2024/05/24(金) - 08:24
休息日を挟み3連続の山頂フィニッシュを終えたジロ・デ・イタリア。第18ステージはスプリンター待望の平坦ステージで争われ、ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がミランとのハンドル投げを制し、今大会区間2勝目を手に入れた。
ここまで過酷な山岳を耐えたスプリンターたちにようやく出番が回ってきた。標高700mのフィエラ・ディ・プリミエロから高度を下げながら目指すのは、水路や歴史的な建造物が立ち並ぶ古都パドヴァ。設定されたカテゴリー山岳は序盤の4級のみのため、総合争いで疲弊した選手たちにとっては休息の時となる。
パドヴァの市街地に入ってからは直線路が続き、フラムルージュ(残り1km)直後に左の直角コーナーが登場。そして残り約500mの右直角コーナーを経て、スピードマンたちによるスプリントバトルが繰り広げられた。
この日は今大会何度も逃げを打ち、一時はマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を着ていたクリスティアン・スカローニ(イタリア、アスタナ・カザクスタン)が体調不良と高熱により不出場。そのためマリアローザを着るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)を先頭に144名まで減った選手たちが、雨の中スタートを切った。
直後からスプリンターのいないチームを中心にアタックが巻き起こり、特にフィニッシュ地点の近くマントヴァ出身のエドアルド・アッフィニ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク)が積極的に逃げを狙う。しかしそれは成功せず、レース先頭ではミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)を含む4名の逃げが決まった。
ジロ第18ステージで逃げた4名
ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)
ミルコ・マエストリ(イタリア、ポルティ・コメタ)
アンドレア・ピエトロボン(イタリア、ポルティ・コメタ)
フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)
ポルティ・コメタが2名を乗せた逃げは、雨が上がり、30kmを過ぎる頃に2分20秒のリードを得る。この日唯一の4級山岳ではマエストリが争うことなく先頭通過し、続く中間スプリントはピエトロボンが先着。そしてリドル・トレックがコントロールするメイン集団では、マリアチクラミーノ(ポイント賞)を着るジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)が5位通過で最大4ptsを加算した。
この時点でミラン(288pts)とポイント賞ランキング2位につけるカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)との差は113pts。そのためミランはチームを変え、2年連続でのマリアチクラミーノ獲得をほぼ手中に収めた。
続くインテルジロでは暫定トップのフィオレッリが先頭を取り、ここでもミランはプロトン先頭で通過し4ptsを加算。プロトンはリドルに加えスーダル・クイックステップやチューダー・プロサイクリングも牽引したため、残り60km地点で逃げを23秒まで追い詰める。そしてこのタイム差を好機と思ったアッフィニが、逃げ合流を目指してメイン集団から飛び出した。
僅か5kmでアッフィニは先頭に追いつき、これによりペースの落ちていた逃げ集団は息を吹き返す。しかしその効果は長くは続かず、残り40km地点でその差は10秒まで縮小。だが早い段階で逃げを捉え、新たなアタック合戦が始まるのを嫌ったプロトンは牽引スピードを緩め、残り10km地点で予定通り先頭4名を飲み込んだ。
スプリンターチームとエースの安全を確保したい総合系のチームが位置取り争いを激化させたため、集団の時速は60kmに達する。特にこの日はアルベルト・ダイネーゼ(イタリア)を擁するチューダー・プロサイクリングが積極的に位置を上げ、それに負けじとスーダルやリドルもトレインをぶつける。
フラムルージュ(残り1km)と直後の左コーナーはチューダーが先頭で通過し、フィニッシュ手前500mの最終コーナーはエドワルト・トゥーンス(ベルギー)とシモーネ・コンソンニ(イタリア)のリドル・トレインが先頭へ。これまで区間3勝を誇り、絶好の態勢を整えたリドルだったが、肝心のミランが集団の中に埋もれたためコンソンニは踏みを止めた。
そのため集団のスピードは残り200m地点で一度緩み、ユーゴ・オフステテール(フランス、イスラエル・プレミアテック)の踏み込みからスプリントバトルの幕が上がる。ダイネーゼがコース左側でオフステテールを抜く一方で、右側ではカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がもがいて先頭へ。
しかしここから、スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、コフィディス)の背後についたミランとティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がほぼ同時に腰を上げる。そして2人はグローブスを両側から挟んで先頭に出ると、ハンドル投げの接戦をメルリールが制した。
「ジロでは区間2勝目、またシーズンで9勝目なので本当に嬉しいよ。(フラムルージュ直後の)コーナーでは良い位置だったのだが、最終コーナーでポジションを下げてしまった。だが焦ることなく、自信を持ってスプリントできる位置まで上がっていった。ここでは複数勝利を狙っていたので、成功のジロと言う事ができる」と第3ステージに続く勝利を、メルリールはそう喜んだ。
シーズン序盤こそ順調だったものの、春のクラシックは散々な結果に終わったスーダル。しかしこれで第12ステージのジュリアン・アラフィリップ(フランス)も含め、ジロでチーム3勝目を挙げた。
2位はミラン、3位にはグローブスが入り、総合上位勢は先頭と同タイムでフィニッシュしたため、マリアローザ争いに動きはなかった。
ここまで過酷な山岳を耐えたスプリンターたちにようやく出番が回ってきた。標高700mのフィエラ・ディ・プリミエロから高度を下げながら目指すのは、水路や歴史的な建造物が立ち並ぶ古都パドヴァ。設定されたカテゴリー山岳は序盤の4級のみのため、総合争いで疲弊した選手たちにとっては休息の時となる。
パドヴァの市街地に入ってからは直線路が続き、フラムルージュ(残り1km)直後に左の直角コーナーが登場。そして残り約500mの右直角コーナーを経て、スピードマンたちによるスプリントバトルが繰り広げられた。
この日は今大会何度も逃げを打ち、一時はマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を着ていたクリスティアン・スカローニ(イタリア、アスタナ・カザクスタン)が体調不良と高熱により不出場。そのためマリアローザを着るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)を先頭に144名まで減った選手たちが、雨の中スタートを切った。
直後からスプリンターのいないチームを中心にアタックが巻き起こり、特にフィニッシュ地点の近くマントヴァ出身のエドアルド・アッフィニ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク)が積極的に逃げを狙う。しかしそれは成功せず、レース先頭ではミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)を含む4名の逃げが決まった。
ジロ第18ステージで逃げた4名
ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)
ミルコ・マエストリ(イタリア、ポルティ・コメタ)
アンドレア・ピエトロボン(イタリア、ポルティ・コメタ)
フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)
