ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ第3ステージはジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)が制す。終盤の落車を回避したリドルが完璧なリードアウトを繋げ、新加入のミランにスプリント勝利をもたらした。



この日も選手たちを沿道のバレンシアオレンジが迎える photo:CorVos

気温15度と引き続き温暖な天候に恵まれたスペイン・バレンシア。ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ(UCI2.Pro)の3日目はサン・ビセンテ・デル・ラスペイグから南東に位置するオリウェラに向かう161.3kmで、コース中央に設定された3級山岳を除けば平坦路がフィニッシュまで続いていく。

この日はパヴェル・シヴァコフ(ロシア、UAEチームエミレーツ)がハムストリングスを痛めて棄権し、また前日に落車したエディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)も不出場。総合優勝候補の2人が去ったレースは、コロナ禍のためトライアスロンから自転車選手に転向したアンデル・オカミカ(スペイン、ブルゴスBH)ら6名が逃げて先頭に立った。

6名の逃げに乗ったアンデル・オカミカ(スペイン、ブルゴスBH) photo:CorVos

一時7分弱のタイム差を与えたメイン集団は、新加入のエーススプリンターであるジョナサン・ミラン(イタリア)で勝負したいリドル・トレックが中心にコントロール。その結果残り20kmでタイム差は1分を切り、逃げとプロトンは猛スピードでアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)の故郷にほど近いオリウェラに突入した。

オカミカを含む4名が残った逃げは、フィニッシュまで残り5kmを切っても33秒差を維持。しかし残り2kmでプロトンは4名の姿を捉え、飲み込む直前に集団前方で落車が発生する。そこには優勝候補の一角であるマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が巻き込まれ、その混沌を逃れた先頭の11名がフィニッシュの待つオリウェラ市街地になだれ込んだ。

アルネ・マーリッツ(ベルギー)をエースに据えるアンテルマルシェ・ワンティのトレインから、主導権を奪ったのはリドル・トレック。エドワルト・トゥーンス(ベルギー)から新加入シモーネ・コンソンニ(イタリア)に先頭が移ると、太陽を背にミランがスプリントを開始。他を寄せ付けることないスピードを見せたミランが、移籍後初となる勝利を手に入れた。

圧巻のリードアウトから勝利を掴んだジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

「新たなチームで掴んだ初勝利。感情が大きく動いたことは言うまでもない。警戒されているなかでも、僕たちは責任を持ってレースの主導権を握った。少し混沌とした終盤でさえチームとしてレースをコントロール下に置くことができた。仲間に感謝を伝え、いまはこの結果を喜びたい」と、バーレーン・ヴィクトリアスから移籍して僅か3レース目で結果を残したミランはそう語った。

また同日にフランスで行われたエトワール・ド・ベセージュ(UCI2.1)の第3ステージではマッズ・ピーダスン(デンマーク)が勝利。リドル・トレックは2名体制となった両エーススプリンターが活躍する、最高の一日となった。

新チームに移籍後、初勝利を喜ぶジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos
ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ2024第3ステージ結果
1位 ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) 3:42:04
2位 アルネ・マーリッツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)
3位 ジョヴァンニ・ロナルディ(イタリア、ポルティ・コメタ)
4位 フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)
5位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、リドル・トレック)
個人総合成績
1位 アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) 11:34:26
2位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) +1:08
3位 フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、UAEチームエミレーツ) +1:28
4位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) +1:29
5位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) +1:30
その他の特別賞
ポイント賞 ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)
山岳賞 ゴルカ・ソラライン(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
ヤングライダー賞 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
チーム総合成績 VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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