白地に赤水玉模様のマイヨアポワは山岳賞、純白のマイヨブランはヤングライダーたちが争い身にまとう。ツール・ド・フランスを彩る2つの特別賞ジャージと、その候補選手たちを紹介します。



赤い水玉模様のマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ

2023年はジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)が獲得したマイヨアポワ photo:CorVos

プロトンの中でも一際目立つマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ(略してマイヨアポワ)は山岳最強クライマーの証。山岳賞が始まったのは1933年だが、特徴的な白地に赤の水玉模様が採用されたのは1975年のことで、ジャージスポンサーは今年もフランスの大手スーパーチェーン「カルフール」が務める。

カテゴリー山岳に到達した順にポイントが加算され、その合計点で争われる山岳賞。4級山岳をトップ通過してもわずか1ポイントしか得られないため、1級や超級山岳でいかにポイントを積み重ねるかが重要になってくる。超級山岳フィニッシュでのポイント2倍ルールは一昨年より廃止されたものの、今大会は第19ステージの超級ボネット峠に限り、超級山岳の2倍のポイント(トップ通過には40ポイント)が与えられる。



カテゴリー山岳のポイント配分
超級山岳
 20pts, 15pts, 12pts, 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts
1級山岳
 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
2級山岳
 5pts, 3pts, 2pts, 1pt
3級山岳
 2pts, 1pt
4級山岳
 1pt



昨年はチッコーネが獲得したマイヨポワ

総合争いから脱落したオールラウンダーや、その山岳アシストたちが狙いを変えてくることが多いことから予想が難しいこの賞。もちろん積極的に逃げに乗り、区間優勝と共にポイント獲得を狙う選手が上位につけるため、チームから自由を与えられたクライマーが有力候補となる。

ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)はマイヨアポワを狙ってくるか photo:So Isobe

3年連続で総合優勝者が手にしたマイヨアポワだったが、昨年はジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)が獲得してレース主催者の願いを叶えた。そのためジロ・デ・イタリアでも山岳賞の獲得経験のあるチッコーネはタイトル防衛を狙いところ。しかし総合エースを予定していたテイオ・ゲイガンハート(イギリス)が欠場したため、総合上位を目指す走りに注力する可能性が高い。

その点では昨年12日間に渡りマイヨアポワを着用したニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)は再びジャージ獲得を狙ってくるか。また今年限りで引退するシモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)や、総合争いには加わらずステージ優勝を狙うロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)も、自身最後のツールを2度目のマイヨアポワで締めくくるのは美しいストーリーとなる。
歴代のマイヨアポワ受賞者
2023年 ジュリオ・チッコーネ(イタリア)
2022年 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)
2021年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2020年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2019年 ロマン・バルデ(フランス)
2018年 ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
2017年 ワレン・バルギル(フランス)
2016年 ラファウ・マイカ(ポーランド)
2015年 クリストファー・フルーム(イギリス)
2014年 ラファウ・マイカ(ポーランド)


1999年1月1日以降の選手が対象のヤングライダー賞

72ステージ連続で着用したマイヨブラン(ヤングライダー賞)をプレゼントされたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

1975年大会より始まったマイヨブラン(ヤングライダー賞)は、総合順位が最も良い25歳以下(今年は誕生日が1999年1月1日以降)の選手に送られる賞。今年もジャージスポンサーは眼鏡販売会社のクリス社が務める。

2020年ツールの第13ステージ以降、計72日に渡ってマイヨブランを着続けたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)がようやく対象から外れるため、ツールは久しぶりに新しい着用者を迎える。その中でも最有力と言えるのが、総合優勝候補の一人でもあるレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)だ。

マイヨブラン最有力のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

今年ツールに初出場する前ロード世界王者かつ、現タイムトライアル世界王者のエヴェネプールは4月に鎖骨と肩甲骨を骨折。しかしリハビリを経て前哨戦のクリテリウム・デュ・ドーフィネでは個人TTを制し、山岳では遅れる姿を見せながらも上々なコンディションを披露した。

その対抗はかつての常勝軍団イネオス・グレナディアーズの総合エースを任されたカルロス・ロドリゲス(スペイン)。また同じスペイン出身のフアン・アユソ(UAEチームエミレーツ)もポガチャルをアシストしながら総合上位に食い込む可能性はある。

ちなみに今大会の最年少は2004年生まれ(20歳)のヨハンネス・クルセット(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)で、最年長は39歳のヤコブ・フルサン(デンマーク、イスラエル・プレミアテック)だ。
歴代のマイヨブラン獲得者(同年の総合成績)
2023年 タデイ・ポガチャル(スロベニア) 総合2位
2022年 タデイ・ポガチャル(スロベニア) 総合2位
2021年 タデイ・ポガチャル(スロベニア) 総合1位
2020年 タデイ・ポガチャル(スロベニア) 総合1位
2019年 エガン・ベルナル(コロンビア) 総合1位
2018年 ピエール・ラトゥール(フランス) 総合13位
2017年 サイモン・イェーツ(イギリス) 総合7位
2016年 アダム・イェーツ(イギリス) 総合4位
2015年 ナイロ・キンタナ(コロンビア) 総合2位
2014年 ティボー・ピノ(フランス) 総合3位
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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