2024/05/03(金) - 12:30
開幕が明日5月4日(土)に迫った第107回ジロ・デ・イタリア。ヤコブセンやミランが揃うマリアチクラミーノ(ポイント賞)やマリアアッズーラ(山岳賞)、豪州王者プラップが有力なマリアビアンカ(ヤングライダー賞)と、3つのジャージとそれを狙う注目選手を紹介する。
マリアチクラミーノ ポイント賞
今大会、平坦ステージに分類されているステージは6つ。主に第1と2週目に多いスプリントチャンスを狙い、爆発的なスピードに長けたスプリンターたちが激突する。そしてそのスピードマンたちが狙うのが、紫のシクラメンカラーのマリアチクラミーノだ。
平坦ステージでは丘陵や山岳ステージに比べ、より多くのポイントを稼ぐことができる配分(1位:50pts、2位:35pts、3位:25pts…)となっている。そのためマリアチクラミーノ獲得のためには区間優勝を狙うのはもちろん、各ステージに2箇所設定された中間ポイント(個人タイムトライアルは除く)も重要な要素となる(1位:12pts、2位:8pts、3位:6pts…)。
2年連続の獲得を目指すミラン
今大会は過去にマリアチクラミーノを獲得したことのあるフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)とジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)の2人が揃う。ミランは昨年、初出場で区間1勝(と4度の2位)と共に獲得。3月のティレーノ~アドリアティコでは区間2勝し、春のクラシックでは激しい展開でも先頭集団に残る登坂力も伸ばしている。
純粋なスプリント力では過去に区間1勝しているティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)と、初出場となるファビオ・ヤコブセン(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)の元チームメイト対決に注目。特にメルリールは今季7勝とここまでキャリアハイの勝率を残しており、一方のヤコブセンは、ツアー・オブ・ターキーでプロ初勝利から区間3勝をマークした21歳のトビアスルンド・アンドレースン(デンマーク)がリードアウトを務める。
また新リードアウト職人との呼び声高いダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)は今回エーススプリンターとして出場。またカレブ・ユアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)やフアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)、フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)と経験豊富なスプリンターも揃う。
若手ではコーイとランパーティに注目
22歳ながらプロ通算32勝を積み重ねるオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)は、総合優勝を狙うチームオーダーの影響でこれが念願のグランツールデビュー。また24歳のビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)は2022年以来の区間優勝を目指し、シクロワイアード的には昨年のツアー・オブ・ジャパンでインタビューを行ったルーク・ランパーティ(アメリカ、スーダル・クイックステップ)に注目。役割としてはメルリールのアシストだが、サガンのように厳しい展開からのスプリントで勝利を狙える力がある。
歴代ポイント賞受賞者
2023年:ジョナサン・ミラン(イタリア)
2022年:アルノー・デマール(フランス)
2021年:ペテル・サガン(スロバキア)
2020年:アルノー・デマール(フランス)
2019年:パスカル・アッカーマン(ドイツ)
マリアアッズーラ 山岳賞
昨年より山岳の数は減ったものの、それでも4つの山頂フィニッシュが登場する今大会。それだけに青色のマリアアッズーラには例年以上に大きな価値が生まれる。かつては緑色のマリアヴェルデが採用されていたが、2012年から青色に変更されたジャージは「クライミング」「俊敏さ」「スタミナ」を象徴する。
高い登坂力をもつ選手は必然的に総合争いに流れ、さらに多くのクライマーたちがアシストとしてエースへの献身を強いられるため、登坂力ランキングがそのまま山岳賞ランキングになることはない。総合順位を落としたマリアローザ候補たちが山岳賞に目標をスイッチすることもあるため、非常に予想が難しい賞となっている。
昨年は現役最後の出場となったティボー・ピノ(フランス)がベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)から奪い返し、そのままローマの表彰台で喜んだ。
歴代山岳賞受賞者
2023年:ティボー・ピノ(フランス)
2022年:クーン・ボウマン(オランダ)
2021年:ジョフレ・ブシャール(フランス)
2020年:ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル)
2019年:ジュリオ・チッコーネ(イタリア)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
25歳以下の選手を対象にしたマリアビアンカ(ヤングライダー賞)は、1999年1月1日以降に生まれた選手の中で最も総合タイムが良い選手に与えられる。若手の活躍が著しい近年は総合優勝者がそのままヤングライダー賞も獲得することも多く、2020年(テイオ・ゲイガンハート)と21年(エガン・ベルナル)はいずれも総合優勝を果たした選手が着用した。
その資格を有する34名の中でも有力なのは、今年1月にTTとロードの国内王者に輝いた23歳のルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)。また昨年はアシストながら総合6位&ヤングライダー賞2位のテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)は3年連続で出場し、そのチームメイトで22歳のマグナス・シェフィールド(アメリカ)も注目だ。
更に直近のツアー・オブ・ジ・アルプスで総合3位に入り、積極的な走りが特徴の22歳アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)も見逃せない存在だ。
ちなみに出場選手で最年長は、2月にVFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネへの加入が発表された41歳のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)となる。
歴代ヤングライダー賞受賞者
2023年:ジョアン・アルメイダ(ポルトガル)
2022年:フアン・ロペス(スペイン)
2021年:エガン・ベルナル(コロンビア)
2020年:テイオ・ゲイガンハート(イギリス)
