2024/03/04(月) - 15:00
キャノンデールが誇るフラッグシップロードのSuperSix EVO、その中でもプレミアムグレードのLAB71をテスト。エアロロードに匹敵するような空力特性を実現するフレームやハンドル周りの造形、最先端のカーボン+ナノレジンによる軽量性を備えた一台を紹介しよう。
キャノンデールのフラッグシップロード"SuperSix"。2007年に初代が登場し、2011年にエヴォリューション(EVO)へと進化を遂げ、イヴァン・バッソやペテル・サガンらの活躍のみならず、軽量なクライミングバイクとしてアマチュアレーサーからも高い支持を得た名車の1台だ。それゆえにSuperSix EVOはキャノンデールとトッププロがその時求めているものを体現する存在として、モデルチェンジのたびに世界中から注目されきた。
各世代で共通するSuperSix EVOのコンセプトはオールラウンドであること。軸足はどのようなシチュエーションでもパフォーマンスを発揮できる性能だが、時代に合わせてキャノンデールは第2世代では軽量性だけではなくトータルバランスを鍛え、第3世代ではエアロを求めた。そして2023年シーズンが本格的に始まる3月に発表された第4世代では、キャノンデールがこれまで培ってきた全てを活かすように軽量でありエアロでもある一台が実現している。
軽量バイクとして名を馳せたSuperSix EVOは今作で再び軽量性を強化。今回テストするプレミアムグレードLAB71では、最先端のカーボン素材とナノレジンを組み合わせ、素材使用量を抑えた「シリーズ0カーボン構造」を採用することで、塗装済み56サイズで770gを達成した。
加えて年々開発が激化し、マージナルゲインが求められるエアロダイナミクス面で大きく進歩を遂げている。フレームの形状、特にヘッドチューブやシートポスト、シートチューブは第3世代に比べて、前方から見て細くなっており前方投影面積の低減を狙っている意図が現れている。
フォークもワイドになっていたり、エッジのたったカムテール形状のダウンチューブなども先代より大胆な形状でエアロダイナミクスを高めている。加えてダウンチューブから張り出さない専用ボトルケージ&ボトルや、ブレーキホースなどをフル内装可能な専用ハンドルなどの開発も行っており、バイク全体としてエアロダイナミクス向上を狙っている。
特に専用ハンドルはモータースポーツでお馴染みのMOMO社参加のMOMO Designとコラボ開発が行われており、エアロダイナミクスに優れていることが見た目からでもわかる薄さと、トッププロのパワーも受け止める剛性を実現。さらにカーボンがランダムに散りばめられたような見た目も特別感があり所有欲を満たしてくれそうだ。
その結果、新型SuperSix EVOは45km/hで走行するシチュエーションで、先代よりも平均で12ワットの抵抗削減を実現しているとキャノンデールは言う。これはエアロロードのSystemSixに匹敵するエアロ性能でもあり、オールラウンドモデルの中では大きなアドバンテージを得られていると言っても過言ではないだろう。
またキャノンデールは細部まで開発を行っており、コックピット周りのホースを内装するためにステアリングコラムを三角形の「デルタステア」を採用、それに伴いケーブルルーティングも変更。新たな設計によってハンドルの切れ角にも制限がなくなっている。さらにコラムにはInnegra繊維がラッピングされており、ケーブルとの接触による摩耗も防いでいる。
タイヤクリアランスは30mm幅のタイヤを装着してなお、6mmの余裕が生まれるほど。ホイールとの相性次第では28Cでも30mm近くまで到達するため、現在のレースシーンでは主流になっている28Cタイヤは問題なく、30Cまでも使用可能となるキャパシティの広さは大きな魅力だ。
そんなSuperSix EVO LAB71をアウトドアスペース横浜風磨/キャノンデールストア横浜の店長・高木友明さんと、元プロレーサーの岸崇仁がテストする。
−インプレッション
「レース機材としての性能だけでなく、所有欲まで満たしてくれる一台」高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
最初の一踏みから、やっぱりいいなと素直に感心出来るバイクですね。軽量でありながらしっかりとエアロも効いているのが感じられるので、低速から高速までどんな速度域でも進んでいく感覚があるんです。スピードの伸びを気持ちよく感じられるのが、スーパーシックス EVOの身上でしょう。
もちろんその背後にあるのは確かな剛性感で、踏んだ力を逃がさないというのがはっきりと感じられる一台です。とにかく高い強度で踏んだ時に、活き活きとした表情を見せてくれるので、レーサーにとっては乗っていて楽しいバイクですね。まさにプロスペックなバイクという印象です。
