パリの南に位置するオルレアンから中央山塊を通り、フランス南部、ピレネー山脈に至るツール・ド・フランス第2週目。超級山岳トゥールマレーやフランス革命記念日の7月14日に登る超級山岳プラトー・ド・ベイユなど、コースの詳細を紹介します。



7月9日(火)第10ステージ
オルレアン〜サン・タマン・モンロン 187.3km(平坦)


第10ステージ オルレアン〜サン・タマン・モンロン image:A.S.O.

7月9日(火)オルレアン〜サン・タマン・モンロン image:A.S.O.
首都パリから100kmほど南西、フランス国土のど真ん中に位置するオルレアン。ここが第1休息日の場所であり、また第2週目初日のスタート地点だ。サン・タマン・モンロンまでの187.3kmはカテゴリー山岳のない平坦路で、中間スプリントは57.1km地点に早くも登場する。

獲得標高差が1,000mに満たないステージの勝負所を挙げるとすれば、南から東に進路を変えるイスーダン(残り62km)から。なぜなら同じくサン・タマン・モンロンがフィニッシュ地点となった2013年第13ステージで、アルベルト・コンタドールを擁するサクソ・ティンコフが横風分断を仕掛けたからだ。その時は14名の精鋭グループに残ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)が勝利している。

そのためスプリントを狙うチームはもちろん、総合上位選手たちも警戒が必要。また、フィニッシュ手前のコーナーと残り7km地点に設定されたコブのような小さな丘も見逃してはいけない場所となる。

フィニッシュ予定時刻:午前0時35分頃(日本時間)



7月10日(水)第11ステージ
エヴォー・レ・バン〜ル・リオラン 211km(山岳)


第11ステージ エヴォー・レ・バン〜ル・リオラン image:A.S.O.

7月10日(水)エヴォー・レ・バン〜ル・リオラン image:A.S.O.
今大会2度目の山岳ステージは211kmの長丁場。中央山塊を舞台にした6つのカテゴリーは獲得標高差を4,350mまで引き上げ、エヴォー・レ・バンを走り出した選手たちはひたすら南を目指す。最初の150kmは平坦路と低難度の山岳(4、3級)しかなく、厳しい山岳は残り70kmに詰まっている。

4つの山岳はいずれも3.3〜5.4kmと登坂距離は短いものの、一つ目の2級ネロンヌ峠は平均勾配9.1%と強烈だ。その後は頂上手前2kmが平均11.6%と険しい1級(距離5.4km/平均8.1%)を経て、2級ペルテュスの頂上にはボーナスタイムが設定されている。フィニッシュ地点は3級(距離3.3km/平均5.8%)を登り、下ってから登り返した先にある。

逃げに適していることはもちろん、急勾配のため総合勢によるアタックの可能性は高い。特に第7ステージの個人タイムトライアルで失い、タイムを奪い返したいクライマーにとっては絶好のステージとなる。

フィニッシュ予定時刻:午前0時12分頃(日本時間)



7月11日(木)第12ステージ
オーリヤック〜ヴィルヌーヴ・シュル・ロット 203.6km(平坦)


第12ステージ オーリヤック〜ヴィルヌーヴ・シュル・ロット image:A.S.O.

7月11日(木)オーリヤック〜ヴィルヌーヴ・シュル・ロット image:A.S.O.
総合勢にとって激しい勝負の翌日に、ツール主催者は休息を与えるような平坦ステージを用意した。世界最古のフランスチーズと言われるカンタルの山から、下るように西のヴィルヌーヴ・シュル・ロットを目指すコースは203.6km。前半は中央山塊の4級山岳2つを含む細かなアップダウンが続くため、逃げを狙う選手たちには格好のレイアウトとなる。

しかしコース後半は一転平坦路が続くため、集団スプリントを願うチームたちがハイスピードで追いかけるだろう。逃げとプロトンによる興味深いキャット&マウス(いたちごっこ)が見もののステージとなりそうだ。

フィニッシュ予定時刻:午前0時28分頃(日本時間)



7月12日(金)第13ステージ
アジャン〜ポー 165.3km(平坦)


第13ステージ アジャン〜ポー 165.3km image:A.S.O.

