2024/05/12(日) - 08:39
UAEチームエミレーツが終始展開を掌握したジロ第8ステージ。勝負は1級山岳山頂でのスプリントバトルに持ち込まれ、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が区間3勝目となる2日連続勝利を掴んだ。
長かったジロ・デ・イタリア第1週目にもようやく終わりが見えてきた。第8ステージの舞台は3つのカテゴリー山岳が登場する、難易度5つ星の山頂フィニッシュ。獲得標高3,820mの152kmコースは前日の個人タイムトライアルに続き総合争いの大きな山場となる。
スポレートを出発直後にカテゴリーなき丘を越え、直後に取り掛かるのは登坂距離16.3km(平均5.6%)の2級山岳。その後は山岳ポイントのつかない登りを3つほど経てコース後半の3級山岳をクリア。そして一度下ってからこの日のメインディッシュである1級山岳プラティ・ディ・ティーヴォ(距離14.6km/平均7%)に臨む。
第5ステージの落車により身体を痛めていたクリストフ・ラポルト(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)が未出走だったため、前日より1名少ない164名の選手たちがスタート。プロ3年目で嬉しいグランツールデビューを果たしたゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト)の飛び出しをきっかけにアタック合戦が始まり、第6ステージに勝利に迫ったジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)も積極的に動いた。
逃げを目指して飛び出した選手たちはいくつかの集団に分かれ、先頭集団に入ったシモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)が最初の2級山岳を先頭通過。その下りでようやく14名の逃げ集団でまとまり、UAEチームエミレーツの牽引するメイン集団に2分のタイム差を得た。
しかしここからUAEはそれ以上許さないタイトなペースコントロールを敢行する。また、ここまで静かだったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)やロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)、6日目勝者サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)の入った逃げの協調態勢は最後まで整わず、残り47km地点から始まる3級山岳で一度崩壊した。
そのきっかけを作ったのはここでもシュタインハウザーだった。黒いスペシャルジャージを身に纏った22歳は逃げグループを飛び出し、追従するキンタナなどを尻目にアラフィリップと37歳のベテラン、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)が脱落。ゲシュケは3級山岳でもトップ通過し、遅れた2名も下りで集団復帰した。
そして14名の逃げ集団は、ジロに1975年以来の登場となった1級山岳プラティ・ディ・ティーヴォ(距離14.6km/平均7%)に突入する。しかし神経質なまでのタイムコントロールを見せたUAEにより、この時点でプロトンは35秒後方まで迫っていた。
22のヘアピンカーブが登場するこの山岳では、前日の個人タイムトライアルで3位と良い走りを見せたマグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)が前に出る。そのペースに早々とアラフィリップとデマルキが離れ、一気にペースの上がるプロトンではマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)を着るルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が遅れていった。
アレッサンドロ・ヴェッレ(イタリア、アルケアB&Bホテルズ)により更に逃げの人数は絞られ、プロトンの追い上げを感じたヴァランタン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)が残り10km地点から飛び出す。このアタックには誰も反応することができなかったものの、パレパントルは残り4.3kmでラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ)が先導するメイン集団に捉えられた。
フィニッシュまで残り3kmを示すバナーを越えた地点で、マイカの高速牽引についていくことができたのは13名。その中にはこの山岳を2021年ティレーノ~アドリアティコで独走勝利したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)はもちろん、総合上位につけるダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)やゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)の姿も。そしてアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)のアタックから、登坂バトルが始まった。
これがジロデビューの22歳ティベーリによる勇気ある仕掛けには、マリアビアンカのライバルであるキアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)やポガチャルたちが反応する。続いてトーマスのアシストを務めるテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)が飛び出し、それを許さない精鋭集団の後方では逃げから残ったマイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング)が食らいつく。
その後は集団の一度ペースが落ち着いたため、マイカが再び先頭でペースを作り始める。そして残り200mから、ステージ優勝とボーナスタイムを賭けたスプリントが始まった。
最初に腰を上げたのはマルティネス。続いてポガチャルも踏み始め、その圧倒的なスピードにマルティネスは背後につくこともできない。そして後方を1度確認したマリアローザが、右手で胸を叩きながらフィニッシュラインを通過した。
前日の個人TTで圧巻の強さを見せつけたポガチャルによる、2日連続の区間優勝。「僕とミッケル・ビョーグ以外は昨日、身体を少し休めることができたからチーム全体として調子が良かった。だからステージ序盤からプロトン先頭でペースを作った。ステージ優勝を狙うかどうかはチームメイトの走り次第で、僕の調子が良かったこともあり、この素晴らしい勝利に繋がった」とポガチャルは、チーム一丸となって掴んだ勝利であることを強調した。
登りで遅れた総合5位のプラップとアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン)が総合争いから脱落した以外は、総合順位に変動はなし。また区間7位だったアイデブルックスは1日にしてマリアビアンカ奪還に成功している。
長かったジロ・デ・イタリア第1週目にもようやく終わりが見えてきた。第8ステージの舞台は3つのカテゴリー山岳が登場する、難易度5つ星の山頂フィニッシュ。獲得標高3,820mの152kmコースは前日の個人タイムトライアルに続き総合争いの大きな山場となる。
スポレートを出発直後にカテゴリーなき丘を越え、直後に取り掛かるのは登坂距離16.3km(平均5.6%)の2級山岳。その後は山岳ポイントのつかない登りを3つほど経てコース後半の3級山岳をクリア。そして一度下ってからこの日のメインディッシュである1級山岳プラティ・ディ・ティーヴォ(距離14.6km/平均7%)に臨む。
第5ステージの落車により身体を痛めていたクリストフ・ラポルト(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)が未出走だったため、前日より1名少ない164名の選手たちがスタート。プロ3年目で嬉しいグランツールデビューを果たしたゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト)の飛び出しをきっかけにアタック合戦が始まり、第6ステージに勝利に迫ったジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)も積極的に動いた。
逃げを目指して飛び出した選手たちはいくつかの集団に分かれ、先頭集団に入ったシモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)が最初の2級山岳を先頭通過。その下りでようやく14名の逃げ集団でまとまり、UAEチームエミレーツの牽引するメイン集団に2分のタイム差を得た。
しかしここからUAEはそれ以上許さないタイトなペースコントロールを敢行する。また、ここまで静かだったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)やロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)、6日目勝者サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)の入った逃げの協調態勢は最後まで整わず、残り47km地点から始まる3級山岳で一度崩壊した。