その分、ライダーにはセルフコントロール力が求められるようにも感じました。気持ちいいので、どんどん踏んでしまうんです。で、気づけば脚がカラッポになっちゃうような(笑)。
例えるなら、100の力で踏んでいるつもりでも、103くらいのパワーを引き出されているようなイメージです。その分はもちろんスピードに繋がっているんですが、100に感じさせるほどの進みの良さがあるんですよね。そこは、乗り込んでいくうちに感覚をアジャスト出来るとは思うのですが、他のバイクの感覚で乗っていると掛かりすぎてしまいそうです。
その点だけ気をつければ、長い登りも平坦も、下りでも気持ちよく走れるオールラウンダーとして、非の打ちどころのないバイクだと思います。今回はディープなホイールが装着されていましたけれど、登りでも重さが気になることも無いほどです。10%ほどの斜度であれば、このアセンブルで全然不満はないですね。
それでいてエアロという面では最高のアセンブルだと思います。平坦はもちろん、下りでも非常に速い。特に漕がずとも後ろの人を千切ってしまうほど、素晴らしいスピードの伸びを体感できました。
リアのデザインが効いているのか、乗り心地も良いですね。スプリントでもがいても、リアがしっかりと接地してくれるので、トラクションもかけやすい。レースバイクとして、必要十分な快適性が確保されていると感じます。
話題のMOMOハンドルも使いやすいですよね。薄い形状からは想像できないほどしっかりとした剛性を確保しつつ、大きな振動はいなしてくれるようなバランスの良さがあります。見た目はもちろん、性能面でもベストマッチなのではないでしょうか。
LAB71とハイモッドで迷われている方も多いと思いますが、重量的には50g前後の差ということもあり、性能面で大きく違うということはないかもしれません。ただ、そこの違いをあとあと後悔してしまうかもしれない人は、LAB71を選んだ方が良いと思いますね。
特別なバイクだけあって、ペイントの質感もLAB71ならではと感じます。お店に並べていても、このカラーはカッコいいね、と言われることが多いですよ。手が込んでいる一方で派手過ぎず、上質なグラフィックですよね。
単にレース機材としてだけでなく、所有欲も満たしたいという方にこそ、このバイクはオススメできますね。
「軽くて、しっかりとスプリントもかかるハイレベルなオールラウンドレーサー」岸崇仁
まず軽いし、キビキビと走るバイクというのが第一印象です。ただ軽量なバイクというわけではなく、横剛性を伴っていているのでダンシングでバイクを左右に振った時の力のかかりの良さや、操作感がとても良いので全体的に戦闘力の高い1台だと思いました。
その横剛性は高いけど、フレームにゆとりがないほどの硬さではなくて、ある程度フレームがしなるような硬さなので最後まで踏み切れるような感覚がありました。フレーム全体で剛性のバランスが整っていますし、ハンドルやホイールを含めたトータルパッケージで考えても力のかかり方は高いレベルでまとめられています。
ボトムブラケット部周辺の剛性だけではなく、チューブが細く、全体的にコンパクトに作られているリア三角も優れています。ライダーのパワーがかかるリアセクションに剛性があるからこそ、ペダリングした時の力の掛かり方以上の加速を感じられるのだと思います。
その剛性感を持ったSuperSix Evoは重いギアを掛けて高トルクのペダリングでも良いですし、登り坂でギアを軽くしてクルクルとペダルを回す走り方でも想像以上に進んでくれます。その時のバイクはペダリングに対してキビキビと反応するので、常に加速し続けるような感覚がありました。特にスプリントではバイクのポテンシャルを使い切る前に自分の体がキツくなってしまうほどスピードが際限なく伸びていきますね。
軽いギアでのペダリングでも失速しないのがこのバイクの良さだと思います。なぜ失速しないかを考えたんですけど、バイクの絶妙な剛性のおかげでクランクが12時から6時の間にある時にパワーが常にかかり続けるので、ペダリング中のどこかで力が推進力に変換されないという瞬間がないということだと思いました。ペダルに体重を乗せてあげるだけで、ストンとペダルは落ち、反対側のペダルがスッと上がってくる、ペダリングでロスが発生している印象は一切ありませんでした。
ボトムブラケットやリア三角の剛性がそういったペダリングを生み出していて、なおかつヘッド周りの剛性でライダーのハンドルを押したり、引いたりする力を受け止めてくれるからこそ、スプリントでのスピードが伸びていくのでしょう。MOMOハンドルの剛性もしっかりしていてフレームとの相性が良く、ドロップ部を持ってスプリントするときの感触がかなり良かったです。
キャノンデールが出しているホログラムのホイールとも相性が良くて、登りでも重さを感じることなく軽々と走れますし、平坦ではスピード維持に貢献してくれるし、高速域からのスプリントでも剛性不足を感じずにもがけました。この組み合わせは正直言って完璧だと思いましたね。