2019年:ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
マリアチクラミーノ ポイント賞
今大会、平坦ステージに分類されているステージは6つ。主に第1と2週目に多いスプリントチャンスを狙い、爆発的なスピードに長けたスプリンターたちが激突する。そしてそのスピードマンたちが狙うのが、紫のシクラメンカラーのマリアチクラミーノだ。
平坦ステージでは丘陵や山岳ステージに比べ、より多くのポイントを稼ぐことができる配分(1位:50pts、2位:35pts、3位:25pts…)となっている。そのためマリアチクラミーノ獲得のためには区間優勝を狙うのはもちろん、各ステージに2箇所設定された中間ポイント(個人タイムトライアルは除く)も重要な要素となる(1位:12pts、2位:8pts、3位:6pts…)。
2年連続の獲得を目指すミラン
今大会は過去にマリアチクラミーノを獲得したことのあるフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)とジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)の2人が揃う。ミランは昨年、初出場で区間1勝(と4度の2位)と共に獲得。3月のティレーノ~アドリアティコでは区間2勝し、春のクラシックでは激しい展開でも先頭集団に残る登坂力も伸ばしている。
純粋なスプリント力では過去に区間1勝しているティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)と、初出場となるファビオ・ヤコブセン(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)の元チームメイト対決に注目。特にメルリールは今季7勝とここまでキャリアハイの勝率を残しており、一方のヤコブセンは、ツアー・オブ・ターキーでプロ初勝利から区間3勝をマークした21歳のトビアスルンド・アンドレースン(デンマーク)がリードアウトを務める。
また新リードアウト職人との呼び声高いダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)は今回エーススプリンターとして出場。またカレブ・ユアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)やフアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)、フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)と経験豊富なスプリンターも揃う。
若手ではコーイとランパーティに注目
22歳ながらプロ通算32勝を積み重ねるオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)は、総合優勝を狙うチームオーダーの影響でこれが念願のグランツールデビュー。また24歳のビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)は2022年以来の区間優勝を目指し、シクロワイアード的には昨年のツアー・オブ・ジャパンでインタビューを行ったルーク・ランパーティ(アメリカ、スーダル・クイックステップ)に注目。役割としてはメルリールのアシストだが、サガンのように厳しい展開からのスプリントで勝利を狙える力がある。
歴代ポイント賞受賞者
2023年:ジョナサン・ミラン(イタリア)
2022年:アルノー・デマール(フランス)
2021年:ペテル・サガン(スロバキア)
2020年:アルノー・デマール(フランス)
2019年:パスカル・アッカーマン(ドイツ)
マリアアッズーラ 山岳賞
昨年より山岳の数は減ったものの、それでも4つの山頂フィニッシュが登場する今大会。それだけに青色のマリアアッズーラには例年以上に大きな価値が生まれる。かつては緑色のマリアヴェルデが採用されていたが、2012年から青色に変更されたジャージは「クライミング」「俊敏さ」「スタミナ」を象徴する。
高い登坂力をもつ選手は必然的に総合争いに流れ、さらに多くのクライマーたちがアシストとしてエースへの献身を強いられるため、登坂力ランキングがそのまま山岳賞ランキングになることはない。総合順位を落としたマリアローザ候補たちが山岳賞に目標をスイッチすることもあるため、非常に予想が難しい賞となっている。
昨年は現役最後の出場となったティボー・ピノ(フランス)がベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)から奪い返し、そのままローマの表彰台で喜んだ。
歴代山岳賞受賞者
2023年:ティボー・ピノ(フランス)
2022年:クーン・ボウマン(オランダ)
2021年:ジョフレ・ブシャール(フランス)
2020年:ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル)
2019年:ジュリオ・チッコーネ(イタリア)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
25歳以下の選手を対象にしたマリアビアンカ(ヤングライダー賞)は、1999年1月1日以降に生まれた選手の中で最も総合タイムが良い選手に与えられる。若手の活躍が著しい近年は総合優勝者がそのままヤングライダー賞も獲得することも多く、2020年(テイオ・ゲイガンハート)と21年(エガン・ベルナル)はいずれも総合優勝を果たした選手が着用した。
その資格を有する34名の中でも有力なのは、今年1月にTTとロードの国内王者に輝いた23歳のルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)。また昨年はアシストながら総合6位&ヤングライダー賞2位のテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)は3年連続で出場し、そのチームメイトで22歳のマグナス・シェフィールド(アメリカ)も注目だ。
更に直近のツアー・オブ・ジ・アルプスで総合3位に入り、積極的な走りが特徴の22歳アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)も見逃せない存在だ。
ちなみに出場選手で最年長は、2月にVFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネへの加入が発表された41歳のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)となる。
歴代ヤングライダー賞受賞者
2023年:ジョアン・アルメイダ(ポルトガル)
2022年:フアン・ロペス(スペイン)
2021年:エガン・ベルナル(コロンビア)
2020年:テイオ・ゲイガンハート(イギリス)
2019年:ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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