そのきっかけを作ったのはここでもシュタインハウザーだった。黒いスペシャルジャージを身に纏った22歳は逃げグループを飛び出し、追従するキンタナなどを尻目にアラフィリップと37歳のベテラン、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)が脱落。ゲシュケは3級山岳でもトップ通過し、遅れた2名も下りで集団復帰した。
そして14名の逃げ集団は、ジロに1975年以来の登場となった1級山岳プラティ・ディ・ティーヴォ(距離14.6km/平均7%)に突入する。しかし神経質なまでのタイムコントロールを見せたUAEにより、この時点でプロトンは35秒後方まで迫っていた。
22のヘアピンカーブが登場するこの山岳では、前日の個人タイムトライアルで3位と良い走りを見せたマグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)が前に出る。そのペースに早々とアラフィリップとデマルキが離れ、一気にペースの上がるプロトンではマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)を着るルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が遅れていった。
アレッサンドロ・ヴェッレ(イタリア、アルケアB&Bホテルズ)により更に逃げの人数は絞られ、プロトンの追い上げを感じたヴァランタン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)が残り10km地点から飛び出す。このアタックには誰も反応することができなかったものの、パレパントルは残り4.3kmでラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ)が先導するメイン集団に捉えられた。
フィニッシュまで残り3kmを示すバナーを越えた地点で、マイカの高速牽引についていくことができたのは13名。その中にはこの山岳を2021年ティレーノ~アドリアティコで独走勝利したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)はもちろん、総合上位につけるダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)やゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)の姿も。そしてアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)のアタックから、登坂バトルが始まった。
これがジロデビューの22歳ティベーリによる勇気ある仕掛けには、マリアビアンカのライバルであるキアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)やポガチャルたちが反応する。続いてトーマスのアシストを務めるテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)が飛び出し、それを許さない精鋭集団の後方では逃げから残ったマイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング)が食らいつく。
その後は集団の一度ペースが落ち着いたため、マイカが再び先頭でペースを作り始める。そして残り200mから、ステージ優勝とボーナスタイムを賭けたスプリントが始まった。
最初に腰を上げたのはマルティネス。続いてポガチャルも踏み始め、その圧倒的なスピードにマルティネスは背後につくこともできない。そして後方を1度確認したマリアローザが、右手で胸を叩きながらフィニッシュラインを通過した。
前日の個人TTで圧巻の強さを見せつけたポガチャルによる、2日連続の区間優勝。「僕とミッケル・ビョーグ以外は昨日、身体を少し休めることができたからチーム全体として調子が良かった。だからステージ序盤からプロトン先頭でペースを作った。ステージ優勝を狙うかどうかはチームメイトの走り次第で、僕の調子が良かったこともあり、この素晴らしい勝利に繋がった」とポガチャルは、チーム一丸となって掴んだ勝利であることを強調した。
登りで遅れた総合5位のプラップとアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン)が総合争いから脱落した以外は、総合順位に変動はなし。また区間7位だったアイデブルックスは1日にしてマリアビアンカ奪還に成功している。
ジロ・デ・イタリア2024第8ステージ結果
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 4:02:16 |
2位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | |
4位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:02 |
5位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
6位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | |
7位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | |
8位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +0:11 |
9位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) | +0:13 |
10位 | アレックス・ボーダン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +0:21 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 28:14:42 |
2位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | +2:40 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +2:58 |
4位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +3:39 |
5位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | +4:02 |
6位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +4:23 |
7位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、アスタナ・カザクスタン) | +5:15 |
8位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | +5:28 |
9位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +5:30 |
10位 | ヤン・ヒルト(チェコ、スーダル・クイックステップ) | +5:53 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 134pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 97pts |
3位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 89pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 104pts |
2位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | 52pts |
3位 | シモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス) | 36pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 28:18:44 |
2位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:21 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +1:28 |
チーム総合成績
1位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | 85:03:12 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +1:20 |
3位 | アスタナ・カザクスタン | +9:23 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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