ハンドルやホイールのポテンシャル、この華奢とも言えるスリムなフレーム造形から生まれる走行性能は乗ってみないとわからないかもしれません。コーナリングでも地に足がついたような安定感がありますし、全体的に見た目以上の能力を持っていて、まさにロードレースを戦うための1台でした。
キャノンデール SuperSix Evo LAB71
フレーム:LAB71 SuperSix EVO, Ultralight Series 0 Carbon
フォーク:LAB71 SuperSix EVO, Ultralight Series 0 Carbon, 1-1/8" to 1-1/4" Delta steerer
ホイール:HollowGram 50 R-SL
コンポーネント:Shimano Dura-Ace Di2
ハンドル:Cannondale SystemBar R-One by MOMO Design
サイズ:48, 51, 54, 56
カラー:Jet Black / Marble Oxblood and Smoke Brushed Chrome (MOX)
付属品:Cannondale Gripper Aero Bottles & ReGrip Aero Cages, Dual Socket Bottom Bracket Tool,Shimano EC300 charging connector
税込価格:1,800,000円
インプレッションライダープロフィール
高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
横浜駅から徒歩10分、ベイサイドエリアに店舗を構えるアウトドアスペース風魔横浜の店長。前職メッセンジャーの経験を活かし自転車業界へ。自身はロードバイクをメインに最近はレース活動にも力を入れる実走派だ。ショップはロード・MTBの2本柱で幅広い自転車遊びを提案している。
CWレコメンドショップページ
アウトドアスペース風魔横浜 HP
岸崇仁
2017年に那須ブラーゼンに加入。2020年から21年シーズンはさいたまディレーブにてJCLのレースに参戦した元プロレーサー。小集団で逃げるようなサバイバルな展開を得意とした実力派。現在はロードバイクのライドコーチとして、安全・快適な走り方を伝えるとともに、各媒体でバイクインプレッションも担当する。カステリのアンバサダー。
ウェア協力:カステリ
text:Gakuto Fujiwara
photo:Makoto AYANO
キャノンデールのフラッグシップロード"SuperSix"。2007年に初代が登場し、2011年にエヴォリューション(EVO)へと進化を遂げ、イヴァン・バッソやペテル・サガンらの活躍のみならず、軽量なクライミングバイクとしてアマチュアレーサーからも高い支持を得た名車の1台だ。それゆえにSuperSix EVOはキャノンデールとトッププロがその時求めているものを体現する存在として、モデルチェンジのたびに世界中から注目されきた。
各世代で共通するSuperSix EVOのコンセプトはオールラウンドであること。軸足はどのようなシチュエーションでもパフォーマンスを発揮できる性能だが、時代に合わせてキャノンデールは第2世代では軽量性だけではなくトータルバランスを鍛え、第3世代ではエアロを求めた。そして2023年シーズンが本格的に始まる3月に発表された第4世代では、キャノンデールがこれまで培ってきた全てを活かすように軽量でありエアロでもある一台が実現している。
軽量バイクとして名を馳せたSuperSix EVOは今作で再び軽量性を強化。今回テストするプレミアムグレードLAB71では、最先端のカーボン素材とナノレジンを組み合わせ、素材使用量を抑えた「シリーズ0カーボン構造」を採用することで、塗装済み56サイズで770gを達成した。
加えて年々開発が激化し、マージナルゲインが求められるエアロダイナミクス面で大きく進歩を遂げている。フレームの形状、特にヘッドチューブやシートポスト、シートチューブは第3世代に比べて、前方から見て細くなっており前方投影面積の低減を狙っている意図が現れている。
フォークもワイドになっていたり、エッジのたったカムテール形状のダウンチューブなども先代より大胆な形状でエアロダイナミクスを高めている。加えてダウンチューブから張り出さない専用ボトルケージ&ボトルや、ブレーキホースなどをフル内装可能な専用ハンドルなどの開発も行っており、バイク全体としてエアロダイナミクス向上を狙っている。
特に専用ハンドルはモータースポーツでお馴染みのMOMO社参加のMOMO Designとコラボ開発が行われており、エアロダイナミクスに優れていることが見た目からでもわかる薄さと、トッププロのパワーも受け止める剛性を実現。さらにカーボンがランダムに散りばめられたような見た目も特別感があり所有欲を満たしてくれそうだ。