ポルティ・コメタが2名を乗せた逃げは、雨が上がり、30kmを過ぎる頃に2分20秒のリードを得る。この日唯一の4級山岳ではマエストリが争うことなく先頭通過し、続く中間スプリントはピエトロボンが先着。そしてリドル・トレックがコントロールするメイン集団では、マリアチクラミーノ(ポイント賞)を着るジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)が5位通過で最大4ptsを加算した。
この時点でミラン(288pts)とポイント賞ランキング2位につけるカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)との差は113pts。そのためミランはチームを変え、2年連続でのマリアチクラミーノ獲得をほぼ手中に収めた。
続くインテルジロでは暫定トップのフィオレッリが先頭を取り、ここでもミランはプロトン先頭で通過し4ptsを加算。プロトンはリドルに加えスーダル・クイックステップやチューダー・プロサイクリングも牽引したため、残り60km地点で逃げを23秒まで追い詰める。そしてこのタイム差を好機と思ったアッフィニが、逃げ合流を目指してメイン集団から飛び出した。
僅か5kmでアッフィニは先頭に追いつき、これによりペースの落ちていた逃げ集団は息を吹き返す。しかしその効果は長くは続かず、残り40km地点でその差は10秒まで縮小。だが早い段階で逃げを捉え、新たなアタック合戦が始まるのを嫌ったプロトンは牽引スピードを緩め、残り10km地点で予定通り先頭4名を飲み込んだ。
スプリンターチームとエースの安全を確保したい総合系のチームが位置取り争いを激化させたため、集団の時速は60kmに達する。特にこの日はアルベルト・ダイネーゼ(イタリア)を擁するチューダー・プロサイクリングが積極的に位置を上げ、それに負けじとスーダルやリドルもトレインをぶつける。
フラムルージュ(残り1km)と直後の左コーナーはチューダーが先頭で通過し、フィニッシュ手前500mの最終コーナーはエドワルト・トゥーンス(ベルギー)とシモーネ・コンソンニ(イタリア)のリドル・トレインが先頭へ。これまで区間3勝を誇り、絶好の態勢を整えたリドルだったが、肝心のミランが集団の中に埋もれたためコンソンニは踏みを止めた。
そのため集団のスピードは残り200m地点で一度緩み、ユーゴ・オフステテール(フランス、イスラエル・プレミアテック)の踏み込みからスプリントバトルの幕が上がる。ダイネーゼがコース左側でオフステテールを抜く一方で、右側ではカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がもがいて先頭へ。
しかしここから、スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、コフィディス)の背後についたミランとティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がほぼ同時に腰を上げる。そして2人はグローブスを両側から挟んで先頭に出ると、ハンドル投げの接戦をメルリールが制した。
「ジロでは区間2勝目、またシーズンで9勝目なので本当に嬉しいよ。(フラムルージュ直後の)コーナーでは良い位置だったのだが、最終コーナーでポジションを下げてしまった。だが焦ることなく、自信を持ってスプリントできる位置まで上がっていった。ここでは複数勝利を狙っていたので、成功のジロと言う事ができる」と第3ステージに続く勝利を、メルリールはそう喜んだ。
シーズン序盤こそ順調だったものの、春のクラシックは散々な結果に終わったスーダル。しかしこれで第12ステージのジュリアン・アラフィリップ(フランス)も含め、ジロでチーム3勝目を挙げた。
2位はミラン、3位にはグローブスが入り、総合上位勢は先頭と同タイムでフィニッシュしたため、マリアローザ争いに動きはなかった。
ジロ・デ・イタリア2024第18ステージ結果
1位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 3:45:44 |
2位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | |
3位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
4位 | アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チューダー・プロサイクリング) | |
5位 | スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、コフィディス) | |
6位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター) | |
7位 | マディス・ミケルス(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ) | |
8位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | |
9位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ・カザクスタン) | |
10位 | フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 67:17:02 |
2位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | +7:42 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +8:04 |
4位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +9:47 |
5位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +10:29 |
6位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +11:10 |
7位 | ロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | +12:42 |
8位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | +13:33 |
9位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | +13:52 |
10位 | ヤン・ヒルト(チェコ、スーダル・クイックステップ) | +14:44 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 327pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 200pts |
3位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 143pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 230pts |
2位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) | 148pts |
3位 | ゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト) | 130pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 67:27:31 |
2位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | +0:41 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +3:23 |
チーム総合成績
1位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | 202:40:13 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +16:46 |
3位 | UAEチームエミレーツ | +34:11 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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