244181339342_n.jpeg)
1秒差の決着は合計35回の女子ジロ史上最もタイト。「やっとこのジャージが私のものになった。多くの人たちがコペッキーがスプリントで勝つだろうと噂していたけれど、たった1%でもチャンスがあるなら私は本気で勝負に臨む。チーム全員がマリアローザ確保に燃えていたし、実際その通り動いてくれた。マリアローザは私が最強で、チームが最強だった証」とロンゴボルギーニは話している。
一方「たった1秒差で負けたのは痛い」と2位に甘んじたコペッキーは言う。「今日はあまり良いとは言えなかった。後半のレイアウトはコントロールが難しく逃げ向き。ニアムが200%の力で私のために働いてくれたのは本当に助けになった。エリーザを相手に負けたのは恥ずかしくないし、総合2位という結果は落ち着いて考えたら全く悪くない。ベルギー人選手として初めて総合トップスリーになれたけれど、毎日追い上げたのに最後1秒差で勝てなかったのは痛かった。ただオリンピックに向けた調整のためという本来の目的に立ち返れば、調子は最高レベル。チームメイトのおかげで大きな自信を持つことができた」と、複雑な心境を話している。
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451055434_391574254034534_592651770039710129_n.jpeg)
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451434574_391528634039096_5436981496629411152_n.jpeg)
![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2024/07/15/451062877_391715727353720_5117661733911309487_n.jpeg)
女子ジロ史上最も緊迫した総合争いは、8日間トータル24時間2分16秒走った末に1秒差で決着。総合3位には前日逃げ切り勝利でタイムを稼いだブラッドバリーが入った。ポイント賞はコペッキー、山岳賞はヘキエーレ、ヤングライダー賞はブラッドバリー、チーム総合成績はリブ・アルウラー・ジェイコに与えられている。
ジロ・デ・イタリア・ウィメン2024第8ステージ結果
1位 | キンバリー・ルコート(モーリシャス、AGインシュアランス・スーダル) | 3:19:08 |
2位 | ルース・エドワーズ(アメリカ、ヒューマンパワードヘルス) | |
3位 | フランシスカ・コッホ(ドイツ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | |
4位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) | +0:25 |
5位 | ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | +0:29 |
6位 | パウリーナ・ローイヤッカース(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | |
7位 | ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラムレーシング) | |
8位 | マビ・ガルシア(スペイン、リブ・アルウラー・ジェイコ) | |
9位 | マライレ・メイエリング(オランダ、モビスター) | +0:32 |
10位 | ジュスティネ・ヘキエーレ(ベルギー、AGインシュランス・スーダル) |
個人総合成績(マリアローザ)
1位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) | 24:02:16 |
2位 | ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) | +0:21 |
3位 | ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラムレーシング) | +2:05 |
4位 | パウリーナ・ローイヤッカース(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | +2:15 |
5位 | ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | +2:41 |
6位 | アントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラムレーシング) | +3:41 |
7位 | ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック) | +4:31 |
8位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJスエズ) | +5:17 |
9位 | マビ・ガルシア(スペイン、リブ・アルウラー・ジェイコ) | +5:55 |
10位 | ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム) | +6:05 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) |
山岳賞 | ジュスティネ・ヘキエーレ(ベルギー、AGインシュランス・スーダル) |
ヤングライダー賞 | ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラムレーシング) |
チーム総合成績 | リブ・アルウラー・ジェイコ |
text:So Isobe
Amazon.co.jp