その結果、新型SuperSix EVOは45km/hで走行するシチュエーションで、先代よりも平均で12ワットの抵抗削減を実現しているとキャノンデールは言う。これはエアロロードのSystemSixに匹敵するエアロ性能でもあり、オールラウンドモデルの中では大きなアドバンテージを得られていると言っても過言ではないだろう。
またキャノンデールは細部まで開発を行っており、コックピット周りのホースを内装するためにステアリングコラムを三角形の「デルタステア」を採用、それに伴いケーブルルーティングも変更。新たな設計によってハンドルの切れ角にも制限がなくなっている。さらにコラムにはInnegra繊維がラッピングされており、ケーブルとの接触による摩耗も防いでいる。
タイヤクリアランスは30mm幅のタイヤを装着してなお、6mmの余裕が生まれるほど。ホイールとの相性次第では28Cでも30mm近くまで到達するため、現在のレースシーンでは主流になっている28Cタイヤは問題なく、30Cまでも使用可能となるキャパシティの広さは大きな魅力だ。
そんなSuperSix EVO LAB71をアウトドアスペース横浜風磨/キャノンデールストア横浜の店長・高木友明さんと、元プロレーサーの岸崇仁がテストする。
−インプレッション
「レース機材としての性能だけでなく、所有欲まで満たしてくれる一台」高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
最初の一踏みから、やっぱりいいなと素直に感心出来るバイクですね。軽量でありながらしっかりとエアロも効いているのが感じられるので、低速から高速までどんな速度域でも進んでいく感覚があるんです。スピードの伸びを気持ちよく感じられるのが、スーパーシックス EVOの身上でしょう。
もちろんその背後にあるのは確かな剛性感で、踏んだ力を逃がさないというのがはっきりと感じられる一台です。とにかく高い強度で踏んだ時に、活き活きとした表情を見せてくれるので、レーサーにとっては乗っていて楽しいバイクですね。まさにプロスペックなバイクという印象です。
その分、ライダーにはセルフコントロール力が求められるようにも感じました。気持ちいいので、どんどん踏んでしまうんです。で、気づけば脚がカラッポになっちゃうような(笑)。
例えるなら、100の力で踏んでいるつもりでも、103くらいのパワーを引き出されているようなイメージです。その分はもちろんスピードに繋がっているんですが、100に感じさせるほどの進みの良さがあるんですよね。そこは、乗り込んでいくうちに感覚をアジャスト出来るとは思うのですが、他のバイクの感覚で乗っていると掛かりすぎてしまいそうです。
その点だけ気をつければ、長い登りも平坦も、下りでも気持ちよく走れるオールラウンダーとして、非の打ちどころのないバイクだと思います。今回はディープなホイールが装着されていましたけれど、登りでも重さが気になることも無いほどです。10%ほどの斜度であれば、このアセンブルで全然不満はないですね。
それでいてエアロという面では最高のアセンブルだと思います。平坦はもちろん、下りでも非常に速い。特に漕がずとも後ろの人を千切ってしまうほど、素晴らしいスピードの伸びを体感できました。
リアのデザインが効いているのか、乗り心地も良いですね。スプリントでもがいても、リアがしっかりと接地してくれるので、トラクションもかけやすい。レースバイクとして、必要十分な快適性が確保されていると感じます。
話題のMOMOハンドルも使いやすいですよね。薄い形状からは想像できないほどしっかりとした剛性を確保しつつ、大きな振動はいなしてくれるようなバランスの良さがあります。見た目はもちろん、性能面でもベストマッチなのではないでしょうか。
LAB71とハイモッドで迷われている方も多いと思いますが、重量的には50g前後の差ということもあり、性能面で大きく違うということはないかもしれません。ただ、そこの違いをあとあと後悔してしまうかもしれない人は、LAB71を選んだ方が良いと思いますね。
特別なバイクだけあって、ペイントの質感もLAB71ならではと感じます。お店に並べていても、このカラーはカッコいいね、と言われることが多いですよ。手が込んでいる一方で派手過ぎず、上質なグラフィックですよね。
単にレース機材としてだけでなく、所有欲も満たしたいという方にこそ、このバイクはオススメできますね。
「軽くて、しっかりとスプリントもかかるハイレベルなオールラウンドレーサー」岸崇仁
まず軽いし、キビキビと走るバイクというのが第一印象です。ただ軽量なバイクというわけではなく、横剛性を伴っていているのでダンシングでバイクを左右に振った時の力のかかりの良さや、操作感がとても良いので全体的に戦闘力の高い1台だと思いました。
