ジロ・デ・イタリア・ウィメンの山岳連戦がスタート。リアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター)が逃げグループの勝負を制し、総合トップ2人はタイム差変動無く翌日の難関山岳へ挑むことに。



最高気温35度の暑く長い一日 photo:RCS Sport

ジロ・デ・イタリア・ウィメン(UCIウィメンズワールドツアー)後半3日間の山岳決戦がスタート。翌日に控える難関山岳ブロックハウスへの小手調べとなる初日は、スタート直後から獲得標高200〜400m台のアップダウンを延々と繰り返す159km(登りは合計11箇所、獲得標高2,629m)で、最後は3級山岳に設定されたアブルッツォ州キエーティの街にフィニッシュする。

女子ジロ史上最高レベルの長距離コースが設定されたこの日、35度という暑さも加わってか逃げを狙うアタックは生まれない。残り100kmを切り、レース半分を消化し、後半戦に入ってようやくアタック合戦がスタート。ハイペースで登る集団は30名程度まで数を減らし、フィニッシュまで40kmというタイミングでようやく4名が集団を引き離した。

ルース・エドワーズ(アメリカ、ヒューマンパワードヘルス)とリアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター)、エリカ・マニャルディ(イタリア、UAEチームADQ)、そしてアン・サンテステバン(スペイン、ラボラル・クチャ-ファンダシオン・エウスカディ)が先行。すぐ後ろのメイン集団では3秒差の総合2位につけるロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)が攻撃する場面もあったが、リドル・トレック勢の牽引によって引き戻されている。

ロンゴボルギーニを守るリドル・トレックのメンバー photo:RCS Sport

最終盤にアタック合戦を繰り広げたエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)とロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) photo:RCS Sport

逃げグループのスプリント勝負を制したリアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター) photo:CorVos

逃げグループのメンバーが全員総合成績で遅れているため、メイン集団は逃げ切りを容認した。それでもメイン集団からは第3ステージで勝利したニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム)やヤングライダー賞のアントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラムレーシング)といった強豪勢がアタックしたりと状況は落ち着かない。逃げグループ、メイン集団ともに緊張感を高めてキエーティの登坂区間に入った。

サンテステバンを振り落とし、3名となった先頭グループがフィニッシュラインに向けてスプリント。食い下がるエドワーズを抑え込んだリッパートが昨年のツール・ド・フランス・ファムに続くグランツール2勝目をマークした。「コースに合っている私が逃げに乗る作戦で、ずっとタイミングを待ち続けて正しい動きに乗ることができた。本当に嬉しいし、このレースに向けてうまく準備ができなかったからホッとした。私の力になってくれた全ての人に感謝したい」と前ドイツ女王はレース直後のインタビューで心境を話している。

ハイペースを刻み続け、逃げグループのすぐ後ろに迫ったメイン集団では最終登坂で「うまくいけば前のグループに追いついてボーナスタイムを取れるかもしれないと思った」と言うコペッキーがこの日2度目のアタックに打って出る。しかしマリアローザを着るエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)はガッチリと食らいついて離さず、他選手の合流を許しながらフィニッシュラインへ。「マリアローザを確実に維持したかった」と言うロンゴボルギーニがスプリントで先行してフィニッシュした。

ジロ初勝利を挙げたリアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター) photo:CorVos

03秒差で山岳決戦に挑むエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

逃げ切りが決まったことでボーナスタイムによる総合成績変動は無し。ロンゴボルギーニとコペッキーのタイム差は3秒のままブロックハウス決戦へと挑むことになった。コペッキーは「ブロックハウスは自分には厳しい登りだと思う」と言いつつ、「去年のツール・ファムに出てきたツールマレーでもそこまで悪くなかった(ステージ6位)し、何より総合成績に関してはチームからのプレッシャーが一切ないので安心して臨める。チームでステージ2勝しているし、最終的に表彰台に登れたらとてもハッピー」と話している。
ジロ・デ・イタリア・ウィメン2024第6ステージ結果
1位 リアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター) 4:16:21
2位 ルース・エドワーズ(アメリカ、ヒューマンパワードヘルス)
3位 エリカ・マニャルディ(イタリア、UAEチームADQ) +0:01
4位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) +0:21
5位 ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラムレーシング)
6位 ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
7位 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)
8位 アントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラムレーシング)
9位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJスエズ)
10位 マビ・ガルシア(スペイン、リブ・アルウラー・ジェイコ)
個人総合成績(マリアローザ)
1位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) 16:24:29
2位 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) +0:03
3位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJスエズ) +0:38
4位 ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +0:49
5位 アントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラムレーシング) +1:06
6位 キンバリー・ルコート(モーリシャス、AGインシュアランス・スーダル) +1:28
7位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム) +1:29
8位 マビ・ガルシア(スペイン、リブ・アルウラー・ジェイコ) +1:33
9位 パウリーナ・ローイヤッカース(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) +1:34
10位 ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック) +1:44
その他の特別賞
ポイント賞 キアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ)
山岳賞 クララ・エモンド(カナダ、EFオートリー・キャノンデール)
ヤングライダー賞 アントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラムレーシング)
チーム総合成績 キャニオン・スラムレーシング
text:So Isobe

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