7月12日(金)アジャン〜ポー image:A.S.O.
この日を含めると第111回ツール・ド・フランスの平坦ステージはあと2つ。アジャンからツール登場75回を数えるお馴染みポーに至る165.3kmは、序盤から続く細かなアップダウンが逃げを誘発する。

中間スプリントは残り76.8kmに設定され、残り50kmからは2つの4級山岳を含む丘が連続。ピュアスプリンターを退ける難易度ではないものの、じわじわと脚が削っていくため第1週目に区間2勝&マイヨヴェールを得たビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)など、軽量なスピードマンが有利となる。

もちろんスプリンターよりも更に数の少ない逃げ切りチャンスを掴むべく、積極的な逃げ集団とスプリンターチームが先導するプロトンによる、2日連続の駆け引きが魅力となるステージだ。

フィニッシュ予定時刻:午前0時30分頃(日本時間)



7月13日(土)第14ステージ
ポー〜サン・ラリー・スーランプラ・ダデ 151.9km(山岳/山頂フィニッシュ)


第14ステージ ポー〜サン・ラリー・スーランプラ・ダデ image:A.S.O.

7月13日(土)ポー〜サン・ラリー・スーランプラ・ダデ image:A.S.O.
タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の言葉を借りるのならば、「真っ当な本格山岳ステージ」が14ステージにしてようやくやってきた。ピレネー山脈の初日は、2級山岳を2つの超級山岳で挟んだ151.9kmの山頂フィニッシュ。中間スプリント(残り81.7km)までは緩やかな登り基調の平坦路で、まずはツール登場85回目の超級山岳トゥールマレー(距離19km/平均7.4%)を駆け上がる。

標高2,115mを先頭通過した選手には「ジャック・ゴデ記念賞」が贈られ、その後は16.7kmのダウンヒル。続いて2級山岳ウルケット・ダンシザンを越え、この日を締めくくるのは超級山岳プラ・ダデ(距離10.6km/平均7.9%)だ。

登り始め3kmに渡り10%超の勾配が続き、フィニッシュに向かって緩やかになるのが特徴。獲得標高差4,000mのステージでは総合エースたちの力はもちろん、山岳アシストを含むチーム力が鍵を握る。

フィニッシュ予定時刻:午前0時27分頃(日本時間)



7月14日(日)第15ステージ
ルーダンヴィエル〜プラトー・ド・ベイユ 197.7km(山岳/山頂フィニッシュ)


第15ステージ ルーダンヴィエル〜プラトー・ド・ベイユ image:A.S.O.

7月14日(日)ルーダンヴィエル〜プラトー・ド・ベイユ image:A.S.O.
フランス革命記念日であるこの日は、前日に続き険しいピレネー山脈を舞台にした山岳フィニッシュ。距離はパレード走行を合わせると200kmを超え(レース距離は197.7km)、4つの1級から超級山岳にフィニッシュする獲得標高差4,800mの過酷なステージだ。

ルーダンヴィエルでのアクチュアルスタート直後から1級山岳ペイルスルド(距離6.9km/平均7.8%)が始まり、ここで早くも重量級スプリンターたちはグルペットを形成することとなる。その後登場する2連続の1級山岳はいずれも高難易度(距離9.3km/平均9.1%と距離4.3km/平均9.6%)で、そこを越えると選手たちはようやくひと息つくことができる。

本格的な総合勢による争いは、2011年の第14ステージと同じコースをたどる残り70kmから始まるだろう。まずは1級アニェス(距離10km/平均8.2%)とカテゴリーのつかないポール・ド・レルスを連続して登り、下ってからアンドラ公国にほど近い最終超級山岳プラトー・ド・ベイユに臨む。ここは登坂距離15.8km、平均勾配7.9%というラルプ・デュエズをも凌ぐピレネーの名峰だ。

総合勢による2日連続の山岳バトルはもちろん、第1週目で活躍の目立ったフランス人たちが血眼にして勝利を狙ってくるだろう。

フィニッシュ予定時刻:午前0時36分頃(日本時間)



7月15日(月)休息日 グリュイッサン



text:Sotaro.Arakawa
image:A.S.O.
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