その横剛性は高いけど、フレームにゆとりがないほどの硬さではなくて、ある程度フレームがしなるような硬さなので最後まで踏み切れるような感覚がありました。フレーム全体で剛性のバランスが整っていますし、ハンドルやホイールを含めたトータルパッケージで考えても力のかかり方は高いレベルでまとめられています。
ボトムブラケット部周辺の剛性だけではなく、チューブが細く、全体的にコンパクトに作られているリア三角も優れています。ライダーのパワーがかかるリアセクションに剛性があるからこそ、ペダリングした時の力の掛かり方以上の加速を感じられるのだと思います。
その剛性感を持ったSuperSix Evoは重いギアを掛けて高トルクのペダリングでも良いですし、登り坂でギアを軽くしてクルクルとペダルを回す走り方でも想像以上に進んでくれます。その時のバイクはペダリングに対してキビキビと反応するので、常に加速し続けるような感覚がありました。特にスプリントではバイクのポテンシャルを使い切る前に自分の体がキツくなってしまうほどスピードが際限なく伸びていきますね。
軽いギアでのペダリングでも失速しないのがこのバイクの良さだと思います。なぜ失速しないかを考えたんですけど、バイクの絶妙な剛性のおかげでクランクが12時から6時の間にある時にパワーが常にかかり続けるので、ペダリング中のどこかで力が推進力に変換されないという瞬間がないということだと思いました。ペダルに体重を乗せてあげるだけで、ストンとペダルは落ち、反対側のペダルがスッと上がってくる、ペダリングでロスが発生している印象は一切ありませんでした。
ボトムブラケットやリア三角の剛性がそういったペダリングを生み出していて、なおかつヘッド周りの剛性でライダーのハンドルを押したり、引いたりする力を受け止めてくれるからこそ、スプリントでのスピードが伸びていくのでしょう。MOMOハンドルの剛性もしっかりしていてフレームとの相性が良く、ドロップ部を持ってスプリントするときの感触がかなり良かったです。
キャノンデールが出しているホログラムのホイールとも相性が良くて、登りでも重さを感じることなく軽々と走れますし、平坦ではスピード維持に貢献してくれるし、高速域からのスプリントでも剛性不足を感じずにもがけました。この組み合わせは正直言って完璧だと思いましたね。
ハンドルやホイールのポテンシャル、この華奢とも言えるスリムなフレーム造形から生まれる走行性能は乗ってみないとわからないかもしれません。コーナリングでも地に足がついたような安定感がありますし、全体的に見た目以上の能力を持っていて、まさにロードレースを戦うための1台でした。
キャノンデール SuperSix Evo LAB71
フレーム:LAB71 SuperSix EVO, Ultralight Series 0 Carbon
フォーク:LAB71 SuperSix EVO, Ultralight Series 0 Carbon, 1-1/8" to 1-1/4" Delta steerer
ホイール:HollowGram 50 R-SL
コンポーネント:Shimano Dura-Ace Di2
ハンドル:Cannondale SystemBar R-One by MOMO Design
サイズ:48, 51, 54, 56
カラー:Jet Black / Marble Oxblood and Smoke Brushed Chrome (MOX)
付属品:Cannondale Gripper Aero Bottles & ReGrip Aero Cages, Dual Socket Bottom Bracket Tool,Shimano EC300 charging connector
税込価格:1,800,000円
インプレッションライダープロフィール
高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
横浜駅から徒歩10分、ベイサイドエリアに店舗を構えるアウトドアスペース風魔横浜の店長。前職メッセンジャーの経験を活かし自転車業界へ。自身はロードバイクをメインに最近はレース活動にも力を入れる実走派だ。ショップはロード・MTBの2本柱で幅広い自転車遊びを提案している。
CWレコメンドショップページ
アウトドアスペース風魔横浜 HP
岸崇仁
2017年に那須ブラーゼンに加入。2020年から21年シーズンはさいたまディレーブにてJCLのレースに参戦した元プロレーサー。小集団で逃げるようなサバイバルな展開を得意とした実力派。現在はロードバイクのライドコーチとして、安全・快適な走り方を伝えるとともに、各媒体でバイクインプレッションも担当する。カステリのアンバサダー。
ウェア協力:カステリ
text:Gakuto Fujiwara
photo:Makoto AYANO
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